帰ってきたらD×Dだった件   作:はんたー

101 / 155
あけましておめでとうございます。
今年も帰ってきたらD×Dだった件をよろしくお願いします。


スライム魔王と対面です

 木場side

 

 

 

 

 

 

 僕達は眼の前の存在に驚きを隠せずにいた。

 綺麗な流麗線を描く透き通った空色のそれは、まるでこの場の主のように佇み、ふんぞり返っている。

 それは可愛らしい笑顔? で僕達に言う。

 

「はじめまして、俺はスライムのリムル。悪いスライムじゃないよ」

 

 警戒を解きほぐすような、柔らかな声でそう言ったスライムを前に、僕達は唖然となり、思わず叫ぶ。

 

「「「「す、スライム────────!?」」」」

 

 驚愕したのは僕だけではないらしく、部長達や美猴、アザゼル先生も驚嘆の声を上げている。驚くのは当然だ。何せ、スライムは“使い魔の森”で幾度か見た存在だ。

 服を溶かすという性質こそ持つが、基本的には最弱とされている存在……それが魔王をやっているとなると、驚くのも無理はない。

 

「お、オイ兵藤! ほ、本当にこのスライムが魔王様なのか!?」

 

「……皆驚きすぎだろ」

 

 匙君も信じられないといった風に驚いている。それを呆れつつも嗜めるようにイッセー君が抑えるが、匙君はリムル様に指差ししながら言う。

 

「驚くに決まってるだろ!? だって、スライムなんかが……」

 

 だが、その叫びは続かなかった。匙君の叫びの中、いつの間にかリムル様の後ろに控えていた執事服の男性と角が特徴的な秘書風の女性が各々の武器を携え、匙君の首元に当てていたからだ! 

 ……全く気づかなかった。イッセー君の速度に慣れ、フェンリルのスピードにも対処できた筈の僕達が、視認することすらできなかったのだ! 

 

「貴様……リムル様に対して無礼だぞ?」

 

「クフフフフ、リムル様。この愚か者は如何様に処分……」

 

「せんで宜しい! 下がってろお前ら!」

 

 リムル様の言葉に二人は残念そうにしながら、リムル様の背後に移動する。

 リムル様は呆れた様子を見せながらも、椅子から飛び上がり、徐々に姿を変えていく。

 そこに現れたのは幼気な美少女にも見える中性的な顔立ちに、蒼銀の長髪と金色の瞳を持つ青年だった。その金色の瞳は僕達をしっかりと見据えている。

 この人は見覚えがある! 確か、授業参観の日、イッセー君の親戚と名乗っていた人だ! 

 

「では改めて、はじめましての奴もいるから自己紹介しておく。俺がジュラ・テンペスト連邦国の国王にして、八星魔王(オクタグラム)の一柱、リムル・テンペストだ」

 

 リムル様はそう言いながら、思わず見惚れてしまうほどに眩しい笑顔を振りまいた。

 

 

 

 

 

 ****************************

 

 イッセーside

 

 

 

 

 

「大丈夫か? 匙?」

 

「こ、殺されるかと思った……」

 

 匙は首筋を抑えながら、滝のような汗をかいている。流石にディアブロさんとシオンさんの殺意を一身に受けたんじゃあそうなるのも無理はないな。

 

「取り敢えず、この街でリムルを下に見るような言動をしたら殺されると思えよ」

 

 まあ、実際にはあの程度の言動だと、殺意をぶつけられることはあっても直接攻撃してくるやつはいないだろうけどな。即殺してくるようなのは分別のつかないディアブロさんやシオンさんくらいだと思う……多分……きっと……。

 そんな俺の反応に匙は悪いイメージでもしてしまったらしく、慌ててリムルに頭を下げる。

 

「お、おう。す、スミマセンでした。リムル様……」

 

 リムルも流石に悪いとは思ってるのだろう。こちらも慌てて匙に謝罪をしている。

 

「いや、気にしてないから! こっちこそ、和ませるつもりが怖い思いをさせてしまって悪かったな。お前等も反省しろよ」

 

「「はい……」」

 

 リムルに咎められたディアブロさんとシオンさんは二人してションボリしてる。それを見て溜息をつくシュナさん……ああ、なんかこのノリ懐かしいな。こういうのを見ると、テンペストに帰ってきたと実感するわ……。

 

「……はじめまして。異世界の魔王リムル陛下。私はサーゼクス・ルシファー、地球の魔王をしております」

 

「私はセラフォルー・レヴィアタン☆ サーゼクスちゃんと同じ魔王よ☆」

 

「ミカエル様の代理で参りました。四大セラフのガブリエルと申します」

 

