帰ってきたらD×Dだった件   作:はんたー

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最初に忠告しておきます。
今回展開速いうえにかなりのオリジナル展開です。
賛否あるかもしれないけど大目に見てください。






謎の敵と邂逅します

イッセーside

 

 

「……以上が今日あった出来事です」

 

「あ、あなたたち一体何を考えているの?」

 

今日あった出来事を部長に報告すると部長は白眼向きながら驚いていた。まあ無理もない。

関わらない方針をとるはずの教会勢とがっつり関わりを持って戻ってきたんだから。

本当は報告しないって手もあったんだが、そこはホウレンソウを大切にしないとな。

主に師匠とラミリスさんがそれを怠ったせいでとんでもないことになるのがうちの日常だし、そこはしっかりしないと。

 

「安心してください部長。木場のことは見張るし絶対に無理はさせません。むしろ木場が暴走しないよう俺がストッパーになるつもりですし……」

 

「……わかっているの?あなた達のしようとしてることは悪魔の世界に大きな影響を与えることになるかもしれないのよ」

 

「わかってます。でもお忘れですか?俺は部長の()()()()であって眷属ではない。最悪全部俺のせいにして切り捨てれば問題はありませんよ」

 

「うちも同じっす。まあ、引き際は見極めるし無理はさせないっすよ」

 

ジト―と俺たちをにらむ部長。しかしやがて根負けしたのか不機嫌そうにため息をついた。

 

「わかったわ。その代わり、はぐれ神父に遭遇したらちゃんと連絡をよこしなさい」

 

「了解しました」

 

これで部長からの許可は下りた。よし、じゃあさっそく木場たちのところに行くか。

俺とミッテルトは家を飛び出し、木場と合流するために町へと駆け出した。

 

 

 

*********

 

 

 

それから数日の月日がたった。

現在俺達は皆で夜の街を歩き回っていた。

俺、ミッテルトはいつもの制服ではなく黒い神父服を着ている。木場、匙、小猫ちゃんの悪魔組も同じであり、偽の十字架を掲げ、魔の力を抑える服で神父のふりをしているわけだ。

木場やイリナたちの情報を統合するとフリードはエクスカリバーを使って次々に神父を殺して回っている可能性が高い。だからこうして神父のふりをしておびき寄せようというわけだ。

ちなみに匙も協力しているのは木場の過去話を聞いたからだ。

あまりにも壮絶な過去に号泣していたし、やっぱり根は熱い奴なんだな。

まあ、会長には言ってないらしいから後で痛い目見るとは思うけど……。

 

「ん?」

 

「どうしました?イッセー先輩?」

 

見つけた。フリードの気配だ。魔力の質からしても間違いないし、何よりゼノヴィアやイリナとよく似た波動を持つ聖剣を持っている。

封印のようなものを施して隠しているつもりだろうが、解析に特化した俺の能力(スキル)からなる感知は誤魔化せねえぞ。

 

「この先にフリードの気配がする。油断するなよ」

 

「おまえ、そんなことが分かるのかよ?」

 

「……イッセー先輩のやることに突っ込むだけ無駄です」

 

お、どうやら向こうも気づいたみたいだな。木場に匹敵……いや木場以上のスピードで急接近している。

 

「神父の集団にご加護あれ♪」

 

フリードは接近するや否や手に持つエクスカリバーで俺たちをまとめて両断しようとする。

木場はとっさに魔剣を作り出し、フリードの剣を受け止めた。

 

「おやおや、折角神父をチョンパしようと思ったのになんだ悪魔のコスプレですか~」

 

相変わらず、ふざけた口調だな。

 

「んん~?そこにいるのはイッセー君じゃあ、ありませんか~。会いたかったですよ~」

 

フリードも俺がいることに気づき、話しかけてくる。その目には怨恨がにじんでいるようだ。

全く、こいつ本当に執念深い奴だな。口ではふざけていてもフリードは視線を俺から離さずにいる。

どうやら俺のことを相当警戒しているようだな。まあ、お前の相手は俺じゃないけど。

 

「悪いが俺は戦うつもりはない。闘うのはそこの木場だ」

 

