NARUTO 先見の写輪眼   作:ドラギオン

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大激突 完

 

 老人によって地底遺跡の最下層に連れてこられたテムジンは、老人の奇襲によって僅かに出血させられてしまう。

 とはいえ老人の力でかなうはずもなく、すぐさま払い抜ける。

 

 老人の狙いは命ではなく、テムジンの持つ王族の血だと語った。テムジンたちがいる場所こそが、封印の間と呼ばれる場所であり、その場所には、ゲレルの鉱脈を消滅させるために、ある口寄せの術式が仕込まれているという。

 ゲレルの鉱脈をハイドに渡す前に、一族の末裔として心中を選んだ老人だったが、彼らを追っていたハイドが間に合い、掌から衝撃波を発して老人を吹き飛ばす。

 

「危ない所でしたね」

「ハイド様!」

 

 現れたハイドに駆け寄るテムジン。そしてトルネや今の老人を吹き飛ばした力について尋ねれば、彼は自慢げに右手に装備されたゲレルの石を見せつける。

 

「素晴らしい力です。本の通りですよ。手を触れることなく物を吹き飛ばせる」

 

 ハイドは石の力を使い、周囲の壁を攻撃する。新しいおもちゃで楽しむように力を振るうハイドの姿に、テムジンは硬直する。そして、話を聞いていた老人がハイドに向かって怒鳴りつける。

 

「その本というのは、ゲレルの書の事か! 貴様、いったいどこでそれを手に入れた!」

「やだな。流れの商人から買っただけですよ」

「そんな偶然がある物か! さては貴様怪しいと思っておったが、ゲレルの石を手に入れるために、テムジンの村を!!」

 

 老人は、確信していた。この男の手段を択ばない残虐さを。そしてその手段がどれだけ卑劣な事かを。

 

「何を疑っているんですか。世界平和を求める私が何故そんなことを」

「平和を望むものがゲレルの石など望むものか!?」

「私は争い全てを治める力が欲しい。ただそれだけですよ」

 

 小馬鹿にしたような態度を取るハイドだが、老人は敵意をむき出しにし、テムジンは混乱していた。二人が話していると、封印の間の床から謎の装置が盛り上がってくる。それを見つけたハイドは駆け寄り、「これは鉱脈への鍵、本の通りだ」と喜ぶ。

 

「ならん! ぐあああ」

「おやおや、尊い犠牲が増えてしまった。いつも上に立つ者は残酷な選択を迫られるものです」

 

 ゲレルの石で老人を吹き飛ばしたハイドは、仕方のない事だと言いながら、動けない老人に止めを刺そうと右手を向ける。面白半分に老人を攻撃したハイド。その攻撃を見ていたテムジンは、咄嗟に盾を展開して老人を庇った。

 ゲレルの力同士の反発で不発に終わったハイドの攻撃。彼は不満そうにテムジンを叱る。

 

「ハイド様、ゲレルの鉱脈を手に入れた今、このような無力な老人など捨て置けば」

「そういうことではないのです。的の前に立たれると邪魔なんですよ。おどきなさいテムジン」

 

 ハイドの言葉に従えないテムジン。その様子を見ていたハイドは落胆したように、テムジンへと右手を向ける。そして、テムジンを吹き飛ばした。攻撃を受けたテムジンは、ハイドを力なく見つめる事しか出来ない。

 

「失望しましたよテムジン。貴方は所詮、ご両親と同じ下等なものだったのですね」

「え、ハイド様?」

 

 テムジンの目に映るハイドの姿が、過去に村を襲い皆の命を奪った奴らの一人と重なる。そんな筈はないと心が否定するも、頭の冷静な部分が、少しづつ真実に迫ろうとする。

 

「本当に哀れな餓鬼だ」

 

 そして、ハイドの放った言葉が、過去にテムジンの両親を殺した存在と一致する。瞬間、テムジンの心は軋みあがった。自分の親の仇、そして争いの元凶こそがハイドであると。自分はそんな事実にも気が付かず、利用され、他者や仲間に犠牲を強いていたのだと。

 

