n番煎じだろうと書きたかった。
数日先行でpixivにも投稿してます。こっちは初投稿なんで何か変なことやってたら教えて下さい。
この作品はBLと同じ生産ラインで作られております。アレルギーの方はご注意ください。
書き上げたら「こんなん実質サバサンじゃぁん!」って叫ぶ腐女子の私と「うっせぇそんなつもりで書いてねぇんだよダボが!」って叫ぶ作者の私が殴り合いを始めて自分でも訳わかんなくなったんで、念のため。
この作品自体はBLではないです。
作者がそういうつもりで書いてない以上BLではない。間違いない。
張り詰めた弦は緩めなければ再度張り詰めることは出来ない。無理に張り詰めれば切れるだけ。それは気持ちとて同じこと。
平日昼間ということもあって人数の少ない孤島で7キルしたバイバアルは、他にプレイヤーがいないことを確認して一つ息を吐いた。
2時間。気を張っていた時間としては長いが、まだログアウトする程ではない。キルした奴らもすぐに戻ってきてじきに殺し合いが始まるだろう。
幸いモンスターの気配もない。だからといって立ち止まって休めるほどこの孤島は平和なものではなく、手近な木に登って仮初めの休息を取る。
しかし珍しく、本当に珍しいことに、
リスポンした奴らは別の孤島へ遠征してしまったのだろうか、なら俺も遠征しに行くか。この時間に接続が多いのはどこだったか、λかοか、さてどこへ行こうか――
悲鳴が、聞こえた。
来た、来た! ズルいじゃないか、俺を除け者にして
緩く拳を握り、そっと背後を窺う。聞こえた悲鳴は遠く、けれどなんとか視認出来る近さ。地面からでは見えなかったであろう遠さ、木の上からなら見える近さ。
小さな人影が、大きな人影の喉を切り裂いたところだった。人影が崩れ落ちる前に素早く両肩と両脚に追撃。
喉を切り裂かれたくらいでは、すぐには死なない。けれど四肢を封じられてはろくな反撃も出来ない。殺されるのも時間の問題だろう。
それを樹上から見続けたのは、特に理由があった訳ではない。普段ならすぐに駆け寄って楽しい
ただ、この時の行動が後の自分を形作った、それだけは確かだ。
名も知らぬプレイヤーを行動不能に陥らせた小柄な人影――μーsky――は、それを足元に転がしたまま辺りを見回した。相変わらずとてもいい笑顔で、無邪気にも見える笑顔で、楽しそうに辺りを見回した。
俺が見つからなかったのは偶然だろう。俺はあいつほど潜伏も隠れんぼも得意じゃない。
暫く気配を窺って次の獲物がいないことを確認した
なんだ? なぜ座った? しかも正座で。この孤島で即座に立ち上がれない姿勢をとるなんて正気じゃない。正座をして、動けない瀕死体の脇に手を伸ばして引き摺ろうとしてSTRが足りないのか諦めて、膝立ちで自分が移動して――
「ねーんねーん ころーりーよー おこーろーりーよー」
澄んだ歌声が孤島に響く。
幼女アバターに相応しいソプラノボイス。
少女のような、しかし明確に少年と分かる歌声。
切り合い、撃ち合い、殴り合い。殺し合いが常識のこの孤島群に不釣り合いな、優しい子守唄。
けれどこれこそが相応しいと言わんばかりに、瀕死体の頭を薄い太腿に乗せて強引に膝枕の体勢を作った幼女は歌う。
返り血を浴びた綺麗な笑顔で、優しく歌う。右手のナイフを煌めかせて。
「坊やはー よい子だー ねんねーしーなー」
ザシュ
ザッ ザク ズチュ
ザシュ
ゆっくりと、瀕死体が解体されていく。
瀕死体だ、死体じゃない。このゲームは死んでも暫くはアバターが残るが、あれは明らかに死んでいない。だって呼吸の度に喉から吹き出た血が泡立ち、一刺しごとに身体が跳ねる。
その瀕死体を、相変わらずの笑顔でμ-skYが解体している。
拷問じゃない。勿論戦闘ですらない。それは正しく解体だった。
胸を刺し、ナイフが滑るのか何度か刺し直しながら腹まで切り開き、どこまでもリアルに作られた内臓を曝け出す。
「ねーんねーの お守ーりーはー どこーへ行ったー」
腸を引っ張り出す。切り取る。横に置く。
肝臓を引っ張り出す。切り取る。腸の横に並べる。
幼女アバターの短い手を伸ばし、ゆっくりと解体していく。
AIで多少のボイスチェンジがかけられても尚わかるリアルな少年の声で、優しく歌いながら。
あぁ、死んだ。瀕死体が死体になった。
吹き出す血が止まり、動かなくなる。
それでも歌は止まず、手は止まらず。
「あのー山ー こえーてー 里へー行ったー」
あぁ、あぁ、なんて……なんて……
直後、魔豚の突撃でμ-skYが吹っ飛んだ。
まぁ、あんだけ響く声で歌ってりゃモンスターも寄ってくるわな。
勿論俺もほぼ同時に忌まわしき梟に捕まって食われた。
面白いモン見れたしとりあえずログアウトすっかぁ……。
膝枕しながら解体ってムズない…?