NARUTO 先見の写輪眼   作:ドラギオン

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未来視

うちは家訪問から少し時が経った。波風シャナは忍術の才能があった事から、今日も朝早くからミナト主導で忍術の修行をつけてもらっていた。本格的なものではなく、基礎を教えるものであったが、ミナトが遊んでくれていると思った彼女は、真剣に取り組んでいた。

 写輪眼を持つシャナは、才能豊かというほかなかった。チャクラ量もうちは一族と比べても多いほうで、センスもあり、ミナトをして将来自分を超える忍になるだろうと感じられるほどだった。

 とはいえ、優しい性格のシャナが忍者に向いているかと問われれば、ミナトは向いていないだろうと考えた。

 しかし、里は写輪眼を使いこなすシャナを一般人として扱わない。戦時中ということもあるため、才能に溢れた戦力を放置する気はないだろう。

 

「お父さん。みてみて、分身の術」

 

 数分前に披露した分身の術をシャナは真似して発動した。その数は6人で全員が精巧な分身となっていた。シャナが分身を見たのは3回で、初めの一回から分身の術を成功させていた。

 

「すごいよシャナ。これは先にオレが教えることがなくなりそうだ」

「えー、もっと教えてほしいってばね」 

 

 成功体験のなかったシャナは、忍術の修行で褒められるたびにモチベーションを上げていく。アカデミーの忍術のすべてを覚えてしまったシャナに、次はどうしたものかとミナトが頭を悩ませている。

 そして、もう一つ懸念材料ができた。写輪眼をコントロール出来るシャナだったが、よく可笑しなことを言うようになった。シャナは決して気にしていないようだが、何かが起こることを知っているように語るのだ。そして、シャナの言ったことは、必ず未来で起きる。そんなことが22回も続いている。

 

 

ーーーー

 特に印象的だったのは、ひと月前の任務に行く前日。

 

「ぺたぺた。ここも」

 

 シャナが寝る時間になっても眠らず、ミナトの忍装束にテーピングをして遊んでいた。

「こーら、ミナトの服に悪戯しちゃだめだってばね」

「いたずらじゃないってばね!」

 

 悪戯と言われ、ひどく怒ったシャナの様子をミナトは覚えていた。そして、何度かテーピングを外しても「とっちゃだめだってばね!!」と怒り散らす愛娘の様子に違和感を覚えたミナトは、任務に支障はないとそのままにしておいた。

 

 その後、任務中に強敵との戦闘が勃発。無傷で倒すことはかなわず、何か所かに手傷を負った。

 

 問題は、その数か所全てがシャナのテーピングを巻かれた箇所だったこと。

 

 勘の良い子供だと思っていたが、それは後日シャナに聞いてみたところ、全く違ったと判明した。

 シャナは写輪眼を使っているとき、未来を見ることができる。その未来は、漠然としたものでなく起こりうる可能性のみを可視化しているらしく、数秒から数日、シャナの体験だと一か月ほど先の事が見えたこともあるとのこと。物心つく前から未来視をしていたシャナは、未来を見て最悪を回避する事を本能で理解していた。

 未来視は彼女の持つ先天的な第六感だったのだ。

 

 

 幼い少女の言葉を真剣に聞き入れたことで、いくつか理解できたことがあった。

 

 予知は、遠い未来は主に偶発で、数秒後なら任意で行えるということ。

 遠い未来でもチャクラ次第では視認することができ、一度見た未来でも、変化させる事はできる。

 同じく未来を言い当てる妙木山の大ガマ仙人の予知夢とは違い、変化させられる点で、別の系列の能力ともいえる。見たい時に見たい時間の未来を見られるという段階で利便性は遥かに高い。絶対的中する予知夢と自分の欲しい未来を手繰り寄せる事のできる未来視の優劣は不明だが。

 未来がイレギュラーで変化した場合は、さらに視れば別の未来として視認できる適応力もある。

 未来視は、自分の視点、または第三者の視点、制限はあるが彼女に近しいものの未来を見る事も出来る。

 

 彼女は、父親であるミナトの未来を見て、怪我することを識っていた。だから先に手当をしておこうと思ったらしい。その話を聞いて彼女の村での迫害された理由を理解した。物心ついたシャナは、村人に起こる不幸を見ていたのだ。だから、できる限り回避する方法を伝えた。それを彼女自身がやったことだと捉えられたのだ。