「そんな、だったら、俺たちは、何のために!!」

「その顔、気が付いたようですね。そうですよ、全く親の仇とも知らず、よく懐いてくれました。実に可愛い手駒でしたよ。でも石の在り処はわかった。もうあなたは不要なんですよ」

 

 高笑いしながら、その本性をさらけ出したハイド。石の力による活性化で全身の筋肉が膨張、灰色の肌となり人型の怪物へと変貌した。その姿こそが彼の真の姿であり、腐った性根の表れだった。トルネの言葉通りであり、ハイドの裏切りを予見していたテムジン。怒りに燃えあがった彼は、ゲレルの力を引き出しながら、ハイドと向き合う。

 

「逃げろ! こいつは俺が倒す」

「無茶じゃテムジン」

 

 老人を逃がし、自分は此奴と心中してでも仕留めると宣言するテムジン。それを止めようとしたが、テムジンは飛び出した。既に剣はないが、ゲレルの力を放出しながら、ハイドへと殴りかかる。しかし、テムジンの渾身の一撃は、ハイドの背中に展開する球場の物質が変化した盾に防がれる。

 そして、頭部を掴まれ、床にたたきつけられる。血を吐きながら倒れるテムジン。起き上がろうとするが、すぐに距離を詰めてきたハイドによって踏みつけられる。

 

「ちょうどいい。この力を試す練習台にして差し上げましょう」

 

 そう言いながら、テムジンの体を蹴り飛ばすハイド。明らかに遊んでいる様子でテムジンを甚振る。石の純度からくる出力差によって、押されるテムジン。さらに老人を庇いながら戦う彼に、勝ち目はないだろう。

 一人では決して。

 

「木ノ葉剛力旋風」

 

 ハイドの顔面を強烈な蹴りが襲い、その体を吹き飛ばす。その声の主は、木ノ葉の忍である油女トルネ。彼は拳を構えながら、テムジンをもう片方の手で起こす。トルネに差し出された手を掴んだテムジンは起き上がる。

 そして、トルネへ詫びる。

 

「トルネ。お前の言ったことは正しかった。仲間を犠牲にした夢などあってはいけなかった」

「それに気付けただけでも、お前は成長しているはずだ。来るぞ」

 

 トルネの渾身の攻撃をくらいながらも、すぐに復帰したハイド。

 トルネに吹き飛ばされ、天井に激突した拍子に天井が剝がれ、ゲレルの鉱脈が姿を現す。その力がハイドに流れ込み、彼の折れた首の骨までも再生したのだ。

 

 

 完全再生したハイドは、素早い動きによって接近戦を仕掛けてくる。それに毒虫を使うため、手袋を外して応戦するトルネ。相手の打撃を捌きながら何発か拳を入れるが、ハイドの防御力と再生能力の前では、ダメージにならない。

 

「おや、なんですかこれは、ウィルスですかね。けれど、ゲレルの石の前には無意味ですよ」

 

 トルネの毒蟲が殴られた箇所から感染を始めるが、ゲレルの石のエネルギーによってナノサイズの毒蟲は死滅。破壊した細胞も瞬く間に再生されてしまう。

 

 そこでテムジンも参戦し、二人で打撃を仕掛けるが怪物へと変身したハイドの身体能力は人間を超越している。テムジンをゲレルの力で吹き飛ばし、一人になったトルネに対して背中の球体を変形させた攻撃を仕掛ける。硬質化した球体が刃となって襲い掛かり、それらを回避し、後ろに跳んだトルネ。それに追従するハイドだったが、トルネが修行用に足に巻いていた重りを投げつけたことで、その重さで地面に叩きつけられてしまう。

 

(速さで一気に行く) 

 

 毒が通用しないなら、体術で圧倒すればいい。重りを外したトルネは、高速体術によって、ハイド以上の速さでヒット&アウェイを繰り返す。目にも留まらない速度で繰り出される拳と蹴りは、本来のトルネの膂力と合わさり、ハイドに重い一撃を与えていく。

 自分より速いトルネに追いすがろうとするハイドだが、動きを捉えられず一方的に打撃を食らう羽目になる。

 

