帰ってきたらD×Dだった件   作:はんたー

31 / 155
聖剣と決着します

リアスside

 

 

 

「はあ!」

 

「その程度ですか?リアス」

 

私はソーナめがけて滅びの魔力を放つ。それをソーナは水を用いて相殺する。

滅びの魔力を相殺するだなんて……相当の魔力が込められている証拠だわ。

すかさずソーナは水の形状を変え、様々な獣の形へと変化させていく。

 

「行きますよ」

 

水で作られた獅子の牙が、狼の爪が、鷹の翼が一斉に襲い掛かってくる。込められている魔力も今の私より上……おそらく一撃でも当たればかなりの手傷を負ってしまうでしょう。

でも……。

 

「いくらなんでも単調すぎるわよ!」

 

私は滅びの魔力を散弾銃のように放つことで水の獣を相殺した。

ソーナは本来、とてつもないほどの戦略を組み立てて戦う。相手の何手も先を読み、詰将棋のように相手を追い詰めていく。

でも、今のソーナは水の魔力をただ放つだけ。そこには戦略も知略も感じられない。多分、操られている影響なのね。

 

「注意が散漫になりすぎよソーナ」

 

「え?」

 

瞬間、ソーナの作った水の獣の形が崩れ落ちた。ソーナが慌てて左手を見ると、そこには黒い触手が巻き付いてあった。

私とソーナの戦いの隙に、ソーナの兵士(ポーン)である匙元士郎の神器“黒い龍脈(アブソーション・ライン)”がソーナの魔力を奪い取っていたのね。

 

「……匙」

 

「ごめんなさい会長。でも、会長を助けるためなんです」

 

「わ、私を助けるため……?」

 

匙の言葉にソーナは顔をし噛ませ、頭を抱える。

もう少しの辛抱よ。ソーナ。

 

「その子の言う通り!悪いけど、これで決めるわソーナ」

 

「なっ!?」

 

私は渾身の力を込めた魔力弾をソーナめがけて放つ。“黒い龍脈(アブソーション・ライン)”により、魔力を吸われたソーナにあらがうことはできず、そのままソーナに直撃した。

 

「きゃあ!?」

 

滅びの魔力を込めなかったとはいえ、その威力によりすさまじい爆発が巻き起こる。

煙がはれるとそこには気を失い、倒れ伏すソーナがいた。

 

「か、会長────!!」

 

匙はすぐにソーナのもとへ駆け込み、私もそれに続く。

どうやら気を失ってるだけみたいね。

 

「あの時の堕天使と同じなら、これで元に戻るでしょう……」

 

「よ、よかった……」

 

そう言いながら匙は膝から崩れ落ちる。ソーナと戦うという行為に対して相当無理をしていたのね。

ここまで主のことを思うなんていい眷属ね。

 

「……匙君。ソーナのこと、任せてもいいかしら?」

 

「え?……は、はい!」

 

「そう、ありがとう」

 

この子ならばソーナのことを任せられる。そう思った私は匙君にソーナを任せて先を急ぐことにした。

 

(みんな。どうか無事で……)

 

可愛い眷属や友人の無事を祈りながら私は歩みを進めた。

 

 

 

 

 

*********

 

木場side

 

 

 

僕とゼノヴィアはいまだかつてない苦戦を強いられていた。

 

「ひゃひゃひゃ!その程度ですかい悪魔の騎士さん。あ~俺っちが強すぎただけか!ごめんなさいね~お詫びにとっとと殺してやるよおおお!!」

 

天閃の聖剣の能力でフリードはすさまじいスピードを発揮している。もしも瞬動法を習得していなかったら今頃バラバラに切り裂かれていただろう。

スピードはほぼ互角、でも残り三つの能力も総じて厄介だ。

 

「はああ!!」

 

ゼノヴィアも隙を見て後ろから切り込もうとするがなんとフリードがすり抜けた。これは……幻影を見せる夢幻の聖剣(エクスカリバー・ナイトメア)か。

僕たちはいったん距離をとり、何とか体勢を整える。それをバルパーが面白そうに笑いながら見つめていた。

 

