NARUTO 先見の写輪眼   作:ドラギオン

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木ノ葉崩し 3

 三代目を体術や木遁で追い込む初代火影は、傍目にシャナの動きや目を見て、考え込んでいた。

 

「猿飛」 

「なんですかな、この状況で」

 

 すさまじい金剛力によって三代目を追い詰める初代火影だが、疑問を口にしてしまう。三代目火影は、火遁、風遁、水遁、雷遁、土遁の五大性質変化を織り交ぜ、初代火影に放つが、全て木遁にて防がれてしまう。稀に命中するも、穢土転生の体は、すぐに再生を始める。

 

「あの娘、うちは一族なのだな」

「左様ですぞ」

「父は誰ぞ?」

 

 千手柱間も、シャナを見ていると、かつてのライバル、うちはマダラの姿が重なって見えた。それは偶然ではないほどに。もしやマダラの子孫なのかと勘繰るが、「わかりませぬ」と三代目が否定する。実際分からないのだ。

 シャナは鬼の国で発見された、うちは一族ということ以外謎に包まれている。 

 

「どうして、ですかな、ぐお」

「そうか。あの娘は、マダラと同じ目をしておる」

「マダラですと!?」

 

 マダラという言葉を聞いた三代目は、驚きながらも初代から距離を取り、口寄せの術を発動。

 

「口寄せ、猿猴王、猿魔!」

「なんだこの状況は」

 

 口寄せされたのは、人間と同じサイズの大猿であり、彼は大蛇丸の姿を見るなり「あの時殺しておかなかったからだ」と注意しながら、三代目の指示に従い変化を行って、如意棒へと変化する。

 

 金剛如意を構えた三代目は、迫りくる初代火影と改めて対峙する。初代の言葉を聞いて、シャナの才能は、あのマダラを元にしているのなら説明がつくと考えた。

 

 金剛如意を構えた三代目の勢いはすさまじく、初代火影の体に一撃を入れ、彼の体を弾き飛ばした。そして、金剛如意を急速に伸ばすことで術者である大蛇丸自身に攻撃を仕掛けようとした。

 

「木遁秘術・樹海降誕」

 

 しかし大蛇丸がそれを認めるはずもなく、瞬時に初代火影を操作し、彼を守るように木遁忍術を発動。何もなかった大地から地形を変えるほどの大木が現れ、大蛇丸を守りながら、三代目火影や遠方で戦っていたシャナ達にも襲い掛からせた。

 その規模が、同じ術を使うヤマトとは桁違いであり、防御と攻撃、そして木々による拘束と何重もの役割をこなしていた。

 

「く(いかん。狙いはシャナか)」

 

 三代目は迫りくる木々の津波に対して、金剛如意の檻を作成することで耐えるが、その檻ごと樹海に飲み込まれてしまう。身を守ったつもりが、初代と二代目の両方がシャナに向かう最悪の事態になってしまった。

 すぐさま抜け出そうとするも成長を続ける木々に阻まれ、すぐに脱出できない。

 

――――――

 

 二代目火影と飛雷神対決をしていたシャナ。内から湧き上がる憎悪が、シャナの動きをより洗練させていく。

 

「水遁・水断波」 

 

 口から水遁の水圧カッターを発射する二代目。その攻撃を受け止めることは不可能であり、シャナは飛んで回避する。だがその瞬間、瞬身の術で距離を詰めてくる二代目。素早い動きで拳を振るう相手に、シャナは同じく体術で応戦。

 拳を蹴りで封じ、そのわき腹に膝をお見舞いする。そうして、二代目の体が離れた瞬間。シャナの右足と左手首が消し飛んだ。

 

「!?」

 

 接近戦に持ち込まれた段階で、シャナは気が付かないうちに、起爆札を死角に貼り付けられていたのだ。それを爆破され、手足を失ってしまう。

 だが、シャナがダメージを食らうと同時に、彼女の右目の万華鏡写輪眼の瞳術、御年神が起動。自分の手足が吹き飛ばされる前まで時間を戻し、五体満足になった段階で、お返しとばかりに新技である泡遁を発動した。

 

「泡遁・銅輪転生爆だってばね」

 

 完全にトネリの使ったチャクラ球での絨毯爆撃の完全コピー。チャクラ球の数は、トネリより少ないが、即効性のある術であり、威力も申し分ない。

 見たことのない攻撃に、全身を爆破された二代目火影。不意打ちに対して不意打ちを行ったシャナの攻撃は、見事に二代目を捉えた。

 

 爆発の威力が高く、泡遁のチャクラ球に触れた二代目の胴体や、手足が吹き飛ぶ。だが穢土転生の体は時間がたてば回復してしまうだろう。とはいえ、破壊の規模が大きく、少しの間は戦闘不能状態だろう。

 

 だが、残った首だけで二代目火影は奇襲攻撃を行った。

 

「おっと」

 

 口から水遁の千本のような物を、ノーモーションかつ、シャナの写輪眼でもチャクラの動きが洞察できない状態で発射した。その術は、水遁・天泣。チャクラが練れない状態で、体が動かせなくとも発射できる奇襲用かつ、暗殺用の忍術。

