好吃!酢豚は恋の味。   作:田中滅

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最近、寒いなーと思えば暑い!と思う謎の気温変動………服がよくわからねぇよ


第十一集(第十一話) 身份(正体)

「…………どういうことだ?」

 

IS学園屋上、天気は快晴。青く澄み渡った空の下で一人の少女が、じとーという効果音付きの白けた眼をしていた。少女の名は箒、その視線の先では、彼女の幼馴染である一夏、そして彼の友人達が鎮座していた

 

「天気が良かったからな、みんなもどうかな?と思ってさ」

 

「確かに天気は良いが……私が言いたかったのはだな……!」

 

「なんだ?箒。俺の顔になんか付いてるか?」

 

「知らん!この朴念仁っ!」

 

「何故にっ!?」

 

箒の秘めた想いを汲み取り切れず、彼女からの罵倒に驚く一夏。然し、彼の味方はこの場において誰一人として存在しなかった

 

「痴話喧嘩ならば、他所でやれ」

 

「ダーリン♪酢豚が出来たわよー」

 

「是。やはり、小鈴の酢豚が世界で一番だな」

 

谢谢(ありがとう)。今さっき、作ったばかりだから熱々よ」

 

「流石だ」

 

「こほんこほん……」

 

「「……………!?」」

 

鈴の差し出した酢豚に歓喜していたのも束の間、頼の背後から咳払いが聞こえ、誰もが体をビクッと震わせた

 

「みなさん、今日はわたくしもお弁当を作ってまいりましたの。よければおひとつどうぞ」

 

「……………オルコット。一つ聞く」

 

「なんでしょう?頼さん」

 

「味見はしたのか?」

 

((ナイス!頼!!!))

 

頼の放った一言、彼女の料理の味を知る者たちは心の中でサムズアップし、その一言を讃える

 

「失礼ですわね、しましたわよ。セオが」

 

第三者の名が出た瞬間、血の気が引いた様に全員の表情が青白くなり、表情を引き攣らせる

 

「…………フロックハートが?確かヤツは今日、体調不良で休みと聞いているが……」

 

「ええ、昨日までは元気でしたのに不思議ですわ」

 

「……………セシリアさん?まさか、昨日の夜にセオと会ったりとかは……」

 

「ええ、味見をしてもらおうと部屋に行きましたわ。ですが、料理を食べた途端に倒れてしまいまして……何故でしょうか?」

 

((既に被害者が……!!!))

 

逸早く、被害を受けていたセオドアに心の中で合掌する。当の本人は自分の料理に原因があるとは知らずに、綺麗な笑顔でバスケットを差し出している

 

「ダーリン……どうする?」

 

「…………フロックハートが心配だ。往診に行くぞ」

 

「そうね!其れが良いわ!」

 

「あっ!汚ねえ!」

 

「待てっ!貴様等!!」

 

「ポトフですか。45点ですね、煮込みが足りません」

 

「食べといて、酷評しないでくれるかなっ!?」

 

セシリアのお弁当を回避する為に、頼は鈴を連れ、療養中であるセオドアの元へ向かう為にその場を立ち去る。一夏と箒が気付いた時は既に遅く、その場にはシャルルのポトフを酷評しているヴァリーと突っ込みを放つシャルルだけしか居なかった

 

「あのお弁当…」

 

「えっと……俺、実は腹がいっぱいで……」

 

「わ、私もだ」

 

「いえ、お気になさらず……」

 

しゅん、と落ち込むセシリア。流石に手も付けずに遠慮するのは失礼だったか、と思い一夏が動こうとした時だった。セシリアの手からバスケットを誰かが奪い取った

 

「ったく……こんなモン作りやがって。食べる方の身にもなれよな」

 

「セオドアっ!?体調はよろしいんですの…っ!?」

 

その人物は倒れている筈のセオドア、彼はバスケットの中に敷き詰められたサンドイッチを口に運び、悪態を吐き捨てる

 

「あん?あんなんで倒れるかよ、この俺が。しっかし……安定の不味さだな。塩辛いし、油濃っいし、パンもパサパサじゃねぇか」

 

「文句を言うなら食べないで結構ですわっ!返してくださいましっ!」

 

「ヤダね。俺は食いたい時に食う」

 

(ず、ずるいですわ……セオのくせに……わたくしをときめかせるだなんて……)

 

セシリアが自らの秘めた想いを自覚するのは、今はまだ先の話であるがセオドアが三日三晩の間、生死を彷徨い、面会謝絶となったのは言うまでもない

 

「フロックハート。胃薬は常備しておけ」

 

「す、すまねぇ………」

 

「はて?セオはどうなさりましたの?」

 

「セシリア……今度、酢豚の作り方を教えてあげるわね…」

 

「まあ!では鈴さんにはわたくしのIS精進料理を教えて差し上げますわ!」

 

「間に合ってま………え?アンタ、ISで料理してんの?」

 

「はい♪」

 

(前言撤回………セシリアと料理………絶対に不平衡(不釣り合い)……)

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「織斑くん。ISの知識を教えてもらいたいとのことですが、何処まで把握していますか?」

 

実習日、ISの専門知識が乏しい一夏はシャルルの勧めもあり、ヴァリーが行う特別授業を受講していた。頼、セオドア、マティアスは関係無いが知識がある事に越した事は無い為に、参加している

 

「えっと………う〜ん………どう言えばいいか……」

 

「まあ、最初はそうですよね。では君たちはどうです?」

 

「簡単だ、何事も感覚さえあれば上手く立ち回れる。不去想、去感受(考えるな、感じろ)とは我が国が誇る偉大な映画俳優の言葉だ」

 

「はんっ。いいか?感覚だけじゃなんともならねぇ。要は体の角度をどう活かすかだ、角度を完璧にしちまえば、何でも綺麗に回避出来ちまうんだよ」

 

「君たちは何も理解していない様だ。私が思うに織斑は自分の特性を理解し切れていないのでは?其処を把握すれば、君は誰よりも強く美しく立ち回れるだろう。まぁ!美しいのは私だがね!」

 

「…………頼。あのヤローは精密検査をするべきじゃねぇか?」

 

「不是。既に手遅れだ」

 

各々の意見を述べる適合者に、一夏は静かに頷き、理論値皆無な発言にヴァリーは肩を落とす

 

「仕方ありませんね。実戦で覚えていただきましょう」

 

「実戦?デュノアと模擬戦をするとかか?」

 

「いえ………相手はデュノアではありませんよ」

 

綺麗な横顔に笑みが浮かぶ。優しく爽やかな笑みでは無く、哀しくも妖しさを感じさせる笑みを浮かべた彼は右手の人差し指に嵌めた指輪に触れる

 

「鳴り響け、轟け!雷鳴高々に!s'il te plaît(お願いします)!トパーズ!!!」

 

その言葉と共に右人差し指の指輪が光を放ち、黄色のフェレットへと姿を変化させ、ヴァリーの体を覆う様に装甲を展開させる

 

「死んでもらいますよ………織斑一夏。全てはデュノア社の未来の為に……延いては、シャルロットの明るい未来を取り戻す為に」

 




突如、牙を向いたシュヴァリエ!一夏の運命は!

「問題!勝つのはボクか、其れとも君か。正解はこのボクです」
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