帰ってきたらD×Dだった件   作:はんたー

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風の力と神祖の力です

 イッセーside

 

 

 

 

 

「ぐっ!」

 

 ビュカッ! 

 

 ダイスケの槍の攻撃を躱しながら、カウンターを食らわせる! だが、ダイスケの風の鎧がそれを阻み、中々内側まで届かない! 

 

「強い強い! ホント、いいね君! じゃあ、これならどう? “破砕嵐刃”ッ!」

 

 ダイスケは狂気を帯びた笑みを浮かべながら、魔法陣を展開し、嵐の如き風の刃を繰り出してきた! 

 

「チィッ!」

 

 瞬時に解析した俺はその凶悪な攻撃に舌打ちする。この風の刃は一つ一つがメロウの音波振動以上の周波数を纏ってやがる! 

 メロウの音波が遅効性の爆弾なら、コイツの風は触れたもの皆傷つけるチェンソーだ! 

 受け流しに拳を使えば、逆に拳がズタボロになりかねない! 避けの一手しかねえな! 

 

「ここだよ!」

 

 ダイスケは攻撃を避ける俺に向かって一直線に突っ込んでいく! 神話級の槍に風を纏わせ、俺を仕留める気でいるのだろう……だが! 

 

「そう来るのは分かってんだよ!」

 

 ザシュッ! ドゴォン! 

 

 ダイスケの槍が俺の脇腹を貫き、俺の拳がダイスケの顔面を捉える! くっ、痛ってえ! 

 

「ぐっ、わかってたってわけね……戦闘経験豊富なだけはあるね」

 

「こっちのセリフだよ……今の軌道はどうあがいても避けられなかったからな……」

 

「だから、カウンターを狙ったわけか。恐ろしいね♪」

 

 そう言いながら、ダイスケは滴る鼻血を舌で舐め取る。

 ダイスケの奴、恐ろしいことに俺の回避する場所を制限することで俺の動きを誘導しやがったんだ。避けるルートを制限すれば、後は俺の出てくる場所を狙って渾身の一撃を叩き込めばいいだけだからな。かといって、あの風の刃は受けるには危険すぎた。だから、この際ダメージ受けるのは覚悟してカウンターを狙ったわけだ。

 俺はうまく脇腹を捻ったおかげでダメージは最小限に抑えられた。一方ダイスケも常に纏う風の鎧でダメージを最小限に抑えてやがる。まだまだ勝負は五分五分といったところか。

 

「うんうん。本当に楽しいや……じゃあ、こんなのはどうかな?」

 

 ダイスケはロスヴァイセさんを遥かに上回る魔法陣を展開し、全方位からの攻撃を放ちやがった! 

 逃げ場は……今度はない! 何処をどう躱しても絶対に被弾する軌道だ! だが、舐めるんじゃねえぞ! 

 

「ないなら作ればいいんだよ! “覇竜絶影拳(ドラゴニックバースト)”!」

 

 俺は覇竜絶影拳の衝撃波で全方位の攻撃に僅かな穴を開け、そこを通り抜けることで脱出する! 勿論、ただ一箇所に穴を開けたんじゃ、すぐに見抜かれるだろうことを予見して四方八方に穴を開けて相手を惑わすことを忘れない! 

 脱出した俺はそのままダイスケに向かっていくが、俺の拳をダイスケの槍が再び弾き飛ばす! 

 

「今のも回避するか……本当に強いね」

 

「そう言いながら、簡単に防ぐお前に言われたかねえな!」

 

 さっきからコイツは不意打ち気味の攻撃にも余裕で対処しやがる! 正直、カグチと比べても遜色ない強さだぞ! 

 

「そりゃね。一応、直接的な戦闘技術はカグチさんと比べてもあまり変わらないからね。元々はカグチさんと一緒に神祖様の頼みで色んな世界の強者をスカウトしてたんだよね。いや〜、楽しかったよ。色んな世界の強者や女の子と遊ぶのはさ♪ まあ、禍の団が生まれてからは、監視の意味合いも込みで英雄派に入ることになったんだけど、それもここ数年の話だしね」

 

 なるほど……様々な世界で鍛え抜かれた戦闘センス。これがダイスケの強みということか。

 

「その通り。この()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()んだよ。メロウちゃんと違って実戦で磨いてきたから、結構使いこなせてる自信もあるんだ!」

 

「っ!?」

 

 ダイスケは自らを風化し、一気に距離を詰めてきた! 

