イッセーside
ドゴォォォンッ!
風と拳のぶつかる衝撃から轟音が鳴り響く!
俺達は上空で何度かぶつかり合い、そのまま木場達の元に降り立った!
どうやらルフェイがジウとトーカを連れてきてくれたみたいだな。
「やるねえ。流石は赤龍帝! ……っと、なんか新しい娘がいるじゃん! 好みだな!」
「……何あいつ、キモ」
辛辣なジウの言葉にダイスケは全く動じずににこやかな笑みを崩さずにいる。
まあ、そんなことはどうでもいいか。
「ふぅ、ジウとトーカはともかく、ルフェイも来てくれたのか。ヴァーリ達は?」
「あ、ハイ、どうも赤龍帝さん! ヴァーリ様と兄様はまだ向こうにいるそうです。なんだか、皆さん凄く大変そうでしたね」
そりゃそうだろ。何せ、あのヴェルザードさんが修行……という名の拷問やってるんだから。
あの人本当に遠慮ないし、俺とか何度死線を彷徨ったことか……あ、なんでだろう。思い出したら涙が出てきたぞ。
「……ところで、ルフェイ・ペンドラゴン。何故ここに来たのかい? 目的はなんだ?」
「あ、そうでした。先にこっちに来るにあたって、もしも曹操さんが赤龍帝さんを襲っていたら、こう言ってほしいとヴァーリ様に伝言を預かってるんです! 『彼は俺の獲物だ。君にやられるとも思えないが、邪魔だけはするなと言ったはずだ』とのことです♪ うちのチームに監視者を送った罰ですよ~」
……ん? 今聞き捨てならない発言が……。
ドウゥゥゥゥゥゥゥンッ!
ルフェイが可愛く発言した直後に大地が激しく揺れる。
なにかくる……それも、結構な巨体を持つ何かだ。
アーシアはなんとかバランスを守っているみたいだが、九重なんかは体勢を崩して尻餅をついている。
高魔力反応にする方向に視線を送ると、地面が盛り上がり、巨大な何かが現れようとしている。
『ゴオオオオオオオオオオオオオオオッッ!』
地を割り、土を巻き上げながら姿を表したのは岩でできた巨人並の巨体を持つゴーレムだった。
「────ゴグマゴグか!」
「はい。私たちのチームのパワーキャラで、ゴグマゴグのゴッ君です♪」
ゴグマゴグというのは聞いたことがないが、見たところ魔王種並のエネルギーを秘めてる様子だな。
「次元の狭間に放置されたゴーレム。なんでも、いにしえの神が量産した破壊兵器らしいが……すげえな! 動いてるの初めてみた! 胸が躍るぜ!」
何やら先生がすげえ興奮してる。てか、次元の狭間にはあんなのが放置されてるのか。そういえば、以前ヴァーリと次元の狭間で会ったけど、コイツを探してたのか?
……いや、そんなことどうでもいい! 俺はいそいそとルフェイの元に急ぎ、ヒソヒソと小声で話す。
「おい、ルフェイ。監視されてたってどういうことだ?」
「実は、ヴァーリ様を危険視する英雄派の人達に監視される事があるんですよ。あ、ロキとの戦いの前にはやっつけましたので、それ以降の情報はないはずですよ」
あー、びっくりした。
基軸世界の入り口のことを知られるかと思ったぜ。
まあでも、冷静に考えればロキとの戦いを観られてたのなら、俺が気付かないはずないか。
その後もルミナスさんやらウルティマさんやら来てたわけだし、監視なんてできるはずないもんな。
“絶霧”とダイスケの風の力の組み合わせだって、多少の違和感は感じるわけだし、気付かれずに監視し続けられるのは、それこそカグチくらいなものか。
ちなみに、俺が倒れた数日の間は何人か英雄派が監視しようと近づいてきたらしいが、全員ヴァーリやアザゼル先生、そしてサーゼクスさんが撃退してたらしい。
「それにしても、次元の狭間にこんなのいたんだ……他にもなんかあるのかな?」
「次元の狭間はああいう処分に困ったものの行き着く先だからな。グレートレッドも次元の狭間を泳ぐだけで実害はないわけだしな。つつかずに自由に泳がせてやればいいものを……」
先生がそう呟くとゴグマゴグは英雄派に向かって巨大な拳を振り下ろす!
