ナルトとボルトが二人で修行に勤しんでいた時、ついに奴が現れた。自来也とサスケが食料調達のために離れた隙を狙っての事だった。
二人の背後の空間が開き、その中から赤い輪廻眼を持ったウラシキが現れる。本人は奇襲のつもりだろう。影から釣り竿を用いてボルトから狙う。
そこに閃光となって割り込んだのはシャナだ。チャクラの釣り針を粒遁の刃で切断し、容赦なく粒遁・天輪の印を結ぶ。一撃で仕留めるべく狙いを定めながらチャクラを練り込んでいく。
「早いですねぇ。けど、その術で私を殺せるとでも?」
「粒遁・天輪!」
シャナの粒遁を見たウラシキは腰の魚籠から5大性質変化の術を全て取り出し、シャナに向けて放つ。シャナも同時に集束した粒子砲を放つ。ウラシキの放った火遁・土遁・水遁・雷遁・風遁の攻撃をかき消し、ウラシキの体を捉える。
当たれば一撃必殺の威力がある。だが、爆発の中から姿を現したのは無傷のウラシキだった。両目の輪廻眼の色が青くなっており、嫌らしい笑みを浮かべる。
シャナの写輪眼での観察では確実に当たっていたはずだ。
「姉ちゃん! あの野郎、やってやるってばよ!」
「シャナさん! きやがったなウラシキ」
突然現れ大技をぶつけ合った二人にナルトとボルトの二人は出遅れながらもクナイを構え、助太刀しようとする。それをシャナが手で制止する。
「動くな。私一人じゃこいつの相手はきつい。余計な事をするなってばね」
突撃しそうになった二人だったが、シャナに止められては前に出れない。悔しそうにウラシキを睨み付ける事しかできない。
「賢明でしょうね。貴方は強いですが、お荷物を抱えていては、勝てる物も勝てませんしね」
明らかな煽りだ。ナルトとボルトを怒らせるのが狙い。それに二人は乗ってしまった。
「ぶっ飛ばしてやる! 影分身の術!」
「おい、待てって、くそ! 影分身の術!」
「チッ、バカ」
こらえきれず影分身を用いて飛び出してしまったため、シャナは手裏剣で二人を援護するしかない。8枚の手裏剣を投げ、手裏剣影分身の術を使い何十枚にも分身させる。
20人近い影分身と手裏剣影分身の総攻撃を仕掛けた3人。だがウラシキの青い輪廻眼の能力で、どんな方向からの攻撃も彼を捉えられない。瞬間移動のように立ち位置を変え、知っていたようにボルトとナルトの攻撃を回避。シャナの手裏剣も全て回避していく。
ナルトとボルトの影分身ごと攻撃しても回避されてしまう。
やがて攻撃の手が止まると、ウラシキは反撃として釣り竿を振るい竜巻を起こす。その竜巻にボルトとナルトの影分身は消され、吹き飛ばされてしまう。
「遊びはおしまいです」
「「ぐぁああ」」
攻撃を終えたウラシキにシャナが粒遁で接近。彼女の拳が顔面に当たるより先に、ウラシキの瞳術が発動。シャナの攻撃も空を切るはずだった。シャナが万華鏡写輪眼になるまでは。
「そうね」
「ぐっぅう、馬鹿な」
瞳術による巻き戻しを、シャナの瞳術によって強制的にかき消されたウラシキ。見続けた対象の10秒~1分後の動きや位置、状態を、今と入れ替える術、大年神《おおとしかみ》。観察が必須の上、使いづらい術ではあるが、血継限界系統の特殊能力を持つ強力な相手には切り札となりうる。
現に、輪廻眼での巻き戻しをスキップされたウラシキは、シャナによって左腕を切断されてしまった。斬られた腕を押さえながら、ウラシキが苛立っている。
油断していたとはいえ、まだ人間でしかないシャナに腕を切り落とされた屈辱は許しがたかった。
「時を進める大年神《おおとしかみ》ですか。時戻しの御年神《みとしのかみ》も持っている。厄介な人ですねぇ」
(なんで、こいつ私の瞳術を)
シャナの術は、うちは一族に伝わる書物にしか記されていない。それも使用者が少なすぎて、ほとんど情報のない術だ。その名を知っている事が不思議で仕方なかった。だが戦闘中に気を抜くわけにはいかず、先見の万華鏡写輪眼を発動する。
