呪霊じゃないです、神官幼女です。   作:かりん2022

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襲撃

帰った私達は、新興宗教の立ち上げをすることとした。

呪術師の子供を保護したり(呪専に送りつけた)、呪霊を退治したり、占いをしたり、祈祷(一般人から呪霊を祓う)したり、お守りを売ったり(悪用されたら困るので面接あり。七海達には無条件で送ってる)、そんなどこにでもある(?)新興宗教である。

 

ミゲルは海外だからすぐは無理だが、ラルゥと真奈美への連絡は取れた。

 

でも勧誘は資金繰りがうまく行くようになってから。

あくどい方法を使わないでのお金儲けは、とっても大変だ。

とはいえ、方法はないわけじゃない。

空翼や愛衣といったわかりやすい異形の起こす奇跡は宗教と相性が良かった。

それにいくら未来が変わろうと、並行世界情報で災害は見通せるので、国に災害情報を売ってお金にする事に成功した。それで一息つけた。

 

 私がいないから、メロンパンの作戦はだいぶ遅れると思う。

 相手も長命なのだから、焦りはするけどこっちも腰を据えてかかった方がいい。

 

 少しずつ、手持ちの呪霊も顕現する眷属(空翼達をこう呼んだ)も増やしていった。

 

 それと共に、呪詛師の情報も探している。

 

 精力的に動き、3ヶ月。

 呪霊退治の依頼に向かうと、取り囲まれた。

 

「私に会いたがってたんだって? 私もだよ♡」

「なら両想いだね。殺ろっか」

 

 軽口を叩き、攻撃をする。ヤバい忙しいからって一人で来ちゃった。脳味噌くりぬかれるのは嫌だな。

 

 悟への人質に使われるのももっと嫌だ。

 

 取り囲むのはメロンパンと虎杖と順平と呪霊三兄弟。十年後の私だったら楽勝かもしれないけど、今の私では駄目だね。皆人間だから使役も出来ない。並行世界の私の記憶があるから勘違いしがちだけど、体術は真希ちゃんと同じくらいか少し下だと思う。未来の伸び代はあるけど、まだ学生で伸びきってない私。

 

 何とか説得できないかな。

 

「君の目的は知ってるよ。私の脳味噌をくりぬいて乗っ取って日本を儀式の道具にするんだよね。そうなれば渋谷も壊滅、日本で大きな被害が出る。君たちは私が保護するよ。寝返ってくれないかな」

「僕の手はもう汚れてる。それに僕をたすけてくれたのは真人さんだ」

「順平っ……おっ俺は」

「話にならんな。お前がそれを出来るというなら力を示せ」

 

うーん、まだ呪霊そんな集めてないんだけど。

 

血を吸って超強化しようにも、ほぼ全員毒属性だから怖いんだよね。詰んだ?

 

手足を穿たれ、ボロボロになって下がる。

 

悟の顔を思い浮かべる。

 

「……ふぅ」

 

私はスッと息を吐いて、大魔法を使う事とした。

 

「私の体は髪の毛一本渡さないよ」

「おっと。待ってもらおうか」

 

 そこで、連れ出されたのは子供だった。

 

「!! 残念だけど、子供よりも、私自身の命よりも。守りたいものがあるんだ。いっぱい迷惑かけちゃったから、今度こそ救いたい人がいるんだよ【偉大なる焔の精霊よ、我が望みを聞き届けたまえ】」

 

 精霊に魔力を焚べる。

 ごうっと炎が私を取り巻いた。

 

「縛るよ。その術式もどきといい、君には聞きたいことが沢山あるから、すぐには殺さない」

「殺されるより、拷問の後に殺される方が嫌かな」

「い……嫌だ!! 俺はやっぱり、殺しに加担はしたくない!! 誰か! 誰か助けて!! 炎なんか消えてくれ!!!」

 

 バシュン、と炎が消えた。

 

「は?」

 

 私の宝石達が、光となって悠仁の元へと向かっていく。

 

「馬鹿な! 精霊の愛し子!???」

 

 そして悠仁は消えてしまった。精霊達が避難させたのだ。

 

 は????? 師匠から頂いた私の精霊達が!????

 

 私はまだ戦闘に魔術を使えるほど習熟してない。やばい。

 

「やれやれ。ま、これはこれで……。息子は後で回収すればいいしね」

 

 このままだとまずい!

 私は走って子供の腕を噛んだ。

 

「ぎゃああああああん!!」

「ごめん、ほんとごめん」

 

 急速に傷が癒えた。

 パンっと背中から黒い羽が生える。

 血が効きすぎてハイになって酔っ払っているのがわかる。

 とっても気持ち良くなって、私は暴れ出した。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「うへへへへぇ、悟ぅ! 硝子ぉ! 飲もう! 今夜は飲もう!!」

「はいはい、傑すごくご機嫌じゃん」

「馬鹿力で抱きつくな、酔っ払い」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「あ、頭が痛い。体が痛い。喉乾いた。なんで縛られてるの私」

 

 メロンパンに捕まったんだろうか。目隠しされて縛られてる。まずいな。

 

「暴れられたら困るからに決まってるでしょ。どれだけ暴れたと思ってるんだよ。はいこれ」

 

 芳香と共に差し出されたのは、血の入った小さなグラスだった。間違ってもトマトジュースではない。

 これは親友の血ですね。間違いない。なんでわかるんだ私。親友の声なので、呪専に囚われたのだろう。

 虎杖くんが呼んで来てくれたんだろうか。

 

「せっかくだけど、酔うからやめて。迎え酒はやめよう。普通にお水頂戴。トマトジュースでもいい。あと、あっさりしたものが食べたい。蕎麦とまではいかないけど、パンとかおにぎりとかください」

「ふぅん。人肉じゃなくていいの?」

「ヴァンパイア差別やめて。やめよう。木の杭を心臓に穿つとかさ。普通の人でも死ぬし。血はドーピング剤とマタタビを混ぜたようなもので、普段から嗜むものじゃないよ。しょっちゅう飲んでたら完全に危ない人だよ」

「噛まれたあの子は無事かな? 吸血鬼になったりしない?」

「病原菌みたいに言わないで。噛んだくらいで感染するようなものじゃないよ。でも謝っておいて」

「仕方ないな。さて、10年ぶりにようやくじっくり話せるね。色々聞きたいんだけど?」

「ちょっと待って。考える」

「悟、マタタビ投入」

「わかった」

「ひどいよ二人とも!?」

「「どれだけ心配させたと思ってるんだこの馬鹿。自白剤よりマシだろ」」

「自白剤は体質的にあんまり効かないから、そっちの方がマ……あ“ー!!」

 

 私はベロンベロンに酔わされて洗いざらい話させられたのだった。

 なんていうか、悟の血も硝子の血も極上の美酒でスピリタスって感じで、ごくごく微量でもすごく気持ち良く酔ってしまった。あと、摂取しすぎでいっぱい吐いた。醜態を晒してしまった……。

 

 私の処遇だけど、秘匿死刑はしないけど、雁字搦めに縛った上で呪専に尽くせと言われた。

 虎杖君に関しても、自ら呪専に駆け込んだのが良かったらしく、死刑は保留。

 精霊が邪魔して殺せないとも言うけど。 うう、精霊……。

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