ゴゴゴゴゴゴォォォォォンッ!
破砕音とともにゴーレムの一撃は渡月橋を簡単に破壊してしまった!
嵐山の名物がぁ!? ここが、嵐山を模しただけの異空間で本当によかったよ!
ゴーレムの一撃は大量のアンチモンスターを巻き込んでいる様子。
英雄派の構成員はほとんどがその場から飛び退き、橋の対岸に退避している。
「ハハハ! バレていたか! どうやらヴァーリは相当ご立腹のようだね!」
曹操は高らかに笑いながら、ゴグマゴグの拳を眺めている。
土煙が晴れると、そこにはゴグマゴグの攻撃を片手で受け止めているダイスケが水面に立っていた。
「あのさ〜、僕がガードしてるんだから避難しなくてもよくない?」
「その橋をみて同じことが言えるか? 君は止められても、橋がその重みに耐えられてない」
「全く、悲しい……ねっ!」
「っ!?」
ダイスケはそのままゴグマゴグを片手で持ち上げ、力一杯投げ飛ばす!
ダイスケの投げた方向にいるのはルフェイだ! 流石に予想外だったらしく、ルフェイは目を見開いている!
「よっと!」
ガシィィッ!
俺は投げ飛ばされたゴグマゴグを受け止め、ゆっくりと降り立たせる。
「あ、ありがとうございます。赤龍帝さん!」
「別にこれくらいどうってことねえよ」
ゴグマゴグは投げ飛ばされただけだから、そこまで損傷した様子はないな。まあ、あの勢いで地面にぶつかればどうなってかわからんけど。
しかし、橋が壊されたとなると、地上戦は厳しそうだな。空中戦に移行すると、皆が俺とダイスケの戦いの余波をもろに受けそうだし、どうしたものか。
次の一手を考えていると、向こう岸をゆらりゆらりとおぼつかない歩き方で歩く人影が見えてきた。
銀髪の酔っ払い────ロスヴァイセさんだ!
「ういー、人が気分よくねてる所にドッカン! バッタン! チュドーンって! うるさいんれすよ! なんれすからやるんれすか? いいれすよ! 元オーディンのクソジジイの護衛ヴァルキリーの実力、見せてやろうじゃないれすか!」
まだ酔っ払ってるよあの人! てか、状況理解してないだろあの人!
突如として謎の酔っ払い登場に英雄派の面々も間の抜けた顔をしている!
「お酒臭っ!? 美人なのにもったいないな……というか、誰?」
「オーディンの護衛……そうか、彼女がグレモリー眷属となった元ヴァルキリーか!」
ダイスケも何やら引いてる様子だ!
というか、英雄派の面々も相手がグレモリー眷属の者だと認識するやいなや、攻撃態勢を取ってる!
多勢に無勢! 流石にロスヴァイセさんが危険すぎる!
助けに行こうと俺は即座に飛び出そうとする。
────次の瞬間、ロスヴァイセさんは自身の周囲に複数の魔法陣を展開する! 十や二十じゃない! 五十近い魔法陣が英雄派を取り囲むように展開してるのだ!
「全属性、全精霊、全神霊を用いた私の北欧式フルバースト魔法を喰らえぇぇぇぇっ!」
ズドドドドドドドドドォォォォッ!
眼をぐるぐる回したロスヴァイセさんの叫びとともに凄まじい量の魔法が縦横無尽にぶっ放され、雨霰のように英雄派達に降り注いでいく!
炎、光、氷、雷、水、ありとあらゆる属性魔法攻撃が周囲の風景を豪快に吹っ飛ばしてやがる!
家屋も店も道路も一瞬で消滅し、街が丸ごと吹き飛ばされてる!
