帰ってきたらD×Dだった件   作:はんたー

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バアル眷属の意地です

 イッセーside

 

 

 

 

 

『初戦を制したのはグレモリーチーム! さあ、次の試合はどうなるでしょうか!』

 

「お疲れさん、木場」

 

「ありがとう、イッセー君」

 

 実況が観客を煽る中、魔法陣から木場が帰ってくる。俺は戻ってきた木場とハイタッチを交わし、視線をリアスに向ける。

 再び、両王がダイスを転がす。出た目は────リアスが6でサイラオーグさんかま4。合計で10。

 

『今度の合計数字は10! 両陣営、10までの選手を出せる事になります! 勿論、複数での選出もOKな数字です!』

 

 実況の言う通り、チームでもいける数。なんなら、俺もでれる数字だな。

 さて、どうするか……作戦時間が始まり、俺達は次の試合に出すメンバーを決める。

 俺やリアス、朱乃は数が大きいから単独でしか行けない。まだまだゲームは序盤だし、俺が出張ればリアスの評価も落ちる可能性がある。よって、俺は除外だな。

 木場はさっき出たから連続で出場できたいルールのため、今回は無理。まあ、抑えたとは言えそこそこ消耗しただろうから、今は休むべきだな。

 また陣地が結界に覆われて外部から遮断される。

 すると、リアスが口を開く。

 

「手堅くいきましょう。ロスヴァイセと小猫。2人にお願いするわ」

 

「分かりました」

 

「……了解です」

 

 魔法使い『戦車』のロスヴァイセさんに、格闘系『戦車』の小猫ちゃんのダブル戦車! 

 小猫ちゃんは“生命のグローブ”に手を通し、ロスヴァイセさんも魔力を全身に漲らせている。

 二人とも気合い入ってるな。二人は魔法陣の方に向かい、上に乗る。

 魔法陣が輝き、二人はバトルフィールドに転送される。

 映像に映し出されたフィールドは薄暗い神殿らしき場所だった。

 ディオドラ戦のフィールドと似た作りらしく、あちこちに巨大な柱が立っていて、奥には祭壇らしきものもある。

 さてと、気になる相手は────ライト・アーマーに帯剣と言う装備をした金髪の優男と、背丈が三メートルはありそうな巨人。

 

『俺はサイラオーグさまの騎士の一人、リーバン・クロセル。こちらのデカいのは戦車のガンドマ・バラム。この二人でお相手する』

 

『……』

 

 戦車のガンドラ・バラムは無言のまま、しっかりと小猫ちゃん達を見据えている。

 ガタイが良く、前腕が極太。顔立ちも人間よりと言うよりは通常の“上位悪魔(グレーターデーモン)”みたいに怪物寄りだ。あの巨体……実際に巨人の因子も入ってるのかもな。

 存在値も二十万を超えている。油断ならない相手だ。

 

「バラムは怪力が家の特色だったっけ?」

 

「そうだね。記録映像でもガンドマ・バラムの怪力は凄まじかったね」

 

 俺の問いに木場が答える。戦車の特性で怪力という長所をより伸ばしてるのか。シンプルながら、厄介そうな相手だ。

 それからもう一つ。

 気になるのはあの騎士の方だ。

 クロセルって言ってたな。俺の記憶が正しければクロセル家は────。

 

『……クロセル。元七十二柱。断絶した家の末裔』

 

 そう。クロセル家は断絶した家柄のはずなのだ。

 断絶した家柄の末裔が何かしらの形で現存する事があるのは俺も知っている。

 現に冥界の政府は断絶した末裔が生き残ってないか捜索もしており、人間界に住んでいる悪魔を保護したりしているらしい。

 つまり、あのリーバン・クロセルは断絶したクロセル家の末裔ってことになるな。これは中々面白そうだ。

 

『第二試合、開始してください!』

 

 審判の合図で試合が開始される。

 

『……悪いですが、初っ端から決めさせてもらいます』

 

 小猫ちゃんがそう呟くと、全身に闘気を纏わせ、猫耳と尻尾を出し、尻尾が二つに分かれた。

 これは小猫ちゃんの新技で『猫又モードレベル2』だ。

 仙術を使って全身に闘気を纏わせる事で一時的にパワーを爆発させる事が出来る。あの姿だと、身体能力も上昇する。

 小猫ちゃんは一気に飛び出し、バラムの顔面に一撃を加える! 

 

 ドゴォンッ! 

 

『ぐおっ……!?』

 

 豪快な音が鳴り響き、バラムは壁際まで押し込まれる! 

 そのまま小猫ちゃんは二撃目をバラムの腹に叩き込む! 

