好吃!酢豚は恋の味。   作:田中滅

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続きでーす。うーむ、何故に自分が書くとギャグテイストになるのか……今回は一夏の隠れた性癖が明らかに!はてさて、如何なる事やら……


第四集(第四話) 动荡(波乱)

「う…………う〜ん?」

 

空が黄昏色に染りかけた頃、麻酔の効果が切れた一夏は意識を覚醒させながら、ゆっくりと瞼を開き、知らない天井を見上げる

 

「気が付いたか?」

 

「千冬姉……」

 

聞き覚えのある声に視線を動かすと姉の千冬が佇んでいた。彼女也に弟である一夏を心配しているのか、何時もと変わらぬ威風堂々たる立ち姿からは想像が出来ない僅かな冷や汗が確認出来る

 

「道の診断によれば、致命的な外傷はないが全身に軽い打撲はある。数日は痛みと薬の副作用で地獄を味わう事になるが、慣れろとの事だ」

 

「慣れろ…か。頼らしい言い方だな」

 

「そう言ってやるな。衝撃砲の最大火力を背中から受けたお前に的確かつ迅速な治療を施し、命を救ってくれたんだ……感謝してやるのが筋だろう。まぁ……なんにせよ、無事で良かった。家族に死なれては寝覚が悪いからな」

 

「千冬姉」

 

姉弟水入らずの時のみ、見せる姉としての表情。その優しさが感じられる表情が一夏には一番の特効薬であり一番大好きな姉の姿だ

 

「どうした?言いたいことがあるなら、はっきりと言わんか」

 

「……心配かけてごめん」

 

「心配などしていないさ。お前は私の弟だ、そう簡単に死にはしない。其れにだ……如何なる怪我を負おうと、病気に感染しようと、我が学園には凄腕の医師が在中している」

 

「其れって……頼のこと?」

 

「ああ、そうだ。では私は後片付けがあるので仕事に戻るが、お前も道からの許可が降り次第、部屋に戻れよ」

 

千冬が保健室を後にするのと入れ替わりに今度は見覚えのあるポニーテールを揺らしながら、一人の少女が姿を見せる

 

「あー……ゴホン、ゴホン」

 

「よう、箒。どうしたんだ?見舞いに来てくれたのか?ありがとな」

 

少女、箒は軽く咳払いした後に呑気に礼を述べる幼馴染に近寄り、睨み付ける

 

「べ、別に見舞いに来た訳でないっ!お前の今日の行動を叱りに来ただけだっ!勝ったからいいようなものの……あのような事故は先生方に任せておけば良いのだ!」

 

「いやいや、頼や鈴、セオにセシリアも戦ったじゃないか。俺だけが逃げる訳にはいかないだろ」

 

「其れでお前が傷付いては意味がないだろうっ!?あんなものは勝利とは言わん!」

 

「箒………」

 

「な、なんだ…」

 

何時になく真剣な表情と冷静な声色で、自分の名を呼ぶ一夏に箒の頬が赤く染まっていく。彼が見詰める先には自分の姿しかない、故に今から紡がれる言葉は自分に向けられる事は明白だ

 

「ポニーテールとツンデレはマニア受けが高いぞ、どうだ?今後はツンデレキャラを極め---ごばっ!?」

 

「馬に蹴られて死んでしまえっ!馬鹿一夏!!!」

 

浪漫の欠片も無い言葉に箒の竹刀が一閃。彼女は延びている一夏を放置し、保健室を去っていく。しかしながら、彼女は内心では感謝の念を送られた事を嬉しく思ったのは別の話である

 

「………貴様はデリカシーという言葉を知らんのか。織斑」

 

保健室の隣にある薬品管理を行う為の準備室から姿を見せた頼が呆れた眼差しを向ける

 

「あれで良いんだよ…。俺は笑ってる箒が好きなんだ、怒ったり、泣いたりしてるアイツは見たくない」

 

「ふぅん?話には聞いていたけど、随分とあの箒って子に入れ込んでるのねぇ?アンタ」

 

一夏の箒に対する想いを聞き、頼の背後から、ひょっこりと顔を覗かせた鈴がジト目気味のにやけ笑いを浮かべる

 

「そりゃあな。大事な幼馴染で、俺が初めて千冬姉以外で好きになった人だからな」

 

「貴様、オレ様を相手に惚気話とは良い度胸だな」

 

「大丈夫よ、ダーリン。あたし達の絆に比べたら、一夏の気持ちなんてまだまだ序の口よ」

 

难怪(当たり前だ)

 

「鈴。色々と悪かったよ、人の身体的特徴を悪く言うなんて最低だって箒やセシリアにも怒られた……ごめんな」

 

「無問題、もう気にしてないわ」

 

謝罪の言葉をさらりと受け流すように受け止めた鈴は、特徴的な八重歯を見せながら笑顔を向ける

 

「こっちに戻って来たってことは、また店もやるのか?昔、大切な人に食べもらうからって酢豚の練習してたし、料理も上手くなったんだろ?」

 

「…………料理は日々精進した甲斐もあって、上達したわ。其れに食べてもらいたかった大切な人にも食べさせてあげられるようになったわ…………でもね、お店はもうしないの……というか、出来ないのよ」

 

「出来ない?どうしてだ?」

 

「うちの両親ね、離婚しちゃったの。本当はもう少しだけ日本に居る筈だったのに、急に国に帰る事になったのもその所為なの…」

 

「そうなのか…」

 

「其れでも……あたしは妈妈(母さん)爸爸(父さん)があたしを大切に思ってくれてるって理解してる。昔みたいに三人で一緒に暮らしたり、店をやったりは出来ないかもしれないけど、繋がりだけは変わってない。其れが家族なのよ」

