帰ってきたらD×Dだった件   作:はんたー

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異世界の門と魔王少女です

リムルside

 

 

 

「ど、どういうことだよ!?あの門しか使えないって……」

 

「落ち着け、順を追って説明するから」

 

二人の気持ちも理解できる。さすがに唐突すぎるしな……。

イッセーとミッテルトの驚きの声を流しながら、俺はその理由を説明することにした。

 

「まず、前提として“異世界の門(ディファレントゲート)”はまだ()()()()()()()()()()()()()()()。俺の力でまずは先行ということでお前に作ってやったけど、絶対数は少ないんだよ」

 

マイが完成させた理論を俺……というか、シエルさんが構築してくれたおかげでモノは存在しているが、今現在存在してる“異世界の門(ディファレントゲート)”の魔方陣はヴェルドラとラミリスに管理を任せているものとイッセーに託した基軸世界と地球とを繋ぐものを含め、数える程度しかない。

 

「それが、どう関係があるんだ?」

 

「実はな、この間、マイの力を借りて基軸世界とそれと平行して存在する現在の地球を繋ぐという実験をしたんだ。」

 

帝国で行われたそれは、公式的には世界初の“異世界の門(ディファレントゲート)”となるはずで、世界的に見ても注目度の高い実験だった。

 

「既に独自に異世界の門(ディファレントゲート)を完成させていた俺の監修もあったわけで、その実験は本来、失敗なんてする筈なかったものだった。……だが」

 

結果は失敗に終わった。

この実験には俺も立ち会ってて、その魔方陣はシエルから見ても完璧なものだった。

失敗する要素などどこにもないはず……にもかかわらず実験は失敗した。

シエルの解析で理由はすぐに判明した。

“門”そのものの不備ではない。何者かの手によって、基軸世界と地球。二つの世界の()()()()()を超えた繋がりさえもが途絶え、地球という惑星そのものが、平行多次元から隔離されてしまったというものだった。

 

「はあ!?そんなこと、できるものなのか?」

 

「一体、誰がそんなことを……?」

 

「それも判明してる。ルミナスとシルビアさんのお陰でな」

 

「ルミナスさんにシルビアさん……そういうことか……」

 

「それってつまり……」

 

イッセーとミッテルトも二人の共通点から察しが付いた様子だ。

 

「ああ、それを行った者の魔力の残滓を解析した結果、それが神祖の手によるものだということがわかったんだ!」

 

神祖トワイライト・バレンタイン。

ヴェルダナーヴァにより創造された神話の存在。

今なお何かしらの目的のため、ルミナスにちょっかいをかけ、イッセーに牙を剥いた存在だ。

神祖から生み出された二人は結界の残滓から、神祖の強いエネルギーを感じ取ることができたのだという。ギィも覚えのある魔力が混じってるといっていたし、間違いはないだろう。

 

「いや、ちょっと待てよ!?なんで神祖はワザワザそんなことしてんだよ!?」

 

「理由があるんすか?」

 

「何かを企んでいるのは間違いないと思う。ま、なにか……までは現時点では情報が少なすぎてわかっていないんだけど」

 

神祖が何をたくらんでいるかはさすがに情報が足りな過ぎてわからんが、少なくとも、シエルの話によるとその計画とやらは現時点ではまだ成就はしていないと思われる。

 

『隔離の目的はこの星で何かを企んでおり、それを我々に邪魔されることを恐れたのかと思われます。神祖の計画がいかなものかはわかりませんが、既に計画が完了しているのならば隔離なんて真似はしないでしょう。

結界の起点となっているのがこの時代であることから察するに、恐らく、この時代で何かしらの計画を実行中であり、私たちの介入を防ぐため、地球と基軸世界の繋がりを完全に途絶えさせようとしたのでしょう』

 

恐らくは神祖の力を持ってしてもヴェルダナーヴァの加護を受けた基軸世界そのものを隔離することはできなかった。

故に、現在の活動拠点である地球を隔離したというのがシエルさんの考えだ。

そして隔離結界の基点となっているのはこの世界のこの時代から見て僅か数ヶ月の間。

そこから俺たちの世界から見て現在まで、その結界が解けた様子はない。

イッセーからの報告で聞いた向こう側(メロウとやら)の言動から察するに天魔大戦についての情報は把握していると思われる。

この時代から見ると、まだ起きていないはずの大戦の様子も把握していることから、おそらく神祖も俺たちと同じで時間に干渉する術をもっているということが予想される。

おまけにもう一つ、結界について懸念事項がある。

それは()()()()()()()()()()()()()()()()()()という点だ。

 