 夫婦は、シャナの青い写輪眼特有の能力かもしれない未来視の事を、シャナに他言しないよう言い聞かせた。 

 恐ろしいまでの精度で未来を見る事が出来る能力は、最悪な未来をシャナに引き寄せるかもしれないと危惧した故の行動だった。これだけは里の上層部にも知られてはいけなかった。

 

 

 いい方法はないかと考えている間に修行場へ2人の男女が訪れる。

 シャナを見つけた途端、女性のほうが走ってくる。 

 

「シャナちゃーん! おっはよう!」

「おはようリン姉ちゃん、カカシ!」

「あ、やっぱり俺は呼び捨てなのね」

 

 元気よくシャナに挨拶してきたのはミナト班の紅一点である野原リン。その後に続いて歩いてきたのは、顔を額当てとマスクで覆った少年、同じくミナト班のはたけカカシ。

 カカシの呼び方はオビトがシャナに対して「こいつは俺の部下だ。だから呼び捨てでいい」と教えたことで定着してしまった。オビトが嘘を教えるはずがないと信じているため、カカシは呼び捨てにされつづけている。

 

「リン、カカシ、おはよう」

「おはようございます先生」

「今日もシャナの修行ですか? 朝早いのに、精が出ますね」

 

 ミナト班のメンバーが修行場に集まってきたがシャナはまだ来ないオビトの事を探している。

「オビトの奴はまた遅刻だよ」

「おねぼうさんねぇ」

「ぷ」

「ふふ」 

 

 オビトの遅刻を仕方ない子という風に言ったシャナの格好と声に、リンは笑い、カカシとミナトも笑ってしまう。その後に訓練場でミナトとカカシが忍組手を行い、シャナは写輪眼で二人の動きを観察したり、リンの組手の際には、カカシから手裏剣の投げ方を教わっていた。

 そうして時間が過ぎ、ようやくオビトが修行場に走って現れる。

 

 息切れしながら、膝をついているオビトの前に仁王立ちするのはシャナだった。本当は、時間通りオビトが来ていればもっと遊べたのに、遅刻した彼のせいでシャナは帰宅の時間が迫っていたからだ。頬を膨らませ、怒っていることを伝える。

 

「遅いってばね!」

「悪い悪い、今日は困ってる婆ちゃんのバーゲンセール状態だったんだよ」

「ふん! 許さないってばね」

 

 ご立腹のシャナは機嫌を直してくれない。

 

「あらあら、許してくれないってさオビト君」

「ずっと待ってたもんね~」

 

 カカシとリンの両者もオビトの遅刻にいつも待たされるため、彼をいじる。いじられたオビトは不満そうな顔をしながらも、「今度、煎餅と団子持っていくから」という賄賂作戦で機嫌を直してもらった。

 

――――――――

 

 

「みんな頑張ってね~」

「じゃ、私たちは家に帰るわね」

 

 お昼前になってミナトと班員3人のお弁当を作ってきたクシナと一緒に帰宅するシャナ。4人に手を振りながらクシナと手を繋いで帰る。

 

 訓練場から離れて、家に向かう途中でお昼ご飯を定食屋で食べることになった二人。

 好物の稲荷寿司とうどんの定食を頼んで食べている最中、事は起こった。突然食事中のクシナが気分が悪いと真っ青になって、厠へ掛けこむ。後を追ったシャナは、必死にクシナの背中を摩っていたが、クシナが苦しそうな表情をしているため、泣きそうになる。

 

「お母さん、お母さん」

「シャナ、だいじょ、ぐ」

「……まってて!」

 

 うずくまり動けなくなったクシナの姿を見て、走って助けを求めに行く。 

 店で女性を見つけると、大きな声で呼びかける。 

 

「な、何?」

「お母さんが厠で、うえって、だから助けてってばね!」

 

 必死の形相で助けを求められた店員はすぐに様子を見に行き、近くの医者まで近くにいた忍達の手を借り搬送。シャナもそれについていき、クシナは病院で診察を受ける間もずっと横にくっついていた。

 

 少し時間が経ち、検査結果を聞かされたクシナ。その頃には体調も回復していて、病院内で逆に疲れて眠ってしまった愛娘と一緒にミナトを待っていた。

 とても心配させたし、怖がらせた。でも、人見知りの激しい娘が、自分から人を呼んできてくれた事を嬉しく思った。それに、もう一つとてもうれしいニュースがあったのだ。

 

 

 




中々少年編までいけませんね。
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