ありふれない剣聖で世界最強   作:茶々丸さん

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前回の短いはこの時の為に……お楽しみください。


Heaven to Hell

5話 Heaven to Hell

 

 

 

オルクス大迷宮攻略当日、俺含めたクラスメイト達はオルクス大迷宮の正面入口のある広間に集まっていた。

大迷宮の入口だから薄暗い所をイメージしていたがどうやらそんなことも無くしっかりと整備されており、ゲートに窓口まであった。

U○Jみたいだな。

 

ステータスプレートをチェックし出入りを記録することで死亡者数を正確に把握する為に窓口があるらしいが戦争もある訳だからこんな所で多数の死者を出せるかって事なのだろう。

 

それはそうと大迷宮の前にはたくさんの屋台が並んでおりここに強い魔物が出るとは到底思えないほど気の緩んだ空気に思わず苦笑いを浮かべ俺はメルドの背中を追うのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

さて、大迷宮の中に入った訳だが……光る鉱石が通路を照らしている様子が凄くファンタジーに見える!!ワクワクするよね!

しばらく進むとドーム状の広間に出た。

様子を見ようとキョロキョロと辺りを見回していると壁の隙間という隙間から灰色の毛玉が湧き出てきた。

 

「よし、光輝達が前に出ろ。他は下がれ! 交代で前に出てもらうからな、準備しておけ! あれはラットマンという魔物だ。すばしっこいが、たいした敵じゃない。冷静に行け!」

 

メルドの忠告通り中々のすばしっこい動きで攻撃を仕掛けてきたが慌てること無く腰に提げた剣を振り抜いた。

王国から貰ったアーティファクトのバスタードソードは流石だと思う切れ味でラットマンを二つに分けた。ちなみにお約束であるこの剣の名前は【聖剣】だったりする。

 

ふと隣を見ると雫が頬を引き攣らせていた。

ラットマンは二足歩行で上半身がムキムキ、八つに割れた腹筋と膨れあがった胸筋の部分だけ毛がないネズミの様な外見……控えめに言って気持ち悪い。

雫のこの反応は致し方ないと言わざるを得ない。

 

それでも雫、龍太郎は拳と刀で、香織と香織の親しくしているメガネっ娘の中村恵里とロリ元気っ子の谷口鈴は魔法でそれぞれラットマンを仕留めていった。

 

「ああ~、うん、よくやったぞ! 次はお前等にもやってもらうからな、気を緩めるなよ!」

 

 そこでふと気が付いた。

広間にいたラットマンが全滅している事に…。

 

「それとな……今回は訓練だからいいが、魔石の回収も念頭に置いておけよ。明らかにオーバーキルだからな?」

 

「すみませんでした……」

 

香織達も自覚があったのか顔を赤くしていた。

さて、そこから同じ様にそれぞれのグループをローテーションで回しいつしか二十階層まで来ていた。

ここからは一流の冒険者がどうかを分けるとかって言われているようだが、正直みんなチートじみたスペックの為割とあっさりと到着してしまった。

 

 

迷宮最高到達階層は六十五階層らしいが、どうやら百年以上前の冒険者がなした偉業で今では超一流で四十階層越え、二十階層を越えれば十分に一流扱いだという。

 

迷宮は強力な魔物が多く現れるがもっとも注意すべきはトラップだろう。

その点トラップを見分けるアイテムとそれを扱う騎士団の経験のおかげもあってすんなりと降りてくる事が出来た。

 

 

「よし、お前達。ここから先は一種類の魔物だけでなく複数種類の魔物が混在したり連携を組んで襲ってくる。今までが楽勝だったからと言ってくれぐれも油断するなよ! 今日はこの二十階層で訓練して終了だ! 気合入れろ!」

 

もう終わりかとメルドのこと言葉を聞きふとある考えが過ぎる。

前世も合わせてそうだが生き物を殺したのは初めてなのに………特に何も感じなかったな。

 

