帰ってきたらD×Dだった件   作:はんたー

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京都に到着です

 イッセーside

 

 

 

 

 

 

「うん、美味い。滅茶苦茶美味しいよアーシア」

 

「良かった! 嬉しいです、イッセーさん!」

 

 精神世界での修行も一段落ついて目を開けると、そこにはアーシアがお弁当を持って隣に座っていた。

 どうやら昼飯の時間をとっくに過ぎていたらしく、それでもアーシアは俺が起きるのをずっと待っていたようだ。

 俺は申し訳なく思いながら、アーシアの作ってくれた特製のおにぎりを頬張っていた。

 うん、本当に美味い。精神世界での疲労がみるみる回復していくぜ。

 それにしても、今回もエルシャさんに“洋服崩壊”をかけることはできなかったな……。あの人、俺があの技を使用する気配を察すると、即座に飛び退いたり、周囲にいる女性赤龍帝の先輩達を盾にしたりするから中々ガードが硬いんだよな。回避に専念されると、流石は女性最強赤龍帝というべきか、中々捕まらないし……。

 

『まもなく、京都に到着いたします』

 

 俺が最後のおにぎりを食べ終えた頃、アナウンスがちょうど流れた。

 ついに到着か。新幹線が駅のホームに停車し、俺たちは荷物を持ってそのまま外に出た。

 

「来たぜ! 京都!」

 

 ついに憧れの京都だ! 俺達は桐生先導のもと、改札口まで移動する。

 京都駅の天井は広いアトリウム。エスカレーターも多い。

 流石は観光地であり、古都でもある場所だ。人の往来も東京どころかテンペストの駅にだって負けてねえ! 

 

「見ろ、アーシア! 伊○丹だ!」

 

「はい! ゼノヴィアさん! 伊○丹です!」

 

 興奮気味のゼノヴィアとアーシア。アレコレ指さしながら、反応してる。マジで楽しそうだな。

 

「天界にもこんな素敵な駅が欲しいわ!」

 

 イリナは違う方向で興味津々だな。

 というか、天界に列車なんてあるのか? あまりイメージ沸かないんだが……。

 

「集合場所はホテル一階ホールだったわね。ほーら、男子ぃ、あとアーシアにゼノヴィアっちにイリナさんも。夢中になるのもいいけど、さっさと集まらないと時間無くなるわよー」

 

 班長の桐生が俺達に声をかけてくる。全員をまとめると桐生がしおりを出して位置を確認していた。

 

「えーと、ホテルは駅周辺なのよね……。ここが西改札口だから……バス停方面に出て右方向……こっちね」

 

「取り敢えず、早く外に行こうぜ。駅の中だと前に進めねえし」

 

 松田がそう言うと、桐生はメガネをキランと光らせる。

 

「松田、知らない土地で迷子になると大変なのよ。その軽率な行動で戦死者が出たらどうするのよ」

 

「ここは戦場かっ!?」

 

「いや、松田。桐生の意見は正しい。チームワークは大切だ。京都はすでに私たちに牙を剥いているのかもしれない」

 

 そんなわけないだろ……。だが、ゼノヴィアの何処か説得力ありそうな凄みに押され、松田もうなだれながら頷く。

 

「よし、把握! あっちよ!」

 

 桐生先導のもと、俺たちは京都駅を出る。

 そして、京都駅から数分歩いたところに大きな高級ホテルを発見する。同じ制服を着たみんなが集まってるし、間違いないと思う。

 古都京都の風景と調和しつつも、その威容と見た目からしてセレブしか泊まれないであろう建物が俺達が泊まるホテル。

 その名も“京都サーゼクスホテル”。

 流石だな。どうやら、京都でも魔王の名前は影響力があるらしい。

 ちなみに少し離れたところには“京都セラフォルーホテル”がある。

 どれだけ駅の周辺を占拠してるんだか……ここは悪魔の領地じゃなくて、妖怪や日本神話の領地の筈なんだけどな……。

 まぁ、いいか。どの道許可がなければこんなの作れないだろうし。

 このホテル、当然ながら裏ではグレモリー家が運営しているんだそうだ。だから、俺達は格安で部屋が用意できたとのこと。

 中に入ると、きらびやかで豪華絢爛な造りのロビーが俺達を迎えていた。

 流石はグレモリー家が運営するだけある。松田、元浜、桐生はその迫力に圧倒されていた。

 

