イッセーside
「妹がご迷惑をおかけしてなくて安心しました」
「そんなお兄さん!リアスさんはとっても良い子ですよ」
「ええ、イッセーなんかにはもったいないくらい素敵なお嬢さんですよ」
現在、リビングではサーゼクスさんと俺の両親が和気あいあいとしていた。
察しているとは思うが、俺の提案とはサーゼクスさんとグレイフィアさんを我が家に泊めることだった。
最初はサーゼクスさんも目を丸くしていたが、部長が俺の家に下宿しているということを思い出してか、俺の両親に挨拶しようとこの意見を快諾したのだ。
ちなみに両親にはサーゼクスさんが魔王であることはきちんと伝えている。にもかかわらず、二人とも軽く受け入れてくれた。
『魔王となるとリムルさんと同じか……なら、大丈夫かな?』
『ラミリスちゃんやルミナスさんも気さくな人だったし、たぶん大丈夫よ』
我が親ながら軽すぎやしないか?とも感じたが、判断基準があの人たちだからな……。
というか、ルミナスさんと会う機会あったっけ?とも一瞬感じたが、そういえばあの人ヒナタさんと一緒にこっちの世界に旅行に来たとか言っていたな。
それに、サーゼクスさんは物腰も柔らかだし、ぱっと見はただの好青年にしか見えないというのも大きい。
反対に部長は猛反対していたが、二人を止められるわけもなく、結局強引に押し切られてしまったわけだ。
「それにしても、君にも感謝しないといけないね。黒歌さん」
「……ありがとうにゃん」
「そう警戒しなくても、僕たち以外の悪魔上層部に君のことは伝えていない。そこは安心してほしい」
警戒してるな黒歌は……。まあ、あいつは指名手配されてるらしいし、そう簡単に信用はできないか。
ちなみに、黒歌が居候をしているというのは既に知られていた。
なんでも、あの場に残っていた魔力から、黒歌の存在を感じ取ったらしい。
あんな微弱な残留魔力から、そこまで知ることができるとは……相当魔力の操作能力が優れてないとできない芸当だろう。
やはりサーゼクスさんは凄まじい使い手だな。
おそらく黒歌も感じ取ってるのだろう。サーゼクスさんの実力を。
ちなみに先程聞いてみたのだが、黒歌の指名手配の件を解除することは魔王であるサーゼクスさんでも難しいらしい。
この世界の悪魔は議会制であり、上層部による許可等が必要なため、こっちとは違って上の命令に絶対遵守というわけにはいかない。
上級悪魔……貴族を弑した黒歌をどうこうするのは魔王といえど一筋縄ではいかないらしい。
ゆえに、現在はサーゼクスさん始め一部の悪魔のみでこの話を留めてくれている。
マジでこの人には感謝しないとだな……。
「いや~、そんなに若いのに魔王様を務めているなんて凄いですな」
「いえいえ、悪魔ですからこれでもまあ、年は取っていますしね」
すっかり意気投合してる。母さんも父さんも楽しそうだ。母さんなんかサーゼクスさん見て少し顔を赤らめているし……。まあ、部長の男版だしめっちゃイケメンだから無理もないか。
「ところでサーゼクスさんも授業参観を?」
「ええ、こちらの仕事もひと段落しているのでこの機会に妹の学び舎や授業風景を拝見できたらと思いまして。当日は父も顔を出す予定です」
ジオティクスさんも来るのか。なんでもあの人駒王学園の建設にも携わっているらしい。だからこそ、リアス部長やシトリー会長も通えているわけか。
すると突如として父さんがキッチンから酒を持ってきた…………ってぶっ!?
「サーゼクスさん!お酒はいけますかね? この間、良い日本酒が手に入ったんですよ!」
「それは素晴らしい! 是非ともいただきましょう!」
それを見て俺は一瞬吹き出してしまった。父さんが持っているのは魔国米からつくった魔国酒だ。
ナチュラルに何出してるんだよ!?というか、いつ手に入れた!?
俺は美味しそうに酒を飲む二人を何とも言えない表情で眺めていた。
…………一言言わせてもらおう。俺にも飲ませろ!