あ、なるほど。あれってロスヴァイセさんの魔力を文字通り全部使った正真正銘のフルバーストなのか。多分、酔っ払って箍が完全に外れてるんだな。
そもそもロスヴァイセさんは二十万近い存在値を誇る、いわば準魔王級の実力者。それが、文字通り全魔力を攻撃に注ぎ込めば、コレだけの威力になるか。
全魔力を使い果たしたロスヴァイセさんは満足げな表情でぶっ倒れる。
これはいい人材をゲットしたかもな。普段のロスヴァイセさんは魔力操作能力が高いがゆえ、一撃に全魔力を放出するような真似をしないけど、これを意図的に使えるようになれば、文字通り最後の切り札となり得るかもしれない。破壊力ならば、ゼノヴィアをも上回る、グレモリー眷属最強の一角になるだろう。
だけど、それでも足りないみたいだ。先ほどの攻撃はすべて、一人の英雄派に防がれてるようだ。
手元に霧を発生させてるあたり、あいつが“絶霧”の所有者なのだろう。流石は“神滅具”というところか。
「……ふむ、このヴァルキリー。現時点では大したことないけど、将来的にはめんどくさい事になりそうかもな。今この場で連れてっちゃおうかな? 美人だし、今は酔ってるけど、仕事一筋っぽい感じするし、そういう子にあれこれ教え込むのも唆りそうだしね……」
────っ!?
ダイスケはそう言いながら、ぐうぐうと安らかな寝息を立てるロスヴァイセさんに近づいていく! させるかよ!
「ここは任せてください、赤龍帝さん!」
ルフェイはそう言いながら、魔力を高める!
そして、ルフェイは上空に魔法陣を描き、高めた魔力を一気に解放した!
「なっ!」
「これは……っ!?」
ルフェイが描いた魔法陣から放たれる魔力に驚きの声を上げる英雄派達。そんな光景を横目に俺は見覚えある魔法陣の構成にほおを引くつかせるのだった。
お、おいおい。ガドラさんにアダルマンさん……あんた、可憐な女の子になんて魔法を教えてんだっ!?
ゴゴゴゴゴゴゴゴゴッ!
「な、何なのよアレは……?」
「まさか……隕石か……?」
敵も味方も、皆が呆然としながら上空を見上げる! それはまさしく、破壊を呼ぶであろう恐ろしい光景! 直径十数メートル! 魔法陣から出でし巨大な“隕石”が京の街を襲おうとしていた!
「いきますよ〜大魔法、“
ルフェイが使ったのはアダルマンさんの誇る暗黒魔法の極意というべき破壊の具現! “空想物質”を応用することで、仮想の隕石を実体化させ、召喚するという究極の“召喚魔法”であった!
「隕石を呼び出す究極の攻撃系召喚魔法。……準魔王級の魔力を持ってるとは言え、よくまあ、あんな十数歳の女の子がこの魔法を使えるもんだな。これって魔法を極めた聖人でも使えるのは極僅かっていうすごい魔法なんだよ?」
「はぁはぁ……、ふぅ。いえいえ、私じゃあ一日一回が限界なうえ、隕石も一つしか召喚できないんですよね……魔力も大半を使っちゃいますし、私にこの魔法を教えてくれたお二方は流星群をも召喚することができるので、それに比べたらまだまだですよ♪」
呆れたように言うダイスケに肩で息をしながらも律儀に答えるルフェイ。
いや、それはその2人が規格外なだけだから! アダルマンさんの“
「全く、曹操といい君といい、今どきの若者は恐ろしいね」
そう言いながら、ダイスケは隕石目掛けて飛び込んでいく! 多分、曹操達では太刀打ちできないと判断してのことだろう。あれほど巨大だと、とっさの“絶霧”では防げないだろうしな。ロスヴァイセさんの魔法と違って、あれは物理攻撃の側面も持ち合わせてるわけだし、転移させるのも厳しいだろう。
今のうちだ!
「────っ! 速っ」
ドゴッ!
俺は近くにいた曹操を蹴り飛ばしながらロスヴァイセさんを回収する。
曹操は咄嗟に槍で防いだらしいが、俺の蹴りの威力に顔を顰めながら掌を見つめている。
「すれ違いざまの一撃で腕が痺れるほどの威力か……恐ろしいね赤龍帝」
ドゴォォォォォォォォォンッ!
