NARUTO 先見の写輪眼   作:ドラギオン

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中忍選抜試験 口寄せの術

エロ仙人との修行に乗り出したナルト。

どの程度チャクラを扱えるかを見るために、水上歩行を披露させられるナルト。シャナとの修行で水上歩行をマスターしていたはずなのに。上手く行かずにずぶ濡れになる。

 

「あれ、おかしいってばよ。最近、ずっとチャクラがうまく練れねぇんだってばよ」

 今まで出来ていた事が出来なくなり、ナルトは何度もチャレンジするが上手く行かない。

 濡れた服が邪魔だと脱ぎ捨て、意地になって「本当に俺は、出来てたんだからな!」とエロ仙人に宣言するナルト。

 出まかせを言ったわけではないと察した自来也は、チャクラを練るナルトの腹部に現れた封印がおかしい事に気が付く。

 

(どうやら本当にチャクラが練りにくくなってるようだのォ。四象封印を二つ用いた八卦封印、九尾のチャクラをこの子に還元できるよう組んである。

 

 ナルトを守るためだな。四代目よ。しかし、その丁寧な封印の上に雑に刻まれた五行封印のせいで、ナルトと九尾のチャクラが混ざり合っている。大蛇丸の奴だな)

 

 無駄な封印のせいでチャクラが練りにくいなら、封印を解けばいい。

 

「ナルト、万歳してみろ」

「なんで?」

「ほれ、はやく」

 

 ナルトが自来也の指示に従って万歳すると彼は指にチャクラを集中した掌底を叩き込み、ナルトに刻まれた五行封印の対抗術である五行解印を使って彼の封印を解いた。

 

「な、なにすんだってばよ」

「ちょっとリラックスするツボをな。ほれ、もう一回やってみろ」

 

 腹を抑えながらナルトが水上歩行を行うと、先程とは打って変わり、上手く行く。自由に水上の上を歩けたナルトは「ほらな、ほらな。俺ってば水上歩行をマスター済みなんだってばよ」と自慢げに披露する。

 

「それに、風遁・旋風玉!! あ、出来たってばよ」

 

 水上歩行と同時に風遁を使うナルト。その様子を見た自来也は、ナルトが風遁を使えると思っておらず、素直に感心していた。水上歩行ですら下忍には難しいテクニックである上に、さらに性質変化までも行えるナルト。

 本人はチャクラのコントロールが苦手だと言っていたが、実際は実用レベルまで練り上げられている。

 

「お前のその術、オリジナルか?」

 

 風遁・旋風玉。性質は違うが、ナルトの父親であり、自分の弟子であるミナトの開発した術、螺旋丸に酷似している。父を知らぬナルトが使えるはずのない術だが、旋風玉を発動したナルトの姿はミナトによく似ている。

 

「いんや。姉ちゃんに教えてもらったんだってばよ。俺ってば姉ちゃんに修行つけてもらってたから」

「そうか」

 

 やはりシャナかと予想が的中する自来也。だがそれでもおかしい。シャナは当時三歳のはず。そのシャナに螺旋丸を教えることはなかったはずだ。とすれば、シャナは何度か見ただけのミナトの術を真似して術を開発したことになる。そしてナルトの能力値の高さも、シャナのおかげだという。

 齢15歳の少女が、オリジナルの術を幾つも開発し、ナルトを鍛え上げる手腕を持つ。もとより才能豊かな子だと思っていた。実際自来也も術を幾つも盗まれている。

 だがここにきて理解する。シャナの能力は、自来也の想像をはるかに超えている。

 

(底知れない才能か。四代目、クシナ、お前らの忘れ形見の片割れは、恐るべき強者へと成長を遂げておるのォ) 

 

 あの小さかった子が立派になったと喜ぶべきか、才能に翻弄される様を嘆くべきか。

「なら、基本は押さえているな?」

「押さえてるってばよ」

 

 シャナの修行は、良く分からないが、徹底的に鍛え上げたんだろう。ナルトを守るために。であれば、自分も少しくらいは協力してやるのが、シャナやミナトに対する礼儀だろう。

 

「なら、お前に説明しておくことがある」

 

 シャナが絶対に教えないことを自分が教えておこうと思った。シャナが最も怨み、話すことも避ける九尾の事を。何よりその力の使い方を。教えるのだ。

 ばれたらシャナに殺されるかもしれないが、九尾もナルトの力である以上、使いこなせるようになる必要がある。なにより、ナルトを狙う存在と戦う場合、九尾の力を使えないでは、おそらく何の抵抗も出来ない。

