この小説では、ナルト視点をカットする場合があり、今回はカットになります。
今回はシャナ視点です。プチ劇場版のつもりです。
ナルトが正式に下忍になってから、任務の連続となった。
一方で謹慎の明けた第4班のメンバー。さっそく任務を幾つも請け負い、仕事を果たしていく。
3年に一度の皆既日食が起こると言われている日が迫ったある日。
ナルト達は波の国に護衛任務に出た。初めてのCランク任務で張り切っているナルトを見て、少し心配になったシャナだった。
そしてシャナ達も、久しぶりの里外任務に従事していた。草隠れと岩隠れの境界付近にある須弥山の麓に向かっていた。今回の任務は、その付近で行方不明者が続出しており、その山の調査依頼だった。
突然舞い込んだ任務。危険度が高く、未知との遭遇が予見され、Aランク任務となった。
下忍でしかない彼らに任務が舞い込んだ理由は、手掛かりとなる情報に、その山のふもとで偶然発見された犠牲者が居た。その人物は嵐遁の使い手の女性で、発見時に衰弱しており、精神状態も異常だった。
うわごとのように「写輪眼の姫」と死ぬまでつぶやき続けていたそうだ。
そして依頼主は、雷の国の富豪で、犠牲者の家族だった。妻を失った悲しみから、木ノ葉にこれ以上犠牲者が出ないように真相解明をと依頼してきた。雲隠れの里にも依頼をしたそうだが、手掛かりが一つも出なかったという。
妻の遺した写輪眼の姫という言葉から、依頼主は、元うちはの生き残りである女性。シャナの事ではないかと考えた。そして遥々木ノ葉まで、縋るように来た依頼人の態度に、本人がまだ下忍であり、依頼を拒否される可能性も伝えた三代目。
それでもかまわないと言質を取ったうえで第4班に説明をしていた。
明らかにシャナを誘い出すような状況下で、彼女を行かせていい物か迷う上層部。
「いいってばね。受領する。こほっ」
「良いのか? 既に木ノ葉の暗部を向かわせて、危険がないかを探らせてはおるが」
「ナルトも長期任務になったし、別に構わない。こほ」
三代目は、シャナに何度も確認を取るが、彼女は問題ないという。唯一問題があるとすれば、八雲の体調なので、野宿は基本せず、宿に泊まるので依頼主に前金を請求するとは言っていた。
そして、準備を終えた第四班は、高難易度任務に出発した。
ーーーーーーー
一応先に向かっていた暗部と合流し、それから調査する手筈となり、道中をしっかり休みながら移動。
何日もかけてようやくたどり着いた。
「なんか、不気味な山だね」
「3人共、注意するんだよ。何が起こるかわからないんだからね」
険しく、不気味な雰囲気の漂う山々。暗部と合流する約束になっているのだが、時間を過ぎても彼らは現れない。
何か嫌な予感がすると忍の勘が告げる。
「こほっこほっ」
「シャナちゃん。大丈夫?」
今回の任務、シャナが体調を崩してしまったのだ。何度か咳をしていたシャナだったが、到着寸前には、熱も出していた。
しかし、任務に対する責任感や意地でこの場所に来てしまっていた。
最初は気合で何とかなると思っていたが、次第に体調が悪化していく。山を登っていくうちにシャナだけが遅れ始める。チャクラも乱れ、スタミナ確保のため写輪眼も解除してしまった。
ふらつきながら、立ち止まってしまったシャナを心配して、八雲が駆け寄る。
「やっぱりすごい熱、シャナちゃん、体調悪いんでしょ? 一度宿に帰ろう?」
「大丈夫だってばね」
シャナの体に触れると体温が高く、任務の続行など不可能だと感じた。そのため、八雲が任務の中断を提案したが、シャナは首を横に振る。自分の受けた任務を失敗するなど、プライドが許さないからだ。
だが八雲が腕を掴んで止める。そしてシャナの手に薬を持たせた。
「駄目だよ。そんな体で、危険があるかもしれない任務に挑むなんて。これ、私がよく飲んでる風邪薬。これ飲んで休もう?」
「大丈夫。ほっといて」
「ほっとけないよ! すぐに隊長に伝えるから」
「いらない!」
