イッセーside
サーゼクスさんが来訪してから数日が経った。
あの後、サーゼクスさんは下見という名の観光をして人間界を楽しんでいたように見える。
それはともかく、今日は本来休日で休みなのだが、とある目的のため、俺たちオカルト研究部は学園に来ていた。その目的とは……。
「さて、あなた達。今日は私たち限定のプール開きよ!」
そう、プールである。
目の前にあるのは水が抜かれ、コケだらけになっていたプール。
もうすぐプール開きというこの時期、ここを掃除することを条件に俺たちオカルト研究部が真っ先に使っていいということになっているのだ。
楽しみだ。何しろ今日は水着姿の皆の姿が拝めるのだから。
特に部長なんてそれはもうきわどい感じの水着を購入していた。アレを着ている部長を見れるというだけで感無量なのだ。
「ボケっとしてないで掃除するっすよ」
「あ痛っ」
そんなこと考えているとミッテルトが小突いてきた。しかも割と強めに。
悪かったって……。
******************
それから一時間経過した。
俺達の目の前には苔ひとつないピカピカのプールがあった。
だが、そんなことはぶっちゃけどうでもいい。今、俺にとって重要なのは……。
「お待たせイッセー。私の水着、どうかしら?」
ブハッ!
部長の姿を目にした瞬間、俺の鼻から勢いよく鼻血が飛び出た。
部長の水着姿!
まぶしい!
なんてまぶしいんだ!
布面積の小さい黒のビキニ!白い肌がこれでもかってほど抜き身になっている。おっぱいがこぼれ落ちそうなんですけど!下乳なんて見えるなんてレベルを越えている!艶めかしい脚線美も素敵だ!控えめに言って……
「最高です!」
「あらあら。部長ったら張り切ってますわ。よほど、イッセー君に見せたかったのですわね。ところで、イッセー君、私の水着姿も見ていただけますか?」
次に出てきたのは朱乃さんだ。
部長とは対極の真っ白の純白の水着!布面積が小さくとてもエロイ!
ああ、眼福だあ……。
魔国の皆はこんなきわどいエロ水着は基本着ないからな……。
いや、リムルは着るか。主にシュナさんやシオンさんの着せ替え人形として……。
それに、シオンさんやテスタロッサさんのビキニ姿は破壊力抜群だったっけな。あの人たちはスタイルがめっちゃいいから普通のビキニでもメチャクチャやばいんだよな……。
「イッセーさん!わ、私も着替えてきました!」
振り返るとそこにはアーシアと小猫ちゃん。
二人は学校指定のスクール水着だ。金髪美少女とスク水という組み合わせがとてもいい!
小猫ちゃんも小さくてマスコットといった感じの愛らしさが全開だ!
胸の「あーしあ」、「こねこ」と書かれた名前が素晴らしい!
「ああ、可愛いぞ!お兄さん感動だよ!よく似合っている!小猫ちゃんもいかにもマスコットって感じで良いな!」
「卑猥な目つきで見られないのも、それはそれって感じで少し複雑です」
ん?何やらぶつぶつと残念そうにしてるけど……?はて?
「待たせたっすね。イッセー……」
最後に出てきたミッテルトは……、なんていうか、綺麗だと感じた。
ミッテルトが着ているのは、可愛らしいフリルの付いたエメラルドグリーンのビキニだ。
それがミッテルトの未成熟な体系に見事にフィットしており、とても可愛らしく見える。右手首に着けている花をあしらったアクセサリーも相まって、なんていうか、すごくいい。
「……どうっすか?イッセー?」
「……あ、ああ。とても似合ってるよ!すげえいい!」
「……ありがとうっす」
「……なんだろう。私たちと反応が違うと感じたのは気のせいかしら?」
「あらあら、やっぱりイッセー君にとってはミッテルトちゃんが一番なのね」
ま、まあ、それはいったん置いておくとして、あたりを見渡してみると一人足りないことに気が付いた。
「あれ?ゼノヴィアは?」
「ああ、ゼノヴィアちゃんは水着を着るのに手間取ってるみたいっすね」
手間取る?高々水着に着替えるのに?
