NARUTO 先見の写輪眼   作:ドラギオン

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木ノ葉崩し

 シャナとサスケの試合はシャナが勝利をおさめたが、会場はシャナの能力に絶句していた。

 木ノ葉の忍達は、改めて、うちはの力の片鱗を知り、シャナの戦い方を見ていた三代目火影や、審判のゲンマ、はたけカカシなど、四代目火影と関係の深い人間は、サスケの背後を取ったシャナの粒遁・天門を見た時、彼女の父であるミナトの姿と重なって見えた。

 

 試合に集中していた風影も、試合内容に非常に興味津々といった様子だった。

 試合を見ていた三代目火影も思わず体を乗り出して、見ていた。

 

(あれは、二代目様とミナトの術か。誰から教わったわけでもなく、自力で辿り着いたのか)

 

 シャナの使う螺旋丸のような術、実際に螺旋丸を見よう見まねで構成した螺旋輪虞と飛雷針の術のシャナ版である天門など、ミナトと同じ戦い方をするシャナ。

 

 木ノ葉の人間は誰もシャナに術を教えていない。そんな中で15歳の少女が、四代目火影と同じ術を編み出したという事実は、忍の才に愛されたという表現では足りないだろう。

 

 試合を終え、負けたサスケは自分の足で起き上がり、観戦場に向かっていった。シャナはサスケに言葉をかけようにも、かえってあの子を傷付けるだけだと、無視を決めた。

 勝者が敗者を慰めることほど、屈辱はないだろうから。

 

「ぶい」

 

 観戦室に戻ったシャナは、トルネと八雲の視線にvサインで答えた。

 シャナの試合が終わり、残った我愛羅とトルネの試合が行われる。

 

「おい、お前、大丈夫か?」

 

 審判が試合会場に訪れた我愛羅の様子を見てそんな言葉を口にする。トルネから見ても様子が変で、何かぶつぶつと呻いているかと思うと、試合開始の合図を待たずに砂を纏い始める。そして、砂をトルネに襲い掛からせた。

 

「おい、お前」

 

 トルネは瞬身の術で砂を回避。

 

「審判。手を出してきたのは相手だ。始める」

 

 トルネは追撃のように襲い掛かってくる砂の腕を瞬身の術で回避し、砂の殻に包まれようとしていた我愛羅に強烈な正拳突きをお見舞いした。砂の盾を貫通した一撃必殺の一撃だったのだが、妙に固い砂の殻に威力を殺され、致命傷になってはいない。

 だが、何かを行おうとしていた我愛羅の行動を阻止できたらしく、砂の殻の中から追い出された彼は、何故か消耗していた。

 

 体へのダメージもあったのだろうが、明らかに精神的に疲労している様子。

 相手の調子が悪いのは、可哀そうに思うが先に始めた以上、叩き潰すつもりで前に出ようとした時だ。

 

 突然、試合会場全体に白い羽が舞い降り始めた。その羽根が目に入った瞬間強烈な眠気に襲われる。その眠気に負けて、次々と試合会場にいた人間が眠りについていく。

 

 我愛羅が何かをした訳ではなく、むしろ、会場にいた誰かが行った幻術だと言うことに、木ノ葉の実力者たちは気が付いて、幻術を解く。

 

―――――――――

 

 観戦場所から試合を見ていたシャナと八雲は、会場にかけられた幻術を解除して、観客席に向かっていた。明らかに無差別な幻術での攻撃を仕掛けた相手を探すためだ。

 観客席では中忍以下一般人は全員幻術に落ちており、深い眠りに入っていた。そして、試合会場ではすでに音隠れの忍達と木ノ葉の忍が争っており、これが誰かの悪戯ではなく、意図的に起こされた攻撃だと発覚する。

 そして、試合会場では、乱入してきた砂の上忍相手にトルネとゲンマが応戦している。

 

「全員の幻術を解除しようか?」

 

 八雲の幻術なら前任の幻術を上書きできる。だがシャナは青い写輪眼を使い、周囲を観察した後首を横に振る。音の忍の数が多く、彼らは全員殺意を持って向かってくる以上、戦闘状態となった現場に民間人が溢れかえった上に、パニック状態になれば、足を引っ張られる。

 

 敵も眠った人間は敵として認識しておらず、眠らせたままの方が好都合だろう。

 

「八雲!!」

 

 シャナの説明を聞いていた八雲の背後から、クナイを持った音の忍が襲い掛かる。だが、シャナが瞬身で接近、粒遁の刃を纏ったチャクラ刀で音の忍の首を刎ねる。

 

