NARUTO 先見の写輪眼   作:ドラギオン

93 / 152
父と子

 

 二連戦で疲れ果てていたシャナは、結局次の日寝坊した。

 一方でよく眠れたボルトは、家主のシャナを起こさないように置手紙を残して、サスケと合流するため過去の木ノ葉の里を出歩こうとしたが、扉の前で待機していたサスケと合流。

 

 二人は、ウラシキの狙いである、過去のナルトを探そうと木ノ葉の里を散策する。だが、既に家にはおらず、ラーメン一楽などにも居ない事から、捜索は難航していた。

 

「父ちゃん何処にもいないってばさ。サスケさん、他に当てはねぇの?」 

「ない。俺が知ってるアイツの行動範囲はすべて回った」

 

 少年時代のナルトの行動範囲など、サスケが殆ど知るはずがない。地道に探すしかないのだろう。サスケは、ここが自分の居た世界とは違う場所だと知っているが、ウラシキの狙いであるのが、サスケの知るナルトでなくとも、ナルトである事には違いがない。

 そして、九尾が存在している以上、大筒木の人間に九尾を回収される事の危険性は理解している。だからこそナルトを守るという当初の目的を果たそうとしていた。そして、元の世界に帰るために、シャナにはカラスキを渡しておいた。

 彼女が持っているだけでチャクラが充填できるからだ。

 

 シャナ自身もウラシキの狙いがナルトであると聞かされ、回復次第直ぐに駆け付けると言っていた。想定外だが、頼りになる人間を味方に付けられたサスケ。

 

「もうどこにいるってばさ! うわ」

 

 よそ見しながら歩いていたボルトが誰かにぶつかり、二人そろって倒れてしまう。

 

「ちゃんと回り見ろってばさ」

「そっちこそ、んな所に突っ立ってるじゃねぇってばよ」

 

(最悪だ)

 

 ボルトとぶつかったのは、黄色の髪に青い瞳オレンジの服を着た少年、彼らの探していたナルトだった。ナルトの姿を見たボルトがつい「父ちゃん」と零してしまう。

 

「はぁ? 何言ってるんだってばよ」

「あい、いや、なんでもねぇ」

 

 流石に子供時代の父親に、自分は未来からきた息子だと伝えられない。なんというべきか悩んでいると、遠くから全力疾走する老人が現れる。

 

「何やっとるんだナルトォ、早く逃げるぞー」

「あ、エロ仙人」

 

 エロ仙人こと、伝説の三忍の一人である自来也は、何かに追われているようで、必死に走っていた。

 

「追われているのか?」

「そうだーーー!」

 

 彼の背後に10人ほどの人影が見える。ボルトが前に出て「俺に任せろってばさ」と宣言するなり、自来也は握り絞めていた双眼鏡を渡すなり、ナルトを引き連れて走り去っていく。

 そして、残されたサスケとボルトだったが、自来也を追いかけていた集団に覗き魔だと疑われたのだった。自来也が女湯を覗きそれがばれて逃げていたのを庇ってしまった二人は、犯人の特徴である大人と子供の二人組という特徴から木ノ葉の警務部隊に引き渡されそうになる。

 

 だが、犯人である自来也とナルトの二人組を捕まえた五代目火影、千手綱手が二人は無実だと伝え、誤解を解いてくれた。だが、サスケとボルトは、余所者であり、今の木ノ葉の里としては二人の自由を許可できないとして、ナルトと自来也に監視を行うよう命じた。

 

 結果的にナルトを身近で守れるようにはなったが、サスケは木ノ葉に自分を知る人間が多すぎると、姿を隠すことになる。残されたボルトは、ナルトと共に行動することを余儀なくされる。

 

 そして、ナルトに案内された場所は、昨日ボルトが泊めてもらったシャナの家の隣だった。

 

「またここかよ。てか、隣に住んでるんだな」

「ん? 何が?」

「いや、昨日隣の部屋のシャナさんにお世話になったんだってばさ」

 

 シャナの部屋を指さすボルト。すると、ナルトがひどく驚いた表情で「昨日のお前だったのか」とボルトを指さす。

 

「昨日、姉ちゃんの家から、知らない奴の声がすると思ってたんだってばよ」

 

ナルトが怒りながら睨んでくるのでボルトが落ち着けと宥める。

(このころの父ちゃん、シャナさんが好きだったのかな?)

 

 父親の過去の想い人など知りたくなかったと勘違いしているボルト。だがナルトから隣に住んでいるシャナとは姉弟だと教えられる。その事実にボルトは驚く他なかった。

 

(父ちゃんに、姉ちゃんが居たなんて聞いたことないってばさ。俺の伯母さんになるってことか。いや待てよ)

 

 未来で一度もあった事のない人物。父親が姉を紹介しないなどありえない。となれば、未来で生まれたボルトが知らない理由は何だろうかと思案したが、深く考えると嫌な事実にたどり着きそうで、考えるのを放棄した。

 そして案内されたのは、カップ麺の食べた跡などが散らかった部屋。

 

「なんで一人暮らししてるってばさ?」

「うーん、俺ってば父ちゃんと母ちゃんが居なくて、ずっと一人で暮らしてたんだ。ただ、何年も前に姉ちゃんが帰ってきてから一緒に暮らしてんだ。

 まぁ部屋は別だけど、基本は二人で生きてきた」 

「そっか」

 