とも一瞬思ったが、そういえばあいつの教会って規則が厳しいとも聞くし、もしかしたら水着を着るのが初めてなのかもしれないな。
ちなみに黒歌と木場は不参加。黒歌はオカルト研究部の部員でもないし、何より学生ですらないため、許可をとるのが難しかったのだそうだ。木場は何でも悪魔の契約関係で今日は来れないらしい。もったいないなこんな一大イベントを逃すだなんて。
すると、部長は俺に背を向けている小猫ちゃんの肩に手を置き、ニッコリ微笑みながら言う。
「それでね、イッセーに頼みがあるんだけど、いいかしら?」
「はい?」
******************
「はい、いち、に、いち、に」
俺は小猫ちゃんの手を持って、バタ足の練習に付き合っていた。
部長に頼まれたこととは小猫ちゃんの泳ぎの練習に付き合うことだ。というのも小猫ちゃんは泳ぎが大の苦手なのだそうだ。黒歌も昔はそうだったらしいし、猫又はやっぱり猫なだけあって水が苦手なのかもしれないな。
当の小猫ちゃんは、「ぷはー」と時折息継ぎをしながら一生懸命にバタバタと足を動かしている。
うん、可愛いわ。
「小猫ちゃん、頑張って!」
横でアーシアが小猫ちゃんを応援している。
ちなみにアーシアも泳げないらしく、アーシアの練習も俺が付き合うことになっている。
「……イッセー先輩、付き合わせてしまってゴメンなさい」
「いやいや、小猫ちゃんの泳ぎの練習に付き合えて俺も嬉しいよ。黒歌だって昔は苦手だったけど、今は問題なく泳げるらしいし、小猫ちゃんもきっと泳げるようになるよ」
俺はあえて黒歌の話を持ってきて、小猫ちゃんの反応を見る。案の定、小猫ちゃんは顔をしかめた。
やっぱりまだまだ黒歌には思うところがあるのだろう。
こういう反応になるのは予感していたが、それでも俺は二人に仲良くしてほしいため、黒歌の話題を持ってきたのだ。
「……先輩は、黒歌お姉さまのことを信用できると思ってるんですか?」
「もちろん!」
即答だ。黒歌は陣営こそ違えどたくさんの時を過ごしてきた大切な仲間だからな。
黒歌のことは魔国の皆並みに信用できる。
「小猫ちゃんの気持ちもわかるよ。親しい奴に裏切られるのはつらいよな」
「…………」
やれやれ、だんまりしちゃったか。仕方がない。
こうなったら、あの話をするか……。
「実はな、俺、ミッテルトに裏切られたことがあるんだよ」
「え?」
「いや、違うな……。裏切らざるを得なかったというのが正解だな。以前、ミッテルトが話してただろ。幼少期、とある組織にさらわれたって……」
俺はバタ足練習を手伝いながら小声で小猫ちゃんに話した。
ミッテルトに掛けられた呪いのこと、スパイとしてミッテルトが俺と接触したこと。
魔国の事情についてはある程度ぼかしながらも、俺はミッテルトとの出会いと戦いの顛末についてを包み隠さずに話したのだ。
「そんなことが……」
「ああ。仮に、もしあの朦朧とした意識の中で、ミッテルトの涙を見逃していたら……もしかしたら俺はミッテルトを恨んだりしていたかもしれないな」
今となってもあの時のミッテルトの顔はありありと思いだせる。
朦朧としていたけど確かに見た、悲しそうな、苦しそうな、そんな表情と涙を……。
「今までの楽しかった思い出を、何より、あの涙を信じたからこそ今の俺たちがあるんだ」
話しているうちに俺たちはプールの端にたどり着いていた。
そこからは皆と遊んでいるミッテルトの姿がよく見える。
「だからさ。小猫ちゃんもお姉さんを……黒歌のことを信じてあげなよ。確かに黒歌は小猫ちゃんに怖い思いをさせてしまったかもしれない。でもそれ以前の、やさしかった思い出だって絶対嘘じゃないんだからさ」
「……ありがとうございます、イッセー先輩。……やっぱり、イッセー先輩は優しいです。……スケベですけど」
「……それ、ほめてるの?」
「はい。もちろんです」
小猫ちゃんは満面の笑みを浮かべながらそう呟いた。小猫ちゃんの微笑は何度も見てきたけど、笑顔なんて見るのは初めてかもしれない。
可愛い。小猫ちゃんが笑うといつも以上に保護欲が沸き立てられる。黒歌はよく向こうで妹が可愛いという話をしていたが、それも納得の可愛さだ。
「……わかりました。私、今度、姉さまと話をしてみます。その時は、先輩も一緒にいてくれませんか?」
「ああ、もちろん!」
よかった。これで二人の確執も解決が見えてきたな。姉妹同士、やっぱり仲よくしたほうがいいに決まってる。
ザバァン!!