 そして八雲は、仲間を殺られ3人でシャナを狙っていた音の忍に最強幻術・天花乱墜を発動。殺意を持って仲間を襲う侵略者に灼熱のマグマに飛び込む幻術を見せた。彼らは幻術の中でマグマに焼かれ、現実世界でも脳が焼け死んだと誤認。体中から発火しながら、その場で大やけどを負って死亡した。

 瞬時に4人を仕留めた二人は、シャナの「ナルトの所に行く」という言葉に従って、ナルト達の居る場所に向かって走り出す。

 

 粒遁・天翔で試合会場を縦横無尽に駆け巡りながら、敵の首を切り落としてく。首と泣き別れした躰が無力に地面に横たわる光景を作りながら、侵略者を駆逐していく。その速度と正確さ、そして、下忍とは思えない殺害に対する躊躇の無さ。

 青い光になり、超高速で動き回る光景は、木ノ葉の忍達にとっては心強く、敵からすれば光を見た瞬間死が訪れる悪夢だった。

 

 そして、音の忍達の中には突然体が発火するものや、何もされていないのに全身傷だらけになり、死んでしまう正体不明の攻撃があり、次第に士気が低下していく。

 

 ナルト達を見つけたシャナ達。ナルトとシカマルとサクラ、そして小型の忍犬が会場の壁に空けられた大穴から出ていく光景が見えた。

 

「シャナに八雲か」 

「お、すごいな。俺も負けてられん」

 

 ナルト達を行かせたのは、音の忍と交戦していたガイとカカシだった。二人と合流したシャナは、近くにいた音の忍を粒遁・天翔の高速移動で蹴散らしながら、同じく敵と交戦するカカシに話を聞いた。

 

「砂の忍を追ったサスケの増援か。わかった」

 

 サスケは、我愛羅達が逃げた後、その後を油女シノと追跡。ナルト達は、サスケたちを連れ戻す任務を与えられたという。本格的な戦争状態に入った事で、下忍であっても可能なら動員しなければならないのは理解できる。

 シャナはカカシの話を聞いて、未来視を使用。どうやらナルト達が死ぬことは滅多な事がない限りなさそうだと判断。

 

 とはいえ、砂漠の我愛羅の中にいる何かが出てくれば、危険だと言うことも感じていた。だが、シャナにはそれよりも優先しなければいけない事情があった。

 それは、現在何度もシャナが自動で見せられ続ける未来。八雲やトルネが死に掛けるまたは死んでしまう未来があると言うこと。

 

 方法を誤れば、死が訪れる事象。それが迫っており、シャナはそのことに意識を向けるしかない。

 その原因となるのは、現在、試合会場の天井の上に張られた結界。その中で向き合っている三代目火影と大蛇丸が原因と言わざるを得ない。今は話し合っているようだが、すぐに戦闘が始まってもおかしくない。

 

 シャナの未来視は大蛇丸の術によって三代目が早々に死んでしまい、その後、会場にいる忍達の命が危機にさらされる未来を映す。その危険度といえば、絶望的と言わざるを得ず、9割の木ノ葉の上忍が死ぬだろう。

 

(あの無能な火影め。私が援護に行くしかないってばね)

 

 三代目火影が嫌いだ。見殺しにすることに抵抗はない。ここで死ぬなら死んでもいい。だがその死が、仲間たちの命を脅かすリスクになるなら、助けるしかない。苦渋の決断だがシャナは、三代目火影を助ける事に決めた。

 この会場で一番強いのはシャナか、トルネの師であるマイト・ガイやカカシだろう。だが彼らではこの後、起こりうる不幸に相性が悪い。

 

 シャナが思考を巡らせながら、戦闘を行っていると、カカシから指示が出される。

 

「お前達、第四班も下忍だが、特例として中忍昇格を認める。ここからは、正式な戦闘員として木ノ葉の忍としての使命を全うしろ」

 

 下忍は本来今回の戦争で戦闘に参加させてはいけない。普段なら避難させるべきだが、貴重な戦力を捨てる訳にもいかず、上忍としての権限で戦闘の正式な許可を出す。

 

「了解しました。それで、どうすればいいんですか?」 

 

 八雲の問いに、音の忍の頭部にクナイを突き刺したカカシが答える。

 

「木ノ葉の土地を土足で荒らした奴らを一人残らず、皆殺しにしろ。戦争だからね、手加減は一切いらない」

「わかったってばね」

 