未来を見ながら片腕に追い込んだウラシキと切り結ぶシャナ。チャクラ刀とチャクラの竿による激しい打ち合い、印を結ぶ暇もない。
「少し腕を上げましたか」
「お前は物理的に腕が落ちたってばね」
徐々に加速していく二人の攻撃。ナルトとボルトは、二人の戦いに割り込めない。二人は拮抗しているようで、実質ウラシキの方が有利だった。片腕相手に未来視込みで拮抗しており、制限時間のあるシャナが押し切られるのも時間の問題。
さらにシャナの瞳術を把握されたことでウラシキ相手に不意打ちは成立しない。
「あなたを殺したくはないんですがねぇ!」
チャクラ刀とチャクラの釣り竿で切り結んでいたウラシキは、竿から釣り針を射出し、ナルトとボルトに向かって攻撃を仕掛ける。未来視でウラシキの不意打ちを見たシャナは、すぐに釣り針を迎撃するためにウラシキから離れる。
しかし、それがウラシキの狙いだった。
卑怯にもナルトとボルトを執拗に狙うウラシキ。先見の万華鏡写輪眼で全ての攻撃を捌いてはいるが防戦一方となる。やがて、チャクラ刀を釣り針と糸によって巻き取られ、振るえなくなる。
「やられっぱなしでいられるかってばよ」
ナルトが姉に代わって突破口を開こうと影分身を作った上で螺旋丸を作成。そのまま駆け出そうとしたが、ウラシキの魚籠から雷遁の術が飛び出し、ナルトを襲う。ボルトを庇っていたシャナは敵の攻撃を正面から受けそうになっていたナルトの姿にチャクラ刀を捨て無策にも飛び出してしまう。
術での迎撃は間に合わず、自分の体を盾にしたシャナ。須佐能乎の第一段階で防ぎ切ろうとした彼女だが、ウラシキの放った雷遁は刃の形となり、シャナの須佐能乎を貫通。
「かはっ」
自分一人だけならどうにでもなった。ナルトとボルトを庇いながら戦うというハンデは、シャナの胴体を貫く。死ぬほどではないとは言え、まともに術を受けたシャナは、口から血を吐く。
防御力が一番低いとはいえ、須佐能乎の守りを貫通され、手痛いダメージを負ったシャナ。すぐに御年神を発動してダメージを巻き戻そうとしたが、自分に刺さった雷遁の刃から電撃を受ける事で苦痛に顔が歪み、瞳術に集中できない。
「御年神は、厄介ですからね。けど、今の状態じゃ使えませんね」
「くっ、ボルト、ナルト、逃げるってばね」
シャナの瞳術をシャナより知り尽くしているウラシキ相手に、シャナは巻き戻せる時間の限界が来てしまう。もうダメージをなかったことにすることはできない。片腕を持って行けたが、こちらも手痛い代償を負ってしまった。この傷では、ウラシキを倒せない。
「姉ちゃん、姉ちゃん!」
「逃げろってばね! 風遁・烈風掌」
印を結び風遁の刃で、ウラシキの雷遁を切断。さらに柏手を打つことで突風を発生させる烈風掌で攻撃を仕掛けるが、ウラシキの竿の一振りでかき消される。腹を刺されたシャナは、もう動けないだろう。立ち上がろうとするが、足に力が入らない。
才に溢れ、他里にまで轟く忍者である彼女だが、耐久力に関しては並の人間でしかない。骨が折れれば動けず、胴体を刺されれば立ち上がれない。故に完成した未来視での無傷の立ち振る舞い。だが守る物があるシャナは、身を挺してしまうのだ。
ウラシキは、それを見抜いていた。
「まぁ二人は別ですがね」
ナルトとボルトは動けなくなったシャナを連れて逃げようとする。だがそれを見逃してくれるウラシキではない。シャナという障害が居ない今、下忍の二人を殺すことなど赤子の手をひねるより簡単な事だろう。
ウラシキとの実力差を前に、ナルトとボルトは相手を睨んで歯を噛みしめる事しかできない。特にナルトは自分の独断のせいで姉が重傷を負ってしまった事実がある。