「堕天使総督のアザゼルだ。よろしく頼むぜ」

 

「話はイッセーやミッテルトから聞いています。こちらこそ、よろしくお願いします」

 

 ミカエルという名前に少し反応しつつも、一応向こうの世界のある程度の知識は有してるリムルは柔和な表情を崩さず、挨拶をする。

 リムルの言葉にサーゼクスさんは頷き、真摯な態度で頭を下げた。いや、サーゼクスさんだけじゃなく、アザゼル先生やセラフォルーさんも同じように頭を下げている。いきなりのことでリムルも流石に困惑しているな。そんなリムルに対し、三人は感謝の言葉を述べた。

 

「まずは、感謝の意を述べたい。貴殿が援軍を送ってくれなければ、妹は間違いなく殺されていたでしょう。本当にありがとうございます」

 

「私も間違いなくツファーメに殺されていたと思うし、とても感謝してるわ」

 

「ああ。あの状況だと、俺達は十中八九全滅してただろうな。神が二柱に魔王一人、堕天使総督と幹部が死ぬとなりゃ、悪魔や堕天使も大打撃だし、北欧と日本神話に至っては立て直しが効かない状態になっていたかもしれない。そうなりゃ、他の神話との協力なんざ不可能だし、最悪神話同士の戦争が起きてたかもしれない。そんな状況を回避できたんだ。礼を言わせてほしい」

 

 三人の言葉を聞いて俺は納得する。確かに、リムルがルミナスさんにウルティマさんやカレラさん達を向こうの世界に送らなければ、あのまま全滅もあり得ただろうな。俺とセラは誘拐され、ミッテルトや部長達は全員殺されてただろう。

 そうなれば、アザゼル先生の言う結末だってあり得たかもしれない。そういう意味でも、リムルは大恩人ということになるのだろう。

 

「いえいえ、こちらこそイッセーがいろいろとお世話になっているみたいですし、礼を言わせてもらいたい。……苦労してませんか?」

 

 おいこら、リムル! なに人を危険人物扱いしてんだよ!? 心外だな! 俺は他の人たちに比べたら、だいぶまともだという自負があるんだぞ! 

 ん? なんだミッテルト? その「何言ってるんだコイツ?」的な眼は? 俺は別に問題児というほど問題児でもないし、ぶっちゃけた話、かなりまともな部類だろう? 

 

「いえいえ、とんでもない。イッセー君には妹もよく助けてもらっていますし、彼のおかげで……いえ、これは言うべきではありませんね」

 

「そうそう☆ ドライグ君がいなかったら、ソーたんも危険な目に遭ってたかもしれないし、本当に感謝してるわ☆」

 

 サーゼクスさんとセラフォルーさんの言葉に少し照れ臭い感じがするな。何を言おうとしていたのか気にはなるけど、二人して感謝されると、すごく気恥しい。

 

「まあ、あのスケベっぷりには苦労することもあるがな……」

 

 うっ、アザゼル先生の一言がかなり効く! 今この場には父さんと母さんもいるというのに遠慮なく言いやがって……。

 

「本当、ごめんなさいね。うちの息子が」

 

「こんな感じに育ってしまって誠に申し訳ない」

 

 二人とも、便乗しないでくれ! さっきとは別の意味で恥ずかしいからさ! 

 

「……では本題に入りましょうか」

 

「……ええ。その前に、ミリキャスを別室にやってもよろしいでしょうか?」

 

「ええ、もちろん。ついでに、イッセーのご両親達も案内しますよ。シュナ」

 

「はい。かしこまりました」

 

 リムルの一言でシュナさんはミリキャス達を別室に案内する。流石にまだ子どもであるミリキャスやほとんど無関係の父さん母さんを会議に参加させるわけにはいかないからな。

 ミリキャスと父さん達、あとグレイフィアさんがシュナさん主導のもと別室に行ったことを確認すると、リムルは外交向けの表情に切り替える。それを見たサーゼクスさんやアザゼル先生たちも真面目な表情になっている。

 

「……さてと、早速ですが、皆様の用件を伺いましょう。ただ、お礼を言いに来ただけとは考えづらいですからね」

 

「ああ。その通りだな。俺達は何も助けられた礼を言うためだけにわざわざ異世界に来たわけじゃない。俺達は例の“神祖”についての情報を聞きに来たんだ」

 

「ある程度構成員が把握されている“禍の団”と違い、神祖の陣営はほとんど情報がない。それはそちらも同じかもしれないが、少しでも多くの情報が欲しいからね」

 

