日蝕まで残り数分となった時。
須弥山の頂上に建てられた宮殿。その最上階は、ドーム状になっており、天井には穴があけられ、日蝕を拝めるような構造になっていた。特殊な天体現象の光を取り込み、足元は水で覆われた卑留呼が術を執り行う儀式場。
そこの中心には、両腕を拘束され、吊り上げられた八雲が居た。
「ん」
眠らされていた八雲は、静かに目を覚ます。ゆっくりと目を開ければ、目の前には卑留呼が立っていた。
「目覚めたか。もう少しで時間となる。眠っておいたほうが良かったろうに」
(……この人に捕まったんだね。チャクラが少ない――)
思い出すのは、動けない第四班を攻撃した彼の姿。到底許せるものではなく。
すぐに幻術を発動しようとしたが、チャクラを吸収されたことで術が発動しない。タイムリミットは残り数分。その間にチャクラを練って、卑留呼を殺す。それが八雲の考えだった。
「いよいよ、私は不死身の最強忍者となる。予定よりも数年早まったが、それは大した問題ではない」
(間に合わない。いや、仮に私が死んでも、この人だけは連れていく)
皆既日蝕が始まり太陽に月が重なり始める。すると、歓喜の声をあげた卑留呼の体中が、青いスライム状の物質に変わっていき、スライムが八雲の体を足から包み込み始めた。手枷が外れたため、暴れて逃げようとするも包み込まれた下半身の感覚が消えている。こうやって少しづつ融合されていくのだろう。
自分はもすぐ死ぬ。その恐怖に涙が流れる。
だが、シャナ達を殺したであろう卑留呼は許さない。
(さようなら、皆)
八雲の体が胴体まで取り込まれ、後自由なのは首だけだった。最後にこれまで一緒に過ごした人達との思い出がリフレインした。
最後に浮かぶのは、自分に手を伸ばしていたシャナの姿。
(そういえば、最後まで仲直りできなかったな)
口喧嘩してしまい、仲直りできなかった。酷いことを言われたと思う。けど、その後のシャナの顔を見れば、酷く後悔しているようだった。けれど、その場では感情が邪魔をして、歩み寄る事も、シャナからの歩み寄りも拒んでしまった。
自分の体調のせいで人に迷惑を掛けたくないという感情なら、自分が一番良く分かっていたのに。
「やくもぉおおおーーーー!!!!!」
突如、天井を突き破って青い閃光と共にシャナが現れる。走ったのだろうか、汗まみれで必死の形相の彼女が自分の名を呼んでいた。
(あぁ、生きてたんだ。……生きていてくれたんだ。なら、もう安心だね)
本当に良かった。その思いは本物だった。最後に親友の顔が見られてよかった。
だが卑留呼のスライムは、シャナの顔を見てほっとした八雲を完全に取り込んだ。
「ふふふ、ふはははははは!!! 融合は終わった。ついに私は最強の存在へと」
「ふざけるな」
「ついでだ、お前も吸収してやろう!」
高らかに笑う卑留呼を他所に、地獄の底から湧き出るような声がシャナから発せられる。そして、肌がぴりつくような殺気に、卑留呼は、異変を感じる。巨大なスライム状の体を変化させ、シャナへと襲い掛からせる。
そして、抵抗せずにスライムに包まれたシャナ。
「ふふ」
「何笑ってる」
完全に吸収したはずのシャナが、自身の背後に立っていた。変わり身でも影分身でもない。確かに吸収したはずなのに。そして、振り返った卑留呼が見たのは、自分を睨みつける冷たい視線、青い歯車のような万華鏡写輪眼を携えたシャナの顔。そして振りかざした拳だった。
顔面を殴られた卑留呼。かなりのけ反るが、すぐに体勢を立て直し、無数の触手状のスライムをシャナに向けてけしかける。
そして再びシャナに命中。その体を壁に叩きつけ、壁に押さえつけられたシャナの体と融合を始める。
だが、シャナの右目の万華鏡写輪眼の歯車の文様が回転。青い光を放つと、捕えていたシャナの姿が消える。
「どこに行った!? ぐぅあああ」
