帰ってきたらD×Dだった件   作:はんたー

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オカ研の迷宮攻略です

 木場side

 

 

 

 

 

 

 目が覚めてから数時間後。僕達はテンペスト地下迷宮の攻略のため、三十階層へとやってきた。石造りの薄暗い構造は、何処か不気味な印象を漂わせている。

 

「ここが迷宮三十階層……」

 

「何だか不気味なところですね……」

 

 ちなみに、イッセー君は何やら用事があるらしく、サーゼクス様と共に何処かへ行ってしまった。何処へ行ったのかは知らないけど、サーゼクス様が神妙そうな顔をしていたから、何か大切な話があるのかもしれない。それでも、アーシアさんなんかはイッセー君がいないことに少し寂しさを感じている様子だ。

 

「えっと、ここで待ってれば助っ人が来るって話よね?」

 

「ええ、イッセーはそう言ってたけど……」

 

 流石に初めての迷宮攻略だと、勝手もわからないということで、最初の一日だけ、イッセー君が助っ人を連れてくると言っていたんだ。一体どんな人なんだろう? 

 

「あ、いたいた! 貴方達がイッセーさんの友達ねぇ?」

 

 声の方向に振り返ると、いかにも魔法使いらしい格好をした金髪の女の子と、それに付き従う剣士らしき二人の姿が目に写った。

 

「はじめまして、私はエレン。イッセーさんの友達で冒険者よぅ。今日はよろしくねぇ!」

 

「俺はカバル。一応、このパーティのリーダーさ」

 

「あっしはギド。よろしくでやんす」

 

 イッセー君の言っていた助っ人って、この人達のことなのかな? 何ていうか……少し失礼だけど、そこまで凄い人には見えない気がする。今までに会ってきた人達は、どれもこれも凄まじい力を感じられた。研究職であるという吸血鬼の人達も、最上級悪魔に匹敵する力を持っていた。でも、この人達からは底までの力を感じることができないな。そんな事を思っていると、僕の考えを察されたのか、エレンさん達は苦笑いを浮かべる。

 

「あはは、まあ、あっしらはあくまでただの冒険者でやんすからね」

 

「そこそこは戦えるけど、魔国の人達に比べたら全然弱いしな……」

 

「でも、迷宮については結構詳しいつもりよぅ! だから大船に乗ったつもりで任せなさい」

 

 そう言いながら胸を張るエレンさんはかなりの自信があるみたいだ。確かに、言われてみればその通りだと僕は納得する。初挑戦の僕達と何度も挑戦しているというエレンさん達とでは経験値が違う。全く未知の迷宮で、経験者がいるというのはかなり頼りになりそうだ。

 

「よろしく頼むわ。エレンさん」

 

「ええ、任せてちょうだい」

 

 部長とエレンさんは固く握手を交わし、迷宮の入口へと目を向ける。こうして僕達の迷宮攻略が始まるのだった。

 

 

 

 

 

 ****************************

 

 

 

 

 

「ハア、ハア……」

 

「追いつかれる……」

 

「ひぃぃぃっ! な、何なんですかぁぁぁっ!?」

 

 迷宮攻略を開始して既にかなりの時間が経過していた。僕達は疲労に耐えながらもその足を動かし、眼の前の脅威から逃れようとしていた。

 

「ちょっと! なんでいつもこうなるのよぅ!?」

 

 ドドドドドドッ!!! 

 

 後ろを振り返ると、凄まじい数の魔物の大群が押し寄せてきている! 一体一体は大した事ないけど、狭い通路の中であの大軍と戦うのはあまりにリスクが大きいと言わざるを得ない! 

 

「カバルのせいよぅ! 何であんなあからさまに怪しい扉を開けるのよぅ!」

 

「いや、もしかしたら宝物があるかなと思って……」

 

「これで死んだらカバルを恨んでやるでやんす」

 

「死んでも生き返れるし、いいだろ!」

 

「「それとこれとは話が別よ(でやんす)!!」」

 

 ほ、本当にこの人達で大丈夫だったのかい、イッセー君!? そんな事を考えながら、曲がり角を曲がる。すると、直線状を塞ぐように壁が前に立っていた! 

