帰ってきたらD×Dだった件   作:はんたー

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球技大会本番です

イッセーside

 

 

バーンと大きな花火の音が校庭に響き渡る。

駒王学園では球技大会に限らず、祭りごとの際は花火を使うのだがかなり派手である。

天気予報によると午後から雨だそうだが……大会終わるまで降るんじゃねえぞ。

 

「部長頑張れ!」

 

「会長おおおおお!勝って下さああああい!」

 

びっくりした。匙の奴か……。

大声に振り向くと匙が生徒会闘魂と書かれた巨大な旗をぶん回しながら応援している。何あれ手作り?

気合入っているな……。

今行われているのはクラス対抗の女子テニス。部長と生徒会長の一騎打ちだ。

 

「いくわよソーナ」

 

「よくってよリアス」

 

そうして始まった上級悪魔の真剣勝負。二人とも一切手を抜かずにラケットを振っているな。

 

「シトリ流高速スピンボール!」

 

「甘い!グレモリー流カウンター!」

 

どちらもノリノリである。なんかこう言うところ魔国の皆を思い出すな。

ヴェルドラ師匠とかミリムさんとかシオンさんとか嬉々として技名を言うだろう。

 

「負けたほうがうどんをおごる約束……忘れていないわよね?」

 

「ええ!絶対に私が勝たせてもらうわ!百八の魔球でね!」

 

「受けて立ちます!私のシトリゾーンで!」

 

なるほど。二人ともそれであんなに真剣なのか。

賭けの対象完全庶民のそれだけど貴族であるあの人たちも人間社会を楽しんでいるってことだな。

 

「うどん……最近食ってないっすね。イッセー後でうどん食べに行きましょう」

 

ここで謎の飛び火が俺に!?当然おごりはこの場合俺だな……。

だがしかし、先日が小遣い日だった俺にとってその程度の出費は何でもない。受けて立とうじゃないか。

 

「わかった。後でな……」

 

「サンキューっす」

 

「ありがとうございます。イッセーさん」

 

「あらあら。でしたら私もごちそうになりますわ」

 

「……私もいただきます」

 

……あれ?おかしいぞ?

俺ミッテルト一人のつもりだったのにいつの間にかみんなの分俺がおごることになってしまったぞ!?

俺は財布を見ながら少し憂鬱な気分になる。

ほしいゲームとか結構あるんだけど、今月もつかな……?いや、節約すれば何とか……。

 

バキッ!

 

音がしたほうを見ると部長と会長二人のラケットが力に耐えきれず粉々になってしまった。

点数は同点。

どうやら引き分けみたいだ。

 

「ぐぬぬ。悔しいわね」

 

「うどんはお預けですか……」

 

「部長。イッセー君がおうどんおごってくれるそうですわよ」

 

「アラ本当!?ありがとうイッセー」

 

……さようなら俺の小遣い。

 

 

*******

 

さて、そんなこんなでやって来たドッジボールだ。

部活対抗戦はなぜか競技を当日に発表するというよくわからん決まりだが、ドッジボールならボールが大きい分力加減も上手くできそうだ。

 

「お待たせしましたイッセーさん」

 

「おお、アーシ……あ?」

 

着替えを終えてやってきたアーシアの姿に俺は思わず二度見をしてしまった。

何故ならアーシアが来ているのは学園指定のハーフパンツではなく……

 

「き、桐生さんから聞いたんです。ドッジボールの正装はブルマだって……。ど、どうでしょうか?」

 

最高です。じゃなくて!

桐生お前……なんてことをアーシアに教えてるんだよ!?

思わず桐生のほうをにらむも桐生はどや顔でグッドサインを送るだけだった。

いや、似合ってるんだよ!白い生足……太ももがほんとエロくて可愛らしい。

でもね。アーシアはなんていうか、こう、清純なわけよ!けがれちゃダメな感じな子なのよ!