ダイスケの一撃に隕石が破壊される。隕石はダイスケの風で粉微塵となり、中空で弾けながらも破片の大半は塵となっていた。
「少々、乱入が多すぎたか。アーサーの妹についても脅威度を数段上方修正しないとな。────まあ、祭りの始まりとしては上々か。アザゼル総督! そして赤龍帝よ!」
曹操は俺達に向けて楽しそうに宣言した。
「我々は今夜、この京都という特異な力場と九尾の御大将を使い、二条城で大きな実験をする! ぜひとも静止するためにこの祭りに参加してくれ!」
霧使いが手元からさらなる霧を発生させ、英雄派の全員を薄い霧で覆い始める。
霧はどんどん濃くなっていき、辺り一帯に立ち込め、英雄派だけでなく、俺達をも覆っていく。
「おまえら、空間がもとに戻るぞ! 武装を解除しとけ!」
先生からの助言を聞き入れ、俺たちは武装を解除する。
「楽しかったよ、赤龍帝。次は本気で殺し合おう」
刹那、ダイスケの楽しげな言葉が耳に入る。それと同時に視界の全てが霧に包まれた。
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一拍あけ、霧が晴れると、そこは観光客で溢れた渡月橋だった。俺達以外の周囲の観光客達は何事も無かったように橋を往来し、観光を楽しんでいる。
橋は壊れてない。無事に元の空間に戻ってきたようだ。
ちなみにルフェイとゴグマゴグの姿はない。霧が晴れたと同時に戻ったのだろう。
まあ、忘れそうになりがちだけど、アイツらもテロリストだしな。
「おい、イッセー。どうした? なんかすげえ険しい顔になってるけど?」
「…………いや、なんでもねえよ」
それだけ返して俺は大きく息を吐いた。胸糞悪い気分だ。見ると、他のグレモリー眷属メンバーも表情が険しい。
ガンッ!
先生が電柱を横殴りしていた。
「ふざけたことを言いやがって……っ! 京都で実験だと? なめるなよ若造が!」
先生がマジギレしてやがる。無理もない。俺だって、松田や元浜達がいない状況なら大声で叫びたい気分だ!
「……母上は何もしてないのに……どうして……」
見ると九重が体を震わせて、涙を浮かべていた。俺は九重の頭を撫でて、改めて英雄派への殺意を漲らせる。
「……イッセー、私もやるわ。連絡員はトーカがいれば十分でしょ?」
ジウもまた、殺意を漲らせながらそんな事を言う。
それを見たトーカは少し驚きつつも、瞑目して姿を消した。
「英雄を勘違いした愚物を見て、私もイライラしててね。本物の英雄は……例え弱くても、民を助けようと前に立つあの御方みたいな人のことを言うのだから」
……そうか。ジウは偽りとは言え、あいつと共に旅をして世界を回り、今もなおアイツに付き従う従者だ。
本物の英雄を間近で見てきたからこそ、英雄を騙るアイツラを許せないのか。
もっとも、許せないのは俺も同じだ!
こんな小さな女の子を泣かせる奴の何処が英雄だ! フザケやがって……絶対にぶちのめす!
俺たちは決意を固め九重を撫でながら、もう片方の拳を強く握るのだった。
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三人称side
「させませんわ」
「ぐばっ!?」
白い影の放つ“凍てつく白炎”を帯びた鞭が妖怪を捕食しようとした存在の首に巻き付く。
妖怪を捕食しようとした存在────“
それを見たフードの男は厄介そうに呟く。
「ふむ……ペーターもストラも相手にすらならんか。ダイスケからの報告でまさかとは思っていたが、本当に“
「私には偉大なるリムル様より賜りし“テスタロッサ”という名前があるの。ブラン呼ばわりはやめてくれないかしら?」
テスタロッサはそう言いながら、鞭をフードの存在目掛けて放つ。
フードの男はそれを躱し、もう一人の女性と剣を切り結ぶ!
カギィィィンッ!
