NARUTO 先見の写輪眼   作:ドラギオン

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中忍選抜試験 本戦前

 シャナがトネリと共にジゲンと戦っていた時、木ノ葉の里では、祖父が倒れたと聞いて帰ってきた八雲が疲れて眠っていた。幸いに病気ではなく、階段で突然ふらついて転げ落ちたというのが真相だったらしい。

 

 自室で眠る八雲。その無防備な彼女を闇討ちしようと潜んでいる忍が居た。

 

(あなたに恨みはありませんが、僕が大蛇丸に捨て駒ではないと示すためには、対戦相手を減らさなくてはいけないんです)

 

 その人物は音隠れの忍、ドス・キヌタだった。彼は自分たちが大蛇丸の捨て駒だと理解するなり、その復讐を兼ねて大蛇丸の計画をめちゃめちゃにするつもりだった。

 そのためには、彼に自分の力を見せつける必要があり、優勝は出来なくとも勝ち上がる必要がある。だが、自分の実力では全力で戦っても2戦目はきつい。だからライバルを減らそうという考えに及んだのだが、第一試合の相手である八雲が里を離れており、彼女を呼び戻すために、彼女の家族を襲撃。

 

 眠らせるつもりだったが、思ったよりも大ごとになるも、結果的に八雲が里に戻ってきたのは幸い。さらにドスが恐れるシャナは里を離れている好機。

 

「命を奪うつもりはありませんが、本戦は辞退してもらいましょう」

 

 音による攻撃は、文字通り証拠を残さない暗殺に最適。不意打ちとなれば何人たりとも避けられない。第四班の幻術姫と呼ばれる八雲だが、幻術使いは総じて直接戦闘に弱い。

 直接戦闘の面に関しては、他の二人よりも劣る。

 だからこそ、この作戦を実行したのだが、彼の唯一の過失は、シャナの能力を知らない事だろう。

 

 満月の夜に襲撃を決意し、姿を現した時、彼の背後に音もなくうずまきシャナが現れる。

 

「それは聞けない相談だってばね」

「なに!? なぜあなたが」

 

 いるはずのない人物。その人物が背後に現れ、ドスは心底恐怖しながら後ずさる。非常にまずい状況下で、彼は自分の死を理解してしまった。

 なぜ彼女が此処にいるのかはどうでもいい。自分が彼女の仲間を攻撃するというタブーを目撃されてしまった。逃げようとした瞬間、回り込んだシャナの膝蹴りを食らい、武器である音を増幅する忍具を粒遁のチャクラ刀で破壊される。

 

「とりあえず、動くな」

「つ、つよい」

 

 瞬く間に無力化され、仰向けに倒れたドスを踏みつけるシャナ。腕を組みながら青い写輪眼が夜の闇の中で目立っている。

 実力差は、はっきりしていた。絶望的なほど。

 

「なんでこんなことしたってばね」

「それは、……」

 

 青い写輪眼に睨まれ、嘘は通用しないと理解した。観念したドスは、自分の目的をシャナに話した。シャナは何も言わずにそれを聞いていたが、彼が話し終わるとシャナは踏みつけていた足を退かした。

 

「お前の事情は分かった。けど、八雲の邪魔をするのは許さない」

「は、はい。申し訳ありません。本戦は責任を取って辞退させて」

「駄目だってばね」

「え」

 

 本戦は辞退するというアイディアを拒否される。

 

「八雲は、今回の中忍試験に真剣に取り組んでるってばね。あの子の邪魔をするのも許さないし、試合の回数が減るのも好ましくない。だから、お前はいらないことを考えず、修行でもしてろってばね」

 

 ドスが下手に暗躍すると、中忍試験が中断されるまたは、延期される可能性がある。そんなのはごめんだと言うシャナ。そして、正々堂々戦うのなら、ドスが八雲たちに勝っても文句は言わないと告げる。

 試合に挑み負けるのは八雲が悪いのだ。けれど、その試合の邪魔すらするのなら、ここで殺すと告げる。

 自分はお前の行動を終始見張っていると告げるシャナ。自分の目論見が甘すぎたと後悔するドスだが、この場を見逃してもらえるという言葉に、疑問を覚える。

 

「どうして、見逃してくれるんですか?」

「気まぐれと、八雲の試合の為」

 

 そう言ったシャナは、ドスが頭を下げて立ち去ろうとした瞬間、彼の腕を掴んで止める。

 

「な、なんですか」

「お前、今日泊ってる部屋に帰ったら死ぬってばね」

「は?」

「試合までは身を隠すことをお勧めするってばね。信じないのは自由だけど、賢明なお前ならどうするかはわかるってばね?」

 

 突然意味不明な事を口にするシャナ。だけど、シャナの表情は至極真面目であり、妄言とも言い切れない。なにより、シャナのような人間が他里の忍相手に冗談を口にするとも思えない。

 

 彼の生存本能と長年の勘がその言葉を受け入れる道を選んだ。

 

「わかりました。恩に着ます」

 

 そう言いながら、その場を離れていったドス。その姿を見送ったシャナは、自室で何事も知らずに眠る八雲の姿を見た後、影分身である自分を解除した。目的は果たした。

 

 丁度、シャナがジゲンを倒し終えたタイミングで八雲の安全を伝えられたのだった。

 その後、翌日になってからドスが音の下忍三人で借りた部屋に向かえば、部屋には誰もおらず、嫌な予感を感じた彼は、シャナの言う通り本戦まで姿を隠すことになった。

 

――――――――

 

 そして、数日後、温泉を満喫したシャナは、木ノ葉に戻るなり八雲の家を訪ね、彼女の部屋に招かれていた。

 

