年明け記念に更新いたします。
アザゼルside
「やはりいやがったな、神祖の高弟!」
俺は曹操と打ち合いながらもイッセーと相対する新たなる存在に視線を注いでいた。
とんでもない威圧感だ。カグチやメロウにも引けを取っていない……少なくとも、ロキ程度は足元にも及ばない強さを秘めているだろうな。
「神祖……大介の師だとは聞いているが、どういう存在なんだ?」
「……なんだお前、知らねえのか?」
「恥ずかしながら、大介は我らの中でも秘密が多くてね……」
曹操の振るう聖槍を躱し、一撃重たいのをお見舞いしようと攻撃する! だが、曹操はそれをひらりと躱して距離を取る。さっきからこの繰り返しだ。
サイラオーグとは真逆でコイツはテクニックを極めているってところか。
「だが、大介は強い。何せ、聖槍を持つ俺よりも遥かに上の力を秘めているんだ。本人は何故か認めないが、俺の知る限り、人類最強と言っても過言ではないだろう。もっとも、此方もこのまま終わるつもりはないがね」
自信家の曹操がここまで言うか。やはり、神祖の高弟というだけあって、奴も規格外なんだろうな。
(頼むぜイッセー……)
我ながら不甲斐ない思考だな。だが、その代わりにコイツは意地でも抑えとく。気張れよお前ら。
俺は覚悟を決め直し、再び槍を構えた!
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イッセーside
「田中大介……お前が“基軸世界最古の異世界人”か……」
「ああ、やっぱり知られてるのか。ルミナスかアシュレイ達か……どっちにしろ、光栄だね」
コイツのことはルミナスさんから貰った情報の中に入っていた。数万年前、基軸世界に迷い込んだ最初の異世界人であり、ルミナスさん曰く相当な下種野郎だとのことだ。
「……まさか、こんな真っ昼間から襲撃してくるとはな」
「まあ、僕も原初やら勇者やらがいる現状リスクが高いとは思うんだけどさ、向こうの事情わかってない曹操達が聞かなくてさぁ〜。まあ、少しの間くらいなら誤魔化せられるかなってね……」
「……テスタロッサさんやヒナタさんの事も当然把握してるってわけか……てか、この2人がすぐ近くにいるのに襲撃して大丈夫なのかよ?」
「ああ、それについてはリスクはゼロじゃないけど問題ないさ。足止めもいるうえ、神話級の“絶霧”の力を僕の究極能力で補強しててね。カグチさんほどじゃないけど、相当な隠密能力を誇ってるんだ。現に、平時とはいえ君も直前までは気づかなかったでょ? まあ、何度も使える手じゃないし、絡繰りさえ見抜かれれば二度目はないんだろうけどね」
確かにコイツの言う通りだ! 観光中とは言え、英雄派がいることが確定してるからこそ、油断してるつもりはなかった! にも関わらず、俺は引き込まれるまで気づかなかったんだ! カグチほどじゃないとは言え、“絶霧”との組み合わせで相当な隠密能力を実現してると言えるだろう。
足止めってのも気になる……。二人が揃っている中で足止めを行う以上、向こうにも高弟がいると見ていいだろう。何を企んでやがるんだ……?
「……それにしても」
ダイスケは視線を落とし、アーシアにゼノヴィア、イリナ達を順に見て回る。すると、下卑た表情で舌舐めずりをしてきた。
「いい女の子たち侍らせてるね。ねえ、一人くらい頂戴よ? 言い値で買うよ〜」
……は? コイツ、何言ってんだ? 困惑する俺を余所に、ダイスケは口を開き続ける。
「あ、でもここで君を倒せば後問題ないかな? 英雄派ってさ、人外の女の子や敵の女の子ならどういうふうにしてもいいんだよね〜。君の侍らせてる女の子って皆美人揃いだし、滅茶苦茶いいしさ……僕が勝ったら彼女達貰うね♪」
「っ!?」
次の瞬間、ダイスケは俺の腹部に掌底を当てていた! マズイと思ったのも束の間、ダイスケは一気に魔力を練り上げ、炸裂させる!