神話級の剣の激突に辺り一帯に轟音が鳴り響く。
フードの男とヒナタ・サカグチの剣はしばし拮抗するが、フードの男のほうが競り負けたらしく、後方へと吹き飛ばされる。
「これがグランベル最後の弟子……ヒナタ・サカグチの剣技か。確かにグランベルと変わらん……どころか上回ってすらいるかもな。大したものだ」
「……我が師と知り合い。やはりあなた、“神祖の高弟”ね」
「いかにも。我が名はドォルグ。神祖様の高弟第7位にして、あらゆる武器を極めし者」
そう言いながら、ドォルグは剣だけでなく、棍棒、双節棍、ハンマーなどの多種多様なあらゆる武器を召喚した!
武器は各々が意思を持っているかのように浮遊し、ドォルグの手の動きとともに解き放たれる!
「一つ一つが“神話級”……厄介ね!」
ガギギギギギギギギィィィンッ!
ヒナタはグランベルより賜りし“
それは一本一本が達人の振るう武器と見違えるほどのもの。剣一本の扱いならば、自分に分があるが、少なくともそれ以外の武器ならばドォルグの方が格上だろう。
しかし、逆に言えば、剣の扱いはドォルグよりもヒナタの方が上なのである。ヒナタはドォルグの武器を全て迎撃し、ドォルグの頬に剣を届かせた!
「むう、手強い。今戦うのは時期尚早か。だが、最低限足止めはさせてもらった。撤退させてもらう」
「逃がすとでも?」
ヒナタは剣に霊子を込め、超絶聖剣技“崩魔霊子斬”を放つ!
それを見たドォルグは即座に神話級の武器を幾重にも重ねることで、その力を相殺させる。
ドゴォォンッ!
凄まじい爆発とともにガラガラと武器が砕け散る。
煙が晴れると、そこには既にドォルグの姿は消え去っていた。
「チッ、逃げられたわね」
「そうね。まあ、“新生蟲将”を討ち取れただけ良しとしましょう」
テスタロッサの言う通り、この場に現れたのはドォルグだけではない。“新生十二蟲将”を名乗る存在もまた、この場に襲撃をかけていたのだ。
「ええ。本当に助かったわ。ありがとうね、テスタロッサさん」
セラフォルーはチラリと蟲将の残骸を見やる。
現れた蟲将は二体。それぞれ、ムカデとアメンボを模した姿をしており、テスタロッサの敵ではなかったが、それでも覚醒魔王級の力を持っていたことは間違いない。
もし、この場にいたのがセラフォルーだけだったのならば……恐らく自分は成すすべなく殺されていたに違いない。
『悪いわねセラフォルー。正直、今の貴方にはあまり興味はない』
ツフォーメ・テレアク・レヴィアタンに述べられた言葉が彼女の頭に鳴り響く。
確かにそうだ。今後、神祖の高弟と戦うにあたり、今の自分は間違いなく足手まとい。
高弟はおろか、“蟲将”や異世界の神々とやらにも遠く及ばないだろう。
「…………」
強くならなくては。セラフォルーは強く拳を握りながら、決意する。
「……それにしても、面倒ね」
そんな光景を横目にポツリとテスタロッサが呟く。テスタロッサの視線は、セラフォルーと同じく二体の“蟲将”に向けられるのだった。
ペーター
EP 102万1968
種族
加護 蟲女帝の加護
称号 新生十二蟲将第10位
エクストラスキル 毒精製、電気操作、
ムカデを擬人化したかのような蟲魔人。同じムカデモチーフでもムジカとは異なり、毒に特化している。テスタロッサに葬られた。
ストラ
EP 100万6239
種族
加護 蟲女帝の加護
称号 新生十二蟲将第12位
エクストラスキル 水操作、油操作、強酸、
アメンボを擬人化したかのような蟲魔人。水だけでなく、油や酸を吐くことができ、炎を操ることができる。ペーターと同じくテスタロッサに葬られた。
マンティディーチ
EP 182万3581
種族
加護 蟲女帝の加護
称号 新生十二蟲将第11位
エクストラスキル 金剛身体、斬撃強化、
カマキリとダンゴムシの性質を併せ持つ蟲魔人。ラーヌの生み出した個体の中では最も若く、将来を期待されていた。鎌は伝説級に匹敵する切れ味を持ち、“暴走強化状態”を使用することで下位の神話級に匹敵する強度になる。生まれたばかりのため、戦闘軽々が浅く、覚醒したミッテルト、エスプリ、アゲーラに敗北する。