 

 ドズゥンッ! 

 

『かはっ……!?』

 

 いかに戦車の防御力と言えど、今の小猫ちゃんの攻撃を防ぐことはできまい。

 なにせ、今の小猫ちゃんにはユニークスキル“拳闘者(ナグルモノ)”がある。“剛力”“金剛身体”“連撃”と殴ることに特化した権能を持つ小猫ちゃんのパワーには、あの巨大なバラムと言えど太刀打ちはできないだろう。

 

『ぬんっ!』

 

 バラムが豪快に腕を振るう。ブゥゥゥゥンと空気を震えているのが画面越しからでも伝わる。しかも、予想以上に俊敏だ。

 小猫ちゃんはその一撃を防御し、吹き飛びながらも着地する。

 

『……重たい上に、速い……』

 

 どうやら今の一撃で腕が痺れてるみたいだな。巨体に見合うパワーがあるということだろう。

 小猫ちゃんもパワーでは負けてない……どころか上回っているが、耐久力の面ではまだ不安がある。もしも“金剛身体”がなければそこそこのダメージを負ってたかもしれないな。

 俺は小猫ちゃんから視線を外し、ロスヴァイセさんの方を見る。

 ロスヴァイセさんは開始と同時に飛び出した“騎士”クロセルの攻撃に手こずってる様子だ。

 

 ズゥゥゥゥッ! 

 

 ロスヴァイセさんごと周囲の映像がブレる。それと同時にロスヴァイセさんは膝をつき、周囲の床も何かに押しつぶされているかのように凹んでいく。

 

『アンタの魔法は脅威だからね。早めに潰させてもらうよ、お姉さん』

 

 クロセルが目を光らせながら言う。

 映像でも見たが、なかなかに厄介そうな力だな。

 

『……重力操作の能力……』

 

 ロスヴァイセさんは重くなった身体で足下に魔法陣を展開させようとする。

 

『そうはさせないぜ! 凍らせる!』

 

 クロセルは手元に魔方陣を展開させ、ロスヴァイセさんの足を凍らせた! 

 

『そう言えば、魔法剣士でしたね!』

 

 剣を抜きながら向かうクロセルにロスヴァイセさんは不敵に笑う。

 

『俺はクロセル家と魔法使い、人間の血も宿す混血でね! ついでに剣術も得意だ! 重力の方は神器、“魔眼の生む枷(グラビティ・ジェイル)”!』

 

「彼の神器は視界に映した場所に重力を発生させるもの! 彼があなたから視線を外さない限りは能力は続くわ! 気を付けて!」

 

 リアスがイヤホンマイクを通してロスヴァイセさんに告げる。

 奴の能力はギャスパーとよく似ている。格上には一切通用しないギャスパーと、格上相手にも重力をかけることができるクロセル。中々に甲乙つけがたい能力だな。

 能力の格でいえば、完全に相手を停止させるギャスパーのほうが上なんだろうけど、あの能力も極めればミニッツさんの“圧制者”みたいに相手を圧殺させることも可能だろうし、殺傷力ならクロセルが上と見ていいだろう。

 

『でも、これならどうですか? “時限式フルバースト”!』

 

『っ!?』

 

 ドドドドドドドッ! 

 

 瞬間、クロセルに数多の魔法攻撃が殺到する! 

 ロスヴァイセさんは先程から動き回り、高速で魔法陣を描くことにより、時限式のフルバーストを準備していたのだ! 

 一瞬呆けたような表情になるも、クロセルは即座に切り替える! 

 クロセルは目から狐火のように怪し気な光を灯す! 

 光は彼の頭上に集まり、目玉を模した球体となる! そのまま目玉はクロセルに迫らんとするフルバーストを見つめ、圧力をかける! 

 

『なっ!?』

 

 圧力をかけられたフルバーストは暫し拮抗するが、暫くすると霧散する! 

 ロスヴァイセは驚きながらも冷静に宙に浮かぶ巨大な目玉を見据える。

 

『今のは……禁手ですね……』

 

『その通り。これぞ“魔眼の生む枷”の禁手、“圧死の邪眼(イビル・グラビティ)”。宙に浮かぶ第三の瞳が俺の周囲に迫るものすべてを押しつぶす』

 

 なるほど……あの宙に浮かぶ瞳は360°どこでも圧力をかけることができるし、霊体のようだから物理的に干渉できるか怪しいところだ。魔法攻撃なら効果あるだろうが、時限式フルバーストにはロスヴァイセが追加で魔力を込めることができず、威力は元々魔法陣に込められた魔力に由来する。