「“風裂掌”!」
バァァァァァァァンッ!
まるで小さな竜巻が俺の腹に発生したかのような衝撃が突き抜ける! 鎧を簡単に削り取り、そのまま俺の肉体をも破壊しやがった!
「がっ……おらっ!」
ドゴォンッ!
俺は鈍い痛みに耐えながら、カウンターの回し蹴りを顔面めがけてお見舞いする! だが、ダイスケはそれを風のバリアで防ぎ、逆に攻撃を仕掛けてきた! 俺は攻撃の軌道を読み、それをいなして距離を取る。
「あれ? コレで決めるつもりだったのに……カグチさんに勝っただけのことはあるみたいだね」
ダイスケは最初の一撃で俺を仕留められなかったことに驚愕してるようだった。俺は咄嗟に防御力を最大倍加していたため、軽傷で済んだが、洒落になってねえな!
「……風を操るスキルか……」
「うん、まあ気づくよね。シンプルだし」
恐らく、コイツの究極能力はエルメシアさんの“
俺の鎧を簡単にえぐり取るあたり、小さな台風って感じの一撃だったな。
まあ、そこはいい。俺が一番ムカッときたのは……。
「……お前、さっきからアーシア達をものみたいに言うじゃねえか。何様だ?」
俺が一番イラッとくるのはその物言いだ! さっきから侍らせてるだの頂戴だの……アーシア達をモノ扱いでもしてるつもりかよ!
それを聞いたダイスケは飄々としながら応える。
「……僕ってさ、“基軸世界最古の異世界人”……なんて呼ばれてるけど、実は時系列的にはこの時代辺りの人間なんだよね。ほら、ハーレムもののラノベとかってあるでしょ? ああ言うのが好きなんだよ。彼女達もすごい美人だし、僕のお嫁さんにしようかなって思ったんだよね。いろんな世界の女の子をお嫁さんにしてるから、万を超えてるし名前うろ覚えの子とかもいるけど、大丈夫さ。神祖様の名の下、平等に愛して幸せにしてあげるからさ」
……こ、コイツ、何言ってんだ? 本気でそんな事を言ってるのかよ……?
「……そんな理由かよ。そんな理由で……アーシア達を強請ってるのかよっ!」
なるほど……ルミナスさんが下種野郎とか言うだけのことはある! コイツ、真性のクソ野郎だ! もしもコイツに負けたらアーシアもゼノヴィアもイリナもロスヴァイセさんも九重だって怪しいかもしれない!
何より、お嫁さんが万を超えてるだと! なんて羨ましいんだコイツッ!
「フザケやがって、お前みたいなのには意地でも負けねえぞ!」
「ふうん? 言うじゃん。まあ、やってみなよ!」
「やってやらあ! ────って、うおっ!?」
ビュカッ!
見えない真空の刃がいきなり俺の首を跳ね飛ばそうと襲ってくる! 空間の歪みを感知してなきゃ危なかったぞ!
「君の覇龍形態……護衛もいない近距離じゃ使えないでしょ? 使ったらこのフィールドをぶっ壊せるかもだけど、京都の街もあの女の子達もただじゃすまないからね」
「くっ!」
流石に見抜かれてるか! 前回は黒歌がいたからこそ、結界で皆を守ってくれることを信じて使用したが、今この場で覇龍を使えば皆が無事じゃ済まなくなる! だからこそ、この場は覇龍抜きで切り抜けなくてはならない!
「君の格闘術は相当なものだけど、僕も負けてないしそもそも近寄らせない。君の究極能力は解析系だろ? 解析能力は凄まじいけど、直接的な攻撃力はない」
見抜かれてやがるな……。確かに、俺の“国津之王”は解析特化。服や鎧、呪の類すら無効化する“
だが、解析系能力にだって攻撃に転用できるんだよ!
「喰らいやがれ!」
「っ!?」
ドゴォォォォンッ!!
俺は“
「なるほど……解析系だけあって、命中率の補正は凄いね。集中されると避けることは難しそうだ」
そう! これが解析系究極能力の利点! 師匠の“
「“疾風槍破”!」
「“魔竜崩拳”!」
ドゴォンッ!