「ありがとう。イッセー君」

 

「はっ、雑魚悪魔ごときがエクスカリバーを持つ俺っちに勝てると……」

 

フリードの言葉は最後まで言い切ることなかった。木場は騎士の力を発揮し、高速でフリードに接近したのだ。フリードも反応は遅れたものの木場の攻撃をエクスカリバーで受け止める。

 

「お前のエクスカリバーは僕が破壊する」

 

「ちい、調子乗らないでもらえますかあ?」

 

フリードは木場を魔剣ごとはじき、距離をとるが木場もすかさず魔剣を創造する。

そこから始まる二人の剣士による剣撃の応酬。

空中に激しく火花が散る。

木場は落ち着いてはいるようだな。気闘法で自らの速度をさらに底上げしている。

スピードは互角だが武器の質はフリードが上だ。木場が作る魔剣をことごとく破壊していやがる。

しかし、本当にエクスカリバーはバリエーションが豊富だな。

姿を変える、破壊特化の次は速度特化か。

 

「お、おい兵藤。木場のやつヤバイんじゃないのか?加勢しなくて良いのかよ?」

 

まあ確かに、ピンチではあるが、木場だって負けていない。

 

「確かに武器の質で言えば木場が負けている。でも、技術(レベル)なら木場のほうが上だ。木場を信じろ」

 

何しろ木場は基礎とはいえミッテルトから朧流の技だって教えてもらっているんだ。

俺からすれば木場にだって十分勝機はある。

 

「くそ!“天閃の聖剣(エクスカリバー・ラピッドリィ)”の力で最速となったはずの俺っちにどうしてついてこられるんだよ!?」

 

「僕はエクスカリバーを破壊するためにここにいる。負けるわけにはいかないんだ!」

 

木場の気合の入った一閃はフリードの頬をかすめる。フリードはそれを受けて顔が真っ赤になっていく。

フリードは相当切れているな。先ほどから焦って腰についている()()()()()()()()()()()()を抜こうとしているが、木場のスピードにより叶わないでいる。

対して木場は冷静だ。これならば俺たちの助けは要らなさそうだ。

 

「随分、苦戦しているじゃないか。フリード」

 

そう考えているとどこからか男性の声が聞こえてきた。

声がした方を見るとそこには神父の恰好をした初老の男性が立っていた。

 

「ほう、“魔剣創造(ソード・バース)”か。技量次第では無類の強さを発揮するという代物だ」

 

「バルパーのじいさん!」

 

そうか……こいつが木場の仇。やっぱり今回の件に絡んでいたということか。

 

「っ!? おまえがバルパー・ガリレイか!」

 

「いかにも」

 

フリードの言葉に木場がいち早く反応した。

まずい、仇敵を目の前にしてあいつ、冷静じゃいられなくなっていやがる!

 

「フリード、聖剣に因子を込めろ。さすれば聖剣の力をさらに引き出せる」

 

「へいへい。流れる因子よ、聖剣に!なんつってな!」

 

すると、フリードと聖剣の刀身にオーラが集まり、輝きを放ち始める。

瞬間、フリードは木場を上回る速度で木場に迫ってきた。

 

「さぁ、クソ悪魔君。さっさとチョンパといきましょうかぁ!」

 

「ぐっ!」

 

木場がとっさに魔剣で受け止めるもそもそも武器性能は向こうが上なんだ。いともたやすく折られてしまう。

木場も冷静さを失っているし、このままじゃ流石にまずいな。

俺も参戦するべきか……?

……ン?何やら覚えのある気配が近づいてきた。この気配は……。

 

「やぁ、遅くなったね」

 

「やっほー。連絡もらったから来たわよー」

 

瞬間、二つの影がフリードを斬りつけようとする。

ゼノヴィアとイリナの二人だ。

おそらくフリードと交戦を始めたときに小猫ちゃんあたりが連絡入れてたのだろう。

ここにきて共同戦線の助っ人が参戦か。

 

「ちい、聖剣使いか……」

 

「フリード・セルゼンとバルパー・ガリレイだな。反逆の徒め。神の名のもと、断罪してくれる!」

 