 

「…てるの?光輝!!」

 

「っ……あ、あぁ、どうした雫?」

 

「大丈夫なの?」

 

「すまない、ボーッとしてたよ」

 

「もう…今は実践訓練中なんだからしっかりしなさい。」

 

雫はため息をつきながらも心配そうにこちらを見ていた。

申し訳ないなと思いながらも改めて気を引き締め辺りを見回す。

 

「香織、なに南雲君と見つめ合っているのよ? 迷宮の中でラブコメなんて随分と余裕じゃない?」

 

 俺から視線を外した雫の次の標的になったのは現在進行形で南雲に熱い視線を向けていた香織だった。

 

「もう、雫ちゃん! 変なこと言わないで! 私はただ、南雲くん大丈夫かなって、それだけだよ!……って光輝くんもその優しい視線辞めてよ!!」

 

あまりに微笑ましい青春の光景に砂糖を吐くのを堪えるため笑ってると怒られてしまった。

 

 

 

 

 

 

 

さて、気を取り直し引き続き二十階層を探索を開始した。

マッピングは終わっている為、今日は二十階層の奥の部屋…二十一階層に続く階段ある所までが目標だ。

 

「止まれ。」

 

メルドが左腕を出し俺達の動きを止めると

 

「擬態しているぞ! 周りをよ~く注意しておけ!」

 

 メルドが声を張り上げた直後、前方でせり出していた壁が突如変色しながら起き上がった。壁と同化していた体は、今は褐色となり、二本足で立ち上がる。そして胸を叩きドラミングを始めた。どうやらカメレオンのような擬態能力を持ったゴリラの魔物のようだ。

 

「ロックマウントだ! 二本の腕に注意しろ! 豪腕だぞ!」

 

 メルドが叫ぶと俺達は前に出て構えた。

飛びかかってきたロックマウントの豪腕を龍太郎が拳で弾き返す。俺と雫が取り囲もうとするが、鍾乳洞的な地形のせいで足場が悪く思うように囲むことができない。

 

 龍太郎の人壁を抜けられないと感じたのか、ロックマウントは後ろに下がり仰け反りながら大きく息を吸った。

 

 直後、

 

「グゥガガガァァァァアアアアーーーー!!」

 

ロックマウントの放った咆哮が部屋全体を震動させた。

 

「ぐっ!?」

 

「うわっ!?」

 

「きゃあ!?」

 

ダメージこそ無いもののロックマウントによって放たれた固有魔法“威圧の咆哮”で俺達前衛組は身体を硬直させられた。

 

その隙を逃すまいとロックマウントは大岩を香織達に向けて投げた……と思いきや大岩ではなくロックマウントで

 

「「「ヒィッ」」」

 

妙に気色悪いゴリラのルパンダイブに香織達が思わず魔法の発動を止めてしまった。

 

「あ、こら!」

 

「シィッ!!」

 

俺は身体に鞭を打って香織の前に飛び出ると飛び込んできたロックマウントを切り伏せた。

 

「良くやった光輝。しかし、良くあそこから動けたな。」

 

「あはは…気合いで何とかなりました。」

 

「光輝くん、ありがとう。」

 

スタン状態から無理に動いたせいで身体への負担が大きく取り敢えず休憩する事となった。

 

「……あれ、何かな? キラキラしてる……」

 

 その言葉に、全員が香織の指差す方へ目を向けた。そこには青白く発光する鉱物が花咲くように壁から生えおりまるでインディコライトが内包された水晶のようだった。

香織を含め女子達はその美しい姿にうっとりした表情になった。

 

「ほぉ~、あれはグランツ鉱石だな。大きさも中々だ。珍しい」

 

 グランツ鉱石とは、宝石の原石みたいなもので特に何か効能があるわけではないが、その涼やかで煌びやかな輝きが貴族のご婦人ご令嬢方に大人気であり、加工して指輪・イヤリング・ペンダントなどにして贈ると大変喜ばれるらしい。求婚の際に選ばれる宝石としてもトップ三に入るとかないとか。

