イッセーside
ヴァーリ達がヴェルザードさんとともに(恐らく)迷宮に向かった後、俺達はギィさんと別れ、魔国の案内を行っていた。
正直な話、よくヴェルザードさんに喧嘩売ろうとか考えたよな。アイツ。根性があるというか、馬鹿というか……。
「イッセー兄様。僕達はどこへ向かっているんですか?」
「それは、ついてからのお楽しみだな」
「イッセー君の以前の職場と聞いたけど、楽しみだな」
というわけで俺は今、会議を終えたサーゼクスさんやミリキャス達と合流し、皆を以前働いていた職場の一つに案内しようとしていた。
本当はヴァーリ達と一緒に迷宮に行ってもよかったんだけど、リムルにも言われたし、俺の教え子たちを紹介するのも面白そう……というのは建前で、ぶっちゃけるとヴェルザードさんと一緒に迷宮とか行きたくないだけなんだけどな……。
(あの人、俺がギィさんの力を持つのを快く思ってない節があるからな……)
だからか知らないけど、結構な頻度でボコられるんだよな……。覇龍を使ったところで簡単に氷漬けにされて砕かれるし、本当あの人理不尽。まあ、今回はヴァーリ達が身代わりになってくれて助かったぜ。せめてアイツラの冥福を祈ろう。
「おっと、そろそろ見えてくるかな?」
俺が指を指すと、そこは巨大な門だった。その向こう側には一際大きな建築物があり、その中には赤と青の制服に身を包んだ少年少女たちが思い思いの時間を過ごしている。丁度休み時間っぽいな。
「あん? なんだあれ? 学校か?」
「学校……ですか?」
アザゼル先生の言葉にソーナ会長が反応する。やはり、ソーナ会長と匙にこの光景を見せるのは都合がよかったな。何せ、この光景は日本以上にソーナ会長の理想そのものなのだから。
「ええ。此処がテンペストの誇る世界三大学園の一つ……“テンペスト人材育成学園”です」
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リアスside
「凄いところね」
「色々な種族の子ども達がたくさんいるわね☆」
私は思わずそう呟きながら、周囲の光景を見回した。人間と異形のモノが外見の差など些末なことだと言わんばかりに共に遊んだり、食事を食べたりしている。向こうの世界ではあまり考えられない光景ね。
もちろん、同じ学園の魔物使いである清芽さんのように、人外と仲の良い関係を築く存在がいないわけではない。
それでも、それを至極当たり前のことのように周囲一帯で行っている場所があるだなんて、少し信じられないわね。セラフォルー様もこの光景を興味深そうに眺めている。
「イッセーはココで何をしていたのかしら?」
ここで働いていたというイッセーは何をしていたのかしら? 警備員の仕事でもしていたのかもしれない。そう考えていると、予想外の答えが帰ってきた。
「俺はここで教師をしていたんですよ」
「先生ですか! 凄いですね!」
「お前が教師!? なんか似合わねえな」
その言葉に思わず私達は歩みを止める。ミリキャスやアザゼル先生達は素直に驚いているけど、私達はそれ以上の衝撃を受けていた。
教師……あのイッセーが……。す、凄い! じゃ、じゃあ、これからイッセー先生に個別で勉強とか色々なことを教えてもらうなんてこともできるわけで……。
「イッセー君が教師……とても驚きましたわ。でも、それなら丁度いいですわ。ねえ、イッセー君。今後、私に二人きりでお勉強を教えてくれないかしら?」
「ちょっ、あ、朱乃さん!?」
なっ!? 真っ先に我に帰った朱乃は猫撫で声でイッセーに擦り寄ってきた! ず、ズルいわ! わ、私だってイッセーに勉強を教えてほしいのにぃ!
「ちょっと! 抜け駆けは良くないわよ朱乃! わ、私だってイッセーと一緒に勉強がしたいんだから!」
私はイッセーの片腕を引っ張り、朱乃に向かって叫ぶ!