ダイスケは神話級であろう槍を構えると、風を纏わせた鋭い一撃を繰り出す! それと同時に俺は闘気を纏わせた拳を繰り出し、その一撃を相殺する!
「……さっき鎧を砕いた一撃よりも鋭いつもりだったけど……風の流れを見切られたのかな? う〜ん、なるほど。わかってはいたけど、一筋縄じゃいかないね」
「簡単に負けてたまるかよ! こっちにだって面子があるんでね!」
「ふぅん……だけどさあ、他の人達はどうかな?」
「……何が言いてえ」
「いや? ただ、君以外の人達が英雄派の面々に勝てるのかなって思ってね」
……英雄派の面々。確かに、一人一人がそこそこの強さを持ってるみたいだし、“禁手”を使用すれば危険度はさらに跳ね上がる。皆にとっては油断ならない相手だろう……けどな!
「舐めるのも大概にしろよ。彼奴等はあんな奴等には負けねえよ」
例え力があったとしても……“英雄”を勘違いしてるような奴等に負けるほど彼奴等は柔じゃねえんだよ!
「ふぅん。まあ、どっちでもいいんだけどね」
俺とダイスケは再び拳と槍を交える! その衝撃で上空に漂う霧は自然と霧散していくのだった。
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木場side
「はあ!」
ズバァァンッ!
アンチモンスターを斬り伏せた僕は、そのまま場に佇んでいる英雄派達を睨みつける。立ち振る舞いからして、一人一人が相当の使い手のようだね。
「……まさか、対悪魔のアンチモンスターが全滅するだなんてね」
「ふむ……どうやら、僕もやるべきだね」
一人の優男が一歩前に出る。腰に携えていた鞘から凄まじい力を持つ魔剣を抜き、それを構えた。
「初めまして、グレモリー眷属。僕は英雄シグルドの末裔、ジーク。仲間からは『ジークフリート』と呼ばれているけど、好きなように呼んでくれて構わないよ」
その言葉に先程からジークフリートの顔を怪訝そうに見ていたゼノヴィアは、何か得心したような表情となった。
「……どこかで見覚えがあると思っていたが、やはりそうなのか?」
ゼノヴィアさんの言葉にイリナさんが頷く。
「ええ、そうだと思うわ。あの腰に帯剣している複数の魔剣からして間違いない」
「……知ってるのかい、二人共?」
僕はゼノヴィアもイリナさんに問いかける。二人は頷き、ゼノヴィアが僕の問に答えてくれた。
「あの男は悪魔祓いだ。カトリック、プロテスタント、正教会の全てを含めてトップクラスの戦士。腰に帯剣した魔剣を扱うことからついた二つ名が“
「なるほどね……」
人体実験の成果……恐らく、聖剣計画にも関係しているのだろう。自然と剣を握る手に力が入る。乗り越えたつもりではあるけど、こればっかりは仕方がないか。
「ジークさん! あなた、教会を────天界を裏切ったの!?」
「裏切ったってことになるかな。今は禍の団────英雄派に属しているからね」
「なんてことを! 教会を裏切るだけじゃなく、悪の組織に身を置くなんて! 万死に値するわ!」
「……少し耳が痛いな」
イリナさんの言葉に気不味そうにしながら、ゼノヴィアはポリポリと頬をかいていた。そういえば、ゼノヴィアは元々破れかぶれになって悪魔に転生したんだったね。
そんなイリナさんの怒りを聞いてもジークフリートはクスクス小さく笑っている。
「いいじゃないか。僕がいなくなったところで教会にはまだ彼がいる。あの人だけで僕とデュランダル使いのゼノヴィアの分を十分に補えるだろうさ。案外、あの人は“
そう言うとジークフリートの持つ剣から異様なオーラが発した。
……あの剣、ただの魔剣じゃないね。アーサーのコールブランドに近しい波動を感じる。
「……ここは僕がいく。ゼノヴィア達は他をお願いするね」
「……ああ、わかった」
「……そうね。ちょっと癪だけど、お願いするわよ」
僕は聖魔剣を創り出し、ジークフリートに斬りかかる!
