第二試験を難なくクリアしたシャナ達。目的地の塔に入るなり、入り口に巻物を開けと書かれており指示通り天と地の巻物を開けば、巻物には口寄せの術が仕込まれており、煙を上げて誰かが現れる。
「ストップ! ストップ!」
現れたのは彼女たちの担当上忍であるヤマトだった。口寄せされた瞬間から、木遁で作った盾を装備し、制止を呼び掛けていた。
長年第四班の引率をしていると、危機察知能力が上がるのか、その選択は正解だった。
シャナが火遁の印を結び、トルネも蹴りの構えを取り、二人の背後に移動した八雲が幻術の準備をしていたのだから。
「あ、ヤマト。何してるってばね」
「隊長だよ。もう、君らの前に急に現れると攻撃されるから、準備して正解だったよ」
「ごめんなさいヤマト隊長。急に出てくるからびっくりして」
「申し訳ない」
攻撃しそうになった八雲とトルネは謝るが、シャナは「サバイバルの後で神経研ぎ澄まされてるところに出てくる方が悪いってばね?」と零していた。
あながち間違いでもないのでヤマトは、「そうだね。そう言われるとそうかも」と納得しそうになっていた。
戦闘状態が解除されたことでようやく説明があると告げられる。
「とりあえず、第二試験合格おめでとう。心配はしてなかったけど、怪我もなさそうでよかった」
ヤマトの素直な感想である。班員として愛情を持っている彼らが大怪我していたらと思うと怖い。だが実力は彼が良く知るところであるし、専門分野ではヤマトも勝てないのだ。
だから本当に心配はしてない。ただ、一言だけ言いたかったのだ。
「それはさておき、君らやってくれたね。アンコからどやされたんだよ! 反則じゃないとはいえ、倫理観はないのかって。なんて勢いで参加者減らしてるんだ」
ヤマトはアンコに怒られていたのだ。シャナ達が故意に参加者を襲い、サバイバルを脱落させ続け、死の森のゲート付近は、試験終了間際までキャンプ場になってしまった。
何なら、脱落組が試験に落ちたからと緊張から解放され、合流したのち和気あいあいとキャンプしていた。そんな光景の原因が彼らだからだ。
「ぶっちゃけると、私達3人以外は全滅させる予定だったってばね」
「やっぱり碌なこと考えてないと思ったよ」
その後、ヤマトに案内され、試験会場の合格者控室で待機することになった3人。そこで一日ぐっすり眠った後、試験終了の時刻となった。
ようやく試験が終わったが第二試験通過は、27人となった。シャナの狩り切れなかったメンツが残っており、その中にはナルト達も居た。
第三試験の前に、全員整列させられ、上忍や火影が会場に現れる。そこで試験通過の労いと火影から中忍選抜試験の真の目的について説明が始まる。
中忍試験は里間の戦争の縮図だと説明されている間、シャナはナルトたちの様子を伺っていた。
その様子を見ていた八雲が小声で話し掛けてくる。
「ちゃんと話聞かないと怒られるよ?」
「あのジジイの言うことなんか聞く価値ないってばね」
里の大人が嫌いであり、その筆頭である火影のことを敵視するシャナ。なんなら殺気を込めて睨みつけているせいで、三代目からは呆れられていた。基本三代目の言葉にはNOで答えるシャナに中忍試験の最中に注意すれば反抗され、威厳がなくなるだろう。
なので無視を決めている。
三代目からの説明が終わると、月光ハヤテという体調の悪そうな忍が前に出て、第三試験の予選を行うといい始める。本戦に向かうには人数が多すぎるため半分にすると聞かされる。
そして今回からは1on1の試合が基本であり、ここからは班員の心配はすることはないと言われる。そこで唯一カブトという忍だけが辞退したことで、26人による対戦が決まる。
電光掲示板で試合が決められ、第一試合はサスケとヨロイという木ノ葉の忍。
二人の対戦がはじまるが、サスケは首元を押さえながら、戦いにくそうにしており、ヨロイという男の術。シャナの写輪眼で見たところチャクラを奪う性質がありそうだった。
チャクラを奪われながらもサスケは、トルネやロック・リーの得意とする表蓮華の動きをコピーしたオリジナル体術、獅子連弾でヨロイを撃破した。
「シャナ見たか?」
「サスケの体に一瞬だけアザが広がった。なにかはわからないけど、上忍連中が警戒していた……けど、カカシが連れて行ったから大丈夫だと思う」