「ククク、聖剣計画の被験者の一人が脱走したとは聞いていたが、卑しくも悪魔になっていたとは。それもこんな極東の国で会うとは数奇なものだ」

 

バルパーは小ばかにしたかのように僕に話しかける。それを聞きながら僕は怒りでまた我を失いそうになった。

 

「だが、君達には礼を言う。おかげで計画は完成したのだから」

 

「……完成?僕たちを失敗作と断じて処分したじゃないか!!」

 

何を言っているんだこいつは……。するとバルパーはさらに言葉をつづけた。

 

「聖剣使いになるには必要な因子があることが研究の結果判明したんだよ。そこで私は君達の因子の適性を調べた。結果、被験者には因子こそあるもののエクスカリバーを操るほどの因子はないことがわかった。そこで、私は一つの結論に至った。被験者から因子だけを抜き出せば良い、とな」

 

その言葉に僕は思わず目を見開く。そ、それじゃあ僕たちは……。

 

「なるほど、読めたぞ。聖剣使いが祝福を受けるとき、体に入れられるのは……」

 

ゼノヴィアさんの言葉にバルパーが忌々しそうに言う。

 

「そうだ聖剣使いの少女よ。持っているものから因子を抜き取り、結晶化させるのだよ。こんなふうにな」

 

そう言いながらバルパーが懐から出したのは聖なるオーラを放つ光の球体だ。

 

「これにより、聖剣使いの研究は飛躍したのだ。それなのに教会の偽善者どもめ。研究資料を奪い、私を異端として追放しておきながら、私の研究だけは利用しよって。どうせ、あのミカエルのことだ。被験者から因子を取り出しても殺すまではしてないぶん、人道的かもしれんな」

 

殺さずに取り出すこともできる。その言葉に僕は思わず涙を流す。だって、その言葉が本当ならば……。

 

「……なら、僕らを殺す必要はなかったはずだ。どうして……!?」

 

僕は怒りのままにバルパーに叫ぶ。しかし、バルパーの目は極めて冷ややかなものだった。

 

「お前らは極秘計画の実験材料にすぎん。用済みになれば、廃棄するしかなかろう」

 

「っ!?……僕たちは主の為と信じて、ずっと耐えてきた。それを、それを……実験材料……?廃棄……?」

 

「この結晶が欲しければくれてやる。既に完成度を高めた物を量産出来る段階まできているのでな。もはやこれは、使い道のないガラクタにすぎん」

 

バルパーは因子の結晶を僕に投げつけた。こんな、こんな姿にされて……。涙が止まらない。

 

「……皆……こんな姿にされて……ごめん、ごめんよ……」

 

僕は結晶を握り締め、思わず謝罪の言葉をつぶやいた。みんな本当にごめん。

そう思ったその時だった。

温かい何かが僕の体を包み込んだ。これは……。

 

「はあ?なんなんすかあれ?バルパーの旦那~?」

 

「なんだ?あれは……?」

 

バルパーとフリードもこの光が何なのかわからないようだ。でも、僕にはわかる。

淡い光はやがて人の形のようになっていく。そこには僕と同じあの施設で、死なせてしまった皆がいた。

 

「み、みんな……」

 

魂だけの状態でこの場に現れた皆は悲しそうな、懐かしそうな表情を浮かべる。それを見て僕はまるで懺悔をするかのようにつぶやく。

 

「ごめん……ずっと、ずっと思っていたんだ。僕が、僕だけが生きていいのか?って……。僕よりも夢を持った子がいた。僕よりも生きたかった子がいた。それなのに、僕だけが平和な生活をしていいのかって……」

 

するとみんなは微笑みながら語りかけた。言葉ではない。でも、何を言ってるのかが魂で理解できる。

 

『自分達のことはいい。君だけでも生きてくれ』

 

……そうか。それがみんなの願いなのならば……。

 