シャナを見失った卑留呼が周囲を探していると、ダガーを粒子刀に変えたシャナが、卑留呼の心臓にそれを突き刺していた。心臓を刺された卑留呼だが、それでも致命傷にならず、腕を振り回し、怪力を持ってシャナの顔面を殴打、その体を弾き飛ばした。
シャナが床に広がる水に落下したのを確認した卑留呼は自分の傷を癒しながら、青い写輪眼について考えていた。
「まさか、お前が写輪眼の姫なのか? なら私が取り込んだ此奴は?」
「私の親友だってばね」
殴り飛ばしたはずのシャナが再び卑留呼の背後に現れ、再び心臓を粒子刀で貫いていた。感知も出来ず、一瞬のうちに移動したシャナ。瞬身の術なら感知できたはず。なのにできなかった。
背後に現れたシャナは再び右目の万華鏡の歯車が回転しており、殴られたはずの頬も無傷だった。
幻術かと思い当たった。だが、歴戦の勘がそれを否定する。
卑留呼の反撃を感知し、彼から飛び退いたシャナ。その姿を見て卑留呼は左手の刻印から
だが、シャナの左目の回転する歯車の万華鏡写輪眼を見た瞬間。一瞬だけ卑留呼の意識が飛び、気が付けば卑留呼は、
術は発動していない。なのに術を発動した後の体勢になっていた。チャクラは消費していないが、発動寸前だった術が解除され、彼の冥遁は不発に終わる。
「何をした!?」
まるで、時間を戻したようにダメージを無くすシャナ。そして逆に時間を飛ばされたかのような卑留呼。二つの術の真相にたどり着けない卑留呼。
「八雲を返せ!」
正体不明の術。シャナの持つ万華鏡の固有の術だろうかと思案する。
完全に八雲という小娘に騙されたと苛立つ卑留呼。だが目の前の小娘を取り込めば同じことだ。そう思っていた時だ。突然、卑留呼の全身が燃え始め、彼の足場だった水が全て溶岩へと変わる。その熱のすさまじい事。
「ぎゅあああああ!!! なんんだ、これは!!! こむすめ、、いったいなに、をしたあ!!!」
業火と溶岩に焼かれ始める卑留呼。スライム状の肉体を激しくくねらせながら、焼けていく体で悶える。その暴れ様はすさまじく、卑留呼は自分の体のコントロールを失っていた。
(何が起きてるってばね?)
攻撃するより先に卑留呼が狂ったように苦しみはじめ、体中が火傷を負っていく。その光景に覚えのあったシャナ。すぐさま、誰の仕業か辿り着く。
取り込まれたと思っていた八雲の幻術・天花乱墜が卑留呼を襲っているのだ。八雲の術は相手との距離感で効果を変える。なら八雲の体と融合する卑留呼には、効果が絶大だ。その威力は、卑留呼が死にそうになりながら暴れていることからも明らかだ。
このままいけば、卑留呼は幻術の中で死ぬだろう。取り込んだ八雲と一緒に。
「悪いけど、そんなカッコいい真似、させないってばね」
シャナは八雲を助けに来たのだ。卑留呼を倒しても八雲が死ねば、それは無意味なものになる。必ず助け出す。
シャナは、印を結び自分の全身からチャクラの粒子を散布する。そして、両手にダガーを変化させた粒子刀を構える。
「行くってばね。粒遁・天門の術」
ドームに広がる無数のチャクラ粒子。シャナが術を発動すると、それらの粒子をマーキングにシャナが青い光となり口寄せされ、瞬間移動する。そして、ビーム状の刃でスライムの体を切断していく。八雲がどこにいるかは不明だが、未来視を使い、事故を予防。
斬っては瞬間移動を繰り返しながら、スライムの巨体を切断していくシャナ。青い閃光となり続け、粒子から粒子に飛び続けるシャナの姿は、流星群のようで、美しい光景とは裏腹に絶大な殺傷能力となって卑留呼を襲う。
シャナの動きが速すぎて、光の道筋が網の様になりながら、切り刻んでいく。
父の飛雷神の術を、シャナなりに再現した術。粒子から粒子に移動し、攻撃を仕掛けていく新術。ただし散布した粒子は、コントロールできず風に流されるため、このドームのような空間でなければ、使えない未完成の術。
だが攻撃を察知した瞬間安全圏に逃げられるこの術は、強い。
「ぐぉおおおああああ」