 

「行き止まり……やるしかないわね」

 

「くるわよ!」

 

 僕達は即座に振り返り、臨戦態勢を取る。凄まじい数だけど、やるしかない! 

 

「雷光よ!」

 

「はあぁっ!」

 

 朱乃さんが雷光を、紫藤さんが光の剣を使って眼前に迫っていた魔物を斬り裂く。だけど、それだけでは駄目だ。数が違いすぎる上にこの場所では僕達の本領が発揮できない! これは厳しい戦いになりそうだね。僕は聖魔剣を取り出し、鋒を魔物達に向けて構える。それを見た魔物達は一斉に飛びかかってきた! 

 

「風の聖魔剣!」

 

 僕は風を操る聖魔剣を作り出し、吹き荒れる風を纏った斬撃で魔物達を斬り裂く。

 

「滅びよ!」

 

 部長も滅びの魔力を用いて眼前に迫りくる魔物達を次々と消滅させていく。狭い通路を直進して進んでいく滅びの魔力はこの場所だと適しているみたいだね。僕も負けていられないな。

 

「おらぁ!」

 

「ギィ!?」

 

 そこへ、カバルさんが剣を持って魔物に斬りかかる。魔物は血を撒き散らしながら、静かに倒れていく。しかし、そのすぐ背後にいた魔物がすかさずカバルさんを噛み砕かんと牙を剥く! 

 

「げぇ!?」

 

 危ない! 僕はすかさず彼のカバーに回ろうとするが、その前にエレンさんが地面が砕けた破片に魔力を込め、弾丸のように解き放った! 

 

「行くわよぅ! “鉱結晶魔弾(クリスタルショット)”!」

 

 ドドドドドンッ! 

 

 放たれた質量弾は次々と魔物達を貫く。それに負けじとロスヴァイセさんが多種多様な魔法陣を構築し、一気に魔物達へと叩き込む! 

 

「簡易版“フルバースト”!」

 

 狭い通路のため、いつもに比べると威力は控えめだが、それでも魔物達を殲滅するには十分な物量だ! 魔物達はロスヴァイセさんの放つ強大な魔法に抗うことができず、一気に消滅していった。

 

「ふう……」

 

「凄い凄い! 今のが異世界の魔法なのねぇ!」

 

「あっ、ちょっと……」

 

 魔物達がいなくなったのを確認すると、エレンさんはロスヴァイセさんに抱きついてきた。どうやらエレンさんは僕達の世界の魔法に興味津々のようだね。対するロスヴァイセさんは少し困惑している様子だ。そんなエレンさんをやれやれといった感じで見つめるギドさんは、懐から何かを取り出して書き記している。

 

「結構走ったでやんすからね。多分、迷宮の大きさからしてここらへんが次の階層への階段だと思うでやす」

 

 その言葉に僕もギドさんの持つ用紙を覗き込む。そこにはこの迷宮の地図が描かれていた。ギドさんは空白となっている場所をどんどんと叩きながら、そこが次の階層への道のりであると教えてくれた。

 

「すごいですね。走りながらこんなことをしていただなんて」

 

「へへ。まあ、これくらいどうってことないでやす」

 

 アーシアさんの称賛にギドさんは少し鼻を高くして胸を張る。

 僕自身、逃げるのに手一杯で地形については考えていなかったから、素直に感心する。流石、迷宮に慣れているだけのことはあるね。

 

「ここね」

 

 ギドさん主導の下、辿り着いた部屋からは、何やら先ほどとは一味違う魔物の気配がする。

 扉を開けると、そこには見るからに凶暴そうな鬼が配下を率いながら階段の前を陣取っていた。

 

「あの鬼は?」

 

「“大鬼の狂王(オーガロード)”。三十階層の階層守護者(ガーディアン)にして、B+ランクの魔物ですね」

 

「ふむ、だが、あまり強そうには見えないな」

 

「同感ね。まあ、イッセー自身最初の方は迷宮に慣れるまでのチュートリアルみたいなものだと言っていたしね」

 

 そのランクがどれほどのものかはわからないけど、少なくともそこまで脅威には思えないな。多分、そこらのはぐれ悪魔より多少強いくらいかな? 