 サーゼクスさん達が欲しいのは神祖の情報と、もう一つ。だが、いきなりそこに入る前に神祖の情報を求める辺り、神祖を警戒しているのがよく分かるな。まあ、神祖の高弟たちの力を目の当たりにすれば、無理もないのかもしれないな。

 

「神祖トワイライトの情報は、こちらの魔王間でも共有しています。取り敢えず、わかってる範囲の情報を提供しましょう」

 

 リムルから齎されたのは判明している神祖の高弟達の情報だ。彼等はそれぞれが独立して国を作ったり、神祖のサポートをしたりしていた。だからこそ、かつて一国の王だったカグチみたいに表立って有名な存在と、メロウみたいにそうでないものに分かれているらしい。なかにはルミナスさんですら、面識がない存在もいるんだとか。

 

「だけど、ルミナスやシルビアさん、“最古参の三賢人(トリニティワイズマン)”にも当たってみたところ、結構有用そうな情報が齎されたからね。まずは、それらについて話しましょう」

 

 神祖の高弟────トワイライトにより産み出されたそれぞれの種族の祖とも呼ばれる存在であり、完璧な種族を作る過程で産み落とされた超越者達。

 ジャヒルや“最古参の三賢人”みたいに神祖のことを今なお信奉するものもいれば、ルミナスさんやシルビアさんみたいに神祖に対して素っ気無い態度のものたちもいる。

 彼等は各々が国を作ったり支配したりしており、各々のやり方で神祖に貢献しようとしていたらしい。

 

「現状神祖に付いていった高弟で判明してるのは第五位カグチと第六位メロウ、第七位ドォルグの三人。でも、ルミナス達の見立てだと、残る神祖の高弟達も幾人か存在する可能性が高いらしい。取りあえずは、ドォルグについて判明している情報を共有したい」

 

 カグチとメロウは今までの戦闘で基本戦法や能力など、多くのものが判明していたからいいが、今後未知の神祖の高弟と戦うことを踏まえると、他の高弟の情報は非常に重要なものとなる。

 

「ルミナス達の話によると、ドォルグは様々な武器を創造することができるらしい。それも、“伝説級(レジェンド)”や下手したら“神話級(ゴッズ)”の武器をも自由に作ることができたそうだ」

 

「“伝説級”に“神話級”……ですか? それは一体?」

 

「武器の等級だよ。“伝説級”がデュランダルやエクスカリバー級の武器……“神話級”は禁手した“神滅具(ロンギヌス)”やコールブランド級の武器と考えればいいと思うぜ」

 

 聞き馴染みのない単語に首を傾げる木場に答える。すると、この場にいる皆が目を丸くして驚愕の表情を浮かべた。

 

「オイオイ、それ程の武器作りたい放題とか……どんなチートだよ?」

 

「別に驚くことじゃないですよ。テンペストにはそれらの武器を鍛える事ができる鍛冶師がいますし、何より俺はそんな感じの究極能力の使い手と戦ったことがあります」

 

「天魔大戦で現れたって奴っすね。確か、イッセーが倒したっていう……」

 

「……オルリア……死んだ後も結構面倒臭い奴だったよ」

 

 “妖天”の一人にして、俺が究極能力に覚醒するキッカケを作った女だな。天魔大戦で戦ったオルリアは、神話級の武器を好きなだけ作ることができる究極能力“武創之王(マルチウェポン)”の使い手だった。奴の武器や防具はあいつが死んだ後もちょくちょく見かけたし、本来なら前線に出すべき奴じゃなかったように見受けられる。ぶっちゃけ、最期には同情したけど、天魔大戦の序盤の方で倒せてよかった敵筆頭かもしれないな。正直、ヴェガがあの能力を使いこなせてたらって思うとゾッとするわ。

 

「つまり、そのドォルグって奴もオルリアと同じタイプの究極能力の使い手ってことか?」

 

「確証はないけど、可能性は高そうだな。実際、“最古の三賢人”の武器とか、シルビアさんの“金剛杵(ヴァジュラ)”なんかはドォルグが作ったやつみたいだしな」

 

 ちなみにルミナスさんの武器は自らの力で“神話級”にまで高めたものであり、基本的には神祖やドォルグ作のものではないのだという。他にも、エルメシアさんの“円月輪刃(チャクラム)”にガゼル王の長剣……驚くべきことに、レオンさんの“聖炎細剣(フレイムピラー)”も元を辿ればドォルグの作品なのだという。

 

「……“聖炎細剣”とか俺の鎧を豆腐みたいにぶった斬るとんでもない武器だぞ? それもドォルグの作品なのかよ……」

 