 

「素敵……」

 

 香織が、メルドの簡単な説明を聞いて頬を染めながら更にうっとりとする。そして、誰にも気づかれない程度にチラリとハジメに視線を向けていた。

俺と雫はお互いに笑みを浮かべながら幼馴染のピュアな姿を眺めていた。

 

「だったら俺らで回収しようぜ!」

 

ここで名乗りを上げたのはミスターKYストーカーこと檜山くんだ。

檜山は崩れた壁をヒョイヒョイとグランツ鉱石まで登っていく。

 

「檜山勝手な事をするな!」

 

「心配し過ぎだって天之川!」

 

「お前!」

 

すると突然騎士団員の1人が顔を真っ青にして叫んだ。

 

「団長! トラップです!」

 

「ッ!?」

 

 しかしメルドも、騎士団員の警告も一歩遅く檜山がグランツ鉱石に触れた瞬間、鉱石を中心に魔法陣が広がる。グランツ鉱石の輝きに魅せられて不用意に触れた者へのトラップだ。

魔法陣は瞬く間に部屋全体に広がり、輝きを増していった。まるで、召喚されたあの日の様に…。

 

「くっ、撤退だ! 早くこの部屋から出ろ!」

 

 メルドの言葉に生徒達が急いで部屋の外に向かうが……

駄目だ間に合わない!!

 

一瞬の浮遊感と同時に視界は白に塗り潰された。

ドスンと落とされた拍子に目を開くとそこは百メートルはありそうな石造りの橋だった。

転移のトラップで飛ばされる場所だ、安全な訳がない。

 

「お前達、直ぐに立ち上がって、あの階段の場所まで行け。急げ!」

 

後方に上階への階段がある事を確認したメルドが叫んだが時すでに遅し、後方に現れた魔法陣から大量の魔物が現れた。

そして前方にも一体の大きな魔物が現れた。

 

「まさか……ベヒモス……なのか…」

 

やけに鮮明に聞こえたその呟きが事の重大さを物語っていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

▷▶︎◀︎◁

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

後方には大量のガイコツの魔物トラウムソルジャー、前方にはベヒモス。

このあまりの状況に生徒達の恐怖心が増大していく。

 

「グルァァァァァアアアアア!!」

 

「ッ!?」

 

 その咆哮で正気に戻ったのか、メルドが矢継ぎ早に指示を飛ばす。

 

「アラン! 生徒達を率いてトラウムソルジャーを突破しろ! カイル、イヴァン、ベイル! 全力で障壁を張れ! ヤツを食い止めるぞ! 光輝、お前達は早く階段へ向かえ!」

 

「待って下さい、メルドさん! 俺達もやります! あの恐竜みたいなヤツが一番ヤバイでしょう! 俺達も……」

 

「馬鹿野郎! あれが本当にベヒモスなら、今のお前達では無理だ! ヤツは六十五階層の魔物。かつて、“最強”と言わしめた冒険者をして歯が立たなかった化け物だ! さっさと行け! 私はお前達を死なせるわけにはいかないんだ!」

 

 

かってないほどの無力感に歯を強く噛み締める。

どうすれば全員揃ってこの場を乗り切る事が出来るのか…。

しかしこの状況は、魔物は待ってはくれない。

ベヒモスが咆哮をあげながら突進してきたのだ。

 

「「「全ての敵意と悪意を拒絶する、神の子らに絶対の守りを、ここは聖域なりて、神敵を通さず――〝聖絶〟!!」」」

 

 二メートル四方の最高級の紙に描かれた魔法陣と四節からなる詠唱、さらに三人同時発動。一回限り一分だけの防御であるが、何物にも破らせない絶対の守りが顕現する。

純白に輝く半球状の障壁がベヒモスの突進を防いだ。

 