おのれ桐生め……。

 

「だめですか?」

 

そんなこと考えていると、一向に反応のない俺を見て不安になったのか恥ずかしそうに上目遣いでそう聞いてきた。

 

「駄目じゃないです。最高です。いや、本当ありがとうアーシア」

 

お礼を言ったらアーシアは頭に?を浮かべながら首を傾げていた。

いや、ほんと純朴というか、仕草が可愛すぎる。アーシアマジ天使。

 

「イッセー、とっとと例のものを渡したほうがいいっすよ」

 

おっと、ミッテルトが少し不機嫌になってきてる。

焼きもちでも焼いてるんだろう。可愛いな。

まあでも確かにこのままだと脱線するし、先配っとくか。

 

「よしみんな!このハチマキ巻いてチーム一丸となろうぜ!」

 

そう、俺が用意したのはオカルト研究部の刺繍付きハチマキだ。

さすがに本職のシュナさんと比べるとかなり劣るけど、地獄蛾(ヘルモス)の糸で作った布を使った自慢の一品。魔法耐性も高い優れものだ。

まあハチマキの時点で防御面とか意味ないけど……。

 

「……予想外の出来栄え」

 

気難しい小猫ちゃんからも評価をもらえた。苦労したかいがあったぜ。

 

「あらあら、なんだか異様になじみますわね」

 

「ええ、どんな素材を使ってるのかしら?」

 

「あ、え~と……」

 

「部長、そろそろ向かうっすよ」

 

あ、危ない危ない。うっかり地獄蛾(ヘルモス)の糸とか正直に答えるところだった。

う~ん、そろそろ魔国のこと皆に教えるべきなのか……。

 

「おい木場、置いてくぞ」

 

「あ、うん。ごめん」

 

おいおい、ほんと大丈夫かコイツ……。

 

 

**********

 

 

「狙え!兵藤を狙えええええええ!!」

 

「殺せ!」

 

「くたばれイッセ────!!」

 

舞台は完全にアウェイ。観客たちはそろいもそろって俺に罵声を浴びせ、敵チームは俺に集中して殺意の波動をぶつけてくる。

だがしかし、常日頃変態三人組としていろいろ言われて言う俺に今更こんな口撃がきくとでも……。

 

「お願い野球部の皆!兵藤を殺してリアスお姉さまと朱乃お姉さまを救うのよ!」

 

「アーシアさんを正常な世界へ!」

 

「ミッテルトちゃんのためにも今一度痛い目を……」

 

「小猫ちゃんを助けてやるんだ!」

 

す、すまん……。やっぱつれエわ……。

何か普通に泣きそう。

おそらくこいつらはなぜか美女美少女がそろうオカルト研究部に俺がいるかが納得できてないんだろう。

そのため俺ばかり狙ってくる。おまけに例のうわさを信じ込んでいるのがたちが悪い。

ほんと許さねえからな元凶二人(元浜と松田)……。

 

「死ねえええええええええええ!」

 

殺意に満ちたボールが一直線に俺のもとへ……。

いい加減頭に来たぞ……。

俺はそのボールを片手でキャッチする。

 

「あ……」

 

「そ、そういえば、兵藤って去年の球技大会で無双してたような……」

 

フフフ、どうやら思い出したようだな。

去年の球技大会では俺はかなり大活躍をしていたのだ。

そもそも基軸世界でも魔王間の催しとしてドッジボール大会が開かれたことだってあるし、今更こんな一般人に後れを取るはずもない。

何が言いたいのかというと……。

 

「ほい」

 

「ぐわあああああああ」

 

ぶっちゃけまともな相手にならないんだよな。

 

その後、野球部員全員を一人でアウトにすることでこの戦いは幕を下ろした。

それだけじゃなく、その後も似たような展開が続き、俺たちオカルト研究部はそのまま優勝を果たしたのだ。

これぞ後に言う“野獣無双事変”である。

 

 

**********

 

体育館の外に出るとかなりの土砂降りだ。

大会が終わった後ってのが幸運だな。

 

「じゃあ、さっそく準備するっすよ」

 

「わかってるよ……」

 

お金大丈夫かな……。そんなことをのんきに考えていると……

 

 

 

 

バチンッ!

 

 

 

突如として乾いた音が響いた。

部長が木場の頬をひっぱたいたんだ。

 

「どう?少しは目が覚めたかしら?」

 

部長がかなり怒っているのが見て取れた。

確かに今日の木場はかなりというかだいぶ様子がおかしかった。球技大会中ですら終始ボケっとしていたのだ。

俺も気にはしており、木場からもうどん食う際話を聞こうかなとか考えていたんだけど……。

 

「すみません。今日は調子が悪いみたいなのでこれで失礼します」

 

「ちょっと、裕斗!」

 

見るに見かねたので俺は木場に問いかけてみることにした。

 

「……おい木場、大丈夫か?」

 

「君には関係ないよ……」

 

そう言ってすたすたと立ち去ろうとする木場。これたぶん間違いないな。

 

「復讐か?」

 

「!」

 