 その不意打ちはうちは一族の人間でも、対処できない殺傷能力と奇襲性を誇る。

 だが、シャナは、その天泣を咄嗟に発動した、須佐能乎の腕でガード。須佐能乎の強固な守りに突き刺さりはしたが、シャナは一切のダメージを受けていない。

 

 軽く防いだ様子と、自分の戦法を知り尽くしているような戦い方から二代目は、うちはマダラと戦っているような錯覚を起こしていた。本来であれば奇襲攻撃の際に、事前に知らせる事も出来る。二代目や初代火影の動きを縛ることに集中し、人格を完全に縛っていない大蛇丸のミスだろう。

 相手が純粋に木ノ葉の忍なら、二代目火影は、シャナを逃がすことを考えただろう。だが、戦っているうちに確信していく。このくノ一は、木ノ葉にとって脅威となる存在であると。

 

 そして、首だけになった二代目火影に、シャナは召喚した須佐能乎の拳を叩き込み、彼の存在を一時的にだが無力化した。

 

 だが、二代目を無力化した直後、三代目火影の動きを封じた初代火影の樹海降誕の猛威が迫る。

 

「火遁・業火滅却」

 

 迫りくる樹海の氾濫に対して、全てを燃やしてやろうとシャナは最大火力の火遁を発動。初代火影の秘伝忍術を正面から燃やし尽くそうとしていた。

 

「ぬぅうん!」

 

 樹海降誕を正面から燃やされる初代火影は、さらにチャクラを籠め、木々を増やしていく。対するシャナも火遁の威力を高め、樹海の津波を業火の防波堤で蹴散らしていく。

 

 その火遁の威力や冴えに、初代火影の表情も変化する。懐かしき友の姿を見たからだ。だがこの状況は楽しめる物ではなく、木ノ葉の為に戦った自分たちが木ノ葉に牙をむくために利用されているのだ。

 

 そして向かい合うのは、まだ子供のくノ一。実力は、確かだが、まだ発展途上。ましてやこちらは、死ぬことのない穢土転生の肉体。死ねぬ上に、操り人形という状況。手加減すら許されず、木ノ葉の若き芽を摘んでしまう。

 拮抗していた状況下で、大蛇丸はさらにシャナを仕留めようと縛りを強化した。

 

「そろそろ、お開きにしましょうか」

(く、おのれ)

 

 遂に人格までも縛られてしまった初代火影は、樹海降誕中に木遁分身を使う。そして、2人の木遁分身が走り出し、シャナに接近。至近距離で木遁・皆布袋の術を発動。地面から、数百にも及ぶ木遁の手が現れ、それらが側面からシャナを襲う。

 

 流石に正面だけで手いっぱいだったシャナ。迫りくる皆布袋の術をどう対処するか、先見の写輪眼で最適解を探す。既に3分近く戦闘しているシャナは、脳が沸騰しそうだった。二代目の不意打ち戦法の前に先見の写輪眼を解除できず、消耗してしまっている。

 チャクラには余裕があるが、正面から迫る初代火影によるチャクラ量によるごり押しには、勝てない。単純な出力の差で負けてしまっているのだ。そして、うかうかしていると、既に下半身が再生している二代目火影が参戦してきてしまう。

 

「須佐能乎!!!」

 

 不意打ちの二代目に火力馬鹿の初代火影。なんて面倒なタッグだろうかとうんざりするシャナ。だがこの緊張感と強敵との戦いを楽しんでいる自分がいる。一歩間違えば、シャナの命の灯火は、吹き消されてしまう。

 だがなんだろうか、線香花火は落ちる寸前の輝きが一番激しいように、シャナの命は、この瞬間、最も輝いていた。

 

 シャナは、12年前の九尾と対峙した時以来の、須佐能乎の完全顕現を行った。骨組みだけだった6本腕の須佐能乎が筋繊維を纏い、更に鎧を纏う。九尾よりも巨大なチャクラの阿修羅像が顕現。両サイドから迫りくる巨大な木遁の手を6本の内、4本を使った剛腕のラッシュにより、瞬く間に破壊しつくしていく。シャナの須佐能乎は、第三形態に到達していたのだ。

 通常、須佐能乎は第二形態で独自の武装を纏うものだが、シャナの須佐能乎は、多腕の阿修羅型。その拳こそが武器であり、精密動作性や腕を高速で動かすスピードは、最高クラス。

 

 ラッシュで木遁分身を術ごと打ち破った須佐能乎は、正面からくる樹海降誕にも6本の腕のラッシュで反撃。すさまじい破壊の嵐が、樹海降誕の術を正面から打ち破り、術者であるシャナが前進したことで、木々を薙ぎ払いながら高速で進行。

 多腕の高速ラッシュを止めようと、本体である初代火影が木遁・木龍の術を発動。

 

 現状使える最大の術であり、呼び出された木遁の龍は、尾獣ですら拘束し、チャクラを吸い取る強力な術。

 

「邪魔だってばね」

 

