NARUTO 先見の写輪眼   作:ドラギオン

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 ボルトのクソツヨボス、ジゲン登場。


温泉街事件3

 シャナとトネリの二人は、赤ちゃんを安全な場所に配置。

 そして、待ち構えていると、シャナ達を追ってきた謎の男が姿を現す。

 

「逃げ続けるかと思っていたが、まさか待ち構えているとはな」

「女将さんは、無事だってばね?」

「あぁ。無駄な殺生はしない主義だ」

 

 男の言葉は嘘ではないらしい。本当に眠らせているだけなのだろう。だが男の目から感じ取れるのは、目的の為なら何人でも殺すことはいとわないという冷酷さ。

 人の好さそうな佇まいで誤認しがちだが、目の前の男はシャナが会ってきた中で一二を争う危険人物だった。

 

「さて、本題に入ろうか。あの赤ん坊を渡せ」

「お前は見るからに怪しい。あの子をどうするつもりだ」

 

 トネリの質問に「ふむ」と考え始める男。そして、「ある実験の対象にしようと思ってな」と告げた。

 

「それでその子の父親に高い金を払ったというのに、母親の方が勝手に持ち出してな。私もある意味被害者ということだ。だから、その子を返してくれるとありがたいんだが?」

 

 ごく当然の事のように言う男。トネリは男の言動に腹を立て、隣にいるシャナは笑みを消し、無表情になっていた。子供を売買したという親の話も理解できないし、実験に使うと平然に言う男の倫理観がトネリは許せなかった。

 すぐにでも殴りかかろうとしたが、シャナが彼の手を掴んで止める。

 

「母親は今どこ? 殺したの?」

「いいや。まだ殺してはいない。山奥の小屋で死に掛けてはいるがね。それがどうした?」

 

 本当に人間と話しているのかという程、感情の動かない男。そいつを観察しながらシャナは、溜息を吐いた。

 

「それだけ聞けたら十分だってばね。こいよ、カス」

「やれやれ、血の気の多いお嬢さんだ。無駄な殺生は、好まないと言ったんだがな」

 

 シャナの言葉が開戦の合図だった。男が掌をシャナに向かって伸ばした。ただそれだけにしか思えない行動。だがシャナの写輪眼は、男の行動の意図を察していた。

 

「トネリ!」

「わかってる!」

 

 シャナの前に出たトネリが、自分たちを包み込むようにチャクラの泡を展開する。すると、その泡に微小な何かが突き刺さり、次の瞬間拡大。鉄パイプのような大きさの黒い棒がトネリの展開した泡に阻まれていた。

 トネリは、突然目の前に現れた黒い棒に驚き、シャナを見つめてしまう。シャナから聞いていた攻撃が、本当に来たからだ。

 

 そしてなにより黒い棒を射出した本人が一番驚いていた。

 

(どうなっている。こいつら、俺の攻撃を初見で防いだ。写輪眼でギリギリ捉えたとしても、まるであらかじめ用意していたような)

 

 男の持つ能力は、少名毘古那(スクナヒコナ)という自分が見たものを極小のサイズにまで小さくする能力。むろん生物は小さく出来ないが自分の体なら可能という能力。目に見えないほど小さくした杭を高速で射出し、それが相手の体に刺さった瞬間元のサイズに戻すという技。それをあろうことか、あらかじめ知っていたように防御された。

 

 そして、攻撃を防ぐなりシャナが光に包まれ、超高速で男に迫る。

 

(はやい。しかし、それだけだ)

 

 粒遁・天翔で距離を詰めたシャナはその速度を殺さないまま、飛び蹴りを放つ。だが、男はその高速の動きを見切り、右手でガード。片手で飛び蹴りを防がれたシャナ。

 防がれる速度ではなかったのに防がれ、万力のような力で空中に固定される。

 

「く」

「思い切りがいいな」

 

 男は左手を開き、シャナの体に何本もの杭を打ち込んだ。しっかりと極小の針が刺さったことを確認した男は、シャナの足を掴んですさまじい膂力で投げ飛ばした。

 

「火遁・業火滅却!」

 

 投げ飛ばされたシャナは、空中で印を結び、反撃に火遁の術を使う。間髪を容れない反撃で、男に迫る炎の津波。回避する場所もない攻撃だったが、男が不敵に笑えば、シャナの放った術が瞬時に消えてしまう。男を覆いつくす規模の炎は、男の能力である少名毘古那によってサイズを減少。もはや糸と変わらない規模に縮小される。

 術が消された訳ではないが、射程も規模も使い物にならなくされたのだ。

 

「シャナ」

 