「まあ、それはレオンの技量もあるだろうけど、とんでもない事に違いはない。なんていうか、戦闘もできるクロベエってところかな?」

 

 戦闘もできるクロベエさん……なるほど、言い得て妙だ。ドォルグも覚醒してるだろうし、以前見た存在感は途轍もないものだった。流石にカグチ程ではないにしても、メロウと同格以上と見て間違いないだろう。

 

「他の高弟に関しても、能力がわかっている者たちに関してはこの資料に記してあるので、よろしければどうぞ」

 

「感謝します」

 

 リムルの指示により配られた資料に目を通す。

 ……ふむ、どいつもこいつも厄介そうな奴ばかりだな。流石は、ルミナスさんの兄弟弟子といったところか。しかも、これは数万年前の段階の記録だ。実際には当てにならない可能性もあるし、全く未知の方向性の進化や究極能力を得ている可能性もある。だが、それでも有用なことに変わりはない。資料を受け取ったサーゼクスさん達は改めてリムルに礼を言った。

 

「何から何まで感謝します」

 

「いえいえ、これくらいなら何でもありませんよ。……では、もう一つのほうの議題に移りましょうか?」

 

「ええ」

 

 もう一つの議題。それに関してピンときてない部長達を尻目に俺は飲み物を飲みほして言葉を待つ。

 

「では、言わせてもらいます。我々“三大勢力”は、貴方方異世界の存在と正式な同盟を結びたいと考えています」

 

「ほう?」

 

 その言葉に部長達は息を呑む。部長は瞠目し、恐る恐るといった感じで口を開く。

 

「よ、よろしいのですか? いくらなんでも、ほとんど互いの事をわかっていない現状で、いきなり同盟樹立は尚早なのでは……」

 

 部長の懸念も最もだ。何せ、テンペストは部長達からすれば新たに現れた新勢力。

 

「わかってるさ。だが、現状神祖と“禍の団”の二つの陣営と同時に事を構えるには、俺達だけでは力不足感が否めないんだよ」

 

 正直、“禍の団”だけならば三大勢力と一部の神話勢力だけでも対処可能だろう。唯一脅威となるのはオーフィスくらいだろうけど、全勢力を集結させれば倒すことは難しくても、案外封印位はできるんじゃないかと思う。師匠だって封印されてたわけだしな。

 だが、神祖は別だ。正直、オーフィスとは強さの桁が違う。地球最強の存在であるオーフィスとグレートレッドも始原級の存在値はあるが、戦闘技術が高いようには見えなかったからな。竜種級の力を持ち、なおかつヴェルグリンドさんですら警戒する程の実力を持つ神祖が相手だと、仮に地球の全勢力を集結させても勝てるかわからない。それに加え、神祖には強力な高弟(配下)が複数存在している。だからこそ、リムルの協力が必要不可欠なのだ。

 

「もちろん、タダでとは言いません。こちらからは、地球の魔法技術を提供しましょう」

 

「もしかしたら、他の神話勢力ともお話することもあるかもしれないし、その時は私達が橋渡しを約束するわ☆」

 

「それは心強い。こちらもできうる限りの支援はしますよ」

 

 リムルの奴……心無しか少しワクワクしていそうだな。リムルはミッテルトの視界を通して色々と見ていたらしいし、地球の勢力に関しても以前から気になっている感じだったしな。三大勢力との協力はリムルにとっても有益なことなのかもしれないな。

 

「では、こちらも……我々テンペストは貴方方三大勢力と正式に同盟を締結したいと考えます。これからよろしくお願いします」

 

 テンペストとの同盟樹立……それはすなわち、“基軸世界”全体と同盟を組むことができたといっても過言ではない。三大勢力の和平もそうだけど、すごい時代に立ち会っているのを改めて実感するな。それは、他の皆も同じらしく、この和平の瞬間をみんなは共に瞼に焼き付けるのだった。

 

 

 

 

 ****************************

 

 

 

 

 

「……リムル。俺からも一ついいか?」

 

「何だ? イッセー?」

 

 会議も大詰め。三大勢力とテンペストの和平条約の摺り合わせも大方片付いたタイミングを見計らい、俺はリムルに嘆願をする。

 

「聞いてるとは思うけど、父さんと母さんの件だ。今回、神祖の策謀に二人が巻き込まれちまった。トーカ達を信用してないわけじゃないけど、今後似たようなことがあれば、現状アイツラには厳しいと思うんだ」

 

「……なるほど。つまり、お前の両親を守れる護衛が欲しいと……」

 