 いくら頑強でも、その力は永遠ではない。このまま削り切ろうとハイドを背後から殴った時だ。ハイドのしていた右目の眼帯が取れ、次の瞬間トルネの拳がハイドによって受け止められてしまった。全く反応できなかったはずのハイドに攻撃が止められ、驚くトルネ。

 

「何」  

「ふふふ。何か使えるかもと、思って手に入れておいてよかったですよ。ラビリンスは本当に役に立つ」

 

 ハイドの隠された右目にあったのは、青い写輪眼だった。それも文様が変化した万華鏡写輪眼であり、ハイドはそれを右目に移植していたのだ。ラビリンスとテムジンの村を襲った際、ハイドは暴走し暴れまわるラビリンスの力を見ていた。そして、仲間が奪ったラビリンスの写輪眼を回収。

 秘かに移植することで、その目に写輪眼を宿していた。ただチャクラを扱えないハイドには写輪眼は使えなかったが、ゲレルの石を使うことで自身を活性化した今なら、写輪眼を使用できるのだ。瞳術を扱う術はないが、強化された肉体に、凄まじい洞察力と観察力を持つ万華鏡写輪眼が合わさった事で、無敵の怪物へと進化したのだ。

 写輪眼によってトルネの動きを完璧にとらえたハイド。トルネを殴り飛ばし、さらに加速した彼の高速体術を回避していく。

 

(当たらない)

 

 攻撃が当たらなくなり、苛立つトルネだったが、ハイドが突然カウンターで繰り出した肘を脇腹に食らってしまう。負傷していた場所であり、痛みで動けなくなったトルネの後頭部をハイドが殴りつけ、地面にバウンドした彼をゲレルの力で吹き飛ばす。

 

「トルネ!」

 

 吹き飛んだトルネが壁に叩きつけられる直前で、テムジンがキャッチするが。脇腹を押さえるトルネは、息が出来ないようだった。

 

「この目はすごいですね。君が脇腹を庇いながら戦っているのが一目瞭然でした。さて、非常に楽しい催しでしたが、そろそろ幕引きですかね」

 

 動けないトルネを庇うように盾を展開したテムジンが前に出る。その姿を面白がってハイドがテムジンに向かってゲレルの石のエネルギーを放出。受け止めたテムジンが潰れるまで放出し続けるつもりなのだろう。

 

「助けに来て、このありさまとはな」

「お前が居てくれてよかった。頼む。あいつを倒すために、力を貸してくれ!」

 

 防御力を割いて、テムジンは動けないトルネにゲレルのエネルギーを譲渡した。テムジンが戦うよりもトルネを万全にすることが、勝利につながると確信したからだ。

 

 ハイドと同じくゲレルの石の力を再生に注いだことで、トルネの体はかつてないほど活性化する。それによって折れていた肋骨が治癒し、痛みがなくなっていく。

 

「くっ、トルネ。俺達の、無念を、怒りを、願いを、お前に託す」

 

 全エネルギーをトルネに向かって放出したテムジン。

 だがそのせいで押し負けたテムジンは、ハイドのエネルギーによって吹き飛ばされる。

 

「泣けますね。クズ同士の助け合い、命のリレーですか」

「他者を利用し、切り捨てるだけのお前にはわからないだろう。託し、託される事の意味など」

 

 復活したトルネは、全身に毒蟲を展開する。それによって肌が紫に染まる。そして気絶したテムジンから授かったのは、治癒だけではない。顔の布を取り払い、素顔を晒したトルネ。その全身には、ゲレルの力が漲っていた。

 

「ゲレルの力を受け取ったのですか。だが、多少強化されたところで私との差は縮まりませんねぇ!」

 

 写輪眼を過信し、止めを刺そうと接近するハイド。トルネの速度は見切っている。故に一撃で終わらせようとしたはずなのに、トルネが視界から消える。

 どこに行ったのか、目で追うより先に背後に回り込んでいたトルネの拳によって背骨を粉砕される。

 