 シャナの体が地面に叩きつけられる直前に、泡遁のクッションを作ったトネリ。彼の作ったクッションに受け止められたシャナ。落下のダメージは完全に受け流してもらえたため、無傷だった。

 

「ぐ」

「な」

 

 落下のダメージは受けていない。だが、不用意な接近戦の代償に、シャナの体に打ち込まれていた極小の針がシャナの写輪眼でもとらえきれない速度で鉄パイプのような元のサイズに戻り、彼女の肢体を貫く。幸い手足が串刺しになっただけで、内臓にはダメージはない。

 その攻撃を仕掛けた男は、首を傾げていた。

 

「その胸と腹にも杭を刺したと思ったんだが?」

 

 男の記憶が正しければ、男の杭はシャナに致命傷を与えていたはず。なのに、打ち込んだはずの杭が消えており、見つからない。

 すると、シャナがくすくす笑いながら、上を指さした。その指に視線を誘導されると、自身の頭上に二本の杭と無数の手裏剣が降り注いでいる光景が目に入る。

 

 先ほどの火遁は陽動でこちらが本命ということだろう。そして、致命傷になる杭だけを投げ返しているということは、シャナが自分の少名毘古那の仕組みを見抜いているということだ。一度目はまぐれかと思ったが、あえて食らうことで油断を誘う作戦を実行したシャナ。

 そこから導かれるのは、シャナは男の戦法を熟知し、戦略を練ってきているということだろうか。

 

(ありえんな。写輪眼で偶々、捉えられただけだろう)

 

 自分に迫りくる手裏剣やクナイの雨だが、それも小さくしてしまえば無意味。その考えは正しく、男の視線に入った手裏剣の雨は、瞬く間に見えないくらい小さくなり、無力化される。

 

「他愛もない、ん」

 

 攻撃を無力化し、次はどんな手で来るのかとシャナを見る男。すると、先程まで手足を串刺しにされていたシャナが五体満足で立っており、その青い写輪眼が、歯車の文様となっていた。

 そして、右目の歯車の文様が回転し、シャナは指を弾いた。

 その行動の意味が解らなかった男だが、それはシャナの攻撃に他ならなかった。

 

「ぐぅうう、なんだと」

 

 小さくして無力化したはずの手裏剣やクナイの雨。それらが男の目の前で時間が巻き戻るように巨大化した。いや、正しくは少名毘古那で小さくしたものが元のサイズに戻ったのだ。小さくし衣服や肌に食い込んでいた忍具が元のサイズに戻ったことで、体中に大きな傷が生まれる。

 明らかに男の術に対する意趣返しであり、男は、体中から出血している。

 

「万華鏡写輪眼か。何をした」

「お前が生き物以外を小さく出来るように、私も自分と見た物質の時間を少しだけ戻せるんだってばね。名を御年神(みとしのかみ)。」

 

 シャナの右目の瞳術。それは、文字通り時間の巻き戻し。チャクラの爆発的な消費量と使用中は、未来視が出来ない欠点はあるが、それを補って余りある能力。忍術なども巻き戻せないなど、無制限というわけではないが、小さくされた手裏剣を小さくされる前に戻すくらいは、朝飯前だった。

 そして、杭を打ち込まれたシャナだが、自分の体を杭が刺さる前に戻したのだった。

 

「この下等生物が」

「下等生物に一杯食わされたお前は、何だってばね」

 

 自分の能力を真似られ、傷を負わされたことで頭に血が上る男。体中から黒い杭を飛び出させ、体に刺さった手裏剣を内側から弾き飛ばす。この程度傷にも入らないと言わんばかりの態度。

 シャナは、男の態度が気にくわない。だからこそ、こんな悪趣味な戦法を取ったのだ。赤ん坊を実験材料に扱う輩をシャナは拒絶する。

 

「シャナ。もう気が済んだ? そろそろ相手も本気だ。僕も参戦していいんだね」

「うん。お願いだってばね。ただ、気を付けるってばね」

 

 シャナは、御年神の術で男の攻撃を無力化できる。おそらく男の天敵がシャナなのだろう。だが、トネリに関しては、未知数。泡遁が通用するとは限らない。そして、小さな杭を体に打ち込まれた段階で、致命傷になりうる。

 シャナの瞳術では、トネリの時間を巻き戻せはしないのだ。

 

「わかってるよ。それにこいつは、僕の一族が倒すべきだと思う。一つ答えろ、お前の名は何という」

 

 シャナの援護に回っていたトネリだったが、相手の力量と男のチャクラを感じ取り、表情が変わる。自身の周囲に無数のチャクラ球を展開。それらを男に目掛けて発射する。360度から襲い掛かる無数のチャクラ弾の包囲網。