瞬間、誰かがプールに飛び込む音が聞こえてきた。
見ると部長、朱乃さん、ミッテルトの三人が競争をしていた。
「負けないわよ!ミッテルト!」
「フフフ、師匠のもと、釣りで鍛えたうちに勝てると思ってるんすかすか?」
いや、釣りと泳ぎはまるで関係ないような気が……ってそんなこと考えている場合ではない!
こ、これはチャンスだ!
俺は急いで水中に潜り、籠手を展開。
即座に倍加して両目に力を譲渡した。
『Transfer!』
これで俺の視力は一気に上がった!すぐさま泳ぐミッテルト達の姿を捉える!
部長達のおっぱいが水の抵抗で揺れてる。部長と朱乃さん、二人のおっぱいが縦横無尽に独特の揺れ方をしている!ミッテルトも胸こそないものの、水滴が太陽光に反射して美しく見える!艶めかしい美脚が濡れることでとてもきれいだ!楽しそうに笑う笑顔も最高!
やっぱり、俺の神器はこういうことのためにあるよな!
魔力感知では気付かれる可能性があるが、これはあくまで俺の視力を上げているだけだから、ミッテルトにすら気付かれることはない。
『なあ、泣いていいか?いや、もう泣くぞ』
ドライグが若干涙を流し始めた。これをするたびにドライグが泣くんだよな……。別にいいだろ少しくらい。
とりあえず、脳内保存だ!
ゴスッ!
俺の頭部に容赦のない一撃が加えられる。気闘法により強化されており、なかなかの威力を発揮している。
痛い!
まるで警戒していなかったうえ、魔力感知もオフに(ミッテルトの命令により)しているため、反応が完全に遅れた!
水中からザバッと上がってみると、小猫ちゃんが拳を握っていた。どうやら俺が教えた気闘法はかなりの熟練度に達しているようだ。おそらくこれに限れば木場よりも上だ。成長したな、小猫ちゃん。
「次はアーシア先輩の泳ぎを見るんじゃなかったんですか?」
なんて現実逃避していると、不機嫌な様子の小猫ちゃんに言われ、横のアーシアを見ると涙目だった。
「うぅ、私だって私だって……」
あー、頬を膨らませてるよ。
もしかして、拗ねてる?ごめんよ。俺は咳ばらいをしつつ、改めてアーシアに言う。
「すまんすまん、次はアーシアな」
「よろしくお願いします」
こうして、次はアーシアの練習に移った。
「……本当に、ありがとうございます。先輩」
******************
「ふう……」
「つ、疲れました……」
「お疲れアーシア、小猫ちゃんも」
泳ぎが苦手な二人は大分疲れたようだ。
プールサイドの上に敷いたビニールシートに似て、アーシアは倒れこんでしまった。
小猫ちゃんも相当疲れたらしく、今はプールサイドの日陰で読書にふけっている。
「うち、飲み物買ってくるっすね」
「おお、よろしく。あ、お金出すからアーシアと小猫ちゃんのぶんも頼める?」
「もちろんいいっすよ」
お代を受け取るとミッテルトは飲み物を買いに行った。
「……スースー」
ん?寝息?
見るとよほど疲れていたのか、アーシアはビニールシートの上で寝息をたてていた。
見れば見るほどかわいい寝顔である。
ただ、冷えてはいけないから、タオルだけかけておこう。
「ん?蝙蝠?」
そんなことを考えていると現れたのは赤い蝙蝠。確か、部長の使い魔だっけ?
振り向くと、部長が手招きをしているのが見えた。
反対の手には小瓶らしきもの。
あれは、オイル?クリーム?
そんな中、部長の口元がわずかに動いたのを見た。
────いらっしゃい
唇の動きを読み取り、その意味を即座に察す。ま……まさか、この展開は!
俺は神速で部長のところに向かう!
予想が正しければ、アレしかない!アレしかありませんよね!?男子なら誰でも憧れるあのイベント!
────真夏の肢体、オイル塗りだ!