 カカシの許可も下りたことで、シャナが本格的に戦闘に参加を始める。迎撃戦から殲滅戦へと行動が変化したシャナの動きはすさまじかった。鬼神のごとく、試合会場を舞いながら次々に躯を量産していく。

 

 そのシャナの動きに追いすがる存在が現れる。その存在は、逃げ出そうとした音の忍に強烈な拳や蹴りを叩き込み、反撃にクナイや手裏剣を投げた相手に対しては、軽く肌に触れながら、通り過ぎていく。

 

 そして、その人物の攻撃を受けた音の忍達は、全員悲鳴を上げ、体中が紫に変色しながらのたうち、一分もしないうちに屍になった。

 

「トルネ。下はどうなったってばね」

「審判がやるといっていた。俺は上を担当しろと指示を受けたんだ」  

 

 音の忍達を毒殺したのはトルネだった。トルネの体術は超強力だが、毒蟲を用いれば掠れば死が決まる必殺拳となる。その猛威は、こうした戦争状態でも振るわれる。

 毒殺と首との泣き別れ、そして幻術による精神と肉体の死。もとより異名まで与えられた第四班の面々は、戦争にてその才能を最大限開花させてしまった。

 

 

「二人とも、いつものフォーメーションでお願い」

「わかったってばね。トルネだけ試合、まともにしてないんだから、体力ありあまってるよね」

「仕方ないだろう。まぁメインは任せてもらおう」

 

 態勢を立て直そうとトルネとシャナが背中合わせで戦っている隙間に八雲が配置されており、幻術で音の忍や砂の忍を幻惑、または近付いてきたものを焼死させる。

 

 手あたり次第に殺しながら、敵の戦力をそいでいく三人。その姿を見ていたカカシとガイも奮闘を始める。拮抗していた戦況が、有利に変わったこともあり、流れに乗って押すことに決めたからだ。

 

 3人共試合中は明らかに手加減しており、いざ殺し合いとなれば、その実力は上忍クラス。下忍だとたかをくくっていた音の忍や砂の忍は、地獄を見る羽目になった。

 

 一番厄介な幻術使いの八雲を護衛するトルネとシャナの動きが激しく近寄れず、忍術などの遠距離攻撃はシャナに防がれ、強引な接近は毒使いの体術師であるトルネによって沈められる。

 そして、時間がたてば殺傷能力のある幻術に嵌められるという地獄だった。

 

―――――

 ある程度の人数が減り、後は残った残党を狩ればいいという状況になった事でシャナは行動を開始する。近くで戦っていたトルネに話しかける。

 

「八雲の事、守ってほしいってばね」 

「急にどうした」

 

 突然八雲の事を任されたことで困惑するトルネ。困惑しながらも相手の首をへし折っているのは、さすがと言わざるを得ない。

 

「私は三代目火影を殺してくるってばね」

「は?」

「間違えた、心の声が出たってばね。例の奴で、三代目が死んじゃうから、援護に行きたいってばね」

 

 突然の裏切り発言に唖然とするトルネの顔を見てシャナが笑う。だがシャナが親友である八雲を託せるのは、信頼できる仲間であり友達であるトルネか隊長であるヤマトだけだ。

 シャナの目は、信頼に溢れ、彼の背中を叩いて、両手を合わせて、屋上へと光になって飛んで行った。

 シャナがどこかへ行った事に気が付いた八雲が、トルネに「どこいったの?」と尋ねる。

 

「役目を果たしに行った。俺たちは俺たちの出来る事をしよう」

「うん。ペース上げていくよ」

 

 シャナが欠けたことで八雲とトルネのギアが上がり、必然的に敵対する相手の犠牲者が増えたのだった。二人が戦闘を終える頃には毒に侵され、体中が焼け爛れた変死体が大量に転がることになった。

 

――――――

 

 シャナが屋根の上に張られた結界に粒遁・天翔で突っ込んだが、結界は破れずに弾かれる。

 体を粒子化していたため、結界の炎に焼かれることはなかったが、中々に強固な結界は、シャナの道を阻んでくる。

 突然シャナが現れたことで、結界により見守るしかできなかった暗部たちの視線が向けられる。

 

「よせ。我々でも突破できなかった強力な結界だ」

 

 印を結び、明らかに結界を強行突破しようとするシャナに注意を促す暗部。だが、シャナは「お前らみたいな雑魚には無理だってばね」と一蹴する。

 

 見てることしか出来ない力無き忍になど、シャナは端から用はない。シャナは粒遁・天輪を発動。結界を破るために発射する。

 

