NARUTO 先見の写輪眼   作:ドラギオン

69 / 152
木ノ葉崩し 2

 大蛇丸の口寄せした柩が開き、中から顔色が悪くところどころひび割れている赤い甲冑と青い甲冑姿の二人が現れる。

 

 あきらかに生きた人間ではない二人の男たちは、ふらふらと歩きながら柩の外に出て、周囲を観察している。

 そして、三代目火影を見るなり、青い甲冑の白髪の男が話し始めた。

 

「久しぶりよのォ、サル」 

「ほぉ、お前か。年を取ったな猿飛」

 

 白髪の男に続いて赤い甲冑の恐ろしいまでのチャクラを持った男が猿飛に話しかける。そして、話しかけられた三代目火影は、二人に頭を下げながら「このような形で、ご兄弟お二人に再会するとは」と残念がっていた。

 

 ピリピリと肌に突き刺さるようなプレッシャー。シャナがこれまで感じた中でも一番ヤバい威圧感。いつも強気のシャナも警戒心を強くし、青い写輪眼で二人を観察する。赤い甲冑の男のチャクラもだが、青い男の醸し出す気配が、何よりも気に入らないと感じたシャナ。

 

「ジジイ。こいつら何者だってばね」 

「お前も見たことがあるじゃろう。儂とお前の父以外の顔岩を」

 

 そう言われシャナは、二人の正体が誰か改めて理解した。この二人は、木ノ葉の里を作り上げた初代火影、二代目火影だと言うこと。

 シャナの嫌いな里を築き上げた張本人たちが、黄泉から舞い戻ったというのだろうか。

 

「穢土転生か。禁術でわしらを蘇らせたのは、この若造か」

 

 二代目火影が、術者である大蛇丸を見てそう告げる。そして、穢土転生というワードを聞き、初代火影が残念そうな顔になる。

 

「そうなると、ワシらは、貴様と戦うことになるわけか」

「ご覚悟くだされ」

「おっと、仕上げを忘れていました。どうせなので、本来の姿に戻っていただきましょう」

 

 大蛇丸は、懐から取り出した札を初代と二代目の頭部に埋め込む。そうすれば二人の顔に生気が戻り始め、ひび割れが少なくなる。

 

「く、なんという縛りだ。意識があるのに、動けん」

「精度を落として、ワシらの抵抗を防いでいるか」

 

 初代と二代目は抵抗しようとするが、両手で印を結び、二人を支配することに集中している大蛇丸から逃れられない。生前であれば、万全の状態であれば、大蛇丸の縛りでも突破出来た二人。だが大蛇丸は、二人を縛ることに全力を出すことで、劣化しているとはいえ初代と二代目の完全な支配を可能とした。

 シャナとの邂逅で改良された穢土転生。大蛇丸はその場から一歩も動けないとはいえ、戦乱の世を縦横無尽に暴れまわった火影たち二人を操れるならおつりがくる。

 

 相手が相手なだけに三代目火影もすでに戦闘態勢に入っている。シャナも同じく戦闘態勢に入る。二人はようやくシャナに意識が向いたのか、初代が注意を促す。

 

「娘、木ノ葉の忍だな。ワシらに近寄るな。自分の意志では止められん」

 

 明らかに年若い忍であり、このままでは殺してしまうと逃げ隠れる事を指示する。だがシャナはそんな意見を聞かない。そして、大蛇丸も初代の言葉を否定する。

 

「お二人には三代目とあの子も相手してもらいますよ」

「貴様」

 

 そして、誰よりも目ざとい二代目火影は、シャナの目を見て驚きの表情となっていた。

 

(あの目、写輪眼か。青い輝きの写輪眼は、聞いた事がない。いや、なによりも、あの目つき、間違いない)

 

 二代目はシャナの目つきが、うちはのある男と重なって見えた。彼の兄である初代火影もよく観察すれば気が付くだろうが、女子であるシャナの心配しかしておらず、気付くことはない。

 もし彼の想像通りなら、この娘の力は、自分たちにも劣らない。

 死後の世界でとんでもない爆弾が木ノ葉に仕掛けられているなと思ったところだが、大蛇丸の縛りが厳しくなり、初代と二代目は完全な戦闘状態へと移行される。

 

 縛りに抗えず、目の前の三代目とシャナを殺すための兵器となる。

 

「来るぞシャナ」

 

 三代目の声に答えないシャナ。彼女は自分の高鳴る鼓動と、高揚感に戸惑っていた。まるで待ち望んだ相手と出会ったかのような。赤い甲冑の方を倒したくて仕方ない。

 頭の中がどうやって相手を倒そうかという戦闘一色に染まっていく。同時に、白髪の方には、深い憎しみを感じてしまう。初対面の相手なのに、親の仇のように憎しみがあふれ出すのが止まらない。

 流石に、九尾や仮面の男に向けている悪感情を、初対面の二代目火影に向けるのはおかしいと思うが、衝動が止められない。

 

 こんな経験は初めてであり、酷く困惑してしまうシャナ。だが油断できる相手ではない。初代火影は、既に走り出しており、こちらに向かってくる。初代の体術を三代目が迎え撃つ形となり、シャナは必然的に二代目の相手をすることになる。