 

「ガアァッ!」

 

「っ!」

 

 大鬼の狂王は配下を一斉に僕達に襲わせる。僕は余裕を持って回避するが、どうやら誘導していたらしく、回避した方向に鬼の一体が待ち伏せしていた。僕は鬼の放つ一撃を聖魔剣で防ぐが、鬼は連携を持って防御を越えようとしてくる。その連携は意外と侮れないものだ。

 

(でも、集団戦には慣れている!)

 

 度重なる“英雄派”との戦いで、連携してくる相手の対処法は知っている。まずは、連携の要となる司令官を倒す! 

 

「グゥッ!?」

 

 騎士のスピードを用いて、大鬼の狂王のもとに一瞬で移動した僕はそのまま大鬼を斬り裂こうとする。大鬼は負けじと獲物である大剣を振り翳し、咄嗟に防御するが、僕は逆に大剣を斬り裂き、そのまま大鬼の胴を一刀両断した。

 

「行きますよ!」

 

「こっちも負けないわよぅ!」

 

 エレンさんとロスヴァイセさんが、魔法による飽和攻撃で残った鬼達を粉砕していく。複数の魔法陣から成る魔法が鬼を蹂躙する様にはある種の爽快感すら感じられるね。

 

「これで次の階層に進めますわね……あら?」

 

 朱乃さんが何かを見つけたらしく、視線を向ける。そこには先程までなかった宝箱が鎮座していた。

 

「宝箱! 何が入ってるのかしら!」

 

「フフフ、これぞ迷宮の醍醐味よねぇ」

 

 イリナさんは眼前に現れた宝箱に目を輝かせながら近づく。宝箱の中に入っていたのは魔剣だ。先程の大鬼に近しい力が宿っているらしく、荒々しい力を感じる。もう一つは金貨らしきものだ。どうやら、純金でできているらしく、美しい輝きを放っている。

 

「“オーガシリーズ”の大剣か。まだ持ってなかったからラッキーだぜ」

 

「通貨らしいものもありますね。これは……いくらぐらいになるんでしょうか?」

 

 ロスヴァイセさんは宝箱の中にあった金貨を取り出し、まじまじと眺めている。それを見たカバルさんが金貨に指差しながら言う。

 

「金貨十枚。確か、そちらの……えっと、ニホンエン? 換算で100万エンだった筈でやす」

 

「ひゃ、ヒャクマンッ!?」

 

 ロスヴァイセさんは手にしていた金貨の相場に驚き、眼を丸くしていた。十枚で百万円ということは、一枚で十万円の価値があるということが。ロスヴァイセさんがこうなるのも無理はないね。

 

「……この扉は?」

 

 小猫ちゃんは階段の前で何かを不思議そうに見ている。僕達も近づいてみると、そこには不思議な雰囲気の扉があった。扉の前にはハンドベルが置いてある。一体これは……僕達がまじまじと扉を観察していると、エレンさんが胸を張りながら説明をしてくれた。

 

「これは休憩部屋の入口よぅ。ここでお金を払えば宿屋に転移して食事や宿泊ができるのよぅ」

 

「地上に比べると割高だけど、風呂にも入れるし中々いい場所なんだよな」

 

「ちなみにこの“記録地点”を使えば冒険を続きから再開することもできるでやす」

 

 三人は各々で眼の前の扉や装置についてをわかりやすく説明してくれる。ちなみにこの“記録地点”は十階層毎に設けられてるらしく、それ以外の場所から冒険を再開する場合は受付や休憩部屋の呼出で販売している“事象の記録玉”を使う必要があるのだという。

 

「……なんていうか、ゲームみたいです」

 

「それは私も思っていたわ。もしかしたら、実際にゲームかなんかを参考にしてるのかもしれないわね」

 

 僕も部長達の言葉に頷く。ずっと思っていたけど、この場所はなんていうか、RPGの中に迷い込んだかのような錯覚に陥るくらい、ゲームみたいな構造になっているんだ。

 

「そういえば、リムル陛下は元々地球出身と言ってましたわね」

 

「そうね。イッセーも大分ゲーム好きだし、そう考えると不思議じゃないのかもしれないわね」

 

「……で、どうするんだ?」

 

 ゼノヴィアの問いかけに部長は瞠目しながら考え込み、やがて僕達一人ひとりの顔色を窺う。暫くすると、溜息をつきながらハンドベルの方へと手を伸ばした。

 