「げぇえ、は、がは、く、なぜ」

「シンプルな話だ。俺がお前の目で追えない速度で動いただけだ」

 

 トルネの肌は、赤く染まっており、それは八門遁甲、第六門『景門』を開けたことによる限界を超えた体術だった。通常状態で敵わなくとも、トルネには毒蟲を利用した八門遁甲があり、それを6門まで開放。それによりリミッターを超えた力を引き出した。

 ゲレルの石の力で再生するハイドだったが、突然、殴られた箇所から激痛が走る。その個所を見れば、トルネの毒蟲が感染している。

 

 ゲレルの力でもう一度死滅させようとしたが、毒蟲の動きは一切収まらない。

 

「どうやら、毒蟲も活性化できるようだな。お前は不死身かもしれないが毒蟲もまた不死身。永遠に苦しむ運命だ」

 

 ゲレルの力で活性化された毒虫はハイドにも通用する。そして毒蟲を受けたハイドは永遠に痛みを浴びながら生き続けるだろう。だが、それだけでは足りない。今のトルネが破壊した部位は再生できないことが分った事で方針が決まる。

 力を振り絞りゲレルの石のエネルギーを全てトルネに放ったハイド。だがトルネは瞬時に懐に潜り込み、ハイドの顎を蹴り上げた。体術奥義、蓮華の予備動作であり、空中に蹴り上げられたハイド。

 

 顎を粉砕され、身動きも取れない。そんな中で、トルネは必殺の奥義を発動する。超高速で腕を振るい相手に猛打と、それによる摩擦熱による炎を浴びせて焼き尽くす大技、朝孔雀のトルネ版。まるで炎の蜂の大群のように押し寄せる毒拳の連続。

 

「鬼火蜂!!」

 

 毒と炎の打撃は、ハイドの全身を粉砕しながら毒を広め、彼に断末魔を浴びせる暇もなくゲレルの鉱脈へと叩き込んだ。全身の骨が砕かれ、ハイドはもう身動き一つとれない、無様な生命体として、永久に生き続けるだろう。毒虫たちにとっての、餌として。

 戦いが完全に終わり、トルネを強化していたゲレルのエネルギーも底をついた。八門使用による筋肉痛で動けないトルネ。

 

 だが安心することはできない。突如、遺跡が崩れ始めたのだ。

 

「まずい、ゲレルの鉱脈が活性化しておる。鉱脈の封印が解けたのじゃ。このままでは大陸が吹き飛ぶ」

 

 戦いを陰で見ていた老人が声を上げる。その声を聴き、テムジンが立ち上がる。

 

「どうすれば止められる」

「止められないんじゃ」

「なら、最初に言っていた消滅させることは!?」

 

 テムジンは老人の最初の目的を思い出す。それであれば可能だと告げる老人。だがそのためには、王家の血を持つテムジンが一人、次元の穴を口寄せし、鉱脈と共にこの世から消えるリスクがある。

 

 それを聞いたテムジンは、酷く落ち着いた表情で「なるほど」といった。憑き物の落ちた顔を見たトルネが止めようとするが、テムジンは動けないトルネを気絶させ、老人にゲレルのエネルギーを与え、トルネを連れて逃げるように伝えた。

 

ーーーーーーーーーー―

 

 老人とトルネが脱出したのを見届け、ゲレルの鉱脈の封印を行うために一人残ったテムジン。罪を重ねた自分に出来る罪滅ぼしとして、これ以上ふさわしいことはないだろう。そう考えながら、己の犠牲で以て次元の穴を口寄せする。

 大陸を吹き飛ばす暴走したゲレルの鉱脈は口寄せされた次元の穴へと吸い込まれ、徐々に消えていく。そして、術式の中心にいるテムジンもまた崩れていった足場と共に次元の穴に吸い込まれていく。

 

 そのはずだった。

 

「一人で全部背負うんじゃないわよ!!!!」

 

 突然未知の力によって、次元の穴から引き揚げられたテムジン。その後に聞こえてきたのは、ラビリンスの怒声。シャナとの戦いに敗れたラビリンスだったが、砂の応援として現れた我愛羅によって、子供達と一緒に地上まで避難させられていた。そして遅れて地上まで逃げた老人によってテムジンが始末をつけるという話を聞き覚醒。