 トーカ達の実力を疑っているわけではない。実際、トーカは格上三人を相手に大立ち回りを演じ、時間稼ぎには成功してる。

 仮にトーカがいなければ、父さん母さんは別の場所に移動させられてた可能性もある。そうなれば追跡は困難だっただろう。実際、ウルティマさん達の話によると、ツファーメ配下の悪魔達は転移魔法陣を構築し、どこかに跳ぼうとしてたという話だ。

 トーカが稼いだ時間がなければ、ウルティマさん達は間に合わなかった可能性もあったんだ。本当に感謝してもしきれねえ。

 でも、今後似たようなことがあれば、次はどうなるかわからない。だからこそ、手練れ……少なくとも、“超級覚醒者(ミリオンクラス)”の使い手を連れてきてほしいんだ。

 

「うちからもお願いするっす! うちの両親が冥界にいて、うちが一緒に入れない以上、イッセーの両親以上に危険かもなんす!」

 

 ミッテルトの言葉を聞き入れ、リムルは暫し考え、やがて……。

 

「来てくれ、モス。ソウエイ」

 

 リムルの号令とともに、モスさんとソウエイが突如として部屋に現れる。相変わらず、気配すら感じなかったぜ。皆も目茶苦茶驚いてるし、初めてだとびっくりするよな。

 

「モス。お前は堕天使領に行き、ミッテルトの両親の護衛及び諜報を命じる。アザゼル殿の元で神祖の情報を集めろ。ソウエイはトーカ達と共にイッセーのご両親の護衛と監視を命ずる。二人共、何かあれば直ぐに俺に連絡するようにしろよ」

 

「御意」

 

「仰せのままに」

 

 ソウエイさんとモスさんは一言言うと、即座に姿を消した。多分、転移門に向かったのだろう。相変わらず仕事が早い人達だ。

 あの人達なら今まで以上に安心だ。何せ、片や究極能力保持者に片や原初やベレッタさんを除けば最強の悪魔! どちらもメロウが相手でも引けを取らない実力者だ! 

 

「ありがとな、リムル。あの二人なら安心だぜ」

 

「本当にありがとうっす! リムル様!」

 

「礼ならあの二人に言えよ。後々、向こうに送れそうな奴が他にもいないか考えとくよ」

 

 取り敢えず、これで両親の安全面は大丈夫だろう。ソウエイさんとモスさん以外にも送ってくれるって言うし、安心できそうだ。

 サーゼクスさん達上層部の方々はもう少し話すらしいので、俺やオカルト研究部の面々は一足先に部屋をあとにすることとなった。此処から先は、悪魔や天使のシークレットな情報なども含まれるみたいだしな。

 

「あ、そうそう。イッセーに客が来てるから、待たせないようにな」

 

「ん? 俺に客?」

 

「ああ。別室に待たせてるから、失礼のないように……。あと、たまには学校の方にも顔を出してやれよ。()()()()達もお前に会いたがってるんだから」

 

「応、後で見に行くよ」

 

 学校か……皆元気にしてるかな? 皆も紹介したいし、あとで行くとするか……。

 それはそうと、客って? 俺指名とは珍しい。客というからにはテンペスト(身内)ではないだろう。誰だ? そう思いながら、俺はまだ会議を続けるらしいサーゼクスさん達に一礼して、隣の部屋へと移動する。

 部屋に近づいた瞬間! 放たれた微弱な気配に俺は背筋を凍らせた! こ、この気配は! 

 

「なに突っ立ってるんだよ。とっとと入って来いよ」

 

 俺は部屋から突如として放たれた声に思わず白目を剥く! 部屋から出てきた部長達も俺の異常に気づいたらしく、怪訝そうに俺の元へと集まる。

 

「どうしたの? イッセー?」

 

「……ああ、この気配は……」

 

「……俺、生きて帰れるかな?」

 

 不思議そうにしている部長に何かを察したミッテルト。俺は皆を尻目に覚悟を決めて、部屋の中に入る。

 

「よう、イッセー。久しぶりだな」

 

「ふふふ、お久しぶりですわね」

 

 そこには二人の男女が座っていた。一人は長い白髪と深海色の瞳の少女! 柔和ながらも凍てつくような冷たい気配を醸し出しながら、じっと俺を見つめている! もう一人は長身痩躯、赤い髪と真紅の瞳の妖艶な美貌を持つ男性! 笑みを浮かべながら、俺達を興味深そうに観察している! こ、この人たちは!? 

 

「ひ、久しぶりですね。ギィさんにヴェルザードさん……」

 

 “最凶”の魔王に“最強”の白竜。二人の超越者が静かに、だが確かにその豪華な長椅子に座り、じっと俺たちを見つめているのだった!

 

  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。