「……あの子ども達との戦いでの消耗が抜けていない現状、無理するのも良くはなさそうね。エレンさんから迷宮についても色々と教わりたいし、ここは休みましょう」

 

 確かに、僕達がイッセー君の生徒と戦ってからまだそこまで時間が経過していない。それでも、アーシアさんの神器やテンペストの回復薬のお陰で十分回復したと思うけど、エレンさん達が攻略に付き合うのは今日一日とイッセー君に言われてるわけだし、できるだけ多くの情報を集めたいからね。今は情報収集の時間も兼ねて休むべきかもしれない。そう考えながら、僕はハンドベルを鳴らす部長を眺めるのだった。

 

 

 

 

 

 ****************************

 

 リアスside

 

 

 

 

 

「ふぅ……」

 

 私は温泉に身を浸からせながら、軽く背伸びをする。ここ暫くはドタバタしていたせいで、のんびりお風呂に入る時間もなかったから、とても気持ちよく感じるわね。

 

「はぁ〜、温まるわぁ〜」

 

「今日は色々と教えてくれてありがとう、エレンさん」

 

 私はエレンさんにお礼をいう。エレンさん達には迷宮の罠の種類や気をつけるべき場所まで色々と教えてもらったし、明日からの攻略も捗りそうね。

 

「いいのよぅ、他でもないイッセーさんの頼みなんだからぁ」

 

 エレンさんは手を頬に当て、顔を赤くしながら少し照れくさそうにそう言った。この時、私の中のセンサーが何かを察知した。

 

「……ひょっとして、エレンさんもイッセーのことが好きなの?」

 

「ふぇ!? えっと……まぁ……そうかも……」

 

 やっぱり! こんなところにもライバルがいるだなんて! 周りを見回すと、ロスヴァイセを除く全員がエレンさんのことをじっと見つめていた。

 

「え!? えっと……」

 

「うふふ、ミッテルトちゃん以外にも伏兵がたくさんですわね」

 

「……イッセー先輩は渡しません」

 

「え? なに、もしかして、皆そうなのぅ!?」

 

 黒いオーラを出す朱乃や小猫を見て、エレンさんも察した様子。流石はイッセーといったところね。考えてみれば、イッセーはとてもカッコイイし、十年以上過ごした場所でなら、私達みたいな子がいても不思議でもなんでもない! トーカさんは勿論、あの時助けてくれたジウって子も危ない感じがしたし、本当に油断ならないわね。

 

「エレンはどうしてイッセーを好きになったんだ?」

 

 ゼノヴィアの疑問にエレンさんは少し考え、やがてぽつりと言葉を紡ぐ。

 

「う〜ん、イッセーさんって、何ていうか、ギャップが凄いのよねぇ。普段はスケベなのに、いざってときはすっごく格好良く見えちゃうの。そのギャップに惹かれたのよねぇ」

 

「……少しわかります。普段はド変態なのに……闘うときは……凄くカッコイイです」

 

「そうなのよぅ! 小猫ちゃんわかってるわねぇ!」

 

 小猫はエレンさんの言葉に共感するという旨を話すと、エレンさんは感激したように小猫ちゃんの手を握りしめる。わかるわ。私もそのギャップがとても素晴らしいものだと思っているもの。

 

「カバルもギドもそこら辺全然わかってないのよぅ。パパも何かずっと言ってくるし……パパったら、イッセーさんの事話そうとするだけで露骨に嫌そうな顔するのよぅ」

 

 エレンさんは少しうんざり気味に何かを思い出している。何でも、エレンさんは元々別の国の王族の生まれだったそうだけど、冒険者の冒険譚に憧れを抱き、国を飛び出したのだという。何だか少しだけ共感するわね。

 

「でも、イッセーは渡さないわよ」

 

「……イッセーさんはミッテルトちゃんと付き合ってるのよぅ?」

 

 エレンさんは呆れたように言うが、溜息をつきながら眼を鋭くする。

 

「まあ、私も今も諦めてないしねぇ。負けるつもりはないわよぅ」

 

 私はエレンさんと火花を散らしながら握手をする。新たなライバル登場に私は闘志を燃やすのだった。

イッセー対ミッテルト

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