「兵藤一誠、ただいま到着しました!」
「全く、私は手招きしただけだというのに。ねぇ、イッセー」
「はい!」
「悪魔は日焼けしない。でも、太陽の光は外敵なの」
そう言いながら、部長は俺に手に持っていたオイルを手渡してきた。
「オイル塗ってくれないかしら?」
「はい、喜んで」
即答。豊満でわがままなボディを持つ部長の体に障れるなんて、なんて夢のような体験なんだ。
「じゃあ、さっそくお願いするわ」
ハラリ、と何のためらいもなく部長はブラを外してしまった。
ブルン、と豪快に揺れる部長の胸。勢いよく飛び出た生乳はとても柔らかそうである。
いや、それ以前に……。
「ぶ、部長!そ、そんな躊躇いもなく、男の目の前で脱いじゃって良いんですか!?」
「ええ、あなたになら私は構わないわ」
笑顔で答える部長!マジですか!?俺なら良いんですか!?
マジかめっちゃうれしい!ああ、生きてて良かった!
部長が良いと言ってるんだ!
ミッテルトが帰ってくるまでおそらく十分はかかる。その十分のうちに終わらせてしまえば問題はない!
俺は急いで部長に渡されたオイルを手に落とし、馴染ませる。
そして、部長のお背中へ!
ぴと、にゅるぅぅぅ。
触れた後、オイルを伸ばし、肌に塗りこましていく。手に伝わる部長の感触。
あぁ、スベスベしてて気持ち良い。
ミッテルトの背中とはまた違った良さがある。
「ねぇ、イッセー……。背中が終わったら前もお願いできるかしら?」
な、なんと!
前──それはつまり、部長のむ、胸を触るということ。
い、いや、まて!それはさすがにまずいだろ!背中だけならまだしも、もしばれたらさすがにミッテルトに殺されるかもしれない。
確かに俺はおっぱいが大好きだ。ミッテルトのような貧乳も好きだが、どちらかというと部長や黒歌みたいな大きいおっぱいのほうが大好きなのである。
ああ、悩む。正直塗りたい。揉み解したい。だが、さすがにそれを恋人の許可もなくやるのはだめだろう。超絶名残惜しいがここは断るしかないか……。
それにしても、最近、部長が俺に対して積極的な気がするのだが、気のせいか……?
「イッセー君♪私にもオイル塗ってくださらない?部長だけずるいですわ」
瞬間、背中に柔らかく、弾力のある何かが背中に押しつけられる!
こ、この声と感触わ!
振り返ろうとすると俺の肩から朱乃さんがいひょっこりと顔を出してきた。
しかも、感触から察するにブラを外した状態だ。わざとだ。わざと押しつけているんだ!
朱乃さんはそのまま俺の体に腕を回して抱きついてきた!
「あ、朱乃さん?」
「ねぇ、良いでしょう?」
マジですか!
俺、学園の二大お姉様の両方からオイル塗りを頼まれちまった!どうしよう!ここは部長だけ特別扱いするわけにもいかないし、塗るしかねえか!
「ちょっと朱乃! 私のオイル塗りはまだ終わってないのよ?」
部長が上半身を起こして、朱乃さんに言う。見ただけで明らかに不機嫌だということがわかる。
というか、部長!ブラ外した状態で立ち上がったりしたら……もろに見えてますよ!
おっぱいが宙で揺れてるんですけど!
「ねえ、イッセー君。部長が怖いですわ。私は日頃からお世話になってるお礼に、イッセー君に溜まってるものを吐き出させてあげたいだけですわ」
あ、朱乃さん!?あなた一体何を!?
