次の日。第二試験会場である第44演習場、通称死の森に集められた参加者たち。
そこで行われる試験の内容は、5日間のサバイバルであり、天と地と書かれた巻物をそれぞれ班に一種類づつ配布。受験者は、試験終了までに持っていない方の書を手に入れ、演習場の中心にある塔まで辿り着くこと。
なんでもありで、相手を殺してもいいため、同意書が要る事。
失格の条件は、班員が死亡、または再起不能になる事。巻物を勝手に開く事。タイムオーバーの3つである。
本当の殺し合いをするとなり、受験生たちは殺気立っていた。
「こういうのやりたかったってばね」
「何でもありか。怖いね」
「所で、本当にやるのかシャナ? 嘘だと言ってほしいんだが」
試験内容について聞いたシャナの提案は、正直想像外だったトルネ。とんでもない作戦を考えていたからだ。いや前日のストレス発散も兼ねたものだろう。
「やるってばね」
「やりたくない」
「やるってばね!」
「いいや駄目だ。お前は試験を早く終わらせたいだけだ」
シャナの提案を却下するトルネ。流石にあり得ないと断固拒否するスタンスだった。八雲は、珍しく意見が割れる二人のどちらの肩を持つか悩んでいた。
そんなあほな会話をしている第四班。
一方ナルトは、不気味な森を眺めており、試験官であるアンコから警告をされていた。
「ここが死の森と言われるゆえんは、すぐにわかるわ」
「へへーん、そんな脅し俺は怖くないってばよ!!」
「そう。君は元気がいいのね」
元気よく強がったナルト。その言葉を聞いたアンコが笑顔になり、そして少しの敵意をナルトに向けた。そして、瞬時に袖からクナイを取り出し、ナルト目掛けて投擲。
「え」
ナルトはそれを見て反射的に横に跳ぶことで回避する。しかし、瞬身の術でナルトの背後に回り込み、その頬にクナイを当てる。それはまごうことなき警告。
「はや」
「君みたいな子が一番早く死ぬのよ。私の大好きな血を垂れ流してね」
つーっとナルトの頬から血が流れる。相手の動きに驚いていたナルト。実力を見せつけたアンコの背後に、回り込んだ人物が居た。
自分の背後に殺気を持った人物が来たことでアンコも反応して、もう一本のクナイを構えようとするが、その腕を捻られ、首にクナイを当てられる。
「へぇ、早いのね」
「クナイ返すってばね。代わりに、私の弟を放してもらえる?」
ナルトに攻撃された事に激怒したシャナは、アンコが投げたクナイをキャッチして、そのまま背後に回り込んでいた。
「あらら、お姉さんの登場だったのね。ごめんなさいね」
「姉ちゃん」
解放されたナルト。自分の為にシャナが怒っているのはわかったが、酷く悔しい気持ちになる。アンコは、シャナに解放されるなり、腕を回しながら「私も鈍ったわね」と反省していた。油断していたとはいえ、下忍に背後を取られたのだから。
「姉ちゃん、なんで助けたりなんか。俺との約束を忘れたのかってばよ!?」
「……」
ナルトは試験前に言っていた。試験中はライバルとして自分を見てくれと。なのに、いつまでも自分の保護者である彼女。力の差はわかっている。だが負けるつもりはないのに、明らかに下に見られる劣等感だろうか。
ナルトは姉に対して怒りを向けてしまった。
「試験官の攻撃は、試験に関係のない戦闘だから助けただけ。試験中なら無視したってばね。それに、私に助けられたくなかったら、お前が強くなればいいだけ。違うかナルト?」
シャナは無表情のまま、ナルトの髪を掴んで語る。
「粋がるなら、この試験に合格して私の前に現れるくらいはしてほしいってばね」
「上等だ!」
シャナの挑発。それに乗ったナルト。だが同時にシャナからの警告も理解していた。ここからは正真正銘、シャナも敵に回るということを。シャナだけでなくナルトより強い奴らも、命を狙ってくる。ここからは甘えがあっては生き残れないと。
八雲とトルネの居る場所に戻ったシャナ。
「なんで、ナルトと喧嘩したのに嬉しそうなんだ?」
「うーん、あの子が私に凄まれても、まっすぐ睨み返してきたってばね」
波の国の任務や、第一試験を突破したことで変化があったのだろうか。明確に心は強くなっているようだった。男の子の成長は早いと聞いた事があるが、それは本当なのだろう。
ナルトの成長を喜ぶ半面、姉離れが迫っているような焦燥感。
でもここは、ナルトの言葉を信じてあげたい。そう思った。
―――――
同意書を提出し、巻物を貰ったシャナ。八雲が預かろうかという中、シャナがそれを掴んで、同意書提出のテントに在った垂れ幕から出ていく。
ただでさえ注目されているシャナ達。彼らとは同じ書でないことを祈る受験生たち。
「私たち地の書だから、よろしくだってばね」
あえて自分たちの書を見せたことで、敵を作るシャナ。反則行為に近いが、他の受験生たちの表情から、天の書組が割れる。ある程度、組み分けを把握したシャナ。これで地の書の受験生組は、シャナ達を襲うメリットはなくなる。
そして、シャナ達は相手をある程度絞れた。
(ナルト達は、天の書みたいだってばね)
サスケやサクラの反応を見て、そう判断したシャナ。ナルトは、シャナを睨みながら拳を突き出していた。その目には、取れるものなら取ってみやがれと浮かんでいた。
決められた配置に移動させられたシャナ達。他の受験生たちと同タイミングで死の森の入り口が開かれる。
シャナ達のゲートは、44番だった。
「シャナ、さっきのあれ怒られちゃったね」
「反則ギリギリだからな」
「あのさ、やっぱり私の作戦でやるってばね」
まだ言うのかとあきれるトルネ。もう言っても聞かないのだろうと、諦めモードに入っていた。トルネが諦め、八雲は「好きにしていいよ」と頷いている。
「じゃ、死の森を時計回りに、見つけた奴から全部狩っていくってばね」
最悪のバーサーカーが全てのチームを狩りつくすと宣言した。シャナの作戦は、この第二試験でライバルを狩りつくし、その場で合格するというもの。
ナルトと別居生活をしている期間が長く、もう手っ取り早く終わらせようと考えた愚行だった。
恐ろしい考えの下、第四班は、死の森の狩人となった。