サスケの痣については、大丈夫だろうと思ったシャナだが、嫌な予感がする。未来視は発動しないが胸騒ぎがする。自分の勘を信用するシャナは、少し悩みはしたが、次の試合が油女シノと音の忍の一人であり、自分の番ではないため仲間である二人に場を離れると告げる。
当然困惑されるが、シャナが自分の目を指さし「私は最後から二番目だから」と告げれば、納得するしかなかった。付いていこうかと尋ねられたが断る。
「トルネもあの子の試合みたいんでしょ? 八雲だってほかの相手の試合は大事。私だけで行くってばね」
トルネと同じ一族出身である少年。彼はあまり話さないが、弟のように思っている少年だ。試合を見たいと思うのも当然であるし、八雲も本戦に出る気満々なため、情報収集は必須だろう。
二人を置いて、カカシ達の後を追うシャナ。暗い地下室のような場所にたどり着いたシャナは、気絶しているサスケと彼を守るように立ち塞がるカカシ。千鳥という術を発動させ、完全に臨戦態勢に入っていた。
そして対峙するのは、死の森で会った大蛇丸という男だった。柱に隠れて様子をうかがう。
「サスケにこれ以上近づくな…。いくらあんたが、あの三忍の一人でも、俺なら刺し違えてやることくらいはできるぞ」
「くく、クハハハ」
「何がおかしい」
威嚇するカカシに対して大蛇丸は余裕の笑みを捨てない。実際力の差は歴然。
「呪印を封印したようだけれど、そんなもの意味はないわ。その子は復讐者よ。どんな邪悪な力であろうと求める心を持っている」
「そこにつけこんだのか」
「えぇ。そのとおりよ。彼の復讐心こそが、私にとって必要な要素だからね」
大蛇丸の殺気にカカシは僅かに怯んでしまう。その隙を見逃さない彼は、カカシ達に襲い掛からんとする。
シャナは柱から飛び出し、大蛇丸めがけて手裏剣を投擲する。彼は手裏剣に気が付くと飛んで回避。だが回避した先にシャナが回り込み、近接戦闘を強いられる。
数発の拳と蹴りを受け止める大蛇丸だがシャナに頭をつかまれ、頭突きを食らって飛ばされる。空中で体勢を立て直し、受け身を取ろうとした所にシャナが追加で投げた手裏剣が突き刺さる。
すぐに袖から蛇を出し、手裏剣を防いだ大蛇丸。襲撃者であるシャナは、カカシの横に着地し、粒子のチャクラ刀を構え、片方の手で印を結んでいる。
「シャナ?」
「私の弟子に、何勝手してくれてるんだってばね。殺すぞウワバミ」
シャナは万華鏡写輪眼で大蛇丸をにらむ。万華鏡に辿り着いていると思っていなかった彼は、その瞳力に慄いている。
彼女は怒っていた。彼女はサスケに復讐をさせるつもりはない。なのに、純粋なサスケを復讐に引き込む輩がいるのだ。そんなことの手伝いをするつもりはない。させるつもりもない。
それが酷く気に食わない。
(逆鱗に触れてしまったかしら。怖いわね)
シャナの目を見たとき、龍に睨まれているような感覚を味わった。まだ蛇でしかない自分が、龍には勝てない。ここで殺されるわけにはいかないと逃げる方向に思考が向く。
「今はその時ではないわ。でも、今度会ったときは、殺し合いをしましょう。うずまきシャナ」
次あったときは、必ず殺して見せると宣言する。だが今のままではまずい。シャナというイレギュラーがいる以上、切り札である穢土転生の再調整が必要。
(制限をある程度外し、操れる範囲で本来の実力を発揮してもらいましょう)
大蛇丸がその場から消え始める中、シャナが追走しようとするもカカシに止められる。深追いは危険だと。
「カカシ。引率の上忍ならしっかり守れってばね!」
「…面目ない」
シャナはカカシの胸ぐらをつかむ。
「修行不足だか何だか知らないけど、あまりに頼りないなら、預けられないってばね」
そう言い残して、シャナはカカシを解放して、試験会場へと戻っていく。伝説の三忍相手に勝てという無茶ぶりをするシャナ。だがシャナは勝つつもりであるし、実際に彼を撤退に追い込んでいる。
「無茶を言うやつだ」
こんな化け物を三人も飼いならしているヤマトのことを思い、かなり見直す羽目になった。
「これは俺も鍛え直しだな」
カカシは気を失ったサスケを抱えながら、医療班のもとへと向かうのだった。
大蛇丸様、大変なことをしようとしてます。