帰ってきたらD×Dだった件   作:はんたー

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第四章 停止教室のヴァンパイア
堕天使総督です


イッセーside

 

 

 

「ふあ~ねむ……」

 

「最近平和っすからね~」

 

ゼノヴィアがオカルト研究部に入ってから早一週間がたった。あれほどの激闘を繰り広げたためか、今だに疲れもたまっているようだ。別に闘いが嫌いってわけでもないが、俺としてはやっぱり平和が一番だな。

 

「黒歌っちはしばらく家に泊まるようっすし、これを機に小猫ちゃんと仲直りできるといいっすね」

 

「そうだな……」

 

黒歌はしばらく身分を隠して我が家に滞在するようだ。今はクロネコ姿で布団にくるまっていることだろう。

部長はまだ少し警戒しているし、小猫ちゃんとの和解話もまだ聞いてはいない。

でも少しずつ歩み寄っていければそれでいいだろう。

 

「あ~、そこの君。ちょっと道訪ねたいんだが、いいかい?」

 

「ん?」

 

すると誰かが俺たちに対して話しかけてきた。

その男は黒髪の悪そうな風貌の男。相当のイケメンだが木場とはタイプが違う。ワル系好きの女子なら一発で落ちそうだ。

 

「はい。どこに行きたいんですか?」

 

「すまないね……。引っ越したばかりで迷ってしまったんだ。このマンションに行きたいんだが……」

 

「あ~、それならここを曲がってこっちっすね」

 

「なるほど助かった。お礼に俺ん家こないか?」

 

そう言って俺たちは男をマンションへと案内する。

部屋の中には最新のゲーム機から懐かしのゲームカセットまでため込んであった。

あ、これは今日発売の新作レースゲーム。買おうとは思ってたんだよな。

 

「せっかくだしやってくか?」

 

「あ、いいんですか?じゃあ一緒にやりますか」

 

「負けないすよ」

 

こうして俺たちはレースゲームで遊び始めた。

フフフ、こう見えて俺はレースゲームでは最速とまで言われた男だ。そう簡単には負けないぜ。

 

『GO』

 

スタートと同時にそれぞれの車が画面で駆け出す。初心者であるらしいこの人やミッテルトともども最初は圧倒してたんだが……。

 

「一通り覚えた。そろそろ追い抜くか」

 

「うお!?」

 

すると先ほどとは状況が一転。俺がおじさんに抜かれ始めたのだ。むろんそれだけではない。運がいいのか強アイテムばかりを引いてミッテルトまで俺を抜かし始めた。

 

「よし、イカ墨っすよ」

 

「くそ俺は……緑甲羅かよ!?」

 

決着はついた。優勝はおじさん。次点でミッテルトだ。くそ、俺の最速伝説が……。

おじさんはゲラゲラ笑ってるし……。悔しい。

 

「ぐぬぬ、もう一回!」

 

「お、気合いはいってるねぇ。じゃあ、もう一戦しようか。──赤龍帝、兵藤一誠君」

 

そう言いながら男性は黒い翼を出しながら立ち上がる。

その数はミッテルトと同じ十二枚。

やっぱり堕天使だったか。強さも覚醒前のコカビエルを上回っているようだし、おそらくこの人が……。

 

「あなたがアザゼルさんですか……」

 

「お?ひょっとして気づいていたか?」

 

「まあ、堕天使ってのは一目見て気づいてましたけど……」

 

「隠してたつもりだったが見破られてたか……。すごいな」

 

確かに大した隠蔽力だ。妖気の制御も完璧だしパッと見では人間にしか見えなかっただろう。

だが、俺みたいに解析特化の究極能力(アルティメットスキル)を持つものを欺くことはできない。それをしたいならそれこそ究極能力を手に入れなければ不可能だろう。

 

「取り敢えず、飲み物でも飲むか?」

 

「あ、ありがとうございます」

 

俺達はアザゼルから受け取ったジュースを飲む。

…………旨いな。なんのジュースだコレ?

 

「ところで、アザゼル……様?はどうしてこの街に来たんすか?」

 

「それは俺も気になる。何で堕天使の王であるあんたがワザワザこんな場所に?」

 

「別に王ってわけじゃないけどな……。

まあ、コカビエルが妙なことをしてるって話を聞いたから、その監視ってところだな」

 

なるほど。確かに堕天使の幹部が独断で行動してればこの人の目にもつく。

コカビエルは堕天使の中でも屈指の武闘派って話だし、生半可な奴じゃあ監視することすら不可能だろう。

そこでワザワザこの人が出向いたわけか……。

あれ?待てよ……?