やっぱりか……。今の木場からは狂気を感じる。

出会ったばかりのベニマルさんの憎悪。七曜へ向けたアダルマンさんの嫌悪。そして、ファルムスから皆を奪われたリムルの狂気。

木場の目はそれらと同質のものを含んでいる。

 

「そう。イッセー君の言う通りだよ。僕は復讐のために生きている。──聖剣エクスカリバー。それを破壊するために、僕は生きている」

 

聖剣エクスカリバーか……。

こちらの世界についての知識が少ない俺でも知っている有名な聖剣だ。

ゲームとかでよくお世話になるな。

それに対し、何があったのか俺にはわからない。でも……。

 

「何かあったら絶対頼れよ。友達として力になってやる」

 

木場には響かないのか無視してどこぞへ行ってしまった。

 

 

**********

 

 

 

「「聖剣計画?」」

 

木場のこともあり、今日のうどんパーティーは延期となったため、俺たちはそのまま帰宅をした。

そこで部長が木場の過去についてを語ってくれることになったのだ。

 

「ええ、祐斗はその計画の生き残りなのよ」

 

部長が教えてくれたのはのは聖剣計画という、人工的に聖剣を扱える者を育成する計画についてだった。

 

「なんですかそれは?」

 

アーシアもこの計画については初めて知ったようだ。

まぁ、聖女として崇められてきたアーシアにそんな極秘計画が伝わるわけがないか。

 

「聖剣は悪魔にとって最大の武器。斬られれば消滅させられることもあるわ。ただ、聖剣を扱える者はそう多くはない。数十年に一人でるかどうかだと聞くわ。そこで行われたのが聖剣計画よ」

 

なるほどな、教会からすればかなり重要な計画だ。

成功すれば、悪魔に対する切り札が増えるんだからな。

だが、そうやすやすと成功するとも思えない。神話級(ゴッズ)の武器には劣る伝説級(レジェンド)の武器ですらかなりの力……最低でも仙人級の力がなければ持ち主として選んでくれないんだもの。

 

「祐斗もまた聖剣、エクスカリバーに適応するために実験施設で養成を受けたものの一人なの」

 

「じゃあ、木場っちは聖剣を?」

 

ミッテルトの質問に部長は首を横に振った、

 

「いいえ。祐斗は聖剣に適応出来なかったわ。それどころか、養成を受けた者、全員が適応出来なかったそうよ。計画は失敗に終ったの」

 

あれほど剣に精通し、多くの魔剣を扱える木場でも無理だったのか。この世界の聖剣もえり好みが半端ないらしいな。

だがおそらくそれだけではないのだろう。

ミッテルトもその可能性に気付いたのか顔を険しくする。

部長はそして、と続ける。

 

「適応出来なかったと知った教会関係者は、祐斗たち被験者を不良品と決めつけて、処分に至った」

 

 

 

処分…か…。

 

 

 

予想はしていたが胸くそ悪い言葉だ。

 

「そ、そんな…主に仕える人たちがそんなことを…」

 

協会に仕えていたアーシアにとってはその情報はかなりショックなもののようだ。

目元を潤ませて手で口を押さえている。

部長も不快な思いなのか、目を細める。

 

「何とか生き残った祐斗も私が見つけたときは瀕死の重症だった。だけど、そんな状態でもあの子は強烈に復讐を誓っていたわ。聖剣に狂わされた才能だからこそ、悪魔としての生で有意義に使ってもらいたかったのよ。祐斗の持つ才能は聖剣だけにこだわるのはもったいないもの」

 

おそらく部長は木場を救いたかったのだろう。

聖剣に、復讐にとらわれず、悪魔としての生をいきることで。

だけど、木場は忘れることが出来なかったんだろうな。

自分や仲間が殺されたんだ。忘れる方が難しいだろう……。

現に俺もファルムスにお世話になった多くの人たちが殺された時は……。

 

……あの時はミッテルトを助けることで頭がいっぱいになってたけど、それと同時にファルムスの憎悪も確かにあったからな。

 

我ながらよく冷静でいられたもんだぜ……。

 

その後、俺は例の写真を部長に見せたがやはりこれは聖剣らしい。

エクスカリバーほど強力なものではないらしいが見覚えがあるとのことだ。

 

「木場っち、早まった真似をしないといいっすけど……」

 

「……今はそっとしておくしかねえだろ」

 

こうして俺たちの中にもやもやしたものを残したまま、夜は更けていったのだった。

 

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