子供達の遊ぶ公園のベンチに座って待つ。
背後から舌ったらずな声が聞こえた。
「振り向かないで」
びっくりした。その声はあまりにも幼かった。
「腕は残念だったね。子犬が助かって良かった」
「君は……君が占い師?」
「そうだよ。先に言っておくけど、私はオバケが見えないから、貴方の学校へは行けないよ」
「呪術師でもないのに占いを?」
「不思議な事。不思議な物。不思議な力。それは、いっぱいあるんだよ」
「小さいのに、物知りなのも不思議な事?」
「そうだよ。少し眠ったら、良くなった? 腕はごめんね。貴方の破滅の未来は、とても硬いようね」
「それは……それは、私が理子ちゃんを守れなかったからかな」
「守れたとしても、破滅の未来は変わらないよ。だって、貴方は乙女に乙女である事を望んだから。乙女は天使にならなければならなかった。進化し、人間ではなくなった天元様は、いずれ貴方の呪霊操術の対象になるでしょう。ゆえに貴方は誰からも狙われるし、自分を律し続けなくてはならなくなる。それか、その体を一片も残さず灰にするか。術式を奪える呪詛師が、貴方を狙っているから。それに、貴方を使えば、貴方の親友の隙も作れるしね。貴方は貴方が思うよりずっと、価値があるの」
「ま……待ってくれ」
「会うんじゃなかった」
「待ってくれ!」
「貴方のような子供が無惨な目に合うのは見たくはない。だから」
「だから?」
「私に、貴方を助ける理由をちょうだい」
「理由?」
「貴方を私の弟子にする」
「弟子?」
「そう。私は大いなる存在の血啜る蚊蜻蛉に過ぎない。善でも悪ですらない害虫……大いなる存在に侍る妖精とか、神に仕えし神官なんて名乗る人もいるけどね。実態はそんなもの。でも、弟子を一人救うぐらいなら、出来ると思うわ。外法を使えばね。一週間後のこの時間、また来るわ。私の手を取るか、自死を選ぶか、他の方法を探すか……選んで」
「一週間も必要ないよ。そんなこと聞いたら、手段とか選んでられないよ。私は自分で死ぬつもりもないし、悟の弱みになるつもりもない。よろしく。振り向いても良いかな」
「ええ」
私と夏油さんは向き合った。
「よろしく」
「よろしく。ママンには話しておくから、次の休みにうちに来て。夕方からはいつもいるから」
そうして、私は住所と電話番号の書かれた紙を渡す。
「お金を忘れずにね。弟子入り代として、携帯買ってもらうから」
「わかった」
そういうことで、弟子が出来た。魔法も神術も精霊魔法もガッツリ教えちゃうから!
後日、母に凄くごねられて、母も弟子にする事になった。