「神祖だけではない?どういうことだ?」

 

「わからない。けど、神祖以外にもこの結界にかかわっている存在がいるみたいなんだ。俺の解析によると、時空にまで干渉して結界が広がっているのはその存在の影響みたいなんだけど、今まで見たこともない術式だから、解析にも時間がかかりそうだ……」

 

シエルさんの言では神祖以外の何者かが未知の術式を使い、その結界をさらに強化してるという。何しろこの結界、時空を超えて過去にまで影響を及ぼしているくらいだ。歴史に干渉する類いのものではないが、少なくとも、ここ数万年の間の時間軸を結界にて覆っている。神祖がいかに竜種級の力を持ってるとはいえ、これ程の次元結界を独力で作れるとは考えづらい。

恐らく神祖の結界に携わっている存在も竜種級の存在であることが予想されている。

なにしろ、結界の力は非常に強力で、信じられないことにシエルさんでも解呪は現時点では不可能とのことだ。

 

『あくまで現時点は!です。これから解析を進めていけばいずれは……』

 

そうだったな……。

一応、数千年先の地球……なんかには行くことができたのだが、そこに神祖の姿はなく、あったのは……いや、今はよそう。

まあようするに、向こうは何かしらの手段でこちらの情報を確保してるらしいが、こちらから地球に行く術が無くなってしまったというわけだ。

何しろ俺やヴェルドラの持つ異世界の門(ディファレントゲート)を繋げようとしてもうまく行かなかったのだから。

そこまで聞いて、イッセーとミッテルトは釈然としないのか、俺に疑問をぶつけてくる。

 

「ん?ちょっと待てよ、その話が真実なら、どうしてリムルや師匠がここにいるんだよ!?」

 

「そうっすよ!矛盾してるっす!」

 

イッセー達の疑問ももっともだ。

隔離されているなら、何で俺とヴェルドラがここに?って話になるからな。

確かに二つの世界が隔離された今、新たに門を繋げることは不可能となった。

 

「だが、その隔離にも穴があったんだ。それは、()()()()()()()()門は隔離の穴を抜け、今なお自由に行き来できるというものだ」

 

それはまさに僥倖だった。

いつでも行き来できるようにと、絶えることなく常に基軸世界と繋がりを持つ門は、()()()()()()()()()()に結界に阻まれることはないのだというのだから。

 

「つまり……」

 

どうやらイッセーも気づいたようだ。

 

「そう。それが、お前の家にある()()基軸世界との繋がりを持っている門なんだ!」

 

「……で、それを死守しろってことか……。責任重大だな」

 

イッセーもことの重大さを理解しているからこそ、冷や汗を流す。

でも、現状はイッセー達を頼る他ないんだ。

 

「ああ。でも、お前の家にある門が無事ならばこちらからも援軍を送れる。連絡係はミッテルトに任せようと思うから、必要とあれば呼んでほしい」

 

「了解っす!」

 

ミッテルトならばエスプリとの繋がりがある。

エスプリにはユニークスキル“見識者(ミヌクモノ)”は繋がりがあるものと時間と空間を超えて情報を共有することができる。

現状連絡要員としてこれ以上はないだろう。

 

「ただ、応援を呼ぶのは神祖の介入があったと確証があったときにしてほしい。この世界の神話絡みでは、控えるように」

 

「え?なんで?」

 

これはシエルからの提案だ。しかし、イッセー達も困惑してるように確かに謎だ。

俺としてはピンチになれば呼んだほうがいい気もするんだが……。

 

『神祖も恐らく、この結界により完全に隔離できたとは考えないでしょう……が、出入り口まで分かってるわけではありません。もしも気付かれるのであれば結界を張った時点で気付かれ、兵藤一誠宅は攻撃を受けている筈です。