皆の霊魂は歌を歌う。聖なる歌“聖歌”だ。本来ならばあくまである僕には歌えないものなのだけど、今は不思議と不快な感じが全然しない。それどころかどんどん力が沸き上がっていく。

歌が終わると同時にみんなの魂が青白い輝きを放って眩しくなっていく。

そして、みんなの光が僕の体を包み込んだ。

 

『大丈夫』

 

『僕らは、独りだけでは駄目だった──』

 

『私たちでは聖剣を扱える因子は足りなかった──』

 

『けれど、皆が集まれば、きっと大丈夫だよ──―』

 

『聖剣を受け入れよう──』

 

『怖くないよ──』

 

『たとえ、神がいなくとも──』

 

『神が見ていなくたって──』

 

『僕たちの心はいつだって──』

 

 

 

 

 

「『ひとつだ』」

 

 

 

 

 

 

*********

 

 

 

 

暖かい。

とても暖かい。

みんなの気持ちが僕に入ってくる。

ここにきてようやく分かった。

同志たちは僕に復讐なんて望んでいなかった。

 

 

 

ただ、僕に生きて────

 

 

 

──悪魔として生きる。それがある時の願いであり、僕の願いだった。それでいいと思った。けど、皆のためにも、エクスカリバーへの憎悪を忘れちゃだめだと思ったんだ。

でも違った。彼らは復讐なんて望んでいなかった。僕の幸せを願ってくれていたんだ。

 

「だけど、これで終わるわけにはいかない」

 

そう。これで終わらせてはいけないんだ。

目の前の邪悪を打倒さないとあの悲劇が再び繰り返される。

 

「バルパー・ガリレイ。あなたを滅ぼさない限り、第二、第三の僕たちが生まれてしまう。それは絶対に阻止しなくてはならない」

 

「素直に廃棄されておけばいいものを。愚か者が。研究に犠牲はつきものだ。それすらわからんのか?」

 

バルパーは嘲笑う。やはり、あなたは邪悪すぎる。

 

「木場ぁー!今のお前なら、自分が何をするべきかわかるはずだ!!あいつらの想いと魂を無駄にすんな!!」

 

イッセー君は戦いながらもそう叫ぶ。

それだけじゃない。小猫ちゃんも、朱乃さんも、この場にはいない部長も……。みんなが僕を信じてくれている。

 

「あぁ~。なに感動シーン作っちゃってんすかぁ。幽霊ちゃんたちと一緒に俺的に大嫌いな歌を堂々と歌っちゃってさ、聞くだけで玉のお肌がガサついちゃう!もういや、もう限界!とっととキミ達、刻み込んで気分爽快になりましょうかねェ!!この四本統合させた無敵のエクスカリバーちゃんで!」

 

フリード・セルゼン。その身に宿る同志の魂。これ以上悪用させるわけにはいかない!この涙は決意の涙だ!

 

「──僕は剣になる。僕と融合した同志たちよ、一緒に超えよう。あの時果たせなかった想いを、願いを今こそ!」

 

剣を天に掲げて僕は叫ぶ。

 

「部長、そして仲間たちの剣となる!今こそ僕の思いにこたえてくれ!魔剣創造(ソード・バース)ッッ!!」

 

僕の神器とみんなの魂が混ざり合う。同調し、形を成していく。聖なる力と魔なる力。相容れない二つの力が融合していく。

皆の魂が教えてくれる。これは昇華だと。

そして、僕の手元に現れたのは神々しい輝きと禍々しいオーラを放つ一本の剣。

これが僕の禁手(バランスブレイカー)

 

「“双覇の聖魔剣(ソード・オブ・ビトレイヤー)”。聖と魔を有する剣の力、その身で受け止めるといい」

 

僕が創り出した剣を見てバルパーが驚愕の声を上げる。

 

「聖魔剣だと!?ありえない!相反する要素が混ざり合うなど、そんなことあるはずがないのだ!」

 

僕は狼狽えるバルパーを無視して、歩を進める。

すると、ゼノヴィアさんが僕の隣に現れた。

 

「聖魔剣か。すさまじいものだな。私も負けてられないな」

 

ゼノヴィアは聖剣を地面に突き刺すと何やら言霊を発し始める。何をする気だ。瞬間、彼女を中心に次元小間が現れ、そこからエクスカリバー以上の聖なる波動が流れ出した。

 

「ペトロ、バシレイオス、ディオニュシウス、そして聖母マリアよ。我が声に耳を傾けてくれ」

 

そこにあったのは一本の聖剣。

 

「この刃に宿りしセイントの御名において、我は解放する。──デュランダル!!」

 

デュランダルだって!?

