マシュマロください
https://marshmallow-qa.com/lucaluca?utm_medium=url_text&utm_source=promotionL
今話よりpixiv版とも分岐です。
『呪術師、やめる事にしたよ。今日の任務でちょっとヒヤッとしてね。七海と灰原と昼食食べたら、先生に言いに行く』
そのメールを見た時、ひやっとして、視界が真っ暗になって、でもついに来たかって思った。
なんとかメールを返した後、硝子に電話する。
「硝子。俺、傑と離れたくない」
『それが我が儘だってことはわかってんだろ』
「わかってる」
『……なら良い。離れたって、死ぬわけじゃないんだからな』
「うん」
傑の分の仕事を片っ端から取ってたの、硝子は気づいてると思う。
頑張った。頑張った。頑張っただけじゃ、どうにもならないことを思い知らされた。
こんなのずっと続かないし、傑の為には傑が一線を引いてくれた方がいいってことはわかってた。
片腕の術師なんて普通にいるし、片腕でも頑張れよ、強い術式だから大丈夫だって。
そう言ってしまいたい気持ちをグッと抑える。
それは、親友を思うが故だった。
いつから歯車が変わったのだろう。
それは、あの電話が来た時だったのではないか。
『あ、いや、嫌な予感がして』
それから気になって任務から帰って居場所を聞いたら、任務をサボったって話で。
その時には、七海と灰原の依頼に突っ込んでった事はわかってたはずなのに、知らされなくて。結局、嫌な予感がした俺が無理矢理聞き出して任務に向かうと、傑の腕が吹っ飛んで、傑が気絶するところで。
頭が真っ白になった。
そんな状態なのに、傑は行く場所があるって慌てていて。
傑を硝子に任せた後、傑の言う場所には、3人の虐待された子供がいて。
占いのせいだってのはすぐわかった。
占いのせいだ。傑のおかげで5人は助かったかもしれないけれど、俺を出汁にされて動いた傑は腕を失った。占いのせいだ。
傑が付き合い始めたのは、匿名で誤魔化しちゃいたが、有名な占い師で非術師。
その割には占いの精度があまりに高すぎると思うけれど……。
でも、変なこと言って付き合い始めた女が占い師。バカでもわかる。変なことは占いだったなんて。
それから、依頼がおかしいことに気づいた。
だって、すぐに助けに行けたら傑は腕を失っていなかった。
なのに、情報をすぐに渡されなかった。そもそも、後輩たちの依頼がおかしいことに気づいた。
頭に血が昇って、でも、傑を守らないとって落ち着いて、家に確認をとって。
嫌がらせらしいって事に目の前が怒りで真っ赤になった。
上層部なんて他人事だったのに、不信感でいっぱいになる。
傑の部屋の前につく。
急いだのに遅くなって、深夜なのと傑に会うのが怖くて、ノックを一瞬躊躇する。この俺が!!
バン、と振り切るように扉を開けると、片腕の傑が、寝ぼけながらちまちまお守りを作っていた。
「傑。呪専やめんの」
「ああ、うん。やめるよ」
「やめんなよ」
勝手に言葉が出ていた。
それと同時に、思った。
傑はやめた方がいい。守りきれない。
傑は、俺の弱みだから。
「ごめんね、悟」
手を、ぽんと頭に乗せられる。なんだか傑が大人っぽく感じて面白くなかった。
「……強い呪霊、倒す時、呼ぶから。たまには手伝えよ」
「うーんスパルタ。まあ、それくらいならいいよ」
「硝子呼んで、お別れ会しようぜ。1年と2年も呼ぶ」
「すごい迷惑だね……」
それから、お別れ会して、翌朝、眠い目を擦りながら久々の授業に出ると、夜峨センが頭を下げた。
「すまん! 辞めるなら秘匿死刑にすると言われた!!」
「はあ!? なんで!」
「術式から言って呪霊は片腕でも祓えるだろうと言うことだ」
「戦える理由であって戦わないといけない理由じゃねーよ!」
「術式の危険性が高いからと言うことだ……」
「お別れ会したし! みんなで色紙も書いたし!!」
「すまん。本当にすまん」
「っざけんなよ!」
本気で怒る。傑の命に関わることだ。
っていうか、死ぬまでやめさせないってどういう事だ。辞める理由としては十分だろう。片腕がないんだぞ。
「……俺への嫌がらせなのか? そうなのか」
「悟。抑えて」
「悟! 言ってはいけない事がある。……たとえ事実だとしてもだ。それに、確かに傑の術式は監視が必要な術式ではある」
「傑! 秘匿死刑だぞ、何も悪いことしてないのに!」
「はあ……。少し考えさせてください。両親に自主退学するって伝えてしまったし、相談したいので」
このまま、何もせずに死刑にされるつもりかよ、傑!!
それから、傑は。
占い師一家と共に、姿を消した。
俺の心に、嵐が吹き荒れた。