「俺の前でその憎たらしい神の名前を出すんじゃねぇよ!クソビッチが!」

 

フリードは聖剣に力を込め、三人に向かって向ける。

おっと、助けに来てくれたのは二人だけじゃなさそうだ。

 

「滅びよ!」

 

「鳴り響け!」

 

「!?今度はなんなんですか!?」

 

滅びの魔力と雷がフリードに対し迫っていく。それをエクスカリバーの力でよけるもその表情には余裕のなさが見て取れる。

そこにいたのは美しい赤髪をした女性と巫女服を着た黒髪の女性。

そこにいたのは我らがオカルト研究部の部長、リアス・グレモリーに副部長の姫島朱乃。

部長と朱乃さんも駆けつけてくれたようだ。

それだけでなくアーシアまでこの場に来ている。アーシアは傷ついた木場を見るや否や駆け寄って傷の治療を開始した。

 

「大丈夫ですか?}

 

「部長!?アーシアさんも副部長もどうして……」

 

「ミッテルトから連絡をもらったのよ。裕斗、後で貴方にはお仕置きをするからそのつもりでね」

 

「……はい!」

 

「教えてくれてありがとう。ミッテルトちゃん」

 

「これくらいどうってことないっすよ」

 

木場も部長たちがどれだけ心配していたのかを悟ったんだろう。その目には少し涙が見て取れた。

これで数の上でもこちらが有利となったわけだ。

 

「これはまずいな……フリード!!」

 

「わかってますよバルパーの旦那!仕方ねえ、ならばこちらも奥の手を使いましょうかね!」

 

そう言ってフリードは腰掛けていたもう一本のエクスカリバーを取り出してきた。

 

「なっ!?どこから……」

 

「最初からあいつの腰についてたよ。恐らくは透明化でもしてたんだろ」

 

「大正解!!これが“透明の聖剣(エクスカリバー・トランスペアレンシー)”のちからなんですよ~」

 

透明の聖剣(エクスカリバー・トランスペアレンシー)”……その名の通り透明になれる聖剣といったところか。もっとも、魔力感知を欺くことができないようだがな。それに今さらそれを出したところでフリードの不利は覆らないだろう。

 

「あなたの聖剣は厄介だけど、この数相手に勝てるかしら?」

 

「ふん!悪魔ごとき何人いようが俺ちゃんのエクスカリバーで皆まとめて首ちょんぱしてやるよ!!」

 

強気な部長の発言に反論するがその様子からは余裕のなさが見て取れる。

フリードも口では強がっているが不利を悟っているのだろう。表情からは焦りが見えかくれしている。

 

「結局悪魔と手を組んでるみたいになっちゃったけど、これで終わりよ!」

 

「断罪の時だ!」

 

そう言いながらイリナとゼノヴィアの二人は獲物を構え、向き直る。

 

「随分と苦戦してるようじゃないか。フリード、バルパー」

 

瞬間、声とともに上空から光の槍が降り注いできた。俺はそれをへし折りながら上空へと視線を向ける。

 

「なんだ?」

 

何だ?この気配?

何かが上空にいる。

見上げると空から黒い漆黒の翼をたなびかせた謎の男が殺気を放ちながら舞い降りてきた。

 

「初めましてかな?グレモリー家の娘。忌々しい兄君を思い出す髪をしてるな」

 

「な!?」

 

「おまえは!?」

 

その男は十枚もの黒い翼を広げ、俺を観察するような目で見ていた。

なるほど、こいつが……。

 

「てめぇがコカビエルか」

 

「いかにも。我が名はコカビエル」

 

名乗りと同時にコカビエルは抑えていた妖気(オーラ)を解放した。

確かにそこそこ強いな。EP値にして42万1329。数値の上ではミッテルトとあんまり変わらない強さだ。

向こうの世界でも災禍級(ディザスター)に分類されるだろう。

なるほど、この世界の伝説に記されるわけだ。

 

「おお、助けに来てくれたか、コカビエル」

 

「来てくれましたかボス!」

 

コカビエルの登場により、バルパーとフリードは安堵したような表情となる。

それに対し、部長はその威圧感に冷や汗をかきながらも冷静に対応しようとする。

 