「すっげぇ……。俺達の高校、こんなホテルに二年生全員泊まらせて代金とか大丈夫なのか?」

 

 松田の意見もご尤も。流石はグレモリー家だな。

 まあ、そんな三人に比べて俺たちの反応は薄い。

 

「うーむ、凄いとは思うが……部長のお宅と比べると見劣りするな」

 

 そりゃそうだ。そもそも宿泊施設とお城じゃあ比べ物にならんだろ。

 まあ、テンペストにはこれより豪華な宿泊施設もあるし、俺も慣れたもんだけど。

 ロビーから少し進んだところにホールがある。

 広いホールにはすでにかなりの数の駒王学園の生徒が集まっていた。

 時間が来ると各クラス、班ごとに点呼が始まり、いない人の確認などが始まる。

 全員ホールの床に座り、先生達の注意事項に耳を傾けていた。

 アザゼル先生とロスヴァイセさんは何やら話し込んでいる様子だ。あ、ロスヴァイセさんの番になった。何話すんだろう……? 

 

「百円均一のショップは京都駅地下のショッピングセンターにあります。何か足りないものがあったらそこで済ませるように。お小遣いは計画的に使わないとダメですよ? 無駄にお金を使いすぎてろくでもない大人になってしまうかもしれません。あれやこれやと無計画に使っていたらすぐに無くなります。だからこそ百円で済ませられる百円均一を活用しなさい。────百均は日本の宝です」

 

 百円均一のお話ですか!? なんかすげえ熱く語ってるし! たしかに便利ですけどもね! 

 ああ、アザゼル先生が額に手をやっている。苦労してるんだなあの人も……。

 ちなみにだけど、ロスヴァイセさんは駒王学園に就任してからすぐに生徒からの人気を得た。

 美人で真面目なのにどこか抜けているから、男女を問わずクリーンヒット。

 更には歳も近いから『ロスヴァイセちゃん』って親しみを込めて呼ばれてる。

 

「────と、以上に気をつけてください。部屋に荷物を置いたら、午後五時半まで自由行動ですが、あまり遠出はしないように。範囲も京都駅周辺までです」

 

『はーい』

 

 最終確認を聞いたあと二年生全員の返事でホールでの午後の行動についての説明が終了した。

 各々荷物を持ってホテル従業員から部屋のキーを受け取る。洋室の二人部屋と聞いてるけど、俺は部屋が余った影響で一人部屋だ。久々にのんびりできそうだぜ。

 そんな事を考えていると、俺達がキーを受け取る番になる。

 

「イッセー。お前はコレだ」

 

 松田達もキーを受け取るが、俺だけアザゼル先生から直接だった。

 ニヤニヤといやらしい笑みを浮かべるアザゼル先生。俺の経験則から、この笑みを浮かべる大人はろくなことを考えてない。嫌な予感がする……そして、その予感はすぐに的中するのだった。

 

 

 

 

 

 ****************************

 

 

 

 

 

 駒王学園の生徒が泊まるホテルの部屋は広い洋室の二人部屋。中は大きなベッドが二つと京都の街を一望できる巨大な窓ガラス。

 

「すっげえええええー!」

 

「駒王学園に入学して本当に良かったな」

 

 はしゃぐ松田に静かに感動する元浜。

 この部屋は二人の部屋だ。さて、俺も部屋に移動するか……まあ、アザゼル先生のいやらしい表情に俺だけ皆と違う階にあるってところから既に猛烈に嫌な予感がするんだけどな……。

 男子が泊まる階から上に二つ上がる。そこには他の部屋とは明らかに違う雰囲気の和風の引き戸がある。

 扉を開けると────

 

「……なるほど。ここが俺の部屋というわけか……」

 