 

 二代目は、水遁の印を結んでいる。

 

「水遁・水龍弾の術」

 

 二代目火影は、水遁の龍をシャナに向けて発射する。シャナは、咄嗟に火遁の印を結び、火遁・豪火球の術で迎え撃つ。相性の悪い術だと頭で理解はしていたが、最大火力でもって拮抗。水遁と火遁のぶつかり合いで水蒸気が辺りを包み込んだ。

 水蒸気は濃く、視界は最悪だが、写輪眼の瞳力の前では、視界はクリアだった。霧に包まれた中で二代目は、10本近いクナイを投擲。だがそれは、明らかにシャナの位置を大まかに狙っただけにすぎず、見てから回避が容易だった。

 

 投げられたクナイを回避し、攻勢に出ようと粒遁・天輪を発射した瞬間。シャナの写輪眼は、クナイに刻まれたチャクラの刻印を認識。優れた写輪眼を持つシャナだから認識できた。

 天輪の粒子砲を時空間忍術で回避した二代目。その移動先はシャナに投げられたクナイに刻まれたマーキングであり、回避と同時にシャナの背後を取った彼はクナイで彼女を切りつけようとする。

 

 これが二代目火影の写輪眼対策に編み出した術。シャナの父であるミナトと同じ術であり、二代目火影の考案した時空間忍術、飛雷神の術。

 

「飛雷神斬り!」

 

 写輪眼の対策として、背後を取るという戦法がある。だがこれは二人など人数が多い場合にのみ有効な戦術。しかし、二代目火影は、飛雷神の術により、いつでも背後を取る事が出来る。その刃が、シャナの背中を切り裂こうと迫る。

 飛雷神の速度は、写輪眼でも見切れるものではない。見えたところで、防御も回避も間に合わない。決定的な死がシャナに迫る。

 

 父と同じ術を使う二代目火影。忍一の速さを誇ったと言われる、その凶刃がシャナを切り裂く寸前。シャナは走馬灯のように父ミナトの姿を思い出した。

 そして、二代目火影の周囲を漂う粒遁のチャクラを目印に、飛雷神と同じ原理の時空間忍術、粒遁・天門を発動。

 

(なに?)

 

 飛雷神斬りを行った二代目の背後に瞬間移動。目の前のうちはの娘が、自分の考案した飛雷神を使うと思わず彼の動きが止まる。その隙をつくように、シャナの掌で瞬時に構成された粒遁・螺旋輪虞が彼の胴体を捉え、吹き飛ばした。

 カウンターのタイミングが完璧で、初見で飛雷神斬りを打ち破ったうちはの少女に、攻撃をくらった二代目や大蛇丸も感心してしまった。

 

 シャナが指を弾いて螺旋輪虞の輪を拡散させる瞬間、二代目の体は、飛雷神の術で移動し、致命傷は避けられる。

 対象を失った螺旋輪虞は、結界の壁に激突し、結界を揺るがしたのちに霧散する。

 地面に突き刺さったマーキングに飛んだ二代目は起き上がり、シャナの姿を観察する。螺旋輪虞によって、彼を構成していた塵芥の体が崩れていたが、すぐに塵が集まり始め回復していく。

 その様子から不死身なのかとシャナが考える。

 

「その、じゅつ、誰に教わった」

「四代目火影。私のお父さんだってばね」

 

 シャナの目は、青い万華鏡写輪眼となっていた。二代目は、四代目火影という存在が自分の術を継ぎ、それを娘である、うちはの娘に伝えているという事実に時代の流れを感じた。うちは対策の術が回り巡って、うちはの娘。それも、戦乱の世で、忍の神と謡われた初代火影、千手柱間のライバルだった男、うちはマダラと全く同じ目をする存在に受け継がれているのだから。

そして、シャナの身のこなしは、明らかにうちはマダラのそれと合致する。長年戦ってきた二代目がそう思うのだから、違いない。 

 

 シャナは、全身から粒子を散布しながら、次の手を打とうと考える。二代目の術が、飛雷神なのには驚かされたが、戦闘開始と同時に先見の写輪眼を発動していたシャナ。そのおかげで写輪眼殺しともいえる二代目の戦術を先読みできた。

 父と同じ術を使う相手。どちらが速いのかはわからない。だが、シャナが信じるのは忍界最速の火影、木ノ葉の黄色い閃光だ。シャナはその名を受け継ぐ木ノ葉の青い閃光。決して負けられない。

 

「そうか」

「お前はなんかむかつくってばね」

 

 飛雷神と粒遁・天門による時空間忍術同士の戦いが始まったのだった。

 

 

 




 穢土転生・改ですね。第四次忍界大戦の時の穢土転生ほどではありませんが、術者が動けないリスクありの強化版です。 

 初代も木龍くらいなら使えるかもしれません。
 大蛇丸が無防備なのが弱点と思ってほしいです。 卑留呼→リー(裏蓮華)→ジゲン→サスケ→扉間。なんかシャナの対戦記録が凄いなと思い始めました。

  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。