ガギィィィィンッ!!
僕の聖魔剣とジークフリートの魔剣が激しく衝突し、火花を散らす!
凄まじい密度だ……やはり、普通の魔剣ではなさそうだね!
「魔帝剣グラム。魔剣最強のこの剣なら、聖魔剣を難無く受け止められる」
魔帝剣……魔剣の中でも最強と称された“黄金龍君”を滅ぼした龍殺し! 凄まじい力を感じるわけだ……。
「なるほどね。まともにぶつかり合えば、僕の剣が砕け散るようだね」
チラリと聖魔剣に視線を向けると、刃毀れをしひび割れた無残な姿が目に映った。強度の面では圧倒的に不利だ。
「うちの組織では派閥は違えど、“聖王剣のアーサー”、“魔帝剣のジークフリート”と並び称されている。お前ごときでは相手にならんぞ」
英雄派の一人がそんな事を言ってくる。アーサーと同等の強者か。強敵だね……まともにぶつかり合えば勝機は薄そうだ。でも、不思議と負ける気はしない。むしろ、新しい力を試すいい機会だ!
「なら、スピードで勝負させてもらうよ!」
「っ!?」
ジークフリートは目を見開きながら応戦する────でも、遅い!
ザシュッ!!
新たに生み出した僕の聖魔剣がジークフリートの肩を切り裂いた!
「ぐっ……」
「なっ、そんなバカな……っ!?」
苦悶の表情を浮かべるジークフリートを信じられないと言った表情で見つめる英雄派の構成員たち。
僕のユニークスキル“
「このまま決めさせてもらうよ!」
僕は地面に手を当て、多種多様な聖魔剣を地面から出現させる!
それを見たジークフリートは腰に携えていた別の魔剣で容易くそれを防いだ!
「バルムンク……北欧に伝わる魔剣の一振りさ」
携えている魔剣の数から想像していたけど、やはり複数の魔剣を切り替えて戦う剣士だったのか……いや、何か妙な感じがする。
このまま踏み込めば斬られると感じた僕は一旦距離をとって警戒する。それを見て意外そうな顔でジークフリートは僕を見据えていた。
「なるほど、勘がいい。今踏み込んでいたら、僕の勝ちだったというのに……」
そう言いながら、ジークフリードはもう一本の腕を背中から出した! その腕にもまた、魔剣が握りしめられている。
「……“
「その通り。本来は籠手なんだけど、僕はこの通り背中から生えてくるんだ。ちなみにこの剣はノートゥング。こちらも伝説の魔剣だったりする」
ジークフリードは第三の手を用いる三刀流の剣士ということか……いや、四本目五本目も警戒すべきか。厄介だね。
「しかし、想定よりも遥かに強いな……正直、“龍の手”を用いずとも圧倒できると思ってたんだけどね」
「確かに、少し前までの僕だったら危なかったかもね。でも、僕たちだってイッセー君にばっかり頼ってはいられないんだ!」
ギィンッ! ガギィンッ! ギギィンッ!
僕の聖魔剣とジークフリードの魔剣が何度も何度もぶつかり合う! どうやら、僕の聖魔剣はグラム以外の剣には負けてないらしく、鍔迫り合いが成立しているみたいだ。
剣技で言えばジークフリードが僅かながら僕より上。でも、速度では圧倒的に僕が勝っている!
「くっ、想定より速い……厄介なのは赤龍帝だけではないということか……」
「そういうことよ!」
「私たちだって成長してるということさ!」
僕とジークフリードが互角の戦いを繰り広げる中、イリナさんとゼノヴィアは余裕の表情で他の英雄派達を一掃していた。
「クソッ、この腐れ天使が! 食らいやがれ!」
英雄派の一人が巨大な炎を口から吐き出し、イリナさんを焼き尽くさんとする!
だけど、イリナさんは慌てることなく日本刀の柄の部分に青い宝玉をはめ込み、水流の壁を持ってこれを容易く阻止してみせた!