苦しむ卑留呼を傍に、シャナは僅かばかりに八雲のチャクラを万華鏡写輪眼で捉える。そして、スライム状の体を円形に切断。スライムから覗く八雲の手を見つけたシャナは、その手を掴み、引き抜いた。
八雲を引き抜かれたタイミングで、限界の来た卑留呼の体が破裂する。
その爆風から気絶した八雲を庇い、ドームの外に瞬間移動したシャナ。自分と触れる相手なら一緒に移動できる時空間忍術で、ドームの天井に着地したシャナは、八雲の様子を確認する。
全身に軽いやけどはしているが、重傷はない。
「よかった。息はしてる。心臓も動いてる」
呼吸の確認と、心音の確認を行ったシャナ。気絶しているだけで命に別状はない八雲を抱きしめる。
間に合った事に対する喜びと、失いかけた不安が一気にシャナを襲う。けれど掴み取ったものを確かめるように抱き締める手に力が入る。
だが安心もつかの間。ドームの天井を突き破って卑留呼が現れる。膨大なチャクラを迸らせながら、口元の包帯が外れ、不気味に裂けた口を開いている。
正体を現した卑留呼は、空を見上げる。既に日蝕は終わっており、奴の野望は潰えたと言える。
「おのれ、貴様ら」
「ご愁傷さまだってばね」
挑発するシャナ。八雲を寝かせ、すぐさまご立腹の卑留呼と向き合う。万華鏡写輪眼で戦える時間はそう長くない。チャクラは残り半分ほど。勝率は高くない。
「まぁいい。本来の計画通り2年後にまた、儀式を行えばいい。だが、貴様らはここで殺して、世にも醜悪な生き物に改造してやろう」
「できれば、可愛いのが良いってばね」
軽口で返すシャナ。ダガーを右手に構え、左手は印の構えを取る。未来視と写輪眼の併用奥義、先見の写輪眼を発動しようとした時、嬉しい誤算が起こる。
「コダマちゃん、参上!」
空を飛び急降下してきたコダマが傍に着地する。そして変な決めポーズをとっていた。
どうやら刺客を撃退したらしい。しかし、消耗しているのかチャクラが少なくなっている。しかし卑留呼を相手にコダマの増援は嬉しいことこの上ない。
「なんだ貴様は……どうなっている青い写輪眼の2人目だと」
卑留呼はコダマを見て驚いている。公式には、一人しかいない写輪眼を使う女性。それが目の前に二人いるのだから。
そんな卑留呼を無視して、シャナはコダマの目を見る。心を読めるコダマに言葉は不要。すぐ意図を汲んだコダマ。
「とっても強いんだね」
シャナとコダマは、同時に目を開く。シャナは両目に青い万華鏡写輪眼を携え、一方コダマの青い写輪眼も変化が起こる。文様が変化して小さな歯車3つが嚙み合った文様へと変わる。それはコダマの持つ万華鏡写輪眼に他ならなかった。
まさか万華鏡写輪眼まで開眼しているとは思わず、シャナも驚くが、心強いことに変わりなかった。
先見の写輪眼と心見の写輪眼の二つが卑留呼と対峙する。
「迅遁・先駆!!」
印を結び高速移動した卑留呼。だが万華鏡写輪眼を用い、更には未来視と読心を使える二人には、遅くすら見えた。高速で繰り出される体術を息の合った動きでコダマとシャナが回避していく。回避しながら、両者も瞬身を使い反撃に転じる。
どちらも卑留呼の動きを先読みし、カウンターを仕掛けていく。
「はぁ!」
「ぐぅう」
接近戦で押される卑留呼は、鋼遁を用いて防御力を上げる。しかし、コダマが腕を巨大化させた怪拳を受け、ダメージを負う。殴りつけたコダマの腕も卑留呼の固さによってひしゃげる。だが、再生能力を用いて連続でこぶしを振るうコダマ。
自分のダメージは度外視で殴り続ける。コダマと卑留呼が殴りあっている最中。粒子刀を構えたシャナが視界の端から卑留呼の硬質化した右腕を切りつけた。刃は効かないと叫んだ卑留呼だが、シャナの刃は熱による溶断。一振りでは切れずとも、もう一本の粒子刀を持つシャナ。
二振りの粒子刀が合わさることで膨大な熱となった刃は、卑留呼の左腕を斬り飛ばす。
「ぐぅうう」
左腕を切り落とされた卑留呼は、コダマの渾身の拳を受ける。吹っ飛んだ卑留呼だったが、すぐに斬られた腕をスライム状にして再生。印を結ぶ。
「嵐遁・嵐鬼龍!!」