 直接放てればまた違ったのかもしれないが、通常よりも魔力の少ないフルバーストではあの圧力を突破することはできなったのだろう。

 

『……それにしても、バラムと互角に殴り合うとはな……見かけによらずおっかない。サイラオーグ様の判断は正しかったってことか』

 

 クロセルは呆れたように言う。

 小猫ちゃんとバラムは互角の殴り合いを演じている。

 しかし、ポーカーフェイスを崩さない小猫ちゃんに対し、バラムは余裕がなさそうだ。

 パワーは明らかに小猫ちゃんのほうが上。

 しかも、小猫ちゃんはそれに仙術をプラスしてるから、表面上は互角に見えてもいずれバラムは動かなくなるだろう。

 現にバラムは徐々に押されている。しかし、クロセルは余裕の表情を崩していない。

 

『……だが、バラムもまだ終わらんぜ』

 

『ぬぅ!』

 

 バラムは距離を取ると、魔力をさらに高める! すると、ただでさえ巨体を誇るバラムの大きさがメキメキと上がっていく! 

 どうやら、魔力を全身に張り巡らせてパンクアップした様子だ。全身に魔力を張り巡らせた影響で、仙術の力も弱くなってやがる。

 

『……いくぞ!』

 

『っ!?』

 

 バラムは倍近くに膨れ上がった巨体に見合わない速度で小猫ちゃんに迫る! 

 流石に今のバラムの一撃は危険だと判断したらしく、攻撃を回避する小猫ちゃん。

 

『……えいっ!』

 

 ズンッ!! 

 

 小猫ちゃんも負けじと“連撃”で攻撃力をさらに上げていき、バラムに重たい一撃を食らわす! 

 

『ぬうっんっ!』

 

 バゴンッ!

 

『……っ、なんて威力』

 

 小猫ちゃんはバラムのカウンターを拳で受け止めるが、苦悶の表情を浮かべている! 

 今の一撃は小猫ちゃんの“金剛身体”の防御を抜いてきた。しかも、あのスピードだと回避するにも一筋縄じゃいかないだろう。

 

『えいっ!』

 

『ぬんっ!』

 

 ドゴゴゴゴゴゴゴゴオォォッ!

 

 再び殴り合う小猫ちゃんとバラム! しかし、先ほどとは明らかに違う! 俺の目から見ても完全に互角だ! 

 一撃の威力はバラムが上! だが、“連撃”で徐々に攻撃力を増していく小猫ちゃんも負けていない! 

 こうなると、後は完全に根性の勝負になるな……。どっちが勝つか、俺もわからん! 

 

『……先程の騎士といい、データとまるで違いますね』

 

『当然。並大抵の修練では、兵藤一誠の影響で力を伸ばすグレモリー眷属の成長率に敵わない。だから、此方はアドバイザーとして呼んだ皇帝ベリアル及びその眷属と本気の手合わせを幾度となく繰り返したのさ。彼の眷属と一対一で戦って勝てるようになるまでね……』

 

 マジかよ……。俺は思わず解説席に座る皇帝ベリアルに視線を映す。

 あの人、魔王種の中でも最上位クラスの力があるんだぞ? 少なくとも、並の超級覚醒者より強いのは間違いない。実際、魔王であるセラフォルーさんと比べても大差などないだろう。

 本人だけでなく、その眷属も実力者揃いなのは想像に難くない……。それとひたすら組み手したと? しかも勝てるようになるまで? てっきり、アザゼル先生と同じくゲームのアドバイザーくらいの認識だったけど、そりゃ強くなるわ。

 

『ならば!』

 

 カッ! 

 

 ロスヴァイセさんは重力に苦しみながらも魔法陣を展開し、閃光を放つ! 

 

『甘いぜ、お姉さん! 俺の第三の眼は光の中でも使える上、視界を共有できる! 多少の閃光くらい、どうということはない!』

 

 クロセルは光の中でも正確にロスヴァイセさんの元へ駆けていく! 

 そしてそのままロスヴァイセさんに強烈な斬撃を浴びせ────

 

『っ!?』

 

 クロセルは目を見開く。ロスヴァイセさんの身体を自身がすり抜けたからだ! 

 あの光はただの光じゃない! そのまばゆい光の屈折で相手の認識を誤認させる効果を持つ! 

 クロセルはどうやら魔力感知を使うことができないらしく、あくまで視覚情報に頼っている。光の屈折で第三の眼すらも騙してみせたのだ! 

 

『それだけじゃない……あの重力下でも、私はずっと魔力を溜めていたんです! 食らいなさい、フルバースト!』

 

 ロスヴァイセは強大な魅力を込めた魔法陣を幾重にも展開する! その密度は先程の時限式の比ではない! 

