NARUTO 先見の写輪眼   作:ドラギオン

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中忍選抜試験 9

 シャナが試合会場に戻る前に大蛇丸が本当に撤退したか探るため、周囲を確認していると、結構な試合数が終わっていた。

 音の忍とトルネの弟分は、弟分の勝利。

 春野サクラと山中いのは、相打ちによる引き分け。

 ナルトと犬塚キバの戦いは、不調のナルトだったがどうにか勝利を収める。

 テンテン対テマリは、忍具使いのテンテンを風遁で完封したテマリの勝利。

 カンクロウ対剣ミスミは、傀儡使いのカンクロウが勝利。

 日向ネジ対日向ヒナタの戦闘は、ヒナタが粘るも結果的にネジの圧勝。

 シカマルと音のくノ一の戦いは頭脳プレイを活かしたシカマルの勝利。

 

 トルネと八雲もすでに試合を終えていた。二人とも雨隠れの忍との戦闘であり、瞬殺したらしい。トルネは一撃で何もさせずに気絶させた。

 

 一方八雲は、相手が舐めた態度で挑んできたため、精神崩壊手前まで幻術で追い込みをかけていた。試合会場が狭く、距離が近いせいで八雲の術の効力が最大限発揮。激痛に悲鳴を上げる雨隠れの忍びにクナイを何本も投擲し、心身ともに追い込んだという。

 あまりの酷さに審判からストップをかけられたという。

 

「なんでそこまでやったの?」

「あの人失礼なこと言ったから。内容は秘密だよ」

 

 実際はシャナがいないことで、相手はシャナが恐れをなして逃げ出したと笑った。親友を馬鹿にされ腹が立ったのだ。そして残り少なくなった試合。

 

 現在は砂漠の我愛羅と雨隠れの忍の戦闘だった。腕を組み、様子を伺っている雨隠れの忍に対して威圧する我愛羅。その態度に腹を立てる雨隠れの忍。

 

「さっさとこい。雨隠れのおじさん」

「じゃ早く殺してやるよ。忍法・如雨露千本」

 

 雨隠れの忍が、4本の傘を放り投げ、それらをチャクラで操ることで無数の仕込み千本が発射される。360度から千本の雨が我愛羅目掛けて降り注ぐ。

 

「この術に死角はない。俺のチャクラで操られた千本が全てお前に襲い掛かる!!」

 

 だが我愛羅は動かない。無数の千本が我愛羅の肌に突き刺さる寸前に、我愛羅の背負う瓢箪から砂が溢れ出て、彼の全身を殻のように包み込む。その砂が迫りくる千本全てを受け止めた。

 

(砂を操る忍術)

 

 そして、無傷で千本全てを防いだ我愛羅。自分の術を防がれると思っていなかった男は狼狽え、一歩下がってしまう。我愛羅は自分の砂に突き刺さった千本をつまみ上げ、男を睨む。

 

「千本の雨か。なら俺は血の雨を降らせてやろう。砂漠柩」

 

 我愛羅がそういえば、彼の周りにあった砂が意思を

持ったように男に襲いかかり、あっという間に全身を包み込んでしまう。その拘束力は強大で、砂に包み込まれた男は身動きも出来ないまま、我愛羅の操る砂によって天井付近まで持ち上げられる。

 その時点で勝利は決まったようなものだった。我愛羅は地面に転がる傘を砂で拾って広げる。

 

「その口を塞いでも殺せるが……ちょっと惨めすぎるからな」 

「なにを」

「砂漠葬送」

 

「我愛羅君! 試合はこれで!」

 

 砂で持ち上げた相手に我愛羅は手を伸ばし、手を握りしめる。その動きにつられるように男の体が砂の圧力で潰れ、その血肉が文字通り血の雨となって降り注いだ。我愛羅は差していた傘で血を受け止めるが、試合会場は血で汚れる羽目になる。

 試験官も制止しようとしたが間に合わず、第三試験予選で最初の犠牲者となった。人一人が死んだことで参加者全員が我愛羅の容赦のない殺意に恐怖を感じていた。

 

 そして勝利宣言を受けた我愛羅が会場から上ってくれば、本能的に恐れて道を空けてしまう。

 だがすぐに同じ砂のメンバーの所に戻らず、我愛羅はある人物の元に向かっていた。それは、我愛羅が男を殺した時、唯一恐れず、むしろ微笑んでいた人間。

 

「今のが俺の術だ。あんたの力も是非見せてくれ、うずまきシャナ」

 

 明らかに機嫌のいい我愛羅。自分と同じ戦闘狂独特の匂いを感じ、死にすら恐れを感じない。血を見て昂った我愛羅はすぐにでもシャナと戦いたがっていた。

 トルネがシャナを守るように前に立ちふさがったが、シャナが手でどかし、我愛羅の前に出る。

 

「姉ちゃん!? お前、姉ちゃんに何のようだってばよ!」

 

 突然、我愛羅の前にナルトが飛び出す。我愛羅が「やべーやつ」と感じ取っていた彼は、姉に狙いを定めている我愛羅を警戒し、守ろうとしていた。実力では敵わないが、たった一人の家族を失いたくなかった。

 

「お前には用はない。うせろ、殺すぞ」

「う」

「ナルト。いらない世話だってばね。我愛羅君、本戦で遊ぼうってばね、お互いが死ぬまで」

 

 自分のほしい回答をくれたシャナに、我愛羅は「はは」と笑う。心底嬉しいと言った笑みを浮かべる我愛羅。シャナも我愛羅の強さを見て戦いたくなった。珍しさもさることながら、シャナの写輪眼は、我愛羅の中にいる何かを捉えていた。

 それを含めれば我愛羅は、シャナにとって最も楽しめる相手となる。

 

「お前は最高だ。楽しみにしているよ」 

 

 我愛羅はそう言い残して砂のメンバーの元に帰っていった。ナルトは腰が抜けてしまい、手すりに凭れることで如何にか立っていた。

 そんなナルトの頭を撫でながら、シャナは柵から飛び降りて、試合場に足を運ぶ。

 

「さて、そろそろやろうか」

 

 シャナが飛び降りた後、電光掲示板には、次の対戦相手が表示される。

 

『うずまきシャナ

 

   VS

 

 ロック・リー』

 

 シャナは、対戦相手であるリーを指で呼び出した。掛かって来いという挑発に、気合を入れたリーはガイの激励を受けていざ馳せ参じる。

 

「シャナさん。よろしくお願いします!」

「うん。よろしく」

 

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