チャクラを吸収して巨大になる雷雲を発生させた卑留呼。しかし、未来と思考を読む写輪眼の姫達は、卑留呼の起こした雷を回避。距離を取って卑留呼を睨みつける。
「冥遁・吸穴孔」
雷を回避している二人。
だが、二人同時にジャンプして、背中と背中がぶつかってしまう。
卑留呼は最初から二人を同じ場所に追い込むことを考えていた。彼は、二人のチャクラを吸いつくしてしまおうと考えた。故に冥遁を発動。冥遁のチャクラに触れた術やチャクラはすべて吸収されてしまう。左右を雷によってふさがれ、空中に逃げてしまった二人。
迫りくる冥遁を前にして、コダマが前に出る。
「粒遁・天輪」
コダマが前に出たことで、シャナは粒遁の術をチャージし始める。コダマが冥遁を防ぐと信じたが故の行動。卑留呼は笑った。どうやって冥遁を防ぐというのだろうかと。どんな術であろうとも、冥遁の前では吸収される栄養素に過ぎない。
だが、前に出たコダマが不敵に笑い、両目の万華鏡写輪眼に現れた3つの歯車が回転する。
「虚空蔵(こくうぞう)。(お願いペイン)」
コダマが術を発動すると同時に、コダマの目の前に、コダマと同じ服装でオレンジの髪の男性が霞のように現れる。その男性は、手を卑留呼に伸ばすと「神羅天征」と唱えた。
「なんだこれはぁ」
さすれば卑留呼の冥遁のチャクラが、男の発した謎の力によって弾き飛ばされ、謎の力がそのまま衝撃波となって卑留呼の体を吹き飛ばし、ドームを貫通してドームの床に叩きつけられた。シャナは背中しか見えない謎の男の登場に警戒するが、役割を終えたとばかりに手を下した男は霞のように消える。
術を使ったコダマは、力が抜けたように落下する。
コダマの術は、未知の術でシャナの万華鏡でも一切理解できなかった。だがコダマが冥遁を防ぎ、卑留呼を吹き飛ばしたことで隙が出来た。
だが、未来視により卑留呼によって天輪を発射しても吸収される可能性が見える。だが最大限にチャージしたチャクラ粒子を解除して無駄にする訳にはいかない。
(どうする。こんな時)
思い浮かべるのは、自分の知る最強の存在。そう考えた時、頭痛と共に可笑しな映像がリフレインする。巨大な木の巨人と戦う、同じく巨大な須佐能乎を操る男。長い髪を持ち、この世のすべてを見透かすような強い眼光を持った男。邪悪な写輪眼を持った強大な姿、破壊を振りまく荒神、知りもしないはずの人物。
だが、シャナはその映像を振り払った。
シャナが追い求めるのは破壊ではない。大切な人を守るために戦った父の背中だ。
落下する最中、シャナは自分の粒遁・天輪のために用意した高密度粒子の塊を雷遁・雷掌を用いて掴み取った。雷遁で保護された手で、膨大なエネルギー球を掴んだシャナは、それを風遁・旋風玉で高速で乱回転させる。
思い出に残る父の姿、あの父の使っていた術をこの場で再現する。回転が加わり膨張しそうになる粒子球をチャクラでもって抑え込む。
形だけは、父の術に近づく。だが、あと少し、完成まで時間が足りない。
体勢を立て直した卑留呼が空にいる自分を睨み、術の用意をしている姿にほくそえみながら左手をシャナに向ける。
再び冥遁を発動されかける。
「終わりだ!!」
―――――シャナ。君は一人じゃない。
シャナの耳に、父の声が聞こえた気がした。間に合わないと思った時、卑留呼はシャナの居ない方向に冥遁を発動していた。その謎の行いにシャナの未来視が大きく変化する。
そして、その原因は、ドームの天井からこちらを見下ろす八雲の姿を見て、納得がいった。土壇場で目を覚ました八雲が、シャナの考えを読んで幻術を卑留呼にかけた。
「いって! シャナァアアーーー!!」
八雲の声を聴いたシャナは「いくってばね!!」と大声で応える。その瞬間、シャナの右手に作られた乱回転するチャクラ粒子の球が、変化。青い光は黒く染まり手のひらサイズの球体に土星の輪のようなものが掛かったものへと進化する。
