「何故に拒む?君とて理解しているだろう、我々からの誘いの意味を。其れとも、君は其れすらも理解出来ない愚鈍なのかね?道頼苑」
中国政府、大使館の執務室。強面の男性が問いを投げかける
その目線の先には着崩した白衣がトレードマークの小柄な一人の少年
前髪の赤いメッシュが印象的な後ろで纏めたダークブラウンの長髪に紅い瞳、犬歯が特徴的な整った顔立ちの彼は其処に佇んでいた
「貴様等如きがオレ様を勧誘するなど、笑止千万。この世に於いて、オレ様を縛るというのは不可能だ。然し、愚鈍な貴様等如きでは、その答えを導き出す事等到底出来んだろう。故にその答えを教授してやろう、光栄に思え。其れは、オレ様こそが伝説であるからに他ならない」
「き、貴様!言わせておけば!反逆罪と見なし、軍法会議送りにするぞ‼」
「その言葉、本気ではないだろう?其れをすれば困るのは貴様等だ…
「くっ……!」
その折、医学界に彼は颯爽と現れた。僅か14歳という若さで医療系大学を卒業した彼は優れた頭脳と腕で病気の治療法を確立。その名は瞬く間に、中国全土、否、世界各国へと、轟いた
その腕と頭脳は、政府にとっても、重要な戦力であると同時に広告塔へと、成り得る。故に、政府側は、彼を軍医に迎え入れ、国側に抱き込もうとした。しかし、権力や権威を嫌う彼はフリーランスを貫き通すと語り、誘いをいとも簡単に蹴った。其れ即ち、彼を縛るモノは何人たりとも存在せぬもの也
「
「……
「ぐっ……ガキが!調子に乗りおって!」
「良かろう、君の医療の腕は今や我が中国が世界に誇る…生きる伝説。期待しているよ、道頼苑」
「ふんっ……貴様等如きの期待などオレ様からすれば、単なる戯言に他ならん。何があろうとオレ様は己が掲げし信念の元に、物事を遂行するだけだ。其れ即ち
そう告げ、執務室の扉を閉めた頼を待っていたのは茶色の髪をツインテールに結わえた八重歯が特徴的な可愛らしい美少女
「話は終わったの?ダーリン」
「
「あたしはダーリンの妻よ。夫が居る所に居るのは極々明显的、故に当然のことでしょ?違う?ダーリン」
「是失言。今のは、忘れてくれ。小鈴」
彼女の名は凰鈴音。頼がこの世界で最も愛する少女にして幼馴染である
伝説と呼ばれる彼にとって、唯一無二の何者にも変えられない大切な人、其れが鈴である
幼い頃から自分を信じ、寄り添ってくれた彼女は頼にとって、掛け替えのない女性
何年間か離れていたこともあるが、彼女は自分のために苦手な料理を克服し、変わってしまった自分を受け入れてくれた最高の恋人
其れこそが凰鈴音という少女である
「それで?ダーリン。どういう役職で日本へ行くの?やっぱり、医療関係?まあ、其れ意外は有り得ないわよね。だって、ダーリンは伝説の医師だもの」
「無論だ、オレ様に其れ以外の選択肢など存在せん。其れにだ…オレ様以外の愚鈍な輩が小鈴を診察する等、虫唾が走る。お前も同意见だろう?」
「
「当然だ、愛するお前に触れていいのは、このオレ様以外に存在していない。この意味わかるな?鈴音」
「ふぇ……あ、ありがと…。やっぱり……貴方は誰よりも…………
不意を突かれ、鈴は顔を赤らめながら頼に抱き着く
側から見れば小柄な彼等だが年齢は15歳。もうすぐ、高校生となる年齢だ
そして、二人が通うことになる学園の名はIS学園
日本にある、インフィニット・ストラトス「通称:IS」専門の学園だ
「頼、
「
中国の山奥。道一族が代々に渡り、所有するこの山に頼は居た
此処には漢方薬などに最適な薬草が豊富に点在し、頼の処方する漢方薬の材料は大半が此処で調達されている
そして、この山には道一族と僅かな者たちしか知り得ない秘密が存在する
『誰?この山は関係者以外は立ち入り禁止よ』
「揶揄っているのか?オレ様を忘れた訳ではあるまい」
『ウフフ、ごめんなさい。久しぶりね?頼……来る頃だと思っていたわ』
その声と共に金属の体を持つ紅い鳥が姿を見せる。その生命体は頼を見つめ、微笑む
「流石はライブメタルと言ったところか……力を貸せ、オレ様には貴様が必要だ。紅玉」
『承知致しました、ライブメタル紅玉は我が適合者の為にその力を振るうことを御約束致しましょう。それでは今一度、問います……貴方様が望む力とは?』
ライブメタル。其れは意志を持つ未知の金属で女尊男卑の世界に風穴を開ける男性とのみ適合する鎧である
存在は公になっておらず、知る者は極めて少ないが世界各国に適合者は必ず存在している。そして、頼もその中の一人であった
「言わずもがなだが、今一度だけ聞かせてやるから光栄に思え。オレ様が望む力は妻である鳳鈴音を守る為の力、其れ以外の力は欲することはしない。故に貴様の力をオレ様の為に奮うと約束しろ」
『頼は本当に鈴が大好きなのね。分かったわ、この紅玉がアナタに愛する人を守護する力を与える為にお供致します。死が全てを別つ時まで』
「この命ある限り、愛しき者を守り抜く。故に我不迷」