NARUTO 先見の写輪眼   作:ドラギオン

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大激突 6

 戦法を接近戦に切り替えたラビリンスは、シャナの想像よりも強かった。剣術の面では絶対に勝てない才能の差を見せつけられ、切り傷が増えていくシャナ。何度もチャクラ刀同士で切り結びながら、致命傷だけは避ける。

 万華鏡写輪眼の瞳術の使用も、チャクラ消費の重さから迂闊に使えない。

(結界を捨てたラビリンスが此処まで強いなんて、想定外だってばね)

 

「逃がさないわよ」 

 

 接近戦ではじり貧だと考えたシャナだが、ラビリンスは繋がりの糸を掴むことでシャナを引き寄せる。強制的に引き寄せられるせいで、シャナは自分のペースを取り戻せない。

 自分のペースに持ち込んだラビリンスは、一息すらつかせぬ勢いでシャナを追い立てていく。

 縦横無尽に振るわれる刃は、シャナの写輪眼をもってしても見切れない。

 

「火遁・豪火、ちっ」 

 

 仕切り直そうにも、術を発動する隙がない。 ラビリンスの写輪眼は、片目ながらもシャナの僅かな動きも見逃していない。

 シャナは、チャクラ刀を振りながら、周囲に粒子を散布していく。  

 

「防戦一方ね。けど、守ってるだけじゃお姉さんに勝てないわよ」

「誰が守るだけだってばね!」

 

 シャナは、ラビリンスの背後に散布した自分のチャクラ粒子を目印に自分を口寄せした。粒遁・天門によってラビリンスの視界から消え、背後に回り込んだシャナ。ラビリンスは強いが忍術を知らない。故に時空間忍術という術を想定していない。

 そして、シャナの天門の元となった飛雷神の術は、うちは一族の写輪眼に対する対抗策として編み出されたものだ。

 

 その効果は絶大だった。

 

「螺旋輪虞!!」

 

 背後に回り込み、瞬時に掌に発生させた螺旋輪虞をラビリンスの無防備な背中に叩きこんだ。螺旋輪虞を叩き込んだシャナだったが、彼女の目は驚愕に染まっていた。

 

(こいつ、咄嗟に背後に剣を)

 

 螺旋輪虞が直撃する寸前。シャナが消えたことで唖然としたラビリンスだが、背後からの気配に僅かに反応。剣を背後に向かって振るい、螺旋輪虞の輪っかの部分だけを破壊した。だが本体である球体の部分は健在であり、ラビリンスの鎧を砕きながら、彼女の体を吹き飛ばした。

 吹き飛ばされたラビリンスは、渓谷の崖の部分に激突した。輪っかの部分の持つ切断を防いだとしても、直撃を受けたラビリンスは無事ではないだろう。

 

 忍術についての不慣れさが、ラビリンスの敗因だった。彼女が忍を熟知していれば、シャナが殺されていた可能性がある。確かな手ごたえがあったため、写輪眼を解除しようとしたシャナだったが、背筋に走る殺気に印を結びながら振り返った。

 

 ラビリンスが叩きつけられた絶壁の土煙が瞬時に晴れる。

 

「なんだってばね、それ」

 

 土煙の中から現れたのは、火傷によって閉じられていた左目が開かれ、緑に強く輝く義眼が覗いていた。そしてその義眼から溢れ出るエネルギーがラビリンスの体を循環。そして頭部に牛の角を思わせる結晶の角が発生していた。

 先ほどまで戦っていたラビリンスとは、様子が明らかに違う。

 

 危険な臭いを察知し、先見の写輪眼を発動したシャナ。その未来視は、幾千万ものシャナの死が待ち受けていた。

 莫大な雷エネルギーを纏うラビリンスの目がシャナに向けられた瞬間、シャナは粒遁・天翔を発動。とにかく距離を取ろうと、全力での退避。その場から逃げようとしたシャナを見たラビリンスはその場から消える。

 

「雷牛彗星(アステリオス)」

 