「ごきげんよう落ちた堕天使コカビエル。私の名はリアス・グレモリー。あいにくだけど、グレモリーは魔王と最も近く、遠い存在。この場で政治的なやり取りを求めるなら無駄よ」

 

相手は堕天使幹部。できることなら部長も戦いは避けたいのだろう。だがコカビエルは興味なさげに返答する。

 

「魔王と交渉などバカげたことはせん。まあ、妹を犯せばサーゼクスも殺り合う気になってくれるかもしれんが…………」

 

部長はコカビエルの発言に眉を細めながらもコカビエルの言葉を待つ。

コカビエルは一人一人の顔を確認し、やがて視線を俺、そしてミッテルトに向ける。

 

「俺が今一番興味があるのはそこにいる二人だ。兵藤一誠にミッテルト」

 

は?

こいつ、俺たちのことを知っている?

どういうことだ?俺たちはこちらの世界ではほとんど無名のはず。フェニックスとの一戦だって限られた家柄の悪魔しか観戦はしてないって話だし……。

 

「俺たちのことを知っているってどう言うことだ?」

 

「言葉通りの意味さ。お前たちのことは聞いている。今までどこにいたのか。どんな戦いを経験したのか。そのすべてをな」

 

「「!?」」

 

な!?どういうことだよ!?

それってつまり……。

 

「何話してるのか知らないけど、油断大敵よ!」

 

「なっ!?ちょっと待……」

 

俺の制止を無視し、イリナはコカビエルに対し斬りかかろうとする。だがコカビエルは一瞥するだけで相手にしない。一瞬疑問に思ったがその答えはすぐに出た。

 

 

 

 

 

 

 

「え?」

 

 

 

 

 

 

 

瞬間、ザン!と斬撃音が鳴り響く。

突如光がイリナの背中を切り裂いたのだった。

 

「なっ!?イリナ────!!」

 

ゼノヴィアは真っ先にイリナに駆け込み抱きかかえる。傷は深そうだ。このままじゃ命にかかわる危険もある。

だが俺は驚きのあまり動けないでいた。

ありえねえ……。俺の魔力感知が何の反応もしなかっただと?

驚愕する俺たちの前に空気がまるで陽炎のようにゆらめき、イリナを切り裂いた光の主がその姿を見せた。

正体は黒いローブを纏った謎の男だった。謎の男はイリナから奪ったエクスカリバーを指でいじりながら気軽な感じでコカビエルに話しかける。

 

「……コカビエルさんよ、少ししゃべりすぎだぜ」

 

「おお、カグチの旦那!あんたも来てくれたんですか!?」

 

「構わんだろ。どうせ皆殺しにする予定なのだから」

 

ローブの男は気軽な感じでコカビエルに話しかける。口調は同格のように感じるが実際はまるで違う。コカビエルの比ではない程に濃密な気配を漂わせている。

この気配、ただものじゃねえ。400万を超えるEPに加え、神話級(ゴッズ)の剣を腰に携えてやがる。

何よりあのローブ、見覚えがある。

あれはレイナーレを操った女が纏っていたローブと同じだ。

俺がその男をまじまじと観察していると向こうも俺に気付いたらしく、気さくな感じに話しかけてきた。

 

「こうして対面するのは初めてだな。兵藤一誠。会えて光栄だよ」

 

「貴様、何者だ!?」

 

ゼノヴィアの問いかけに、ローブの男はフードの部分を取り去り素顔をあらわにする。

その顔は童顔と人懐っこい笑顔で幼く見えるが、瞳からは獲物を見極めるような鋭い眼光を携えている。そして何より目を引くのは鬼のような角が生えているということ。

 

「初めまして。俺は“カグチ”。よろしくな」

 

名乗りと共に男はその圧倒的なオーラで辺りを覆いつくした。魔王覇気の影響からか、部長やゼノヴィアたちは滝のような汗をかきながら膝をついた。

 

「……う~ん、魔王の妹といってもやっぱりこんなものか。ちょっと期待外れだな」

 

部長は何も言い返せない。魔力に気をやられないようにするだけでも精いっぱいなのだ。

むしろ気絶してないだけたいしたもんだ。おそらくAランク未満の奴では意識を保つことすらできず、最悪発狂死する可能性が高い。それほど濃密な魔王覇気だ。

しかも恐ろしいことに、コイツはその魔王覇気を完璧に制御してやがる。現にフリードやバルパーは魔王覇気の影響下にないようだ。

カグチ……こんな奴見覚えもなければそもそも聞いたこともないぞ。ドライグはどうだ?