 

 

「お前は、自分の中に二つのチャクラがあると理解しているか?」

「二つ? うーん、そういえば赤いチャクラになったことがあるってばよ。なんかすげー力がわいてきた事があるってばよ」

 

 どうやらナルトには九尾のチャクラと触れた経験がある事が発覚。それなら話が早いと、そのチャクラを練ってみろと指示するも、ナルトは意識してできないという。

 

「才能ないのォお前、シャナの奴も苦労したことだろうな」

「えらそーに言うなってばよ。それに赤いチャクラが練れないからなんだってんだよ」

「いいかナルト、今からお前にとっておきの術を教えてやる。だが、普段のお前のチャクラでは全然足りねーの。だから、お前の中にある赤いチャクラを好きなタイミングで引き出せるようにならなければいけない」

 

 そこまで言われ、ナルトはその術って何だと尋ねる。

「スタミナの多いお前にぴったりの術だのォ。それが今から教える口寄せの術だ」

 

 口寄せの術について聞き覚えのないナルト。どんな術かと尋ねれば、自来也は術について説明を始める。

 

「口寄せの術は、あらゆる生き物と血で契約を交わし、好きな時に忍術で呼び出せる、時空間忍術の一種だ」

「へーなんかカッコいいってばよ」 

「そのためには、お前のチャクラを全て使い切り、赤いチャクラを出さなきゃいかん。なんでもいい、術を使って死ぬほどチャクラを使え」

 

 ナルトの潜在能力を引き出すために術の無駄遣いをしろと言われたナルト。すぐに多重影分身を使い、それぞれが水面に立つ。突然何を始めるかと思えば、ナルトは風遁のチャクラを練りながら、旋風玉を発動して、それぞれがぶつけ合う。

 チャクラの消費も兼ねて、風遁の術の威力や精度の調整も同時に行うナルト。練度や威力の低い影分身が先に消え、残った影分身同士が術のぶつけ合いをおこない続ける。

 

(面白い修行だのォ)

 

 やがて最後まで残った本体のナルト。多重影分身と風遁の合わせ技は、彼の体力を一気に奪ったらしくふらついていた。

 ナルトが倒れかけたので、自来也が支え、水面から引き離す。そして満身創痍のナルトに水を与えた自来也は、自分の指を噛み、出血させる。

 

「何すんだってばよ?」

「今から見せるのがお前に教える術だ。よーく見てろってのォ」

 

 出血した指を掌に押し当て、印を結んだ彼はそれを地面に向ける。そうすれば地面に口寄せの術の術式が広がり、煙を上げて巨大な蝦蟇が口寄せされる。

 

「おぉ! 蛙だってばよ。すっげー、エロ仙人」

 

 ナルトは自来也の術を称賛する。すると彼から巻物が投げ渡される。かなり巨大な巻物を受け止めたナルトはそれを開いてみると、血で書かれた名前がずらりと並んでいた。

 

「ナニコレ?」

「これはワシが代々受け継ぐ口寄せ蝦蟇達との契約書だ。自分の血で名前を書き、その下に片手の指全ての指紋を血で押せ」

 

 ナルトは自来也の指示に従って名前を開いている欄に書こうとするが、ナルトが書こうとした欄の横。一番新しい欄が血で塗りつぶされ、血が滲んでいる。

 

「?」

 

 唯一そんなものがあるせいでそれが気になったナルトの様子を見ていた自来也は、静かに彼の問いに答えた。

 

「それは、お前の姉、シャナが契約した欄だ」

「え、姉ちゃんも蝦蟇呼べるの!?」

 

 そんな隠し種があったのかと驚くナルト。そしてどこまでも自分の先を行く姉に嫉妬してしまう。どこまで追いかけてもその分引き離されているような感覚。だがそれは杞憂であった。

 

「呼べん」

「そっか、やっぱ姉ちゃんってすげー……え?」

 

 自来也は、少し悩みながらも最後まで話そうと決めた。

 

「シャナは蝦蟇達との契約を解除した。だから塗りつぶしてあるんだ」

「なんで? 蝦蟇の口寄せって強いんじゃないのかってばよ?」

 

 その言葉には同意する自来也。だがシャナは蝦蟇達との契約を解除したのだ。それは事実だった。

 

「お前の姉さんはな、口寄せの才能が全くないんだのォ。才能というよりかは、資質が皆無なんだ」

「姉ちゃんが? そんなことあるわけ」

 

 そんな筈はないと否定するナルト。だが自来也の表情を見れば、彼が姉を貶しているわけではないと感じた。

 

