NARUTO 先見の写輪眼   作:ドラギオン

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月の皇子

 夕方前にうちはサスケの病室に訪れたシャナ。シャナは、意識を失ったサスケの額に浮いた汗を拭きとってあげていた。

 

 ナルトが自来也と共に、五代目火影候補の綱手を探す旅に出た後、サスケの御見舞いはシャナの日課になっていた。

 なぜ今になってイタチが現れたのか、それはわからない。そして、イタチは何故、サスケを苦しめるような真似をしたのか。

 

 彼の計画は知っている。サスケに自身を殺させることで、英雄に仕立て上げるという台本。

 

「サスケの気持ち以上にそんなものが大事だって言うのかってばね」

 

 サスケの側にいるシャナからすれば、理解できない感情。いや、理解はできるが、自分には出来ない不幸塗れの自己犠牲といえる。

 サスケの御見舞いには、班員の春野サクラなども訪れてるようで、しょっちゅう訪れる必要はないが、特にやることもなく面倒を見てしまう。

 

 自来也は果たしてナルトに螺旋丸を習得させる事が出来るのだろうか。ただ、彼にならナルトを預けても大丈夫という確証があった。彼は強いという確証があった。悪い大人でもなく、真剣にナルトの事を考えてくれている大人だ。

 シャナとの意見の擦れ違いも、ナルトの事を考えた故の相違。

 会いたくないのは、シャナの意地である。

 

「お前の減らず口が聞けなくて退屈だってばね」 

  

 サスケの部屋の空気を入れ替えた後は、シャナはその場を離れる事にした。

 今日の任務は、午前中に終えており、自由時間をどう過ごすか考えていた。任務の内容も八雲と一緒にアカデミーの訪問という訳の分からない任務だった。

 なんでも最近目まぐるしい活躍をしているくノ一のシャナ達に、生徒たちの面倒を見てほしいと依頼があったとか。そんなことしてる場合なのかと思ったが、八雲が乗り気だったため、仕方なく受理。

 

 アカデミーに初めて足を運んだシャナは、ここがナルト達が通っていた学び舎かと眺め、八雲も同じように校舎を観察していた。二人とも通えなかった同士で、目新しい光景に考えるところがあった。

 学校の教師たちに迎えられ、集められた生徒たちに紹介された。中には知っている顔(木ノ葉丸たち)がおり、心底怯えられてしまう。

 

 そんな状況下でも、一応役割を果たそうと簡単な体術の指導や基本忍術の指導を行う。授業中に木ノ葉丸がおいろけの術を使い、海野イルカを倒そうとしたが、ギリギリでこらえられていた。シャナはナルトの開発したおいろけの術の継承者が居たことに驚くも、まだまだ研鑽が足りないと見本を見せ、元々スタイルがいいシャナより、更にお色気に溢れた美女に変化。そして、魅力を振り撒くポーズとわざと相手の体に触れる事による接触を加えた改造型おいろけの術を披露。見事にイルカどころか、男子生徒たちをダウンさせた。

 その後は、子供たちの前で下品な術を使ったためか八雲にこれまでで一番本気で怒られ、本気で泣いてしまい。昼ご飯の給食を生徒たちに慰められながら食すという辛酸を味わった。

 

 そんな時間を過ごしたシャナ。後は、日が暮れるまでという時間をどう過ごすか悩んでいた。通っていた映画館も戦争で半壊し、現在は稼働していない。正直暇をつぶす手段がなかったシャナ。自来也にもらった小説は読破したものの、熱血ど根性系は、シャナの趣味ではなかった。

 ただ、登場人物がナルトということから、ナルトもこんな忍になればいいのにとは感じた。

 

 木ノ葉の里は変わった。特にシャナが変わったと感じるのは、木ノ葉の人間のシャナを見る目だろう。化け物のように見る目や憧れるような目、怪しむ目、疑う目、視線や思惑は違うとも、注目という形でシャナの存在を見透かそうとする。

 その視線がひどく鬱陶しく感じた。もとよりその目線は多かったが、最近めっぽう増えた。

 

 視線にストレスを感じながらも復興中の木ノ葉を歩いていたシャナは、自分のブレスレットが光っている事に気が付く。一月ほど前に出会った青年、トネリのくれたブレスレットが光っており、まだ黄昏ではあったが、月が出ており今日は満月だったのだ。

 

 シャナは彼の言葉を思い出し、ブレスレットの光に導かれるように、日が暮れ誰も居ない木ノ葉の自然公園に足を運ぶ。そして、ブレスレットの光が一際強くなると、公園の池の写った月が一際輝いた。眩しさに目を閉じていると、自分の背後に気配を感じ、拳をお見舞いしようとする。

 だが、その気配の人物は「驚かせてすまない」とシャナの拳を優しく受け止めた。

 

「一月ぶりかな、シャナ」

「本当に現れるんだってばね。てか、その頬どうしたの?」

 

 シャナの背後に現れたのは、不思議な雰囲気を放つ青年、トネリだった。シャナとの共闘からちょうど一か月後に現れた彼は、顔中ボロボロの姿であった。最近のものではなく、少し時間は経って居そうだが、端麗な顔が可哀そうなことになっていた。

 

「いたっ」

 シャナが、トネリの頬に触れると痛むのか、少し彼の表情がこわばる。

 

「シャナ?」

「ふふ、痛むってばね?」

 

 何故かトネリの反応を見て、傷を突くシャナ。非常に性格が悪いと自覚しているが、ついやってしまう。何度か突いていると、手を取られ、止められる。

 

「君ってそんな性格だったかい?」

「いろいろあったんだってばね」

 

 本当に色々あったのだ。むしろ、明らかに他国出身のトネリが今の木ノ葉に居ることがおかしい。

よく考えると侵入者のような気がしたが、未来視が警告して来ない以上、問題ないと判断。

 

二人で話しながら公園の池に面した木にもたれ掛かるトネリ。そんな彼と話しているシャナは、うちはでもなく、木ノ葉の青い閃光でもなく、ただの15歳の女の子であるシャナとして接してくれるトネリを気に入っていた。

木に凭れるトネリの膝に勝手に頭を置いて寛ぐシャナ。当然トネリは、顔を赤くして驚くが、そんな顔が可愛いのか、シャナはトネリの頬を撫でていた。そして痛がる様子にケラケラ笑っていた。

 

シャナが退かないとわかると、トネリも諦めたのか二人で誰も居ない公園内で寛ぎながら、話したかったことをお互いに口にし始めたのだった。

 

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