体調をよく崩す八雲だからこそ、不調のまま任務を受ける無謀さを知っている。だからシャナが何といおうとも任務を中断させると宣言する。
体調が悪く、煩わしい八雲の態度に、シャナは頭に血が上る。掴まれた手を払いのけ、八雲の胸ぐらをつかむ。
「黙ってろってばね! お前には関係ない。それに、八雲に体調の事でとやかく言われたくないってばね! 自分の心配だけしてろよ! ……あ」
頭の中がぐちゃぐちゃで、普段なら言わないことを言ってしまう。言い終えた後に少しだけクールダウンしたシャナだが、八雲は表情が暗くなり、胸倉を掴むシャナの手を振り払う。
そして、シャナの体を肩で突き飛ばしながら、先に山を登り始める。
「もういい。好きにすれば!!」
本気で八雲が怒っていることが、自分を睨む目でわかったシャナ。明らかに言い過ぎた。すぐに謝ろうとしたが、怒った八雲は、顔も見たくないというように先に行ってしまう。
その姿にシャナも意地を張ってしまう。
いつも体調を悪くして任務を中断するのは八雲なのだ。だから彼女に心配されたくなどない。
(私は悪くないってばね)
意地になりながら、山を登っていくシャナ。
「君たち喧嘩でもしたのかい? 任務中なんだから、あまりそういうのはね」
いつも仲のいいシャナと八雲がそれぞれ睨み合い、明らかに敵対している空気を感じ取ったヤマトが仲直りを促す。だが二人とも「「問題ないです(ってばね)」」と言って耳を貸さない。
トルネも二人が本格的に喧嘩している光景を初めてみたので、上手い言葉が見つからない。
全員で登山を終えると、人工の門のようなものが現れる。過去の大戦で使われたらしき城門を眺める第4班。かなり奥まで進んだ彼らだが、未だに先遣隊である暗部と遭遇できていない。
「ごほ、ごほ」
「シャナ?」
かなり強がって体調を偽っていたシャナだが、標高が高くなり、気圧の変化もあってか限界が迫っていた。さすがにヤマトとトルネも様子に気が付いて、途中下山を考えた時だ。
突如煙を上げて、装甲に覆われた巨大な獣、装甲に覆われた巨大な鳥、そして無数の首を持つ蛇のような怪物が口寄せされる。3種類の口寄せ動物に囲まれた。
それぞれ自然界に存在しないような怪物であり、口寄せされたということは、口寄せの使い手が居るということ。
口寄せ動物たちの頭の上に煙を上げて現れたのは、背が高く細長い体形をした双子の男達と気の強そうな鞭を持った女性。それぞれが膨大なチャクラを宿しており、生半可な相手ではないと感じ取れた。
「君たちは何者かな? 僕らは木ノ葉の忍で、この場所を調査に……おっと」
鳥に乗った男がヤマトの質問が終わる前に何かを地面に投げ捨てた。
それは血まみれの仮面だった。主に木ノ葉の里で使われている暗部用の仮面で、それを彼らが持っているということは、拾ってくれたのではなく、殺して奪ったということだろう。
トルネは、手袋を外し、ヤマトは印を結ぶ。八雲も指輪を外す準備をして準備する。シャナも少しうつろな目で相手を見据え、ホルスターからダガーを抜く。
「我々が用があるのは、写輪眼を持つものだけだ。その二人のうちのどちらかが、写輪眼の姫か?」
「そうか。君たちが行方不明事件の犯人か」
相手は暗部を殺した手練れ集団。決して油断することなく、木遁を発動しようとしたヤマト。だが突然城門が開き、第四班を取り囲んだ3人が傅く。
門の奥から出てきたのは、白髪で、包帯を全身に巻き付けたミイラのような姿の少年だった。
異様な風貌と存在感を放つ少年は、包帯のマスク越しに話しかけてきた。
「よく来たね。こんなにも早く来てくれるとは思っていなかった。私の名は卑留呼。この世に君臨する最強の忍だ」
自分を卑留呼と名乗った少年。その名に心当たりのあったヤマト。かつて暗部時代に伝えられた抜け忍のリストにその名が記されており、ダンゾウからも要注意人物だと教えられていた。
「撤退する!! 逃げるよ!」