 シャナ達に警戒されながらも、テムジンを助けさせてほしいと地を這いながら懇願。

 

 その姿を見たシャナと共にテムジンの救出活動に出たのだ。ラビリンスとテムジンの強いつながりによって紡がれた糸は、次元を超えて二人を繋ぎ、彼を異次元から生還させたのだった。

 

 

ーーーーーーーーーー―――――――――

 

 ハイドによって齎された混乱は終幕を迎えた。

 テムジンたちは、砂の里で尋問を受けたのち、故郷へと帰される事となった。本来であれば戦争犯罪者として裁かれるはずだが、ハイドの洗脳による被害者であり、多くが未成年だという事、実際に残虐な行為に手を染めていたメンバーは全滅。

 事の真相を知るのは、第四班と我愛羅とドスのみ。報告を改竄することは難しくない。砂としてもゲレルの鉱脈などという危険物があった事実を隠し通したく、真相を知る者を減らしたかった。だが子供達に手を出せば、秘密は暴露するとシャナが脅したことで、認められた。かなり強引な交渉だが、木ノ葉に立場的に弱い砂は、これ以上厄介ごとを増やしたくなく、出国を許可したという。

 

 テムジンは仲間達と再会し、元の大陸で新しく平和を求める方法を探すという。今度こそ犠牲を払わない方法で。第四班も彼らを見送る事となった。

 

 そのせいで大幅に木ノ葉への帰国は遅れたが、事の顛末を知るためには仕方なかった。

 テムジンたちの船の出港時間となった後、その船の船首では、シャナとラビリンスが、話し合っていた。お互いの人生や知っていることについて。何日も前から少しづつじっくりと話し込んでいた。 

 

「青い写輪眼の秘密はわからないわ。私も生まれつきこうだったのだから」

「謎のままか」

「もしかしたら他の子達なら、知ってるかもしれないけれど、難しい話ね。ただ、私達には確かな繋がりがある。だからこうして出会ったのだと思うわ」

 

 青い写輪眼持ちは他にもいる。コダマ以外の二人にもあった事があるラビリンスだが、二人には気をつけろと念を押す。リトラとグライア、特にグライアとは全力で殺し合ったらしい。結果は、雷牛彗星での奇襲で片腕を奪ったらしく、酷く恨まれているという。

 噂では、忍五大国に向かっているらしく、会う可能性が高いという。二人で話していると船の汽笛が鳴り、出港時間を知らせる。

 

「いろいろあったけど、こうして話せてよかったわ。謎は謎のままだけれど」

「うん。わかったってばね。故郷に帰っても元気で過ごすってばね」

 

 シャナがそう言って船から立ち去ろうとした時、ラビリンスはシャナの手を掴んで抱き締めた。突然の行為に困惑したシャナだが、やがて大人しく受け入れた。敵同士ではなく、今は同じ境遇を持つ者として二人は接していた。

 そこでようやく二人は、自分たちの関係を理解したのかもしれない。ラビリンスは確信した。自分とシャナには、血のつながりが存在すると。いざ話してみれば、シャナとラビリンスの相性は良かった。数日とはいえ共に過ごしたことで、ラビリンスにはシャナが本当の妹のように思えた。逆にシャナは、ラビリンス相手に妙な安心感があった。他の子達とも分かり合えばよかったと後悔するラビリンス。

 

「体には気を付けて。何かあれば何時でもお姉さんの国に来ればいいわ。シャナ、私の妹」

「姉ぶるなってばね!」

「最後にもう一つだけ。あの声に耳を貸さない方がいいわ。私のように乗っ取られる可能性があるから」

 

 シャナへの忠告を終え、別れる事になったラビリンス。

 シャナは少し照れ臭そうにしながら、ラビリンスたちの出港を見送った。新しい繋がりに対して、よりよい未来が訪れる事を祈って。

 

 




ゲレルの石編、これにて終わりです。
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