 取り敢えず、アザゼル先生は後で殴る。

 そこにあったのは八畳一間の和室だった。古いアナログテレビに小さなちゃぶ台。

 最低限のものしか置かれていない。というか、アナログテレビとか小学生以来見てねえぞ。使えねえだろコレ。

 

「あははははははは! マジかよ! ここだけ和室じゃん! しかも、八畳くらいか? イッセー専用だな! あはははははは!!」 

 

「ベッドではなく敷き布団か。しかも一人だけ……。旅行資金のやりくりの皺寄せがイッセーに来たわけか」

 

 爆笑する松田と笑いをこらえながら分析する元浜。

 殴るぞ二人共。取り敢えず、アザゼル先生は後で絶対殴る。

 ちくしょう! なんで俺だけ!? 

 あれか! 嫌がらせか!? あの愉快犯先生なら面白そうという理由もあり得そうだから本当にムカつく! 

 

「トイレと風呂は……一応あるか……」

 

 でも、洋室ほど華やかじゃないな……なんだろう、本当に泣きそうになってきた。なんでこんな扱いなんだ、俺? 

 涙目になる俺。すると、扉がノックされる。

 

「イッセー君? ここに来てますか?」

 

「あ、ロスヴァイセさん」

 

 扉の所にはジャージ姿のロスヴァイセさんが立っていた。もう着替えたのか……。

 俺はロスヴァイセさんに近づいて耳打ちする。

 

(すいません。説明してもらっても良いですか? いくらなんでも俺だけこんな部屋というのは……)

 

(我慢してください。一応、ここは私達が話し合いが出来るようリアスさんが特別に用意した部屋なんです)

 

(話し合いって、悪魔的な?)

 

(そういうことです。京都で何かが起こった時は話し合いが出来る場所は確保したほうがいいということになりまして……。その部屋がたまたま一人余っていたイッセー君の部屋に割り当てられたんですよ)

 

 なるほど……それなら仕方がない……わけないだろ!? 

 それならそれで別に一部屋確保すりゃいいだけじゃん! 絶対先生の嫌がらせだコレ! 

 

(事情はわかりました。部長に免じて我慢はしますけど、アザゼル先生は後で殴ります)

 

(あ、あはは……)

 

 ロスヴァイセさんは俺から離れると、松田と元浜の方へと向き合う。

 

「では、私は教師の会合があるので失礼します。午後の自由行動は羽目を外さないようにしてくださいね」

 

『はーい』

 

 俺たちの返事を見送ると、ロスヴァイセさんはそそくさと出ていった。

 

「全く、アザゼル教諭はホールでの確認を終えてさっさと消えてしまって……これだからあの人は……」

 

 クソッ! アザゼル先生舞妓見に行きやがったな! 前々から見たい見たいずっと言ってたし、俺から逃げる目的でもあるんだろう。

 早速殴りに部屋に突撃かまそうとしてたのに……。

 

「なあ、イッセー伏見稲荷見に行かない? 予定にはないけど」

 

「伏見稲荷? あの鳥居がたくさんあるところか……」

 

 どうやら先生の了承は得てるらしく、二人共カメラを構えてる。

 そうだな。せっかくの旅行なんだし楽しまなきゃ損だ。取り敢えず、鬱憤を晴らす意味でも名所を見て落ち着くのも悪くない。

 

「じゃあ、アーシアも誘ってくか」

 

「「おー!」」

 

 こうして、俺たちの京都旅行が本格的にスタートしたのだった。

 

 

 

 

 

 ****************************

 

 

 

 

 

 京都駅から一駅進んだところにある『稲荷駅』。そこから下車することで伏見稲荷への参道に入ることができる。

 

「おーっ、珍しいものがたくさん店頭に並んでいるな」

 

「わー、かわいい狐ばかりですね」

 

「ここで少しくらいお土産買っても大丈夫よね? お小遣いはたくさん持ってきたし……」

 

 着いて早々教会トリオは早速京都の空気を堪能していた。

 こうしてキャッキャッしているところを見るとアーシア達は普通の女子学生と変わらないな。

 その隣では……。

 

「美少女トリオの京都風景! まずは一枚目だ!」

 

 松田がアーシア達をパシャリと撮影していた。

 観光名所撮るためじゃなくて、そのためのカメラかい! 