 ランガさんと同じ事、コイツもできるのかよ!? 

 

「それだけじゃない。こんなこともできるんだよ。“世界はいずれ風化する(フェードアウェイ)”!」

 

 ダイスケの魔力の籠もった掌が俺の鎧に触れる! 瞬間、俺の鎧はまるで風にでもなっちまったこのように消えていった! 

 

「なっ!?」

 

「いま!」

 

 ドスンッ! 

 

 かは……っ!? 俺が困惑した瞬間を狙い、ダイスケは槍の一つで俺のことを思い切り突き刺しやがった! 風の力を帯びた槍に貫かれ、俺は血反吐を吐きながら遥か後方へと吹っ飛んだ! 

 

「ぐっ……禁手!」

 

 俺は空中で捻りを加えて勢いを殺し、再び“赤龍帝の鎧”をこの身に纏う! なんだ今の! 俺の鎧が成すすべもなく消えただと!? 

 戸惑う俺にダイスケは楽しそうにしている様子だ。

 

「驚いた? 今のが俺のとっておき。気づいてると思うから言っちゃうけど、俺の究極能力は魔術への補正もかかるんだ。それと精神生命体の特性を応用して、自分だけじゃなく、他の存在も風化することができるんだ。まあ、魔力を結構消費するうえ、分かってれば抵抗(レジスト)は簡単な初見殺しなんだけど……本当は君を丸ごと風化させようと思ったんだけど、鎧の力が思ったよりも強かったね。もし、鎧がなければ君は今頃風となって辺りを漂ってたと思うよ」

 

「ぐっ……」

 

 そんなことができるのかよ……確かに、精神生命体は肉体に縛られず、精神のみでも活動することができる。それを応用したのがランガさんやカリオンさんの必殺技。

 だが、形態変化であるそれを攻撃に転化してるってのか! 

 もしもドライグがいなければ、危なかったかもな……だが。

 

「大丈夫か? ドライグ?」

 

『ああ……だが、お互いに相当なダメージを負ったな』

 

 貫かれた俺だけでなく、ドライグの力が実体化した鎧を力ごと風化させられた影響で、ドライグにも相応のダメージが入っていた! 

 

「ゲホッ、マジで厄介だな……お前……」

 

「ハハッ、褒め言葉として受け取っておくよ。君の方こそ、あの一瞬で体を捻って主要な臓器を避けたじゃないか。本当に良い身のこなしだよ」

 

 神話級の槍をくるくると回しながら、再び構え直すダイスケ。

 俺も息を整え、傷をふさぎ、拳を構える。今度は風化されないように、自らの存在を強く保つことを意識する。

 ドライグも同じで、これなら簡単には風化させられないだろう。精神生命体の特性の応用なら、精神生命体の特性さえ持ってれば抵抗できるってことなんだろう。コイツ自身、初見殺しと割り切ってるようだしな。

 

「それにしても、君だけじゃなくて女の子達もやるもんなのね。英雄派の皆なら倒せるかなって思ってたけど、正直舐めてたよ」

 

 ダイスケはそう言いながら、ちらりと下に視線を向ける。

 聖剣使いらしい女の子と互角に戦うイリナ。巨漢の男と相まみえるロスヴァイセさんとアーシア。ジークフリートと斬り合う木場とゼノヴィア。そして、互角の戦いを繰り広げているジウと曹操。

 

「曹操なんて、未覚醒ながら並の聖人なら倒せるレベルだと思ってるんだけどね。あのジウって子、ルドラのところのでしょ? 強さでは曹操に分があるけど、搦手で渡り合ってるわけだね」

 

 この中で危険なのはジウだな。確かに搦め手を駆使して曹操と渡り合っているが、曹操はまだ禁手を使ってない。もし、業を煮やして使われたら形勢は一気にひっくり返るだろう。

 

「まあでも、ゲオルクの準備もうすぐ終わるだろうし、それまで遊んでいようよ」

 

「ああそうだな。お前をぶっ倒してとっととくだらねえ実験終わらせてやらァ!」

 

 鎧を復活させた俺はそのまま倍加した拳を振るう! それに対し、ダイスケも槍を激突させる! 