体調の悪いシャナを抱えて戦闘は、利口じゃない。すぐに撤退を知らせ、木遁で足止めを狙うヤマト。しかし、目にも止まらぬ速さでシャナの傍まで接近していた卑留呼。
「ほう、君が写輪眼の姫かい?」
「どうだかね。けど、最強の忍はお前じゃない」
「いい加減にするんだシャナ!」
どうにかダガーを構えるシャナ。
シャナに向かって手を伸ばそうとした卑留呼。それを庇うようにヤマトが立ち塞がり、木遁の術を発動する。地面から生えた木が卑留呼の全身を拘束する。しかし、卑留呼はその拘束を難なく力づくで破る。小柄の彼が持つにしては考えられない怪力に、驚くヤマト。
「木遁・大樹林の術!」
「冥遁・吸穴孔(めいとん・きゅうけつこう)」
そして、追撃にと右手を木に変え、直接攻撃を仕掛ける。だが卑留呼が左手を前に突き出すと、ヤマトの木遁・大樹林の術が彼の掌に刻まれた刻印に吸収される。さらに卑留呼の刻印から紫色のチャクラが放出され、ヤマトの体を包み込む。
「何!?」
木遁を吸収され、さらにはヤマトの体からチャクラが抜き取られる。チャクラを吸われ、力が抜けたヤマト。身動きが取れなくなる。
「木遁か、面白いけど返すよ」
卑留呼がそういうと、卑留呼の掌から大樹林の術が発動し、ヤマトの体を突き飛ばした。自分の術を返されたヤマトは、壁に叩きつけられる。
「隊長!」
「俺が行く」
高速で駆け出したトルネ。蛇を従える男が、その行く手を阻もうとしたが、トルネの速度を前にして捕らえる事は敵わない。
「迅遁・先駆」
印を結んだ卑留呼は、トルネの高速体術の速度を凌駕する速度で動き始めた。その動きに驚くも、トルネもさらに速度を上げ、目に見えないほどの高速戦闘を繰り広げる。
「私の迅遁についてくるとは、中々だ」
「それだけではない!」
「鋼遁・金剛」
どうにか毒手をくらわせようと、拳を繰り出したトルネ。その攻撃を見ていた卑留呼は、全身を硬質化させて彼の拳を受け止める。
剛力による毒手を受け止めた卑留呼だが、その力を怪力で相殺。少し後ろにのけぞるも衝撃を殺してしまう。
「ほう、毒か」
(こいつ)
全身が鉱物の様に変化した卑留呼に毒が効果をなさない。毒が効かない相手というのは、稀にいるため、体術で押し切ろうとするも、卑留呼の体に巻き付いていた包帯が刃物の様に変化し、トルネの右太腿と肩を貫く。
出血し、隙の生まれたトルネの体を迅遁という高速移動術を持った卑留呼が殴り飛ばす。
殴られたものの、受け身を取り、反撃に出たトルネ。
「嵐遁・雷雲」
全身から黒い雷を帯びた雲を発生させ、自分の周囲に放電した卑留呼。その雷にとらえられたトルネは感電して、地面に倒れる。
瞬時に二人を撃退した卑留呼の実力は異常だった。
残されたのは幻術使いの八雲とシャナのみ。息を荒くしながらもシャナは駆け出す。
「粒遁・天輪!!」
写輪眼を使いたくても、チャクラがうまく巡らない。写輪眼を維持できない事に気が付いたシャナは、残された武器である粒遁を発動。
「粒遁? 聞いた事のない血継限界だな」
シャナの繰り出す術を見て感想を零す卑留呼。余裕ぶっている卑留呼相手にチャクラの粒子砲を発射する。当たれば一撃必殺の忍術であり、シャナの必殺技。
「だが、無駄だ。冥遁・吸穴孔」
ヤマトの時と同じく、粒遁の粒子砲を吸収する卑留呼。だが、僅かに吸収しきれなかったのか、卑留呼の包帯や肌が切れて血が滲み始める。その事には、卑留呼も驚いているようだが、すぐに鋼遁を併用して防御力をあげる事で無力化。
シャナの天輪を見事に吸収してしまう。少ないチャクラを使った忍術だったが、効果はない。
「終わりだ」
シャナの予知能力が働き、卑留呼が吸収した術を反射する光景が目に浮かぶ。だが体が動かないシャナ。
「待って!」
突如、シャナを庇うように八雲が指輪を抜き取りながら前に飛び出す。八雲の姿を見た卑留呼は、攻撃を思いとどまったかのように右手を下す。疲労から膝をついてしまったシャナを背に庇う八雲を見て、卑留呼は呟く。
「ふふ、君が写輪眼の姫だったか。見事な写輪眼だ」
「私を呼んだ目的は何?」