「だめよ!イッセーは私のよ!あなたには絶対にあげたりするものですか!」
「別に部長のものではないでしょう?彼はあくまで眷属候補。正式な眷属でない以上、私が誘っても問題はないはずですわ」
そう言いながら、朱乃さんは俺の耳を甘噛みしながら悪魔の誘惑をささやき続ける。
「今、イッセー君の背中をすりすりしてるものを口に含ませてあげてもいいですわよ。ミッテルトちゃんが帰ってくるまでまだ時間もありますし、舌を這わせたり、先端を転がしてみたり、欲望のままに吸い付いても……」
「さすがにそれは許可できないっすね……」
部長と朱乃さんがぎょっとした様子で声のした方向を見る。
そこには、数本の飲み物の入ったビニール袋を片手に、鋭い目つきでこちらをにらむミッテルトがいた。
「あ、あらミッテルト……。早かったわね」
「まだ五分もたっていないはずですのに……」
「あまりうちの力舐めないほうがいいっすよ。転移魔法を使えば距離なんて関係ねえんすよ……」
「ま、魔法陣なしで転移を!?」
そ、そうか空間転移か!完全に盲点だった。
ここから学園の自販機まで片道五分はかかる。だが、今現在人の少ない日曜日という状況。気を付けてさえいれば転移しても誰にもばれないのは間違いないだろう。
「さてと、イッセーは後でボコボコにするとして……」
あ、それはやはり確定なのね。
「当然す。それ以外の……お二方も覚悟はしてもらうっすよ」
そういいながら二対四枚の翼をはためかせるミッテルト。どうやら相当ご立腹のようだ。
この状態のミッテルトは今の部長達よりも若干強いくらいの力だが、それはあくまで
今の二人が同時にかかっても勝機は薄いだろう。
「せめて、黒歌っちみたく、うちのいる目の前でならまだ酌量の余地もあったんすけどね。イッセーの性格はよく知ってるし……。ただ、それでもむかつくことに変わりはないんすし、ましてやそれを隠れてこそこそされると、イッセーにその気がなくても浮気とかされてるみたいで本気でむかつくんすよね……」
目の前でされる分にはいいの?まあ、でも確かに黒歌で慣れてるからなのかもな。
そんな
「くっ、上等じゃない!もし、あなたを倒せたらイッセーはしばらく貸してもらうわよ!」
「ククク、いいっすよ。勝てたらの話っすけどね……」
「いいでしょう。私も全力で挑ませてもらいますわ」
部長は滅びの魔力を出しながら叫び、朱乃さんもパチパチと電気を走らせながら構えている。
おっぱい丸出しの美女二人が水着姿の美少女と相まみえている。はたから見るととてもシュールな光景だ。
こうして仁義なき女の戦いが幕を開けた。
「大体ミッテルトはずるいのよ!いいじゃない!少しくらい貸してくれたって!」
「そうですわ!かわいがる権利くらい誰でもあるはずですわ!」
「駄目っす!これ以上増えたらどうなるかわからないんすよ!せめてうちの見えるところでやれって話っすよ!」
「束縛する女は嫌われるわよミッテルト!」
「なにを!?」
三人の放つ魔力弾の流れ弾がプールサイドに直撃し、見事に粉砕する。
ああ、せっかく掃除したのに……なんて現実逃避している場合じゃない。どうやら完全なる三つ巴。部長も朱乃さんも協力する気はさらさらなく、互いに互いを攻撃しあっている。
「あなたにも、イッセーはあげないわ。卑しい雷の巫女さん」
「あらあら。可愛がるぐらいいいじゃない。紅髪の処女姫さま」
「あなただって処女じゃない!」
「ええ。だから今すぐにイッセー君に貰ってもらうわ」
「おいこら朱乃さん。ふざけたこと抜かしてるんじゃねえっすよ!」
ミッテルトの鋭い蹴りを何とかガードする朱乃さん。カウンターで二人に雷を放つ。これはさすがに止めたほうがいいかもな……。
そう考えていると、それに対処しながら部長も負けじと叫ぶ。
「ダメよ!私があげるのよ!」
「あんたも何言ってんすか!?」
「だいたい、朱乃は男が嫌いだったはずでしょう!どうしてイッセーにだけ興味持っちゃうのよ!」
「そう言うリアスだって男なんて興味ない、全部一緒に見えるって言ってたわ!」
「イッセーは特別なの!」
「私だってそうよ!イッセー君は可愛いのよ!やっとそう思える男性に出会えたのだから、ちょっとぐらいイッセー君を通じて男を知ってもいいじゃない!」
「二人とも、何恋人の前で堂々と寝取る発言かましてるんすか?マジいい加減にするっすよ……」
そう言いさらにギアを上げていくミッテルト。
それを見ながら俺は悟る。
────これ無理な奴だと。
なぜだか知らんが手加減してるとはいえミッテルトと互角に戦うお二方。今の二人にそこまでの力はまだないはずなのにどういうことだ!?
よくわからんがわかったことが一つだけある。
俺には三人のケンカは止められない!ということだ。
「すいません、部長、朱乃さん!ごめん、ミッテルト!」
俺は謝りながら、その場を離脱し、用具室へ逃げ込むのだった。だが、この時は思ってもみなかったのだ。
女難はまだ続いているということを……。