 

『俺もこんな存在に心当たりはない。神話級(ゴッズ)の剣を持ってることから察するに向こうの存在だろう……』

 

やっぱりそうなのか。とはいえこれほどの存在ならば聞き覚え合ってもいい気するけど、マジで何者なんだ?

俺はふと奴の頭から伸びている角に目が行く。あの角はもしかして……。

 

「……鬼神か?」

 

頭から生える角とその魔素量(エネルギー)から、俺はベニマルさんやソウエイさんと同じ鬼神なのだと俺は考える。だがなんだろう、微妙に違う気もする。

奴は俺の質問にクックッと笑う。

 

「いい線言ってるが惜しい。俺様は火精人(エンキ)さ」

 

火精人(エンキ)……聞いたことがある。確か火の上位精霊が具現したことにより生まれた、小鬼族(ゴブリン)大鬼族(オーが)の大本となった種族だったか……。

 

「イッセーくんや、逆らわない方がいいですぜ~。カグチの旦那はボス以上にやベエ御方ですからね~」

 

フリードは調子づいたように小馬鹿な口調で俺にそう言った。

見ればわかるわそんなこと。

取り敢えず俺は英雄覇気を発動し、フリードを威圧する。

 

「うお!?」

 

「ひい!?」

 

「ほう」

 

フリードとバルパーは俺の英雄覇気に怯んだのか、尻餅つきそうになる。

コカビエルは冷や汗かいてるけどあまり効果はなさそうだな……。

もちろんカグチとやらにはまるで通じてない。

 

「おお、怖え怖え。さすがルミナスと一緒とはいえ、あのダグリュールに戦いを挑んだ男だな」

 

「……そんなことまで知ってるってことは、てめえやっぱり向こうの存在だな」

 

そう問いかけても奴は笑うだけ。だが無言は肯定ということだろう。

それを知っているということはこいつ、もしくはこいつの仲間にあの時の戦いを見られていたということか?

にもかかわらず、あの場にいた誰もコイツの存在に気付かなかったということか?だとしたら、こいつは相当の気配遮断能力を持っているということになる。

究極の力を持つ俺でも感知できなかったということは、あのカグチとやらは間違いなく究極持ちだ。

 

「っ!?」

 

俺が警戒していると唐突に空間がゆがみだす。何者かが転移しようとしているようだ。

この気配には覚えがある。こいつは……。

 

「久しぶりね」

 

「!?あいつは……」

 

空間より現れたのは、レイナーレを操っていた例の女だ。

奴も空間転移でこちらへやってきたようだな。全く同じローブを纏っていることから、おそらくこいつらは仲間なのだろう。

 

「なんだお前も来たのか?」

 

「結晶化の済んだこれをコカビエルに渡してこいと、あのお方の命令だ」

 

「ククク、感謝しよう」

 

女はコカビエルに何かを渡すと俺たちに向かい合い、尋常じゃない殺気を放ってきた。

究極能力(アルティメットスキル)保持者が二人。一気に形成が不利になったな。

 

『どうするつもりだ相棒?』

 

それを今考えてるんだよ。切り札を使ったところで、このクラスが二人相手では勝てるか微妙だ。そもそもあれは周りを巻き込んじまう。

こんなことなら、以前報告に行ったとき()()も持って帰るんだった。

正直究極保持者が相手である以上、ミッテルトでもまともな戦力にはならないだろう。他の皆は以っての他だ。

現に他の皆は、この二人が醸し出す異様なオーラにより膝をついている。言葉を発することすら厳しそうだ。

この力場の前では、Aランク程度の力しか持たないものでは立つこともままならない。

なにしろ魔王種級の力を持つミッテルトですら冷や汗かいている状況だ。いや、俺もだけど……。

そんな中カグチは興味なさげに部長たちを見つめる。

 

「この世界の魔王の妹にその眷属たちか……。個人的には興味ないけど、どうする?メロウ」

 

「あら、決まってるでしょカグチ?この場にふさわしくない塵どもは……」

 

!!?