 幾度となく拳と槍を交えさせながら、俺は気になったことをコイツに聞く。

 

「……さっき、お前()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()とか言ってたな。どういう意味だ?」

 

「……おっと。つい口が滑ってたようだね」

 

 少し驚いた表情をしながらも、僅かな隙も見せずにダイスケは俺の拳を的確に捌く。

 そして、互いに強烈な一撃を放つと、凄まじい衝撃が周囲を震わせ、互いを弾き飛ばす! 俺達は空中で体勢を整え、再び向かい合う。

 

「つまり、神祖は究極能力の獲得を助力する権能を持ってるってことか?」

 

「否定はしない。まあ、珍しいことでもないでしょ。ルドラやミカエルだって“究極付与(アルティメットエンチャント)”っていう量産した究極能力を分け与える権能を持ってたわけだし、似たようなことを神祖様もできるってだけさ……だからこそ、色んな世界から強者を勧誘してるわけでもあるしね」

 

 マジかよ……っ!? ダイスケの言葉が本当だとしたら、敵には究極能力を持つものがわんさかいるってことになるぞ!? 

 

「まあ、依代になるには本体の力がある程度ないと駄目で、曹操も強いんだけど本人がまだ仙人級で器には及ばないんだよね」

 

 なるほど。だからコイツは基軸世界の話を曹操達にしてないのか。もし曹操が究極能力を付与できる水準にまでなれば、コイツも教える予定だったのかもな。

 ミカエルやルドラ……あとリムルもそうだけど、究極能力を付与するには付与される側に覚醒魔王級の力が必要だからな。

 

「で、そんなことを俺に教えてよかったのかよ!」

 

「まあ、口が滑ったってのもあるけど、コレくらいならね。あくまでこっちの問題だから対策しようなんてないわけだしさ!」

 

 ドゴォォォォォォォォンッ!! 

 

 俺の爆炎とダイスケの暴風がぶつかり合い、炎の竜巻を作り出す! 

 俺達の戦いはまだまだ始まったばかりだ! 

 

 

 

 

 

 ****************************

 

 木場side

 

 

 

 

 

「はあ……はあ……」

 

「くっ、流石は教会屈指と言われた戦士というわけか」

 

「君達こそ……ここまで手こずるとは思っても見なかったよ」

 

 僕とゼノヴィアは禁手となったジークフリートと剣戟を続けていた。

 僕も基軸世界での修行で強くなったつもりだったけど……それでもここまでの差があるのか。ゼノヴィアと2人がかりでやっと互角。もしも一対一なら間違いなく勝てなかっただろうね。

 

「……木場。特大の魔力を込めた魔剣を貸してくれ」

 

「……あの技を使うつもりかい?」

 

 ゼノヴィアは魔剣と聖剣の相乗効果で絶大な破壊力を発揮する“光闇無影斬”を放つつもりなのだろう。

 だが、僕にエクスデュランダルの力に耐えうる魔剣が作れるかどうか……。少し不安になる僕だったけど、ゼノヴィアは強い目で見つめている。僕ならできると確信してるのだろう。

 

「わかった。でも、剣を作るのに時間がかかりそうだから、少しの間耐えてくれ!」

 

「ああ。了解だ!」

 

 そう言ってゼノヴィアはジークフリートに突っ込む! いつもの力押しの戦い方とは違う……“騎士”のスピードを活かした戦法だ! 

 

「なるほど……確かに速い……が、木場佑斗ほどではない。その程度の速度で僕を翻弄できると思ってるのか?」

 

 ザシュッ! 

 

「ぐっ!」

 

 強烈な一撃を放つジークフリート! ゼノヴィアは体を捻りなんとか回避するが、完全には避けきれず、片目を持っていかれてしまった! 

 しかし、片側の視界を失ってもなお、ゼノヴィアは変わらぬ動きでジークフリートと斬り合っている。

 魔力感知を駆使して周囲の状況を把握してるみたいだね。

 

「片目を失ってなお微動だにしないか。大したものだ」

 

「意外にもイッセーはスパルダでね。視界を失った状況下での訓練はよくやったものだ!」

 

 ジークフリートの剣技にゼノヴィアは負けじと食らいつく! その隙に僕は魔力を極限まで込めて新たな魔剣を作り出す! 

 その魔剣は禍々しいオーラを出している! 間違いなく現時点の僕が作れる最高クラスの魔剣だ! 

 

「ゼノヴィア! 受け取れ!」

 

 僕はゼノヴィアに魔剣を投げつけると、ゼノヴィアは即座にそれを受け取ろうとする! 

 

「させるか!」

 

 ジークフリートは背を向けたゼノヴィアを魔帝剣で貫こうとする! 

 

「悪いが、切り札はとっておくものさ!」

 

 そう言いながら、ゼノヴィアは懐から札らしきものを取り出し、それをジークフリートに投げつける! 