「来やがったなウシチチ」

「木ノ葉の閃光ぜよ!」

「破られんなよ!」

「あぁ」

 

 結界を張っているのは、第二試験の死の森で襲ってきた奴らだった。やはり大蛇丸の部下だったかと考える。だがシャナの発射した天輪も彼ら四人の張った結界を貫けない。結界に阻まれ霧散してしまう。

 

 シャナの姿を見た4人は、呪印を解放し、姿かたちが異形のそれとなり膨大なチャクラを纏っていた。突然怪物のような風貌になった4人を写輪眼で観察するシャナ。4人が張った結界にめぐるチャクラもすさまじく、易々と破れる物ではないと理解する。

 三代目と話していた大蛇丸もシャナの登場を見るなり、事を起こそうとチャクラを練り始めていた。それに対抗するように三代目も鎧姿となって戦闘を開始しようとする。

 

「仕方ない。……」

 

 シャナは、愛用するチャクラ刀に粒遁のチャクラを纏わせる。チャクラ刀を二刀流にしたシャナは、それらを合わせる。二つのチャクラ刀が混ざった事による効果か、膨大なチャクラを纏った全長100mにも及ぶ馬鹿でかい光の刃が形成される。

 その光景に、音の四人衆は、全員決死の覚悟で結界にチャクラを流し始める。そして、暗部たちは、唖然とし、大蛇丸と三代目もその光景に動けずにいた。

 

「粒遁奥義・天羽々斬」

 

 シャナの持つ術の中で現在最大の火力を誇る一撃。巨大化させた粒遁の刃が結界に振り下ろされ、四人衆の努力もむなしく、結界に巨大な亀裂を入れられてしまう。トネリの使っていた金輪転生爆をパクったシャナのオリジナル術。

 その威力はすさまじく、四紫炎陣の結界を物理的に打ち破り、シャナは結界が再生するより早く結界内に侵入。

 

「なぜ入ってきたのじゃ」

「里の長が易々と囚われるなってばね!! 面倒だってばね!!」

 

 侵入し、三代目の傍に行くなり彼を罵倒する。本当に嫌いなのだ。彼の人間性などを考慮せず、火影という存在そのものが嫌いになっているシャナ。その彼を助けるために戦わなければいけない状況に、心底腹が立った。

 そして、事の原因である大蛇丸を青い写輪眼は、捉えている。

 

「無茶苦茶ね。三代目、その子は、あなたにも制御できない様子で」

「黙れウワバミ」

「短気ね。元々あなたも相手するつもりだったし、丁度よかったかしら」

 

 大蛇丸を今すぐ殺してしまおうと考えたシャナだったが、大蛇丸が印を結び、地面から柩を口寄せする光景を見て深く観察してしまう。

 

 そして、彼は「ここでは手狭ですね。予定通りおやりなさい」と口にする。

 

 大蛇丸の指示に従い、音の四人衆がそれぞれ膨大なチャクラを用いて、結界ごと時空間忍術で別の場所に転移させた。

 

「ここは、どこだってばね」

「どうやら、里の外に連れてこられたようじゃ」

 

 突然、荒野のような場所に空間移動させられたシャナと三代目は、周囲を確認する。どうやら木ノ葉の里の顔岩のある断崖の上だと言うことがわかる。

 

 場所が移動するなり、結界の規模が遥かに巨大なものになっており、広大なフィールドが用意されていた。

 

 大蛇丸は、準備が整ったとばかりに術を発動。

 

「口寄せ、穢土転生」

(まずい。なんとしても3つ目だけは止めねば)

 

 三代目はその術を見て何かを悟り、口寄せを封じる印を結ぶ。その成果もあって、「初」「二」と書かれた柩だけが口寄せされ、「四」と書かれた柩だけは阻止された。これだけは止めねばと考えた三代目の判断は正しい。

 もし、口寄せされていた場合、シャナが敵に回る可能性すらあったからだ。

 三代目が対抗術を発動したことに気が付いた大蛇丸は「残念ですね」といやらしく笑っていた。

 

「シャナの前でそれを使うとは。愚劣極まったな」

「感動の再会を演出してあげようと思ったんですけどね。まぁいいでしょう。この二人も、うちはの末裔と三代目火影様には、因縁深い相手ですから」

 

 大蛇丸の切り札。穢土転生が発動された瞬間だった。

 





シャナは、三代目とペアになりました。
粒遁奥義は、トネリのライザーソードのシャナ版です。流石に月は斬れないです。
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