しかし、朱乃は全く動じずに余裕の笑みでイッセーの片腕に抱きつく。
「あら? 確か、リアスは前回の期末では全教科満点……教えて貰う必要なんてないのではなくて? ねえ、イッセー君。私、前回の期末……数学で少し躓いてしまいまして、よろしければ復習がてら、一緒に勉強会を開きましょう?」
「たった一問、しかもただの計算間違いじゃないの! そんなの次気をつければ朱乃なら簡単に満点取れるでしょう! そもそも、その前の中間では貴女は満点で、私のほうが低かったでしょ! お互い様よ!」
「何よ! そんなの英文のたった一単語のスペルミスじゃない! その程度の間違い、暗記すれば事足りるでしょう! とにかく、私がイッセー君と一緒に二人きりで勉強会をするの!」
「いやよ! 私がするのよ!」
徐々に論争はヒートアップしていき、私はイッセーから離れて滅びの魔力を……朱乃は雷光を身体から出しながら互いに互いを牽制し合う。
そこに、小猫やアーシア、ゼノヴィア達がするりとイッセーの元に赴き、モジモジしながらイッセーに言う。
「実は……私も少し苦手な教科があって……先輩に教えてほしい……です」
「私もアーシアも国語がまだ不完全では、頼んでいいか?」
「是非ともイッセーさんに教えてほしいです」
「ちょ、ちょっと待てって……」
ここで小猫にゼノヴィア、アーシアまでもがイッセーに勉強を教えてほしいと頼み込んできた! くっ! ズルいズルい! 私だってイッセーに教えてほしいんだから!
「よかった〜! この間のテスト、あまり良くない点数だったからどうしようと思っていたのよ。持つべきものは幼馴染ね!」
結局、暇な時間にイッセーを講師とした勉強会を開くということでこの話は落ち着いた。本当は二人きりで勉強会をしたかったのに……。
「……何やってるんすか?」
「ハハ、大人気だね。イッセー君」
ミッテルトはジト目で私達に視線を向ける。裕斗はイッセーを慰めているみたいね。イッセーは何やら複雑そうだけど……。
ふと、ソーナの方を見ると、興味深そうに周囲の景色を観察している。やがて、ソーナと匙君はイッセーの元へも近づいていく。
「……まさか、兵藤君が教員経験者とは思いませんでした」
「俺も……いや、なんか子ども達を教えていた的なことは言ってたけど、まさかマジの教師だったとは……」
ソーナと匙君は驚きの声でそう言った。まあ、私もイッセーが教師やってたなんて予想もしていなかった。でも、思い返してみると、イッセーは何かを教えるのがとても上手い。
戦闘訓練では、私達に不足しているものを的確に挙げて指導していたけど、今思えばそれはここでの経験から来ていたのかもしれないわね。
「まあな。匙と会長を連れてきたのはさ、此処が二人の建てる学校の何かしらのヒントになればと思ったからなんだ」
「……そうですね。多種族共生国家の学校……確かに、学べることもありそうです」
「そ、そうですね。俺も、何かしら参考にできることがないか考えます!」
ソーナも匙君も気合十分といった感じで学園の見学をはじめる。
確かに、あらゆる種族が共に学ぶこの学校は、言い換えればどのような身分でも学ぶことができる学校という、ソーナにとってはある意味夢の完成形ともいえる場所。ソーナ達も気合が入るのは無理ないわね。
(……そうね。私も強くなるためにわざわざ異世界に来たのだから。こっちも気合をいれないとね)
でも、どうして私達まで学校に連れてきたのかしら? 学校の見学だけが目的なら、私達まで付いてくる必要はなかった気が……。
「あっ、ティス先生」
「あ、これはイッセー先生。ご無沙汰しております」
私が考え事をしていると、イッセーは誰かを見つけたらしく、近づいて話しかけた。
どうやらイッセーの友人みたいね。ティス先生と呼ばれた先生は挨拶をし、イッセーと楽しそうに談笑を始めた。
「お変わりなさそうで何よりです」
「いえいえ。ところでイッセー先生は何用で?」
「ちょっと、俺の生徒達を紹介しようかなって思いまして……あっ、紹介します。故郷での俺の友人です」
「初めまして、ティスと申します。普段は“イングラシア総合学園”で教師をしています」
「リアス・グレモリーです。よろしくお願いします」
ティスさんは普段は別の学校で教師をしており、こちらと向こうを行ったり来たりしているとのこと。イッセーとは教員時代の前から付き合いがあったのだという。
「イッセーが教師になる前から……ですか?」
「はい。当時、私の受け持ちだった生徒達がイッセー先生のことをとても慕っていましてね……」
「元を辿ればそれが原因でリムルに教師やらされる羽目になったんだよな……」
そう言いながらも、イッセーは感慨深く思っている様子ね。
それにしても、気になるのはイッセーの生徒ね。いったい、どんな子達なのかしら?