向こうならば俺も酒を飲むことができる。
だが、ここは日本。実年齢はすでに20過ぎてても、法的にはまだ高校生。
故にここでは酒を飲むことはかなわないのだ……。
うう、普段は何とも思わないけど、ああやってどんちゃん騒ぎしてるの見ると俺も飲みたくなってくる。
……次、基軸世界行ったときは飲もう。ひそかにそんな決意をしながら、俺はサーゼクスさんと両親を眺めていた。
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「そ、そんな………イッセーと寝てはダメなのですか?」
宴の時間も終わり、今はもう就寝時間となっていた。
今、俺の部屋の前では部長、アーシアが目を潤ませている。
「今夜は彼と話ながら床につきたいんだ。今夜だけは彼を貸してくれないか?」
「というか、なんで人の彼氏と堂々と一緒に寝る発言かましてるんすか?」
ミッテルトの言葉にいたたまれない気持ちになったのか、部長は視線を外した。
そう、サーゼクスさんが俺と話がしたいらしく、今日は俺の部屋で眠ると言ってきたんだ。
ちなみに部長とアーシアは何故かよく俺の布団に忍び込んできており、ミッテルトももはや言っても無駄といった感じで半ばあきらめているようだ。
折衷案として現在では日にちごとにローテーションして一緒に寝るようになっている。
ちなみにミッテルトは前までは自分の部屋で寝ていた。一緒に寝る日もあったが、基本的には別々だ。
別にそれは不仲になったとかそういうわけじゃなく、俺の両親がわざわざミッテルトのための買ってくれたベッドを無駄にしたくないという彼女の配慮によるものだったわけだが、俺的には少しさびしさもあった。それはミッテルトのほうも同じだろう。
だが、その決まりが女子たちの会議により制定されて以来、ともに寝る機会も増えた。
基軸世界では一緒に寝てた仲なので懐かしさを感じるし、安心もできる。さらに、部長やアーシアのような超絶美少女と一緒に寝れる機会もあるという、まさに俺得のルールだが、ミッテルトは会議時かなり渋っており、今でも納得してない部分があるようだ。
『だって、これ絶対増える奴じゃないすか……』
そう言いながらぶつくさつぶやいていた。
何が増えるのかはよくわからないが、そんなわけで本来、今日は部長とともに寝る予定だったのだが、まあ、サーゼクスさんに言われたのならば仕方ない。
「お嬢様。さあ、ご自分の部屋に戻りましょう。私もお嬢様のお部屋で厄介になるので。それではサーゼクス様、おやすみなさいませ」
「ああ、お休みグレイフィア」
「うう、おやすみなさい……」
「あ、あの、おやすみなさいイッセーさん」
「そんじゃ、また明日~」
部長とアーシアは名残惜しそうにしながらもグレイフィアさんやミッテルトとともに部屋から出ていく。
今部屋には俺とサーゼクスさんの二人しかいない。なんだか少し新鮮な感じがするな。
しかし、改めて見てみると……。
(やっぱとんでもないよなこの人)
濃密な魔の気配とそれを完璧に隠している擬態能力。どうやら精神生命体の力も獲得しているようだ。
数値だけで見てもEP換算で325万6481、
少なくとも
正直言って十二守護王の面々でも危ないかもしれない。
究極能力の有無に関してはわからないが、この人ならば持っていても不思議ではないかもしれない。
そんな超越者が今同じ布団の中に入っているのだからなかなか面白い状況だと思う。
「君はアザゼルと会ったそうだね」
「あ、はい」
「君から見て、彼はどんな存在だと感じた?」
「う~ん、表面上はへらへらしてるけど、少なくとも悪人って感じはしませんでしたね。信用できるかはまあ置いといて、信頼はできそうっていう印象ですかね?」
「ふふ、確かにそうかもしれないね。何せ、彼は過去の大戦でも真っ先に手を引いてたくらいだしね」
実際、コカビエルもアザゼルに対してあまりいい思いは抱いてなかったって言うし、戦闘狂のコカビエルからすると、争いを好まないアザゼルさんは目障りな存在だったのかもな。
「ところで、話は変わるけど、僕は前々から君にお礼がしたかったんだ」
「お礼?」
はて、別にサーゼクスさんに何かした覚えはないんだがな。
「君と接するようになってから、リアスはとても楽しそうにしているんだ。あんな楽しそうなリアスは冥界でも見たことない」
そうか。この人は本当に部長のことを大切に思っているんだな。今のたった一言には親愛の情が多分に含まれているのを感じた。
「それだけじゃない。コカビエルとの戦闘ではかなり危なかったと報告も受けている。セラフォルーなんかソーナちゃんが操られたと聞いて卒倒しかけていたし、君たちがいなかったらどうなっていたことか……。君たちには感謝してもしきれないよ」
セラフォルーか……確か、会長のお姉さんでサーゼクスさんと同じく魔王をやっている、ティアマットさん曰く
ついでに相当のシスコンだとも聞いている。まあ、確かにそんな人が妹操られたなんて話を聞いたら無理もないか……。
そんなことを考えていると、サーゼクスさんは俺と目線を合わせる。その目つきからは何やら強い意志が感じられる。
「兵藤一誠くん。これからもリアスのことを頼むよ」
「……はい。部長は俺にとっても大切な友人ですから」
サーゼクスさんの頼みを俺は真摯に受け止めた。今や部長も俺にとって大切な人になっている。
これからも彼女に危機が迫ったときは命がけで守るつもりだ。
それを悟ったのか、サーゼクスさんも安心したかのような表情を見せる。
「ありがとう。そうだ、兵藤一誠くん。君のこと、妹同様イッセー君と呼んでもいいかな?」
「あ、もちろんです」
こうして俺はこの世界の魔王とも親交を深めることができたのだった。
「ところで話は変わるんだが」
ん?なんだろう。
「イッセー君。君は女性のお乳が好きだとリアスから聞いている」
ドキッ!?
い、今の流れからいきなりその話になりますか?部長も実のお兄さんに対して何を言っているんだ?
「ま、まあ、そうですね……」
事実、俺はおっぱいが大好きだ。それこそ、女性の部位でどこが好きと聞かれれば即答するぐらいに。
俺の返答に対し、何やらいたずらっぽい笑みを浮かべる。
「これは可能性の話なんだが、君の
ッッ・・・・・・・・・・!?
そ、その発想は今まで考えもしてなかった。さすが魔王様だ。なんて発想力なんだ。
ただでさえ豊満な部長のお胸に譲渡なんかしたら……いったいどうなるっていうんだ?
可能性は限りなく低いがゼロではない。
何より、もしかしたら、ミッテルトのおっぱいを大きくすることだってできるかもしれない。
早速明日試して見ようかな?
『ヤメロ馬鹿。そんな使い方したら泣くぞ。俺が』
(じょ、冗談だってドライグ)
どうやらドライグにとってはこの案は不評のようだな。何やらマジでやばい感じがするので、いったんこの件は置いておいたほうがよさそうだな。
だがこの案はドライグにすら読み取れない俺の深層心理の深い部分に刻んでおくことにした。
いずれ必ず実現するその日まで、俺はあきらめんぞ。