 それらに囲まれた男は、トネリを見て少し驚きの表情をしていた。

 

「お前、まさか、あの女の血筋か」

「僕の質問にだけ答えろ」

 

 包囲していた光玉の一つを爆発させるトネリ。その威力は起爆札の何倍も強力であり、それらが100にも近い数で囲んでいる。脅しではなく、男を殺せるだけの力があると誇示する。そしてシャナと自分を守るように泡が展開されており、杭を打ち込む不意打ちは通用しない。

 そして、男もトネリのチャクラの質から、彼のルーツを悟る。そして、肩を震わせながら笑う。

 

「何がおかしい」

「くく、いや失敬、私の名前は、ジゲン。そう呼ばれている。お前たちは、トネリにシャナだったな。ここで殺すには惜しいな」 

「出来ると思うか?」

「あぁ、少名毘古那での制圧が出来ないなら、力で圧倒すればいいだけの事」

 

 男がそういった瞬間、男の姿がトネリ達の前から消える。完全包囲したはずなのに、瞬時に消えた男をトネリが探すが見つからない。

 

「何処だ」

 

 その隙が命取りとなる。男は、少名毘古那の能力で、蟻よりも小さくなっていただけだった。

 

 そして、包囲網を正面から抜けたジゲンは、空を飛びながらトネリに急接近。自分を捉えきれていない彼を守る泡のガードを貫通。そして、内側に入り込んだことで元のサイズに戻る。既に回避も出来ず、ジゲンの拳を食らうしかない。

 少名毘古那での奇襲がなくとも、ジゲンは強い。

 

「悪いが、お前はこれで終わりだよ。若き大筒ィイ」

「粒遁・螺旋輪虞」

「銅輪転生爆」

 

 完全な不意打ちを行ったジゲンだったが、先見の万華鏡写輪眼を発動していたシャナには、彼の行動が手に取るように見えていた。小さくなり、トネリを襲うことを把握していたシャナは、迷うことなく、未来で見たジゲンの侵攻経路に螺旋輪虞を置いた。

 それは元のサイズに戻ったジゲンの腹部を捉え、吹き飛ばす。吹き飛ばされたジゲンを感知したトネリは、ジゲンを包囲していたチャクラ球を雨のように落とし始める。螺旋輪虞を受けたジゲンはすぐに体を小さくし、螺旋輪虞から離れ、宙を飛びながら距離を取ろうとする。

 小さくなる能力があると聞いていたため、吹き飛んだ方向に絨毯爆撃による面制圧攻撃を仕掛けた。

 

「粒遁・天輪乱舞」

 

 トネリの意図を察したシャナも、同じく粒遁の砲撃をジゲンの逃げている位置に降り注がせる。

 

(あの小娘、先にあいつを殺すか。奴の瞳術、青い写輪眼とは何なのだ)

 

 絨毯爆撃を全て回避するジゲン。そして、爆撃の少ない地点を見つけ其処に飛び込む。そして、再びシャナ達に接近し、体術による攻撃を決める。

 

「ここに来るのはわかっていた。銀輪転生爆」

(今度はお前か、大筒木トネリ!)

 

 爆撃の少ない地点はトネリがあえて作った地点であり、誘い込まれたジゲン。彼を今度は見逃さないとトネリが、泡遁のチャクラ球を高速で回転させ竜巻を作り出す。その威力はすさまじく近づくものすべてを切り刻んでしまう。

 だが、そんな攻撃で怯むジゲンではない。トネリの展開した術を少名毘古那で縮小。つむじ風程度の規模に抑え、トネリに殴り掛かった。

 

「ほう」

「ぐ、舐めるな」 

 

 ジゲンの高速移動を気配だけで捉えたトネリは彼の拳を右手で受け止め、左手に作り出したチャクラ球を叩きつけようとする。シャナの粒遁・螺旋輪虞を真似たような技にジゲンは「猿真似だな」と、少名毘古那による縮小で回避する。

 突然小さくなったことで、攻撃を外してしまうトネリ。諦めずに、二撃目を振るおうとするが、小さくなっているジゲンが高速で動き回り、攻撃が当てられない。

 そして、シャナも迂闊な攻撃は、ジゲンごとトネリに攻撃を当ててしまうため、援護に入れない。

 ジゲンの目的は、シャナの迂闊な攻撃である。シャナが迂闊な攻撃を仕掛けてきたら、すぐにターゲットをシャナに変えるつもりだ。スピードもパワーもジゲンが上であり、二人の厄介なフォーメーションさえ崩せればそれでいいのだ。

 

「トネリ! 二時の方角」

「わかった! 天輪転生爆」

「ごぶあ」

 

 即興で作った螺旋丸のようなトネリの術は、何故か元のサイズに戻り、明後日の方向に拳を繰り出していたジゲンの脇腹に命中する。攻撃をくらったジゲンは、口から血を吐きながら吹き飛び、地面に横たわる。受けるはずのないダメージが、彼の体を蝕んでいた。

 

(何故だ。私は、小さくなっていた。なのに気が付けば元のサイズで、拳を繰り出していた。どういうことだ。いや、違う。……また貴様か、うちは!!)