「なっ!? な、なんだその武器は!?」
「フフン、凄いでしょ? イッセー君の知り合いの職人さんから貰った刀なのよ!」
そう言いながら、イリナさんは自慢げに刀を構え、緑色の宝玉をはめ込んだ!
ビュオオオオッ!!
風の力を帯びた刀は一振りで突風を巻き起こし、一気に英雄派達を薙ぎ倒す!
「流石はイリナだ。私も負けては居られないな」
ゼノヴィアも僕の作った魔剣とアスカロンを重ね合わせ、魔の力と聖なる力を束ねようとする!
「見せてやろう。愛の“聖魔掌握”をヒントに考案した新技だ!」
光と闇が重なり合い、共鳴するかのように互いの力を増幅させ、ゼノヴィアはそれを一気に解放してみせた!
ドガァァァァァァァァァンッ!!
その破壊力の凄まじさ! アスカロンと魔剣の相乗効果により、デュランダルにも負けない凄まじいパワーをゼノヴィアは披露してみせたんだ!
「────“光闇無影斬”。フッ、イッセーが名付けてくれたが、やはりコントロールがまだうまくいかないな」
そう言いながら、ゼノヴィアはパキンと儚い音を立てて砕け散った魔剣の破片を見つめる。
どうやら、僕の魔剣がその圧倒的な力に耐えきれなかったみたいだね。
もしもこれをデュランダルで放ったら……どうやら、ゼノヴィアも僕達と同じで凄い力を手に入れてたみたいだね。
「とはいえ、相手の数が多いわね」
英雄派を薙ぎ倒しながら、ぼやくイリナさん。
確かに、数が多い。アンチモンスターもいるし、英雄派だってそれなりの手練が複数いる。
中には、今の僕たちでも苦戦しそうな存在も数人ながら存在するみたいだ。
バァァァァァッ!
そこに、一つの魔法陣が現れる。
そこから現れたのは、以前テンペストに残ったヴァーリチームの魔法使い、ルフェイさんだった!
しかも、後ろにはジウさんとトーカさんが控えている!
「本当に厄介な結界ね。何度攻撃してもびくともしないなんてね……」
「ホント、ジウの言う通りね。監視の都合上、ギリギリ範囲外にいたから驚いたわよ。ルフェイ殿が内部への転移コードを知らなければ、さらに時間がかかってたかもね」
どうやら、ジウさんもトーカさんも“絶霧”の範囲外にいたが故になかに入ることができずにいたみたいだ。
魔王以上の力を誇るジウさんすらも後から入ることができないなんて……やっぱり“神滅具”はとんでもない力を持ってるみたいだね。
「ヴァーリの所の者か。それに、見覚えのない者たちもいるな……一人は……人間か?」
「ええ、そのとおりよ」
「────っ!?」
ガガギィィィィンッ!!
ジウさんは曹操の問いに答えると同時に一気に距離を詰め、レイピアで曹操を貫かんとした!
曹操は聖槍で身を守るが、予想外の威力に顔をしかめている様子だ。
「なっ!? 曹操!?」
「問題ない……しかし、凄まじい。威力の突きだったな……」
「チッ、このまま心臓貫くつもりだったんだけどね」
「狙いが正確すぎたな。故に、防ぐことができた」
「あらそう? なら、次は乱雑に切り刻んであげようかしら?」
ジウさんはそう言いながら、負傷したアザゼル先生を連れて一旦戦線を離脱する。
所々傷を負ってるようだけど、致命傷は避けてる様子だ。
「ピンチだったかしら?」
「そうでもない……と、言いたいところだが、凄まじい槍捌きだったな。あれほどの達人はなかなかお目にかかれないぞ」
「まあ、これでも槍術ならばダイスケに引けを取らない自信があるつもりだからね」
ダイスケ……上空でイッセー君と戦っている神祖の高弟……その戦いの様子は異次元だ。どちらも僕ですら及ばないほどの速度で轟音とともに何度も何度も衝突を繰り返している。
やがて、二人は肩で息をしながらゆっくりと地に降りていった。