 何か事情があるのだろうと深くは詮索しないボルト。やがて二人とも腹の虫が鳴いたのでナルトがシャナに隠れて秘かに買い溜めしていたカップ麺を食べることになる。

 子供の頃から好物は変わらないんだなと呆れるボルト。だが、何故姉弟で一緒に食事しないのかと尋ねられたナルトは、眉間にしわを作りながら説明する。

 

「今俺と姉ちゃんは、紛争状態なんだってばよ」

「え、なに? 姉弟喧嘩か?」

 

 ボルトの問いにナルトは頷く。シャナの部屋にいた時、妙に食材が多いと思ったが、元々はナルトと食べる材料だったらしい。そして二人は喧嘩中。

 ただ部屋がお隣なので、不干渉を貫いているらしい。これまでも何度かこういう事があったというナルト。

 ただ今回は、シャナの怒りが凄まじいらしく、仲直りも出来ていないという。

 

「喧嘩の原因は何だってばさ」

「俺ってば、エロ仙人と一緒に長い修業に行こうと思てるんだってばよ。けど、姉ちゃんがそれを認めてくれねぇんだ」

 

 いつまでも自分を子ども扱いし、ナルトが求める修業を許可してくれないシャナ。ナルトの保護者はシャナなので、自来也としても勝手につれていくわけにもいかないのだ。シャナなら自力で連れ戻しに来るかもしれないし、誘拐で訴えられると里は捜索隊を出さなければならないのだ。

 自来也の準備もそうだが、シャナの許可がなければ修行に出れないナルト。そこで説得を試みたが、互いに譲らぬ主張でヒートアップ。

 

 やがて、「俺の本当の姉ちゃんじゃないくせに」と言ってしまったナルト。その時のシャナの顔は怖くて見る事が出来なかった。ただ、そこから何日も口を利かないし、シャナもナルトを透明人間のように扱った。

 

(うわー、こじれにこじれてるってばさ)

 

 父親とおそらく伯母の喧嘩の原因は互いに対する思いやりからくるものだったのだ。だからこそ、こじれて大事になってしまっている。どうにか解決する方法はないかと考えながら、夜になり用意された布団で眠ろうとしたボルトだったが、ナルトがボルトに聞きたいことがあるという。

 

「俺の事よりさ、お前の家はどんな家なんだ? 父ちゃんとか母ちゃん居るんだろ?」

 

 父親と母親がおらず、普通の家庭を知らないナルトからすれば、父親や母親の居る人間の話を聞いてみたいのは当然かもしれない。今でこそシャナと言う家族がいるナルトだが、父親や母親の存在が恋しくないかと言えばそうではない。

 シャナに父と母の事を聞いても、覚えていないと言われるので余計にである。

 

「俺の父ちゃんは、なんか皆にすっげー頼りにされているみたいなんだけど、忙しくてあんまり家に帰ってこないんだ」

「ふーん、そっか」

 

 ボルトの家族の話を興味深そうに聞いているナルト。

 

「けど、家にいる時は気が抜けてるのか何時もダメダメでよ」

「駄目駄目?」

 

 ボルトは笑いながら、父親の失敗談を話した。彼の妹の誕生日に疲れから誕生日ケーキをひっくり返したエピソードを。それを聞いたナルトは想像してけらけら笑っていた。

 

「そりゃ確かに駄目駄目な父ちゃんだな」

 

 ボルトは内心「あんただけどな」と突っ込みを入れながらも、家族の話をつづけた。それを聞いていたナルトは家族の話をして楽しそうなボルトを見て、幸せそうだと感じていた。

 

「けどさ、そんな父ちゃんでも嫌いじゃねえんだろ?」

「……あぁ。嫌いじゃねぇよ」

 

 父親の子供時代との団欒は、両者ともに心に温かなものが残るものとなった。やがて、両方が寝入ったのだった。

 

 

――――――――

 

 ボルトとナルトの二人が団欒を終え、寝入った後。ナルトとシャナの家の天井には、見張りの目的で潜伏していたサスケが居た。

 ウラシキが既にこの時代にいる以上、何時仕掛けてきてもおかしくはない。だから見張りをしているのだが、一向に現れる気配はない。

 

「ご苦労様だってばね」 

 

 サスケの背後に籠を持ったシャナが現れる。その頭には、カラシキを乗せておりなんとも間抜けな姿だが、シャナのチャクラがなければ未来に帰れないため、協力してもらっている立場のサスケ。突っ込む事も出来ず、シャナが差し出してきた籠を受け取るしかない。

 

「なんだこれは」

「お夜食だってばね。おにぎり握ったの。おかかで良かったんだよね?」

 

 サスケの好物は把握している。いけ好かない態度の子供だったサスケだが、好物くらいは食べているときの反応で知っているシャナ。別の未来のサスケとはいえ、好物は同じだろうと思い、差し入れを作ってきたのだ。

 サスケは、本当にこの人物は幼少の自分を知っているのだなと感じる。だが、シャナが居てもこの世界の自分が里を抜けた事実は変わっていない。変わらないものは変わらないのだろう。

 

 里を歩き情報収集していて知った事実だが、目の前の少女は、かなりの有名人だという事。武勇伝が里や里の外にまで轟いており、実力も折り紙付きだという。もし自分の少年時代にシャナが居れば、力を求めていたころの自分なら嫉妬で、大蛇丸の所に行っていただろうと考える程に。

 

 やがて、シャナが眠いと言って部屋に帰る。残されたサスケは、貰ったおにぎりを食べながら、木ノ葉の夜を眺めていた。

 

 

 

  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。