恐らく、門がこの国のどこかにあることは分かっていても、それがどこなのかまでは分かっていないと思われます。もちろん、これが罠という可能性も否定はできませんが、そうでない場合、ワザワザ見つかる危険性をあげてまでこちらの存在を知らせる必要もありません。

よって、今しばらくはこの世界の勢力にも我らの存在は秘匿させるのが懸命かと……』

 

なるほどそうか。

言わば俺たちの存在は完全に切り札(ジョーカー)

ルミナスも神祖の気配に気づいたのは京都帰りだといっていた。神祖の存在に気付いた後は自らの権能とヒナタの“世界系”権能を駆使して何とか神祖の監視から逃れたとも……。究極能力による二重の隠蔽を行った以上、いかに神祖といえど、簡単には追跡できないだろう。

シエル先生からの調べで監視の目は現時点では確認できないと判断を受けたため、この駒王学園に足を運んだが、今後はそれも控えたほうが良さそうだな。

それに、コカビエルとかいうやつがメロウと繋がっていたことを考えると、何処に神祖の手の者がいるかわかったものでもないし……。

そう考えると、しばらくはこの世界の勢力にも俺たちの事を秘密にするのがいいかもしれない。

 

「……となると、三大勢力での会議でもリムル達のことは言えないってことか……。メロウの件、どうやって誤魔化そう」

 

「それに、もし門の存在がバレた場合、うちらだけで守りきれるかも不安っすね」

 

「安心しろよ。門の破壊を企てようってんなら、すぐに救援が駆けつける手筈になっている。それに、二人だけじゃなく、黒歌だっているだろ?一応、“藍闇衆(クラヤミ)”の上位陣も幾人かここからほど近いところから警護もしてるしな」

 

「マジかよ。用意周到だな……」

 

実際、ソウエイのところの“藍闇衆(クラヤミ)”は諜報部隊として生き残る術に長けている。

一人一人もなかなか強く、最低でもEP20万は超えているレベルだ。

覚醒魔王級の奴が相手でも、時間稼ぎくらいならまあ可能だろう。何しろソウエイの地獄の鬼も裸足で逃げ出す鬼畜訓練に耐えてるんだから。

潜入活動もお手のもので此方に来てすぐに戸籍を用意して拠点を築いたくらいだったからな……。

ちなみにこの件について真っ先に立候補したのはトーカだ。

 

『あの変態がどうなろうと知ったことではないですが、まあ、皆やりたがらないでしょうし、私がやります!』

 

口ではつんけん言いつつも、頬を赤らめてたし多分本音は違うんだろうな……。

なんでイッセーってこんなにモテるわけ?

ミッテルトや黒歌、確かジウも怪しい感じがするし先程見た感じ、この世界の女友達もなにやら熱い視線を向けてたように見える。

対して俺は……まあ、モテてると言えなくもないんだろうが、今無性だしな……。

おまけに前世では……なんだろう。悲しくなってきた。

まあ、それはひとまず置いといて……。

 

「……というわけで、イッセー、ミッテルト。ようやく平和になったというのに、こんなことを頼むのは心苦しいけど、頼まれてくれるか?」

 

実際、イッセーは13年の月日を経てようやくもとの生活に戻れたわけだし、奴隷同然の扱いを受けていたというミッテルトに至っては言うまでもない。

それなのにこんなことに巻き込んで申し訳ないとも思う。

イッセーは髪を少し掻き毟りながら……。

 

「わかった。正直荷が重いけど、頑張ってみるよ。俺も向こうに行けなくなるのは嫌だしな……」

 

「うちの恩人であるリムル様直々の勅命。断るわけがありません。命を懸けて遂行します」

 

ミッテルトも普段の喋りのなりを潜め、覚悟を決めた眼で言う。

これならば任せられるだろう。

ふと気付いたのだが、ミッテルトのほうも何やら以前と見違えた感じがする。

恐らくはこの間あったという戦いで何かが吹っ切れたのだろう。

 

『恐らくはその通りでしょう。エネルギーも以前より上がっていますし、この状態でしたら恐らく……』

 

わかってる。今のミッテルトならあとしばらくもすれば……。

俺はそれを楽しみにしながらイッセー達を見据える。

 

「ありがとうな。じゃあ、頼んだぞ!」

 

「ハイ!!」 「応!!」

 