 

辛く悲しい過去、其れは決して良いものではない。其れでも時には其れを受け入れられなければならない時は来る。鈴の明るい振る舞いの裏に隠された真意を一夏は見透かしていた

 

「強いな。鈴は」

 

难怪(当たり前よ)。あたしは伝説と呼ばれる医師、道頼苑の妻なのよ。故にあたしが強いのは当然の事よ」

 

「…………織斑。貴様に特別な治療薬を煎じてやった、今直ぐに呑め」

 

「おお、悪いな………ゔぇっ!?苦っ!なんだこれっ!?」

 

「オレ様秘伝の漢方だ。苦さを超えた先にある限界が貴様を強くする、呑め」

 

「断るっ!!!」

 

「そうか……ならば、塵芥と消えるがいい!」

 

「ぎゃぁぁぁぁ!!!」

 

漢方薬を拒否し、逃げ惑う一夏を頼が無表情で追う。その姿は正に小さき体に圧倒的な威圧感を放ち、今の彼を見ても伝説の医師とは誰も思うまい、其れ即ち、静かに揺らめく烈火の如く

その時、保健室の扉が開き、逃げ惑う一夏は何か柔らかい物体に衝突した

 

「きゃん……い、一夏さん?公衆の面前ですわよ?随分と大胆な事をなさりますのね……」

 

「セシリア………その…ご馳走様です」

 

「なぁ、頼。今コイツを追いかけてたよな?俺も参加して構わねぇか?」

 

难怪(当たり前だ)

 

「Thank you。そういう訳だ……一夏?喧嘩しようぜ」

 

「ぎゃぁぁぁぁ!!!増えたァァァァァァ!!!」

 

騒がしいIS学園の日常は今日も過ぎゆく。一夏の叫びが木霊し、其れを追う医師と猿の姿がこの学園の風物詩になる日も遠くはない。其れ即ち、ありふれた日常也

 

(ダーリンってば、焼き餅を妬いてくれたのね。そういう、実はちょっと可愛いとこも我爱你(愛してるわ)我的丈夫(あたしの旦那様)

 

(はて?一夏さんがわたくしの胸に触れたのを何故、セオが怒るのでしょう?不思議ですわ)

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「お呼びですか?織斑先生、山田先生」

 

IS学園地下の研究施設で襲撃の戦犯である敵機を解析していた千冬、麻耶の背後に一人の青年が姿を見せる

 

「来たか、弥生。更識はどうした?」

 

「お嬢様は現在、生徒会の業務が御忙しい為に其方を優先するとの事です。故に今回の件は私に一任すると仰せつかっております。御了承くださいますか?」

 

「構わん。お前の耳に入るということは、必然的に更識の耳にも入るという事だからな」

 

「御配慮いただきありがとうございます。この弥生剣舞、必ずや、織斑先生の御言葉を一語一句聴き損じる事なく、我が主人、更識楯無に御伝えさせていただきます。其れが執事足る我が役目に御座いますので」

 

この青年の名は弥生(やよい)剣舞(けんぶ)。IS学園最強と謳われる生徒会長の右腕にして、身の回り全ての世話を熟す万能さと有能さを兼ね備えた完璧超人の呼び声が高い執事である

その実力は未知数とされ、在学生の誰もがその真価を知らない言わば影の生徒会長と呼ぶべき存在。更に言うとIS学園に於いて最初に在学を許された男子生徒である

 

「其れでは伝える。今回の件で織斑と凰を襲撃した機体は無人機だ」

 

「無人機……という事はコア登録もされていない事になりますね」

 

「その通りだ」

 

遠隔操作(リモート・コントロール)独立稼働(スタンド・アーロン)、何方かは判りませんがいずれも現時点では実現されていない技術(システム)です。織斑君達や最終的に道君が放った一撃で、機能中枢が焼き切れている為に修復は不可能かと…」

 

「織斑先生……何か心当たりでも?」

 

「いやない、今はまだな…。弥生、お前は早急にこの件を更識の耳に」

 

「畏まりました」

 

未だ掴めぬ敵の尾、其れを知る時は妖しい足音と共に静かに歩み寄っている事を誰も今は知らなかった

 

 

 

 

 

 

 

 

 

一夏、セオドア、セシリアが自室に戻り、静寂が支配する保健室では頼が二枚の診療録(カルテ)を手に机に向かっていた

 

「……シャルル・デュノアにシュヴァリエ・ランバージャック。ふむ、此奴等の検査を行えばいいのか…」

 

「でも珍しいわね。こんな時期に転校だなんて……まあ、あたし達も人の事を言えた義理ではないんだけど」

 

「是、確かにそうだが……オレ様が気になるのは其処ではない。このデュノアというヤツの事だ」

 

「どれどれ……はい?ちょっ!?ちょっと待って!你是什么意思(どういうことよ)这个(これ)!?」

 

診療録(カルテ)と転入手続きの書類を頼から受け取った鈴は驚愕し、両眼を見開いた

 

「この子……女孩(女の子)じゃない!?」

 

更なる凶兆、其れ即ち新たなる波乱を呼び寄せる前触れ也




学年別個人トーナメントが迫る中、ある噂が囁かれる。優勝者は織斑一夏と付き合える!?そして、その候補の中には頼とセオの名前も上がっていて……「あたしの頼と付き合おうなんて、笑止千万!」、と中華最大火力の猫娘が大奮起!更に更に現れた四人の転校生!

「問題!勝つのはボクか、其れとも君か。正解はこのボクです」
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