「……ねえ、イッセー君。イッセー君の生徒達ってどんな子なんだい?」
「そうだな……滅茶苦茶ヤンチャだけど、可愛い教え子たちだな。勉強以外にも戦いとかも教えてたんだぜ」
「へえ。じゃあ、ある意味では僕達の先輩なのかもしれないね」
「確かに……そうなるかもな」
裕斗の言うとおり、私達は基本的にイッセーから闘いを教えてもらっているし、そういう意味では私達の先達に当たるのかもしれないわね。それにしても、イッセーったらうれしそうな顔しちゃって……。よっぽどその生徒さん達と合うのが楽しみなのね。
ティスさんと別れた後もイッセーはとても懐かしそうにしている。すると、何処からともなく誰かの声が聞こえてきた。
「あーっ! イッセー先生!」
「え?」
声のした方向を振り返る。────すると、そこにはリムル様とは異なる“桃色のスライム”がいた。
「とうっ!」
スライムはぷよぷよとこちらに近づいてゆき、やがて飛び跳ねると徐々に人の形へと変化していく。
そこにいたのは十歳くらいの少女。桃色の髪色と触覚のように伸びる癖っ毛が特徴的ね。というか、リムル様とどことなく似ている気がするわね。もしかしてこの娘……。
「お久しぶりです! イッセー先生!」
「おお、シンシヤ! 久しぶりじゃん! 元気にしてたか?」
「久しぶりっすね。シンシヤ様」
「ミッテルトお姉さんも久しぶりです!」
ミッテルトが様付け……彼女は目上の人や身分が上の人には様付けを行うことがある。やっぱり間違いなさそうね。
「────? イッセー先生、この人達は?」
「ああ、この人達は向こうの世界の俺の友達に魔王様だ」
「なるほど! パパが言ってた人達ですね!」
少女は私達の方に振り向くと、眩しい笑顔で挨拶をした。
「初めまして! 私はリムル・テンペストの娘、シンシヤです! よろしくお願いします!」
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イッセーside
「初めまして、私はリアス・グレモリー。イッセーと同じ部活の部長をしているわ。よろしくね」
「ハイ、よろしくお願いします!」
シンシヤが自己紹介をすると、オカルト研究部の面々も次々と自己紹介を始める。皆魔王の娘であるシンシヤに興味津々って感じだな……
「僕はサーゼクス。リアスの兄でこことは違う世界の魔王をしているんだ」
サーゼクスさんはそう言いながら、シンシヤに握手を求めるように手を伸ばす。それを見たシンシヤも笑いながら、それに応じた。
「おお! 貴方が異世界の魔王様ですか。よろしくお願いします」
「よろしく頼むよ。そして、こっちが僕の息子のミリキャスだ。同じ魔王の子ども同士仲良くしてくれると助かるよ」
「ミリキャス君ですね。私はシンシヤって言います! 仲良くしましょうね!」
サーゼクスさんはミリキャスを紹介し、シンシヤもミリキャスの方へと近づき、笑顔で挨拶をする。……って、あれ? 何だかミリキャスの様子がおかしい気が……。
「……? どうかしましたか?」
ミリキャスは顔を赤くしながらじっとシンシヤの顔を覗き込んでいる。シンシヤが心配そうに声を掛けるが、ミリキャスは全くの無反応だ。礼儀正しいミリキャスなら、何かしらの返事をするはずだけど……。
「……ミリキャス?」
「へ? あ、はい! な、なんですか? イッセー兄様!」
心配になった俺はミリキャスの肩に手を置くと、ミリキャスはやっと周囲に気づいたらしく、返事をする。だが、流石に様子がおかしい。何だかいつも以上に声を張り上げているし……一体どうしたんだ?