父である波風ミナトの術とは少し違う。だが、限りなく再現した術が遂に完成した。何年もかけて生み出した術。それは友を救うために今猛威を振るう。
「また、幻術か」
八雲の幻術に気が付いた卑留呼。だが、まだシャナの迎撃には間に合う。卑留呼は吸収したシャナの粒遁・天輪を発射した。亜音速で迫る粒子砲。それがシャナに迫るが、先見の万華鏡写輪眼はその未来を捉えている。
ギリギリまで引き付けたシャナは、不敵に笑みを浮かべる。
天輪が命中する寸前、シャナが瞬間移動する。そして、右手に光り輝くチャクラの球体を持ったシャナは、卑留呼の背後に現れた。
「粒遁・天門」
ドーム内に散布した時空間忍術用の粒子は微かにだが残留しており、シャナはそれを目標に瞬間移動。見事に卑留呼の背後を取ったシャナは、自分の右手の術を振り返った卑留呼の胴体に叩きこんだ。
「粒遁・
術をくらった卑留呼は、すさまじい威力を前に吹き飛ばされそうになる。自分の胴体に押し付けられた螺旋輪虞に内臓や肉、骨を砕かれながらも吸収してやろうとする。両腕で、冥遁を発動し、その威力を殺そうとあがく。
螺旋輪虞がすでに手から離れたシャナは、踏ん張り必死にあがく卑留呼を観察していた。既にチャクラはなくなり、写輪眼は解除されている。
「ふふ、ぐぅ、わたしの、かちだ」
徐々に小さくなっていく螺旋輪虞に勝ちを確信した卑留呼。だがシャナはその顔を見て、意地悪に微笑んだ。シャナが腕を前に伸ばし、その指を弾いた瞬間。
螺旋輪虞の術は、輪っかの部分がすさまじい衝撃波として拡散。卑留呼の体を輪切りにし、ドームをも二つに切り裂いた。体を真っ二つにされた卑留呼は、冥遁の発動が出来ずに乱回転する嵐のようなチャクラ粒子に飲み込まれ、壁を貫きながら木っ端みじんとなる。
斬撃と衝撃の二段構え、それがシャナの螺旋輪虞だった。
卑留呼の体は、チリひとつ残らず消滅し、勝負はついた。あまりの疲労感でうつぶせに倒れてしまうシャナ。
だが戦いの衝撃でドームが崩れ始める。瓦礫が降り注ぎ、本格的に危ない状態となる。上には八雲がおり、彼女も動けないだろう。コダマは、何処に行ったのか気配すら感じない。
遂に巨大な瓦礫がシャナの真上に降り注ぐ。回避は出来ず押しつぶされるのだろうか、最後の最後で無理し過ぎた。考えなしに動けるのは気分がいい、でも少しは考えよう。次からはそうしようと自虐するシャナ。
「木遁の術」
崩れ落ちる瓦礫を、床から生えた木々が受け止める事でシャナの身を守る。そして、天井から落下した八雲だったが、彼女の体を落下する瓦礫を蹴りあがって辿り着いたトルネが抱き上げた。
「遅れてすまない八雲」
「とる、ね、く、ん。あり、がと」
八雲は自分を抱えたトルネの姿を見て、眠ってしまう。一方木遁の術で建物の崩落を支えるのは、後から追いついたヤマトだった。
「ご苦労様。全部出し切ったって感じかな?」
「やまと、うごけない」
「隊長ね。大技を連発し過ぎたのかな。それと、あのコダマは?」
ここにたどり着く前に、最後の城門の前で無残に殺された巨大な生物の死体が転がっていた。
なんとなくだがそれがコダマによるものだと勘づいた。しかし、現在はコダマの姿が見当たらない。
「さぁ。気まぐれな子だから、どっかいったんだってばね」
そう言ってコダマについて語らないシャナ。最低限の礼儀でもって彼女の情報は話さない。怒られるのは同じなので、少しくらい酷く怒られてもいいだろう。
八雲の命に比べれば、安いものだ。
シャナが喋る気がないと分かったヤマトは頭を抱えながらも、シャナの体を背負って移動することを決めた。
そうして崩れ行く建物から逃げ延びた第四班。
全員ボロボロだった彼らは、先遣隊の暗部からの連絡が断たれたことを疑問に思った三代目が極秘で向かわせていた暗部部隊に回収された。
決着です。次回で、SHANA 閃光伝は終わりです。
劇場版要素何個がぶつかってるのか自分でもわかんなくなってきました。螺旋輪虞は、ROAD TO NINJAの黒ナルトが使ってたやつです。