卑留呼は何を言っているのだろうかとシャナは働かない頭で考える。
「そうだね、説明くらいはしておいてあげよう。私は長年かけて鬼芽羅の術という術を編み出した。この術は他の生物と融合し取り込むことで、自分の力とする事が出来る」
そう言いながら、卑留呼は自分の体をスライム状に変化させる。
「この術は、特殊な天体現象の際に行えば、血継限界ですら取り込めるんだ。既に私は4つの力を取り込み、後は写輪眼を欲している。後は言わなくてもわかるかな?」
特殊な天体現象。それを聞いて八雲は、明後日に起こるであろう皆既日食を思い浮かべる。卑留呼の狙いは、うちは一族の持つ写輪眼なのだ。
「それで、私を探していたのね」
「そうだ。君を取り込めば、私は不死の最強忍者となれる」
「なら狙いは私だけだよね? だったら仲間は見逃して」
「この場所と私の名を知ったものを逃がせと?」
「最強の忍者なんでしょ? だったら木ノ葉からの応援が来ても平気だよね?」
強気に出る八雲。その言葉と態度を気に入ったように卑留呼が笑う。
「いいだろう。ただし、大人しく君が付いてくることが条件だ。それとも抵抗するかい?」
「しない。私じゃあなたに勝てない。だから、最後にお別れをさせて」
「好きにしたまえ」
そこまで喋って、八雲は、シャナの方向に振り返る。
そこでシャナが見たものは、赤い写輪眼を持つ八雲の姿。正しくは、指輪の幻術を用いて、卑留呼を含む周囲の人間に写輪眼を持つ姿を見せているのだ。
そんなことをした理由は一つ。写輪眼の姫であり、今は戦えないシャナを助けるため。身代わりになるため。
悲しげな表情の八雲。そんなことをする必要はないと、シャナが声を出そうとすれば、八雲が指輪を抜いてシャナに幻術を掛ける。
猿轡のようなものを幻術で噛まされたシャナは口を開けなくなる。
人差し指を唇に当て「黙って」と口にした八雲。
「短い間だったけど楽しかったよシャナちゃん。それにヤマト隊長やトルネ君もありがとう。皆、さようなら」
「……!!」
トルネやヤマトも八雲に手を伸ばすが、ダメージが響いており、上手く動けない。そんな彼らに別れを告げた八雲は卑留呼の傍まで歩み寄り、彼の差し出した手を掴む。
八雲に手を伸ばすシャナ。だが八雲は帰ってこない。
「いい子だ。だがな、気が変わった!!
「何を!?」
卑留呼は、左手を伸ばして掌から青い炎をシャナ達に向かって発射する。シャナの粒遁を吸収した一撃は、強力無比。裏切った卑留呼に幻術を掛けようとした八雲だったが、卑留呼の冥遁によってチャクラを奪われ気絶してしまう。
未来視が常に警鐘を鳴らし続けていたシャナは、本能的に粒遁・天輪を発動する。
青い炎を迎え撃つ粒子砲。だがなけなしのチャクラを使った攻撃では押し負ける。徐々に青い炎が迫りくる。
もうだめかと思われた時。
「粒遁・天墜」
シャナの天輪と邪自滅斗の戦いに赤い粒子弾が割込み、卑留呼側で大爆発を起こした。卑留呼は、すぐに術を吸い込んで無効化していた。そして獣を操る男女も爆発に巻き込まれまいと距離を取った。
そして、地面に横たわっていたヤマト、トルネ、シャナの三人は、爆風によってはるか遠くまで吹き飛ばされた。
そして、一番遠くまで飛ばされたシャナは、山の麓付近の谷に落ちそうになった所、空中でキャッチされる。
シャナをキャッチしたのは、暁の衣装を身にまとい、頭から黒い翼と獣の腕に尻尾を生やした少女。シャナと同じく青い写輪眼を持つ存在、生物兵器コダマだった。
「ナイスキャッチ! コダマ選手、大得点です!」
シャナを抱えながら、コダマは大はしゃぎしていた。
劇場版NARUTO疾風伝 火の意思を継ぐもの のキャラ登場です。
術名はオリジナルも含みますし、オリジナル設定も追加しているのでよろしくお願いします。
本作品は、お気づきの人もいるかもしれませんが、劇場版NARUTOやアニオリの設定を多用してます。
それについても感想などでご意見いただけると嬉しいです。