任せたぞ。二人とも……。

 

「リムルよ。難しい話は終わったか?」

 

「「「…………」」」

 

そんな俺たちの横で壁に寄り掛かりながら漫画を読んでいるヴェルドラが話しかけてきた。

見るとイッセーは溜め息付いてるしミッテルトも苦笑いだ。

 

「ふん!!」

 

「あだっ!?」

 

取り敢えずイラッとしたので俺はハリセンでヴェルドラを引っ叩くのだった。

 

 

 

 

 

 

*********************

 

イッセーside

 

 

 

「大変なことになったっすね……」

 

帰路につくリムルと師匠を眺めながらミッテルトは呟く。

 

「リムル曰く、しばらくは大丈夫らしいけど、確証もないからな……」

 

メロウという敵の中でも最高幹部である存在を撃退した今、しばらくは神祖の軍勢が手を出すことはないだろうというのがリムルの言だが、それを鵜呑みにしすぎてもいけない。

恐らくはこれからも神祖の軍勢と戦うことになる。これはもう確信だ。

神祖達は長命種だからそれがいつになるかはわからない。数日後か数カ月後か、数年後や数十年後なんて可能性もあるだろう。

 

「ま、心配しすぎても仕方ないだろ。今は平和を楽しもうぜ」

 

「……それもそうっすね」

 

戦うときになったらその時覚悟を決めればいいだけだ。

異世界の門(ディファレントゲート)にしたって、簡単にバレることはない。

あれはリムルと師匠による二重の隠蔽が施されており、知ってるものでなければ気付くこともないのだ。

だから今は心配しても仕方がない。今はこの日常を楽しもう。

 

「それはそうと、何か向こうが騒がしくないっすか?」

 

「確かに……」

 

ミッテルトに言われて気付いたのだが、確かに何やら騒がしい。

階段の前に人だかりが集まっている。

ちょうど木場が通りかかったので俺は何があったのか訪ねることにした。

 

「なあ、木場何かあったのか?」

 

「あ、イッセー君。用事は終わったの?」

 

「ああ」

 

「実は、魔女っ子が撮影会を開いてるらしいんだ」

 

「魔女っ子?」

 

「うん。少し気になったから様子を見ようと思って……」

 

魔女っ子……そのフレーズを聞くと俺の知り合いの“漢女”が思い浮かぶんだが……まあ、気配が違うから別人なんだろうけど……。

 

「どれどれ」

 

おお!

そこにいたのはアニメキャラのコスプレをした可愛らしい美少女だ。

あの衣装は確か『魔法少女ミルキースパイラル』だったっけ?知り合いの“漢女”から見せられたこのがあるぞ。しかもスカートが短い!“漢女”とは違って非常に似合っており、チラチラと純白の下着が見えてとてもいい!

 

「なっ!?」

 

騒ぎを聞いて駆けつけたらしい部長が何やら驚いてる。見ると木場も固まっている。

気配と部長たちの驚きようから見るに、つまりそういうことなのだろう……。

するとここで生徒会の登場である。

 

「おらおら!こんなところで撮影会なんてするんじゃえね!」

 

匙と数人の生徒会が人だかりに飛び込み撮影してた人たちを散らしていく。

 

「解散解散!あなたもそんな格好は困りますよ!親御さんなんでしょうが、この場似合う衣装があるでしょう」

 

「えー、でもこれが私の正装だもん☆」

 

何か歯軋りしてるが見てられないので俺も手伝うことにするか……。

 

「やめとけ匙。えーと、会長のお姉さんの……セラフォルーさん……で合ってますか?」

 

「はあ!?なに言ってるんだ兵藤!?こんなコスプレイヤーがレヴィアタン様なわけ……」

 

「匙!何事ですか……」

 

会長はセラフォルーさんの姿を見かけるなり固まってしまった。

 

「お、お姉……様……?」

 

「ソーナちゃん見っけー☆」

 

セラフォルーさんは会長を見つけるやいなや即座に抱きついた。会長は何とか引き離そうとしているが、力の差がありすぎるためびくともしていない。

匙はその光景を見て彼女が本当に魔王ということを悟ったのだろう。石化してしまってる。まあ、王様にあんな暴言吐いたわけだし無理もないか……。

そこに部長とサーゼクスさんの二人が前に出る。

 