 巨大な須佐能乎に襲い掛かった木龍だったが、シャナの操る須佐能乎の強烈な拳を顔面に受けて、砕け散る。ラッシュの速さ+一発の重さが異常であり、チャクラを吸収するより早く砕かれてしまったのだ。

 

 木龍があっさり砕かれたことで、守りのなくなった初代火影。全盛期なら、シャナを圧倒できたが、穢土転生の彼は、今出せる全力を打ち破られた。

 

 強烈な須佐能乎の拳が、初代火影の体を粉みじんに吹き飛ばした。忍の神といえども、至近距離で振るわれるシャナの須佐能乎の剛腕は、回避できない。

 

 二人の火影を一時的とはいえ、無力化したシャナの姿を見て、大蛇丸は本能からくる死を悟ってしまう。彼の想定を超えて、シャナが急成長してしまったのだ。いや、大蛇丸が無理に追い込んでしまったからこそ、シャナの潜在能力が本格的に開花したともいえる。

 

「化け物め」

「おまえに、いわれたく、ないってばね」

 

 シャナは、ゆっくりと須佐能乎を纏いながら大蛇丸に近寄っていく。そして、須佐能乎の右側の3本の腕が巨大な螺旋輪虞を形成し始める。それを大蛇丸に向かって放とうとしている。

 

 しかし、短時間での成長は、体に負荷をかけ過ぎていた。

 

「ぐくぅうう、ああああ」 

 

 突然シャナは、両目の痛みと全身の軋むような激痛に膝をついてしまう。そして須佐能乎が解除されてしまう。痛みに悶えるシャナは、血涙を流しながら、身動きが取れなくなってしまう。先見の写輪眼の代償と、須佐能乎の過負荷が一気にシャナを襲った結果だった。リミッターを外した代償は、シャナのこれまでの人生で最もひどい痛みだった。

 戦闘中にもかかわらず、泣き出してしまう程の痛みに襲われるシャナの背後に、再生を終えた二代目火影が現れる。

 

 動けないシャナの周囲に起爆札を投げ、彼女の体を爆風で吹き飛ばす。まともなガードも回避も出来ないシャナは、どうにか転がって距離を取るが、爆風と爆炎を食らい、火傷と裂傷を負って、動けなくなってしまう。

 

 シャナが動けなくなった後、二代目火影が手に持つクナイを振り下ろしたのだった。

 

「ぬぅうん!」

 

 だが、二代目の一撃がシャナを仕留めるより先に、樹海から脱出した三代目火影の金剛如意がクナイを弾き、二代目の胴体を破壊した。

 ギリギリのタイミングで間に合った三代目火影。シャナの時間稼ぎのおかげで解決策を導き出せた。

 二代目の体から起爆札が現れるのを見た猿飛は、シャナの体を抱えて、距離を取る。

 

「大丈夫か。シャナ」

「く、うぅううう、おかあさん、おとうさん、あああ」

 

 あまりの苦しみと痛み、そして脳が悲鳴を上げる程酷使した結果。シャナの意識は混濁していた。父と母に助けを求め、空に手を伸ばす始末。

 

 年とはいえ、守るべき少女に守られ、地獄の苦しみを味わわせる羽目になってしまった。それで何が火影か。三代目は、老い先短い命を捨て、大蛇丸の野望を止めると覚悟を決めた。

 

「影分身の術」

 

 三代目は、残り少ないチャクラをさらにすり減らして影分身を行う。そして、禁術の印を結んでいく。穢土転生に対抗する切り札。うずまき一族に伝わり、四代目火影が九尾を封印する際に用いた封印術。

 

「屍鬼封尽」

 

 己の魂を対価に、対象の魂を死神の腹に封印する屍鬼封尽が発動したのだった。

 影分身たちは、体を砕かれ再生中の初代と二代目にしがみ付き、動きを拘束。準備は整ったと、術を開始した。

 

 痛みと熱にうなされるようなシャナは、三代目の術を青い写輪眼で見ていた。彼の背後に現れた、般若のような死神の姿が、気を失ったシャナの見た最後の光景だった。

 

―――――――――

 

 そして、その日木ノ葉崩しと呼ばれる大蛇丸率いる音隠れと砂隠れによる戦争行為は、多数の犠牲者を出しながらも木ノ葉の勝利となった。その代償は多く、後に戦場で倒れるシャナを保護した火影直属の暗部達は、腹に封印を刻まれ胸に刺し傷のある三代目火影の亡骸を持ち帰った。

 火影とシャナが消えた後、火影岩のある断崖まで辿り着いていた彼らがシャナの奮闘や三代目の最後を見届けていた。初代と二代目火影を封印し、大蛇丸の両腕を封印した所で、力尽きたという。

 だがその最後は、火影らしい死に様だったと伝えられるのだった。

 

 大怪我をし、死に掛けていたシャナが病院に運ばれ、目を覚ましたのは、3日後だった。

 

 




 シャナの須佐能乎は、近接特化型です。須佐能乎でオラオラ、無駄無駄、ドラララしてるようなもんです。
 扉間→柱間となりましたね。シャナの対戦相手。

シャナの須佐能乎は、強いんですが、シャナの体に負担が大きすぎるのが弱点ですね。
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