「一年前、ワシと偶然会ったあ奴は、ワシから術を盗むと言って、いろんな術をコピーして行った。だが口寄せの術だけは、2週間練習しても習得できなかった」

 

 自来也は思い出す。負けず嫌いの彼女が、出来ない術に血反吐を吐きながらも取り組む姿を。だがチャクラも十分で印も間違っていない上、契約も正規の契約書を交わしている。なのにカエルはおろかオタマジャクシすら呼び寄せる事が出来なかった。

 試しにと思い武器の口寄せをさせてみればそれはすんなり成功した。無生物であれば家であろうと平気で口寄せできるのに、生物となれば蟻一匹呼べない。

 

 そこまで来てようやくシャナの欠点を見つけた。

 

 それはシャナの持つ先見の力が皮肉にも、彼女の術を邪魔している事実だった。シャナの未来視は、鬼の巫女の系譜の能力である。正規のものとは違うが、唯一同じなのは魂が通常の時間軸の外にいる事だろう。未来に触れる際、シャナの魂は時を実際に越えている。未来をのぞき見出来るスキルは、シャナの魂を時間軸からずらしている。

 口寄せの術は、血と血の契約。すなわち魂と魂の契約ともいえる。シャナは、自分のチャクラや触れているものは生物でも飛ばせるが、生物と魂の繋がりを作る力が欠如していたのだ。

 

 未来視を持つことで、契約動物を持つことが出来ない事実。決して認めなかったシャナだが、一月も経ち、里に戻らなければいけなくなった段階で、ついに諦めた。

 

(四代目、父の姿を追うあの子にとって、ミナトと同じ事が出来ないのは何より認めがたい事実だった)

 

 シャナは自来也から巻物を受け取ると、静かにも大粒の涙を流しながら契約を解除した。悔しくて仕方なかったのだろう。かける言葉が見つからなかった自来也。涙で血をにじませながら、自分の名前を血で塗りつぶしていくシャナの後姿は、痛ましかった。

 

 ナルトは、姉の失敗したところを見たことがない。なのに、そんな過去があると知り、契約書のシャナの欄を眺める。

 

「おれに、できんのかな?」

「わからん。だがシャナに出来ないからと言ってお前に出来ないとは限らん」

「でもさ、でもさ」

  

 ナルトにとって絶対の存在がシャナだった。だがシャナの存在がナルトの可能性を縛る鎖にもなっている。姉の出来ないことが自分に出来るのかと。

 

「いいかナルト。シャナは確かに強い。それにお前にとって素晴らしい師だった。だが、お前はシャナの後ろを追いかけるだけでいいのか?」

「なんだってばよ」 

「お前が強くなれたのは、シャナが積み重ねて研鑽を積んだ結果を与えられているからだって言ってるんだのォ」

「んなこと、言われなくても判ってるんだってばよ!」

「いいや分かっとらん。世の中にはシャナよりも強い奴が居る。そんな奴にシャナが負けた時、シャナの下位互換でしかないお前は、何が出来る?」

 

 下位互換と言いたくはない。シャナの教育は間違いなくナルトを短時間で強くしている。だが、ナルトのこれからの人生で戦う敵はより強く、強大なものとなる。シャナを追い、同じことをしているだけでは、写輪眼も未来視もないナルトでは、限界が来る。

 そうなる前に、ナルト自身の強みを見つける必要があるのだ。

「お前は火影になりたいんだろ?」

「そうだ」

「ならお前はシャナを超えなければならない。そのためにも、お前だけの武器は必要なんだのォ」

 

 自分だけの武器。それはナルトの身を守るだけでなく、何時かはシャナの事も守れる力になる。そういう力をつけろと言われ、ナルトは覚悟を決めて契約書に名前を記す。いつまでも守られたくないというナルトの反抗期、それは同時にシャナの事を守りたいという思いにつながっていた。

 シャナという殻に包まれたナルトが、自分の手で外に出ようとした瞬間だった。

 

「エロ仙人。俺やってやるってばよ。だから、だから、指導お願いするってばよ!!」

 

 頭を下げたナルト。

 

「元よりそのつもりだ。だがワシの修行、死ぬ気で取り組まんと、本当に死ぬぞ」

「押忍!」

 

 その後、約一月をかけた修業は、ナルトを確実に強くし、口寄せの術の限定的な習得と、九尾との邂逅を果たす結果をもたらした。

 





 シャナの弱点追加です。口寄せの術が使えないんです。
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