「やあセラフォルー。君もここに来てたんだな」

 

「セラフォルー様、お久しぶりです」

 

「リアスちゃんお久~☆元気にしてた?」

 

ずいぶん軽いノリだな。まあ、このノリじゃあ匙が魔王だとは思わなかったのもわかる。

俺は“八星魔王(オクタグラム)”の方々を知ってるからスムーズに受け入れられるが、一般的に想い描く魔王像というやつからは確かにかけ離れてるだろう……。

 

「君が噂のドライグくんだね。よく私が魔王ってわかったね?」

 

「確かに、何で分かったの?イッセー?」

 

部長とセラフォルーさんが不思議そうに尋ねる。

別に簡単なことなんだけどな……。

 

「簡単だよ。この人が悪魔ってのは一目見た時に気付いたし、魔素量(エネルギー)もそこにいるグレイフィアさんに匹敵するかそれ以上に強い。それでいて、魔力の質は会長のそれと非常に酷似している。

会長のお姉さんが魔王というのはティアマットさんから聞いていたから必然的にそうなんだろうなと思っただけだよ……」

 

「すごい!名探偵みたいな推理だね!じゃあ改めて初めまして☆私は魔王“セラフォルー・レヴィアタン”です☆『レヴィアたん』って呼んでね☆」

 

「リアス・グレモリーの眷属候補、兵藤一誠です。よろしくお願いします」

 

「イッセーの恋人で堕天使のミッテルトっす。よろしくお願いするっすねレヴィアたんさん」

 

「おお、私のこと、本当にそう呼んでくれるなんて感激だよ☆」

 

セラフォルーさんはそういいながら横向きのピースサインを決めている。

それに俺とミッテルトは普通に返した。ミッテルトは言われた通りの愛称でセラフォルーさんを読んだことでセラフォルーさんは感極まったようにしている。

実際に読んでくれる人はいなかったのかもな……まあ、立場が立場だし仕方ないか。

 

「お、お前らよくそんなふうに受け入れられるな……」

 

なんか匙が驚いている。お前も受け入れろよ。

お前が思い描く魔王像がどうなのかは知らないけど、現実はこんなものだぞ……。

 

「あ、もしかして君が匙君?」

 

「あ、はい!」

 

突如セラフォルーさんから名指しで呼ばれ、匙は硬直した。

 

「ありがとうね☆ソーたんとリアスちゃんの報告から聞いてるけど、君が操られてたソーたんを助けてくれたんでしょ……」

 

そう言葉にしながらもどんどんどんどん圧力が強くなっている。

微弱ながら魔王覇気まで出てるし、俺とミッテルトはほかの一般人に被害を出さないためにも相殺する。

 

「ほんと、許せないよね……可愛い可愛いソーたんを洗脳するなんてさ☆もし次そんな輩が現れたら遠慮なく報告してほしいな~。魔王パワーで粉砕してやるんだから☆」

 

「ひえ……」

 

笑顔だが目がマジだ。全然笑ってない。

サーゼクスさんと同等……下手したら上回るシスコン具合だ。

見た感じ魔王種最上位……進化前のカリオンさんとどっこいどっこいのエネルギー量だ。これでも抑えてるんだろうが、魔力が解放されればこの校舎の一角ぐらいは消し飛びそうだな。

 

「セラフォルー。抑えるんだ。さすがにこんなところで暴走させるわけにはいかない……」

 

「あ、ごめんごめん☆つい……」

 

我に返ったのかセラフォルーさん恥ずかしそうに頬を掻いた。

その後、すぐに振り返り、再び会長に抱き着き始めた。

 

「ソーたんも大丈夫だった!?変なところとか違和感とかない!?よしよし怖かったね?私今ソーたんがとても心配だよ~」

 

どんどんどんどん会長の顔が赤くなっている。

セラフォルーさんの言動に恥ずかしさを感じているようだ。まあ、気持ちはわかる。つい最近おきた黒歴史的出来事の傷跡に塩塗ってるようなものだ。

だが、心配してるのも伝わってるし、何より操られたのも事実。だからこそ、反論できないようだ。

とはいえ、恥ずかしいものは恥ずかしい。

 