 

「じゃあ、あの白龍皇は?」

 

「ああ、ヴァーリのことか。さすがに俺が直々に手を下すのは体面上まずいから、アイツにコカビエルを倒すことを頼んだって訳だ。まあ、そこの嬢ちゃんが倒しちまったみたいだがな……」

 

アザゼルはそう呟きながらミッテルトを見る。

 

「まさか、はぐれの堕天使にこれほどの使い手がいたとはな……。俺が本気でやっても危ないかも知れねえ。赤龍帝にしろお前にしろ、一体どんな手品を使ってそこまで強くなったんだ?」

 

「とても恵まれた環境っすね。ウチは仲間たちに恵まれたんで」

 

それを聞いて頷くアザゼル。その瞳には好奇心が見てとれる。なんかラミリスさんとか師匠とかそこら辺に近い感じがする。

多分他意とかかはなく、純粋な興味で聞いてるんだろう。

アザゼルは深く追求することもなく、納得したように頷いた。

 

「正直、まだ興味はつきないがこれ以上聞いても無駄っぽいな……。なら、話を変えるが、この間は部下が悪かったな」

 

「ああ……」

 

アザゼルが言っているのはおそらくレイナーレの事だろう。

でもあの事件はメロウの悪だくみが原因だ。別にこの人が謝ることでもない気がするんだが……。

 

「いや、そういうわけにはいかない。あの時はあくまで勧誘するだけのつもりだったし、たとえ操られていたにしても、うちの部下がお前たちに迷惑をかけた事実はなくならないからな。この場を借りて謝罪したい」

 

「まあ、そこまでいうなら……」

 

こうして話してみると、アザゼル……いや、アザゼルさんはかなり信頼のおけそうな感じだ。

オチャラケているが、少なくとも悪い人ではなさそうだな。

こうして俺と堕天使陣営の本格的なファーストコンタクトは幕を閉じたのだった。

 

 

 

******************

 

 

 

「アザゼルと会った!?」

 

「ハイ」

 

次の日。俺はアザゼルさんとの邂逅を部長へと報告した。

それを聞いた部長は眉を吊り上げ、怒りをあらわにしている。どうやら、アザゼルさんが俺たちと接触したことが気に食わないご様子のようだ。

 

「そんなに怒らなくてもいいんじゃないっすか?三すくみのトップ会談がここで行われる以上、下見くらいはするでしょうし……」

 

そう。アザゼルさんに聞いたのだが、近々この駒王町で三大勢力によるトップ会談が行われるらしいんだ。アザゼルさんも元々はその下見に来たらしい。

だからそこまで怒らなくても…………。

 

「それでもよ……アザゼルは神器に強い興味を持つと聞くわ。イッセーに接触したのはおそらく“赤龍帝の籠手”を持ってるからでしょう……。何を企んでるかわからない以上、油断はできないわ!」

 

全然信用してねえな……。まあ、敵のボスみたいなものだし当然といえば当然か……。

だが、話してみた感じあの人は信用できそうな気がする。確かに、ドライグに興味があるのも事実なんだろうけど、謝罪に関しても嘘は言っていないと思う。あの人の言葉にはちゃんと誠意があった。

 

「大丈夫だよイッセー君。君のことは僕が守るから」

 

木場の一言に俺の背筋が一気に凍る。それは普通、女子に言う言葉だろ!?なんで真顔で男である俺にそんな言葉を吐くんだよ!?最近ただでさえ、妙な噂が立っているというのに……。

そんな俺に気にせず、木場はさらに言葉をつづける。

 

「君は僕の恩人で大切な仲間なんだから当然さ。確かに今の僕では君の力には遠く及ばないかもしれない。だけど、禁手に至った僕なら少しはイッセー君の役に立てると思えるんだ。……ふふ、少し前まではこんなことを言うキャラじゃなかったんだけどね。君と付き合っているとそれも悪くないと思ってしまったよ。それに……なぜだか、胸の辺りが熱いんだ」

 

それを聞いた俺はさりげなく木場から距離をとることにした。

さすがにキモい……。俺にBL趣味はこれっぽっちもねえんだよ……。

それを見た部長は呆れた様子を見せる。

 

「しかし、どうしたものかしら……。会談前でピリピリしている状況だというのに、アザゼルは一体何を考えているの?」

 

「アザゼルは昔から、ああいう男だよ。リアス」

 

突如、俺たちの誰でもない声が聞こえてきた。視線を移すとそこには見覚えのある紅髪の男性が微笑みながら立ちすくんでいた。

それを見た朱乃さんたちは即座に跪いた。アーシアとゼノヴィアはそれを見て疑問符を出している。

 

「お、おおお、お兄様!?」

 

その言葉を聞いて、アーシアとゼノヴィアも目の前の男性が誰なのかわかったようだ。

目の前にいるこの男性こそ部長のお兄さんにして、現魔王の一人、『サーゼクス・ルシファー』さんその人だった。

 