エクスカリバーに並ぶほどの聖剣だ。

その刃は触れるもの全てを切り裂き、切れ味だけなら聖剣の中でも最強と聞いている

 

「デュランダルだとお!?馬鹿な!私の研究ではデュランダルを使える領域まで達していなかったはずだ!」

 

「それはそうだろう。私はそこのフリード・セルゼンやイリナと違って、数少ない天然物だ」

 

「完全な適性者、真の聖剣使いだと言うのか!」

 

そうか、彼女は本当に聖剣に祝福されて生まれてきた者だったのか。

 

「デュランダルは触れたものは何でも斬り刻む暴君でね。私の言うこともろくに聞かない。だから、異空間に閉じ込めておかないと危険極まりないのさ。使い手の私にすら手に余る剣だ。さあ、エクスカリバーとデュランダル。どちらが上か試してみようじゃないか」

 

デュランダルの刀身がフリードの持つエクスカリバー以上のオーラを放ち始めた。

これがデュランダルか!僕の聖魔剣と同等……いや、それ以上のオーラだ。

 

「ここにきてのそんなチョー展開! そんな設定いらねぇんだよ! クソビッチがァ!!」

 

フリードが叫び、殺気をゼノヴィアに向けた。そして、枝分かれした透明の剣を彼女に放つ。

しかし、ゼノヴィアは剣を構えるだけで慌てない。

瞬間、ガキイイイインと金属音が響いた。

たった一度の横凪ぎで枝分かれしたエクスカリバーを砕いたのだ。

 

「所詮は折れた聖剣か。このデュランダルの相手にはならない!」

 

ゼノヴィアがフリードに斬りかかる。

 

「クソッタレがぁ!!!」

 

すると、フリードは高速の動きでそれをかわした。

恐らく天閃の聖剣の能力だろう。

でもなんだろう……。すごく遅く感じる。

僕は瞬時にフリードの背後にまわる。

驚いたフリードはエクスカリバーで僕を切り殺そうとする。

しかし、もはやその剣は僕の聖魔剣の敵ではなくなっていた。僕はフリードの剣を容易く受け止めた。

 

「はあ!?」

 

「そんな剣で僕達の想いは壊せやしない!!」

 

「ふざけてんじゃねえぞ!このクソ悪魔ごときがぁ!!!」

 

フリードは聖剣の持つ力のすべてを駆使して僕に攻撃してくる。でも、魔力の流れが、周りの動きが、目で追わなくてもすべてわかる。

夢幻の力の分身も、透明の力の透過も、手に取るようにすべてがはっきりとわかるんだ。

 

(ひょっとして、これがイッセー君の言ってた魔力感知なのか?)

 

僕はすべての攻撃をかわしながら気操法で僕自身の魔力を聖魔剣に込める。すると聖魔剣自体の魔力もそれに呼応して強くなっていく。

 

「ふ、ふざけるな!たかがくそ悪魔ごときがああああああああ!!!」

 

僕は聖魔剣を鞘に納め、瞬動法と同時に解き放つ。

 

「“瞬裂斬”!」

 

ミッテルトさんから教わった朧流の居合により、儚い金属音と共に異形の聖剣、エクスカリバーは砕け散った。

フリードは倒れ込み、肩口から裂けた傷から鮮血を滴らせる。

 

「見ていてくれたかい? 僕らの力はエクスカリバーを超えたよ」

 

僕は天を仰ぎ、聖魔剣を強く握りしめた。

  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。