やばい!!ローブの女──メロウとやらは指揮棒のように指を振るい、どこからともなく音楽を響かせる。

 

「皆殺しよ」

 

音楽とともに極大の魔力が放たれる。まずい、速すぎるうえに範囲が大きい!間に合わねえ!!

 

「みんな────!!」

 

瞬間、あたりは光に包まれた。

 

 

 

 

 

*********

 

小猫side

 

 

 

 

この人たちはいったい何者なの?

突如として表れたカグチと名乗る青年と対峙した瞬間、私たちは死を錯覚した。

コカビエルの放つ威圧感もすごかったですが、目の前の男とは比べることすらおこがましい。そう感じるほどの重圧(プレッシャー)が私たちに襲い掛かっていた。

怖い。文字通り次元が違う。

一歩でも動けば死んでしまう。そう本能で感じ取っているんだ。

そしてそれは部長たちも同じ。

部長も、副部長も、裕斗先輩も匙先輩もゼノヴィアさんも身じろぎ一つできないでいる。

魔力の流れだけで気が狂いそうだ。

唯一立ち上がっているイッセー先輩にミッテルトさんも、その表情からは余裕が微塵も感じられない。

この男だけではない。恐らく転移魔法を使ったのか、あの時レイナーレという堕天使を操っていたローブの女性までもが戦場に降り立った。

そこからあふれる濃密な魔力は、隣の男と同質のもののように感じられる。

 

(どうすれば……このままじゃあ……)

 

唯一立ちながら敵をにらむイッセー先輩とミッテルトさんに視線を向けるが、二人とも余裕があるというわけでもなさそうです。

イッセー先輩とミッテルトさんだけでは危険だ。そう頭ではわかっているのに、体が動こうとしてくれない。

そんな私たちをカグチと名乗る青年は興味なさげに一瞥する。

 

「この世界の魔王の妹にその眷属たちか……。個人的には興味ないけど、どうする?メロウ」

 

「あら、決まってるでしょカグチ?この場にふさわしくない塵どもは……」

 

メロウと呼ばれた女性は指揮棒のように指を振るい、音楽を響かせる。それと同時にとんでもない魔力が集まり一つの塊となる。

 

「皆殺しよ」

 

そう女性がつぶやいた瞬間。その魔力弾は私たちめがけて放たれた。

イッセー先輩が何か叫んでる。でも何を言ってるのかさっぱり聞えません。

周りがすごくスローモーションに見えます。

死の瞬間には世界がゆっくりになるとはよく聞きますが、これがそうなんでしょうか?

 

(誰か────)

 

思わずそう願ってしまう。でもイッセー先輩も間に合いそうもない。

私は死を覚悟し目を瞑り…………

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「私の妹に何してくれるんだにゃん」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

瞬間、

爆発音と衝撃が、あたり一面に鳴り響く。

でも、いつまでたっても私たちに痛みは来ない。

不思議に思っていると、何やら懐かしい香りが私の鼻をくすぐった。

 

「グっ、何が起きたんだ!?」

 

「し、死んだ父さん母さんが見えたぞ今……」

 

「……助かったの?」

 

「今のはいったい?」

 

気付けば、あれほど私たちに恐怖を与えた威圧感もなくなっている。

煙が視界を覆う中、部長たちの無事も確認できた。

 

「……久しぶりだね。白音」

 

「え?」

 

風が吹き抜け、煙が一気に霧消する。

そこにいたのは、私を捨てたはずの、私にとっては恨むべき、憎むべき存在。

 

「なんで……貴女が……?」

 

煙が晴れるとそこには、はぐれ悪魔となったはずの黒歌姉さまが、まるで私たちをかばうようにして立っていた。




速めの黒歌参戦。詰め込みすぎたと少し後悔している。
オリ敵の正体は次回判明の予定です。

次回は木曜日更新予定
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