 シャナの先見の写輪眼で見切ってもよけられない速度。亜音速で移動する粒子となったシャナを後から追いかけて追い抜くラビリンスは、まさに稲妻。雷そのものとなって移動する彼女は、距離を取って天翔を解除し振り返ったシャナの首をチャクラ刀で切断した。

 粒遁に追い抜かれると思っていなかったシャナは、雷そのものとなって移動する自身を上回るラビリンスの一撃を受け、真っ赤な鮮血を首のあった所から散らすこととなった。咄嗟に須佐能乎を発動もしたが、須佐能乎ごと一刀両断される。そして、電撃となったラビリンスが通り過ぎた後、電撃によって焼かれてしまった。

 

 シャナの亡骸が地面に落下する様を見たラビリンスは、地面に降り立って義眼を閉じる。すると、ラビリンスの姿が元に戻り、膝をついて肩で呼吸をしていた。

 消耗が激しいのか、シャナにもらった一撃が響いているのかはわからないが、すぐには動けない様子だった。

 

「危なかったわ。けど、お姉さんの勝ちね。切り札は最後まで取っておくものよ」

 

 勝利を宣言したラビリンスだが、次の瞬間口から吐血をしてしまう。

 脇腹に食らった螺旋輪虞のダメージは、意外にも深刻で、彼女を蝕んでいた。できれば殺さない事も考えていたが、そんな余裕はなかった。特に最後の不意打ちは、どうにもならなかった。須佐能乎を出す事も間に合わない。故に切り札の一つをきらされた。

 

「ごめんなさいね、お姉さんあなた相手には手加減してあげる余裕なかったわ……うるさい、私は、そんなの望んでないわ。黙ってて」

 

 シャナを殺してしまったことに少し後悔していたラビリンスだが、突然一人で誰かと話し始め、その存在を拒否していた。

 戦場がかなり離れてしまったため、すぐにでも仲間と合流にするため戻らなくてはいけない。

 ラビリンスは、傷口を手で押さえながら、その場を離れた。

 

―――――――

 

 ラビリンスが離れて少しすると、首を斬られたシャナの亡骸が土くれに変わる。そして、地面に隠れていたシャナが這い出てくる。

 全身土まみれになりながら、地面から這い出てきたシャナは、両膝を地面について吐きそうになっていた。今回は本気で死に掛けたのだ。殺気を感じた瞬間に、瞬時に土分身を発動。そこで入れ替わっていたシャナ。未来視の中で唯一生存できる方法がそれだった。

 土分身のシャナは、本体が隠れている間に粒遁で距離を取って、ラビリンスの術を見極める役割だったのだが、一瞬で倒されてしまった。

 

 土分身は、土を媒介にしているので破壊されても消滅はしない。死体を偽装し、ラビリンスを遠ざける事が出来た。弱っているラビリンスに奇襲を仕掛ける手も考えたが、未来視が不安な未来を映すため断念。あまりにも死の未来が多すぎるため、シャナの精神がごっそり削られた。

 

 だが、ラビリンスの手のうちの一つを解明できた。ラビリンスの変化した姿は、実質的な強化状態なのだろう。チャクラの性質的には、木ノ葉崩しの際に、大蛇丸の護衛をしていた4人衆の変化に似ている。その変化によって膨大な雷の性質のチャクラを蓄電していた。そして、恐るべきは雷そのものになって移動する術。雲隠れの雷影も雷遁のチャクラを纏うと聞いたが、ラビリンスのそれは違う。

 雷そのものとなった彼女の速度は、まさに稲妻。シャナの粒遁すら超える速度で移動できる。速度で初めて負けたシャナ。

 

 生き残るためとはいえ、逃げ隠れる事を選択させられた。正体不明故に、少しづつ攻略していくしかない相手だが、シャナのプライドは深く傷つけられ、不意に涙が流れる。地面を何度も殴りながら、息を整えていく。

 

(一先ず合流するってばね)

 

 シャナは、ラビリンスを警戒しながら、八雲たちと合流を目指した。その後、八雲と我愛羅の二人に合流したシャナだったが、テムジンという少年と戦っていたトルネが行方不明になったと聞かされた。

 

 

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