 こじんまりとした部屋にテーブルがあり、其処にお茶と渡したお土産のお菓子を並べてもらう。

 これまで何回も来た部屋なので、特に緊張などはない。家を訪ねるなり足を怪我しただけで無事だった八雲の祖父に挨拶し、八雲の部屋でくつろぐシャナ。

 

「本当にごめんねシャナ」

「気にしないでいいってばね。それなりに楽しめたから、感謝してるってばね」

 

 実際かなりシャナなりに楽しい旅行となっていた。ジゲンとの戦闘の緊張感など、彼女の戦闘意欲を刺激するよい切欠だった。ただ今度は八雲と一緒に最後まで楽しめたらいいなと思っていた。

 

「あれ、シャナそんなブレスレットしてたっけ?」

 

 シャナがお茶を飲んでいると、八雲がシャナのしているブレスレットに気が付く。装飾品は基本つけないシャナが付けているのが珍しく尋ねる。

 シャナは、なんて説明しようかと悩んだが「温泉街で知り合った男の子にもらった」と素直に告げる。

 

「ふーん、そうなん……え? シャナ、なんて言った?」

「八雲が帰った後ね、理由があって男の子と一緒に行動してて、最後にこれ貰ったんだってばね」

 

 八雲は、ものすごく心配しながら「ナンパされたの? え、対策は教えたよね? それ貰っただけ? 他に何かされたりしてない?」と肩を掴みながらシャナに問い詰める。

 

 すごい力でゆすられるシャナは、必死に言葉を選びながら説明していく。

 赤ちゃんの事やその子を狙う犯人がおり、そいつと戦ったことなどを。相手の強さについては、一切告げない。絶対怒られると思ったからだ。ただ、トネリはすごく強く、優しく、話しやすかったと、説明していく。

 

「それで、その子にブレスレットを貰ったと?」

「うん。また会う約束したってばね」

 

 そこまで聞いた八雲は頭を悩ませる。

 予想をはるかに超えてロマンチックな事態に巻き込まれており、相手の男の子の反応から、シャナを女性として意識してるのは明白。赤ちゃんを保護したり、シャナと一緒に行動していたことから、悪い人ではないと思う。だがシャナの恋愛関係の情緒は本当に幼い。

 このままでいいのかと保護者目線から考えている八雲。

 そんな八雲にシャナが爆弾発言を追加する。

 

「何かされた訳じゃないけど、その、結果的に自分からチューはしたってばね」

「………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………。

 ………………………………え?」

 

 シャナの発言を頭で理解するのに10秒ほど有した八雲。シャナの表情を見れば少し照れているのか赤くなっている。なんというか、甘酸っぱい雰囲気を感じ取った八雲は、その後、悲鳴のような大声を上げる事になった。

 

「えぇええええええ!!!!!!」 

「うるさ!」

 

 シャナのキス発言に、再び八雲は肩を掴んで揺すり始める。三半規管にダメージを負いそうなシャナ。その後、根掘り葉掘り事情を説明させられたシャナ。

 シャナの説明を聞いて、治療行為だと理解はしたが、おそらく相手の男性はそうとは思っていない。むしろ、嫁にでも迎えに来そうな様子だと思った。

 そして、シャナも治療行為だとは思っていない。三歳児だったシャナに春が来ている。間違いなく。思春期に足を踏み入れたのだ。だから少し恥ずかしいのだろう。

 

 その成長を喜ぶべきか、本能で行動しているシャナに保険体育を教育するべきか悩む八雲。そして何より、八雲の心を掻き乱したのが。

 

(シャナに追い抜かれた!)

 

 まだファーストキスの経験のない八雲。まさか、シャナに追い抜かれるとは思っていなかった。今まで、シャナの心配をし続けていた八雲だが、恋愛面ではシャナの方が一歩も二歩もリードしてしまった。その事実に苦しみ悶える。

 馬鹿にしていたわけではないが、謎の危機感にかられる。

 自分はトルネに対する告白もまだなのに。むしろトルネにどう思われているかもわかっていない。

 

「シャナ、今度大切なことをお勉強しようね」

 

 とりあえずショックは忘れて、シャナのレベルアップに全力を注ぐと決めた。そして、今度会うというなら絶対に相手を見極めようと決めていた。

 

「今度その人と会うなら、紹介してね」

「うん。わかったってばね」

 

 男性からもらった装飾品を大切そうにしているシャナの様子から、シャナもまんざらではないと感じ取った。特にシャナが強いと評価する時点で、相当腕が立つのだろう。

 強い相手が好きなシャナにはぴったりだろう。今度紹介してもらった時に、考えようと後回しにした。八雲に口を出す権利はないが、親友として相手を知りたいと思うのも当然なのだ。

 

「それで、シャナは残りの期間どうするの?」

「特に予定ないってばね。あ、でも新術の開発はしたいってばね」

「また? シャナ本当に術開発するの得意だよね」

「真似してるだけだってばね。八雲も修業するんだってばね?」

「うん。けど、内容は内緒かな。でも本戦で当たったら、私はシャナを倒すつもりだよ」 

 

 シャナを倒すと宣言する八雲。シャナもその言葉通りに受け取る。八雲と本気の戦闘もひどく楽しそうだと感じた。八雲との全力の勝負は実に胸が躍りそうだと微笑む。

 

 負けるつもりは一切ないが、退屈するような余裕はないだろう。それがいい。

 

「本戦、楽しみだってばね」

「お互い頑張らなきゃね」

 

 二人は、その後木ノ葉の里をぶらつきながら解散。そして、時が流れ、中忍選抜試験の本戦が開催される日になった。

 

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