 

『う、うおおおおっ!』

 

 クロセルもまた、第三の眼に魔力を込めて攻撃を必死に逸らそうとする! 

 しかし、抵抗虚しく第三の眼は一瞬で掻き消え────

 

 チュドドドドドドドドォォオオンッ! 

 

 あらゆる属性の魔法がクロセルに殺到した! このフィールドそのものを壊さん勢いだ! 

 攻撃が止み、塵芥が巻き起こる。そこには血まみれで横たわるクロセルの姿があった。

 

『えいっ!』

 

 ドゴォォォォンッ! 

 

『がはっ!?』

 

 凄まじい衝撃が鳴り響く! 

 そこにはボロボロながらも鋭い一撃を鳩尾に叩き込む小猫ちゃんと白目を剥いて倒れるバラムの姿があった! 

 

『はあ……はあ……このグローブがなかったら、危なかったですね……』

 

 小猫ちゃんはそう言いながら、愛おしそうにグローブを見つめる。

 俺がカイジンさんに頼んで作ってもらったあのグローブには傷を癒す効果があるからな。あの消耗具合だと、確かにそれがなければ押し負けてたかもしれない。

 大したやつだぜ……。

 

『倒したと……思っておる時が一番隙を生む……』

 

『え……っ!?』

 

 ズゥンッ! と音を立て、小猫ちゃんが膝をつく! 

 あの野郎、今度は小猫ちゃんに神器を使いやがった! 直ぐ様ロスヴァイセさんが攻撃するが、間に合わない! 

 

『さあ、今だ! バラム!』

 

『う、うおおおおおおおっ!』

 

 ブゥゥゥゥゥゥンッ! 

 

 風を殴る音とともに、巨大な拳が小猫ちゃんに突き刺さる! 

 それと同時に攻撃を受けたクロセルも吹き飛ぶがロスヴァイセさんは一瞥もせずに小猫ちゃんに駆け寄った! 

 

『うぅ……』

 

『……見たか……俺たちバアル眷属の意地を……』

 

 リタイヤの光がクロセル、バラム、そして小猫ちゃんを包み込む。

 

『小猫さん……』

 

 横たわる小猫ちゃんを抱きかかえるロスヴァイセさん。

 小猫ちゃんは今にも気を失いそうになっているが、必死に意識をつなぎとめる。

 

『……ロスヴァイセさん……後はお願いします……』

 

 小猫ちゃんはロスヴァイセさんにそう言うと、カメラの方を見つめる。

 

『イッセー先輩……リアス部長……絶対に勝ってくださいね……』

 

 それだけ言い残すと満足そうに笑みを浮かべ、小猫ちゃんはクロセルやバラムと共に転送される。

 

『サイラオーグ・バアル選手の騎士、戦車各一名。リアス・グレモリー選手の戦車一名、リタイヤです』

 

「……ああ。後は任せてくれ!」

 

 よく戦った、小猫ちゃん! 俺はモニターに向けて拳を突き出した!

 

 

 

 

 

 

 

 




最初は小猫ちゃんに勝たせようと思ったけど、それだと緊張感なくなるので結果は原作通りになりました。

リーバン・クロセル
EP 19万6006
種族 悪魔
加護 バアルの加護
称号 バアル眷属“騎士(ナイト)
神器 魔眼の生む枷(グラビティ・ジェイル)
禁手 圧死の邪眼(イビル・グラビティ)
霊体である第三の眼が頭上に現れ、見つめた相手に圧力をかけるという禁手。第三の眼は霊体のため、物理攻撃は効果がないが魔法による攻撃には弱い。並の魔法では圧力による防御を抜けないが、直撃すれば中級悪魔程度の魔力でも霧散する。第三の眼発動中も“魔眼の生む枷”は変わらず発動可能だが、第三の眼が破壊されると一定時間神器そのものが発動不可となる。

ガンドマ・バラム
EP 21万8680
種族 悪魔
加護 バアルの加護
称号 バアル眷属“戦車(ルーク)
エクストラスキル “肉体強化”
シンプルに肉体強度を上げ、攻撃力と防御力を上げるエクストラスキル。小猫の“連撃”のような爆発力はないが、安定性があり、肉体の潜在能力を十全に発揮することができる。バラムはそもそも怪力が特色の家であり、それに戦車の駒が加わることでその力を底上げしておる。対して、小猫の種族である猫又は猫のような身体能力こそあるものの、怪力が特色というわけではないため、スキルの格では小猫が勝っていたが、種族の格でバラムが勝っていたため、ほぼほぼ互角の戦いとなった。
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