障壁とベヒモスの衝突は足元の石を砕き石橋を揺らした。

撤退を開始していたクラスメイトは悲鳴をあげ転倒した。

 

後ろは……やばいな。

けど……

 

「光輝!!」

 

「光輝くん!!」

 

「くそ!どうすれば!」

 

「天之河くん!」

 

「南雲!?」

 

「南雲くん!?」

 

この状況で俺の前に飛び出してきた少年、南雲の登場に俺含めた前線にいた全員が驚愕を隠せずに居た。

 

「早く撤退を! 皆のところに! 君がいないと! 早く!みんなパニックになってる! リーダーがいないからだ!」

 

 俺の胸ぐらを掴みながら指を差すハジメ。

トラウムソルジャーに囲まれ右往左往しているクラスメイト達を見て俺冷静さを取り戻していく。

 

「一撃で切り抜ける力が必要なんだ! 皆の恐怖を吹き飛ばす力が! それが出来るのはリーダーの天之河くんだけでしょ! 前ばかり見てないで後ろもちゃんと見て!」

 

あぁ、危うく取り返しのつかない事をする所だった。

 

「すまない、南雲。メルドさん、俺下がり」

 

「下がれぇーー!」

 

瞬間障壁が砕け散った。

荒れ狂う衝撃に吹き飛ばされそうになるのを耐えながらベヒモスを見やる。

 

「みんな……後方は俺が切り開く……その間、ここを持ちこたえてくれ」

 

「やるっきゃねぇだろ!」

 

「……なんとかしてみるわ!」

 

俺は後方へと走って行くと聖剣に魔力を注ぎ込む。

 

「みんな離れろ!!」

 

込められた魔力が聖剣の一振と共に放たれるとトラウムソルジャーの半数を消し飛ばした。

 

「みんな今のうちに進めぇ!!」

 

戦えない生徒達を逃がし前線に急いで戻るとそこには錬成を駆使してベヒモスを足止めしている南雲の姿があった。

 

「光輝!!坊主が時間を稼いでる今のうちに撤退の準備をしろ!!…後衛組は魔法の詠唱!!」

 

「なら、俺も最後の一振に最後を賭けます。」

 

先程よりも多いありったけの魔力を聖剣に篭める。聖剣の刀身は白く輝き増していく。

 

「化け物かよ……」

 

南雲は魔力が尽きたのか錬成を辞めて一目散に逃げて来た。

その後ろを追うベヒモスにめがけて俺は聖剣を振り下ろした。

極光に包まれたベヒモスは崩れた石橋で足を踏み外し必死にしがみついていた。

威力に耐えられ無かったのか聖剣は原型を留めることなく崩れ去った。

 

ー酷使してしまったな……ありがとう

 

「南雲今のうちに来い!!」

 

「あ、天之川くん!!」

 

「撃てぇ!」

 

ベヒモスにトドメを、橋の下へ突き落とす為に後衛組が魔法を放った。

夜空を流れる流星の如く、色とりどりの魔法がベヒモスを打ち据える。ダメージはやはり無いようだが、しっかりと足止めになっている。

 

これで全員無事に生還出来る……その安堵からなのかはたまた魔力不足によるのか身体から力が抜け倒れそうになった所を龍太郎が支えてくれた。

 

だが、現実はひたすらに非常であった。

ベヒモスに放たれていた魔法の一部が突然軌道を変えて南雲に襲いかかった。

 

「あっ」

 

俺か香織、もしくはほかのクラスメイトだったかもしれない。思わず漏れ出てしまったその声と共に南雲は崩れた石橋の下へ地獄の底へベヒモスと共に落ちていった。




若干ヒントが隠れとりますが分かるかな?
行き当たりばったりの割に書いてて楽しい…いい事だよね!
コメントも毎度ありがとうございますm(*_ _)m
感想誤字脱字よろしければお願いします!
ではまた次回!!
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