 

 ジゲンが、顔を上げればシャナの左目に浮かぶ歯車が回転している。先程とは逆の目による瞳術であると、ジゲンは結論付けた。

 

「うん、私の術だってばね。今度はなにしたかわかるってばね?」

 

 シャナの左目の瞳術。こちらも右目と同じタイプであり時間を進める能力である大年神(おおとしかみ)。進められるのは、視界で20秒以上捉えた相手の行動のみと狭い範囲であり、相手がどのような動きをするかあらかじめ分かっていなければ、ノーモーションで相手の攻撃をくらうこともある禁術。

 正確には、目で見た相手の10秒~1分後の動きや位置、状態を、今と入れ替える術である。術の発動前に発動し、発動後の未来と入れ替える事で術の発動を不発にさせたり、相手の行動を先読みし、敵が術を解除したタイミングを取り寄せる事が出来る。

 ただ、位置や状態を入れ替えているだけなので、術が実際に発動したわけではないのでチャクラなどは入れ替える前と変わらない。

 

 だが時間制限のある術やオンオフする系統の術には、これ以上ない切り札になる。こちらも莫大なチャクラ消費が必要であり、多発はできない。さらにこれまでのうちはの歴史でこの術を扱えたものはない。不遇な術として記録に残されているほどだった。

 あまりに相手任せであり、相手の未来を読むことが出来なければ、抜群のタイミングで発動が出来ないからだ。

 

 だが先見の写輪眼を持つシャナだけが、正しく瞳術を扱える存在となった。

 余裕そうに振舞うシャナだが、ジゲンは自分より強いのは間違いない。そして、万華鏡の瞳術を連続で使わされ、チャクラの残りが少なくなっているのも事実。

 

(今度はなんだ? 時を加速でもさせたのか、私の時間だけを、いや、飛ばしたのか)

 

 ジゲンは答えにたどり着いていた。だが、辿り着いたからこそ、シャナという存在と自分の相性の悪さを思い知らされている。物を小さくすれば時間を戻され、自分を小さくすれば、元のサイズに戻る瞬間まで時間を飛ばされる。

 これほど相性の悪い相手はいないだろう。

 

 そして、大筒木一族と思わしき青年。少しづつだがジゲンの動きに対応し始め、少名毘古那の能力も正しく理解し始めている。

 そしてなにより、ジゲンを追い詰めているのは、残り時間だ。

 彼には戦闘に制限時間があり、ことごとく能力を無力化するシャナと潜在能力の高いトネリ。この二人を倒し切る時間がもうなかったのだ。

 元より、ある事情で全力の10パーセントも引き出せない状況下で相性最悪の相手と、憎き女の子孫であり大筒木一族の青年と耐久勝負など勝ち目はないだろう。

 

 明らかに遊びすぎたと猛省しながら、何か策がない物かと考える。当初の予定は赤ん坊の奪取だ。そういえば、赤ん坊を何処へやったのか。そう考えた時、この戦場で唯一攻撃が向いていない方向がある。

 

(仕方ない。こいつらは、あの赤ん坊を庇うだろう。そうすればこの解毒剤で交渉すれば、応じる他ない)

 

 何もない空間から猛毒の棘を取り出したジゲン。彼は、再び少名毘古那を使い小さくなりながら、高速で空を飛ぶ。狙うは、奴らが匿っている赤ん坊がいる場所だった。

 

「まさか!」

「まさか!」

 

 ジゲンの突然の逃走にも見える行動。すぐさま意図を理解した二人は走り出す。それが罠であるとも知らずに。

 

 




 現段階のジゲンは、ある理由でかなり弱体化してます。まぁ出てくるのが早すぎて、準備も整ってないってのもありますが、シャナの能力が刺さり過ぎてる。そして、トネリも映画の時よりは遥かに弱いです。まだ一族の技とか習得前って感じです。
 後はシャナの万華鏡の術、御年神と大年神です。チートではありますが、使いにくさもトップクラスかもです。

 

 
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