 

「ちょっと、私は撮らないの?」

 

 物申す桐生。対して二人はどこ吹く風だ。

 一番鳥居を抜けると大きな門が現れ、その両脇には狐の像が立っている。どちらも神聖な力が付与されてるな……。

 

「魔除けの像だな。例のパスのおかげで騒ぎは起きないようだが……」

 

 ゼノヴィアは狛犬もどきの狐の像を観ながら言う。

 悪魔であるゼノヴィアとアーシアは本来、近づくことができないらしいからな。

 

「まあ、それでも監視はされてるみたいだけど……」

 

「当然だろう。私たちは悪魔に天使。ここを司るものから見れば異質な存在だ。監視位はするだろう」

 

 それもそうだ。今のところ敵意も殺気も感じないから放置しておくか。 

 そんなことを考えながら、門を抜ける。本殿を進み、さらに歩くと稲荷山を登る階段が見えてくる。

 そこから更に歩くとついに有名な千本鳥居が俺達の前に現れたのだった。

 早速挑戦することにした俺たち。

 

 

 そして、千本鳥居を潜り始めてから数十分。

 

「ちょ、ちょっと待ってくれ……。俺、もう……もう限界…………お、お前ら……よくそんな……動けるな……?」

 

 元浜は既に息があがっていた。それを見た松田が嘆息しながら言う。

 

「おいおい元浜、情けないぞ。アーシアちゃん達だってまだ元気だってのに」

 

 松田は運動神経抜群だから、このくらいでは根をあげない。

 俺はもちろんのこと、アーシアも悪魔なだけあって、基礎的な能力値は人間のそれより上だ。

 だけど、それにしたって体力……というか、根性ないな。一般的な桐生ですら、汗はかいてるけど余裕はまだありそうだぞ。

 つまり、元浜の身体能力は一般の女子のそれよりも下ということか……。

 途中、休憩所に行きながら、伏見山の挑戦は続く。

 

「おー、絶景というやつかな」

 

「はい! 素晴らしいです!」

 

「じゃあ、写真に収めておきましょうか。そういや、この山走り込みのコースがあるんだって」

 

 桐生が豆知識を語りながら、カメラで風景を収めている。

 進めど進めど赤い鳥居。鳥居には、会社やお店の名前なんかも記されてるな。伏見稲荷に願いを込めて供えられたのなんだろうな。

 ……折角だし、頂上の風景でも観てくるか。

 

「わりぃ、ちょっとお先に頂上行ってるわ」

 

 俺はみんなに断りを入れて、観光客の邪魔にならないよう注意しながら、勢いよく階段を駆け上がる。

 そこにあったのは古ぼけたお社。

 ここが頂上かな? あたりは木々でうっそうとしてて、少し薄暗い。

 風で木々がざわめく。人気もないし、俺以外誰もいないな……いや、多分監視の妖怪達はいるんだけど、なんだろう? 少し殺気立ってるような? 

 もしや、禁足地にでも入っちゃったのかな? 

 

「あ、すみません。すぐに出ていきますんで」

 

 俺は謝罪をしながら下山をしようとする。

 すると、一際大きめな魔力を持つ者が、殺気を放ちながら問いかけてきた。

 

「……貴様、京の者ではないな?」

 

「……へ?」

 

 そう言いながら、現れたのは巫女装束を着た小さな女の子────っ!? 

 

「……嘘だろ? この世界にもいたのか?」

 

 キラキラと光る金髪に、金色の双眸。小学生低学年ほどの容姿に頭部に生えるキツネの耳。そして、もふもふしてそうな尻尾。

 狐の獣人……じゃない! この魔力の感じ! 間違いねえ! 

 

「────“幻獣族(クリプテッド)”。しかも、“九頭獣(ナインヘッド)”かよ」

 

 そこにいたのは最悪の邪竜────“滅界竜”イヴァラージェ直属の系譜。

 小猫ちゃんや黒歌とは違う。クマラと同じ、純粋なる“幻獣族”────“九頭獣”の少女だった。

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