「アザゼルはいたずら好きではあるが、コカビエルの様な真似をする男じゃない」

 

目の前の人が魔王様だとわかったからか、アーシアもぎこちないながらも跪こうとする。

 

「くつろいでくれたまえ。今日はプライベートできてるんだ」

 

それを手で制し、かしこまらないよう俺たちに促す。みんなもそれに従い、立ち上がった。

 

「お兄様はなぜここに?」

 

怪訝そうに部長はサーゼクス様に目的を尋ねる。三大勢力の会談はまだ一週間くらい先のはず。こんなに早く来たのにはなにか目的があるのだろう。

すると、サーゼクスさんは一枚のプリントを出した。

 

「なっ!?」

 

部長が目を見開く。

あれには見覚えがある……というか、昨日貰ったばかりだ。あれはもしかして―――

 

「もうすぐ授業参観だろう。私も参加しようと思ってね。是非とも勉学に励む妹の姿を見たいものだ」

 

やっぱりか。父さんたちも有給とって乗り込んでくるとか言ってたし、魔王様もそんな感じなんだろう。

 

「そ、それを伝えたのはグレイフィアね!? 黙っていたのに!!」

 

「ハイ。学園からの報告はグレモリー眷属のスケジュール管理を任されている私のもとへ届いております。ですので主へ報告いたしました」

 

「私はこれに参加する為だけに、魔王の仕事は全て片付けてきたんだ!安心しなさい。父上もちゃんとお越しになられるそうだ」

 

それを聞いて部長は嘆息する。もしかして学校生活を家族に見られるのが嫌なのか?

 

「お兄様は魔王なのですよ? 一悪魔を特別視するのは……」

 

なるほど。いくら肉親といえど、魔王であるサーゼクスさんに特別扱いしてほしくないってところか。

しかし、部長のその言葉を聞いてもサーゼクスさんは首を横に振った。

 

「いやいや、実はこれは仕事の内でもあってね。三大勢力の会談を学園で行おうと思っている。授業参観に来たのはその視察も兼ねているんだよ」

 

「「「!?」」」

 

え?ここでやるの?そんな重要な会議を学校でやっちゃうの?

 

「え?ここで?ほ、本当に?」

 

まあ、驚くわ。でも、選ばれたからには何かしらの理由があるはず。

聞いてみると案の定、ちゃんとした理由があるみたい。

何でもこの学園には“赤龍帝()”や“聖魔剣使い(木場)”、“デュランダル使い(ゼノヴィア)”に“魔王の妹”が二人、おまけに“力ある堕天使(ミッテルト)”などが在籍し、コカビエルに白龍皇までもが襲来してきている。

 

「これを偶然と片付けるのは難しい。様々な力が入り混じり大きなうねりとなっている。ゆえにうねりの中心点たるこの学園こそ、会場にふさわしいということになったんだ」

 

なるほど。確かに言えていることだ。すると突如ゼノヴィアが会話に介入してきた。

 

「あなたが魔王か。私はゼノヴィアというものだ」

 

「ごきげんよう、ゼノヴィア。私はサーゼクス・ルシファー。デュランダル使いが妹の眷属になったと聞いたときは耳を疑ったよ」

 

「ああ。私も自分が悪魔になるとは思わなかったよ。今まで葬ってきた悪魔に転生するなんてと、たまに後悔している。破れかぶれでなったとはいえ、本当にこれで良かったのかと思う時があるよ。……うん、そもそも、私はなぜ悪魔になろうと考えたのだ?やけくそ?確かあの時は、総てがどうでもよくなって……でも、本当に悪魔でよかったのか?」

 

何やらゼノヴィアが自問自答しだしたぞ。

それを見てサーゼクスさんは愉快そうに笑う。

 

「いや、リアスの眷属は愉快な者が多い。ゼノヴィア、君の力を是非ともリアスの眷属としてグレモリーを支えてほしい」

 

「聖書に記されている伝説の魔王ルシファーに言われては、私も後には引けないな。やれるだけやってみよう」

 

「ありがとう、ゼノヴィア」

 

魔王様のお礼を聞いてゼノヴィアは少し照れたようにしている。それを見て魔王様は時計のほうに視線を移す。

 

「まあ、そういうわけで、私は前乗りしてきたわけだが……、今は夜中だ。この時間帯で宿泊施設は空いているのかな?」

 

確かに、時計をみると結構遅い時間だった。

流石にこの時間に宿をとるのは難しいだろうな。

あ、そうだ。

そこで、俺は思いついたことを一つ提案をした。

 

「それなら、俺に良い考えがあります」

 

それを聞いて部長は頭を抱え、サーゼクスさんは不敵な笑みでほほ笑むのだった。




お久しぶりです。
はんたーです。
今だ就活中ですが、息抜きがてら再開しようかなと思います。
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