「も、もう耐えられません!お姉さまも自重してください──!」

 

一瞬のスキを突き、会長が顔を真っ赤にして走って行った。

 

「あ、待って──!お姉ちゃんを見捨てないで──!ソーたぁぁぁぁぁぁあん!!!」

 

「『たん』を付けるのはやめてとあれほど!」

 

こうして二人はすぐに豆粒となって消えてしまった。

 

「パワフルな人だったっすね」

 

「魔法少女……というよりは魔王少女って感じだな」

 

俺の魔王少女というワードを聞いてサーゼクスさんもクスリと笑っている。

 

「うむ、シトリー家は今日も平和だ。リーアたんもそう思わないかい?」

 

「私の愛称に『たん』を着けて呼ばないでください」

 

「うう、昔はお兄様お兄様と後ろをついてきていたというのに……これも反抗期か」

 

「お、お兄様はどうして昔の事ばかり……」

 

パシャっとカメラの音が廊下に鳴り響いた。

見るといつの間にか部長のお父さんであるジオティクスさんがカメラを構えて撮影をしていた。

 

「いい顔だリアス。立派に育って……妻の分まで私も張り切らせてもらうぞ」

 

とうとう部長は恥ずかしさのあまり顔を隠して俯いてしまった。

魔王様の家族関係か……なんていうか、平和なんだな。

 

 

 

 

******************

 

 

 

 

 

「君がリアスの報告に会った少女か」

 

「セラっていうの」

 

「そうか。とてもいい名前だね。何やらすごい力を秘めてるみたいだし、面白そうな子だ」

 

「娘から聞いてはいたが、本当に機械なのか?まるで普通の人間のようにしか見えんな……」

 

その後、父さんと母さんが合流し、今日は俺の家で夕食を食べていくこととなった。

セラのことは部長の報告で聞いていたらしく、サーゼクスさんは人のよさそうな笑みで対応している。

ちなみに不安定だったセラの力は黒歌が究極の力と仙術を組み合わせた封印で、今は一般人並みに抑えている。

ゆえにジオティクスさんはセラが機械生命体であることが信じられないのかまじまじと見ている。

対してサーゼクスさんはセラの力の異常さについても何となく察せるんだろうと思う。だが、それでも謎の機械幼女が相手に態度を崩さないあたり、さすがは魔王といったところか……。

 

「あ、リアスお姉ちゃんと朱乃お姉ちゃんが映ってるの!」

 

「ハハハ!いいものですな!娘の晴れ姿というのは!」

 

「わかります。アーシアちゃんもミッテルトちゃんもよく撮れてるわ」

 

夕食時、お互いの授業風景を録画したビデオの鑑賞会が始まり、部長が恥ずかしさのあまり俯いてしまった。

俺?俺は少し恥ずかしいけど、すでに魔国の職場での仕事風景なんかを見られてるため今更といえよう。

 

「見てください!リーアたんが先生に指され答えるところを!」

 

「もう耐えられない!お兄様のバカ!」

 

酒が入ってるからかかなりハイテンションなサーゼクスさんに家を出て走り去っていった部長。

サーゼクスさんはグレイフィアさんにハリセンで張り飛ばされている。

今日はこの光景をよく見るな……。

こうして、俺たちの授業参観は幕を閉じたのだった。




オマケ
セラフォルー・レヴィアタン
EP 75万8580
種族 純血悪魔
称号 四大魔王・レヴィアタン
魔法 氷結魔法
スキル なし
「元72柱」シトリー家の出身。現在の四大魔王の1人・「レヴィアタン」の称号を襲名しており、グレイフィアと最強の女性悪魔の座を争った過去がある現代における最強の女性悪魔。旧名「セラフォルー・シトリー」。
魔法少女のコスプレを愛好しており、公務から外れたときのプライベートでは、映画などの娯楽作品のプロデュースも手掛けている。
超ド級のシスコンであり、妹のソーナを「これ以上ない」っていうくらい溺愛している。
こんな性格だが、魔王としての仕事はきちんとやっており、主に冥界の外交を取り仕切っている。
魔界外交の重要な場では言動こそ変わらないものの正装であるなど区別はしている。
噂だが一時期やさぐれていた時期もあるとかないとか……。

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