「ミリキャス、大丈夫かい?」
「は、ハイ! 大丈夫です! 父様!」
心配そうに話しかけるサーゼクスさんに対し、ミリキャスは大丈夫だと応えるが、どこからどう見ても大丈夫ではないな。顔が目茶苦茶赤くなってるし、髪色も相まって真っ赤っ赤って感じだな。
「何やら顔が赤いみたいですけど、熱があるんですか?」
「ひゃ!?」
シンシヤはそう言いながら、ミリキャスの額にピトっと手を当てる。すると、ミリキャスは目に見えて不審な挙動になり、慌ててその場を離れた。すげえ勢いだったぞ、今。
ミリキャスは額に手を当てながら、掌を勢いよく振っている。
「だ、大丈夫です! も、問題ありません……」
「? そうですか」
……これってもしかしなくても
「何だか、僕の若い頃を思い出すな……」
「貴方はあそこまで奥手ではありませんでしたわ」
しかし、あそこまで恥ずかしがるとは、ミリキャスの意外な一面を見たな。やっぱりそういうところは年相応なのかもしれないな。
そこに誰かがこちらに駆け寄ってくるのを感知した。皆も気づいたらしく、一斉にそちらの方を見る。そこには赤い制服に身を包んだ少年の姿があった。
「シンシヤ様、こんなところで何を……っと、イッセー先生?」
「おっ、“アカヤ”じゃん! 元気にしてたか?」
シンシヤを追ってきたのはベニマルさんとモミジさんの息子の“アカヤ”だった。薄い赤の髪と真紅の角に天狗の耳が印象的な少年だ。
「はい。ご無沙汰しています」
アカヤとシンシヤは俺の受け持っていたクラスの生徒であり、二人共俺の教えたことを直ぐに覚える優秀な奴らなんだよな。特にアカヤは凄く真面目で“ヴェルドラ流闘殺法”の技をかなりの数モノにしていたくらいだしな。
「ところでアカヤ。他の奴らはどこにいるんだ?」
「ああ、皆今は教室にいますよ。こっちに来るように伝えましょうか?」
「いや、こっちから行くよ」
皆元気にしてるかな。目茶苦茶楽しみになってきたぜ。
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「よう皆! 久しぶり!」
俺は挨拶をしながら扉を開け、教室の中へと入る。そこには赤と青の制服に見を包んだ数人の生徒達がいた。皆は雑談を止め、俺の方に視線を向ける。やがて────
「イッセー先生!?」
「来てくれたの!?」
ガタッと椅子から勢いよく立ち上がり、俺の方へと駆け寄ってきた。前に会ったのは一年くらい前だけど、皆そんなに変わった様子はなさそうだな。
「久しぶりね、イッセー先生。今日も元気に変態してるの?」
「変態してるってなんだよ“
銀髪ツインテールと頭に留めている悪魔を模したヘアピンが特徴的な少女“八重垣
「なあ、イッセー先生! また色々必殺技教えてよ!」
「応、後で教えてやるよ。“フィオ”」
少女にくっついてきたのは彼女の弟。銀髪ポニーテールに龍のヘアピンと十字架のネックレスをしている少年“八重垣フィオ”だ。何やら必殺技を教えてほしいと強請ってきたので軽く受け流す。
「お久しぶりです。イッセー先生。お元気そうで何よりです」
「そっちも元気そうだな。“セツナ”」
次に来たのはラージャの姫“セツナ”。お淑やかな雰囲気を醸し出す黒と赤の髪の毛が特徴的な少女はとても儚げな笑顔で俺に挨拶をする。そこに付随してきたのはもう一人のお姫様。緑の髪の活発そうな少女だ。
「たまに遊びに来るって言ってたのに、待たせすぎですよ! イッセー先生!」
「ごめんごめん。わるかったって“ミーム”」
「……それで謝ってるつもりですの? 心配してたんですわよ」
「……本当にごめんな、“
「よろしい!」
真紅の髪に黒いメッシュをした長髪の少女“桜姫”はむくれながらこちらに近づいてきた。うん。スマン。確かにたまに顔を出すとか言っといて一年も来なければ心配するか。昨年までは割と普通に“異世界の門”を使っていたから月一くらいの頻度でこっちに来ていたけど、今年は本当にゴタゴタしてたからな……。
「……コイツラがお前の?」
「ええ。俺の可愛い生徒達ですよ」
そこでようやく皆はオカルト研究部や異世界の重鎮たち気づいたらしく、一斉にそちらの方へと視線を向け……。
「「「「……誰?」」」」
一斉に首を傾けた。
こういう次世代キャラ出せるのは本編後二次の特権よな
賛否もあるだろうけど、僕は結構好きです。そういうの
え? ヴァーリ? 結果がわかりきってるのに書く必要あるのか……?
生徒達の詳細な紹介は次回以降のお楽しみに
追記
DDの全く同じ名前のキャラがいることに気付いたので改名します。
椿姫→桜姫