 

 ガギィィンッ! 

 

 札はそのまま障壁となり、ジークフリートの攻撃とぶつかり合う! 

 あれはアーシアさんの“祈の護符”! あの札は込められた魔力を解放するものだから、事前に障壁を封じ込んで備えていたのか! 

 流石に魔帝剣を完全に防ぎきれる代物ではないものの、時間稼ぎならそれで十分! 障壁が砕かれたのと同時にゼノヴィアは僕の魔剣を手に取った! 

 

「アーシアには後で礼を言わないとね! では、行くぞ!」

 

 ゼノヴィアら魔剣とエクスデュランダルにオーラを込め、それを重ね合わせる! 束ねられた魔の力と聖の力は凄まじい波動を生み出し、ゼノヴィアはその力を一気に解放した! 

 

「────“光闇無影斬”!」

 

「っ!?」

 

 ドガァァァァァァァァァンッ!! 

 

 光と闇の鳴動は一直線にジークフリートに突き進んでいく! 

 ジークフリートは全ての剣を盾のように構えるが、その凄まじい波動に一瞬で飲み込まれた! 

 

 ドオオォォォォォォォォンッ!! 

 

 凄まじい爆風が吹き荒れる! 上空から常に荒れ狂う暴風とも混ざり合い、凄まじい衝撃を一帯に迸らせている! 

 

 パキンッ! 

 

 その威力に耐えきれず、僕の魔剣は砕け散る! 凄まじい威力だった……もしかしたら、イッセー君の一撃にだって匹敵するかもしれない。

 そんな一撃を食らったジークフリートはどうなったのだろう。

 土煙が晴れると、そこにはボロボロとなったジークフリートの姿があった! 

 

「あれを食らってまだ生きているとはね……」

 

 魔帝剣グラムにバルムンク、ノートゥング、ダインスレイヴ、ディルディングに光の剣。それぞれが伝説級の力を持つ魔剣をすべて防御に回したからこそ、耐えることができたのだろう。

 ただ、それでも代償はあるみたいで武器の一部はボロボロ、光の剣に至っては原型をとどめていない。そして、ジークフリート自信も全身血まみれの状態になっている。

 

「悪いがとどめと行かせてもらうぞ」

 

「……いえ、そうはいきませんよ」

 

 そう言いながらジークフリートは懐から何かを取り出し、それを全身に浴びせるように頭にかける! 

 すると、ジークフリートの傷口は煙を立てながら修復されていく! 

 

「アレは“フェニックスの涙”!?」

 

 彼が取り出したのは紛れもなくフェニックスの涙だった! そんな馬鹿な!? 

 あれは各地のテロのせいでそう簡単には手に入らない代物となっている! それをなぜ、彼が持っているんだ!? 

 問い詰める僕にジークフリートは笑んだ。

 

「裏のルートで手に入れたのさ。裏のルートでは金さえ払えば手にいれることは可能なんだよ。もっとも、フェニックス家の者は僕達に回っているなんて露ほども思っていないだろうけどね」

 

 ……なんてことだ。よりによって、フェニックスの涙がテロリストの手に渡ってるだなんて……。アレがあればどれだけの命が救えると思っているんだ……っ! 

 

「とはいえ……凄まじい威力だった。ダインスレイヴとディルディングは暫くは振るえそうにないな。バルムンクはまだいけるかな?」

 

 ジークフリートはグラムとバルムンクを構え、再度僕たちに向ける。それを見たゼノヴィアは懐から袋を取り出し、それを目にかける。

 

「フェニックスの涙は予想外だったが……こちらにも回復手段はあるんだよ」

 

「……なんだそれは? 失った目が治っていく? それほどの再生力、フェニックスの涙でも持ち得ないはずだが?」

 

「フッ、こちらの隠し玉さ。言ったはずだ。切り札はとっておくものだとね」

 

 ゼノヴィアはアザゼル先生にもらった“完全回復薬”を使用し、失った目を再生させ、エクスデュランダルを構える。

 どうやらジークフリートも驚いている様子だ。とはいえ、傷こそ癒えてるけどゼノヴィアは大分疲労している様子だ。

 僕も先ほどの魔剣で魔力のほとんどを使い切ってしまっている。こちらもフェニックスの涙を使うべきか……。そう考えている時だった。

 

 バジッ! バジッ! 

 

 空間を震わす音が鳴り響き、大きな穴が生まれた! 

 

 

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