帰ってきたらD×Dだった件   作:はんたー

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今作連載して一周年。
なんだか感慨深いものを感じますね。
これからも、今作をよろしくお願いします。


隠密と黒猫とドラゴンです

???side

 

 

 

腹立たしい。

そう思いながら私は兵藤一誠とその仲間たちを観察する。

視線の先の学び舎にて、兵藤一誠は恐らくこの世界で知り合ったのであろう女性たちとイチャイチャイチャイチャしている。

相変わらずの女誑しっぶりだ。

 

(私だって……い、いや、何を馬鹿なこと!?任務中よ!?)

 

そう、これは任務。

私の任務は彼処にいる兵藤一誠及び、その友人の監視と最近やってきたヴェルグリンド様の弟子、ティアマット殿に頼まれたお願いの二点。

私情を挟んでは行けない。

それが私に課せられた役目なのだから……。

 

「なにしてるにゃん?」

 

「ひゃ!?」

 

突如、建物の影に潜伏していた私を何者かが強引に引き上げてきた。

この声は……。

 

「黒歌殿!?」

 

「お、やっぱりトーカかにゃ」

 

「ど、どうやって私のことを……」

 

私を引っ張り上げたのはルベリオスの幹部である黒歌殿だった。

私の影移動の技術はソウエイ様のもと、相応の熟練度まで仕上がっている。

それこそ、高い感知能力を持つものが相手でも、注視しなければ見つかることはないレベルまで……。

いかに黒歌殿が究極能力の発現者といえど、簡単に見抜けるはずが……。

 

「いや、だってあきらかに影が不審な動きしてたし……」

 

・・・・・・・・・嘘でしょ?

聞いた話によると、黒歌殿も妹の学校での様子を見るため、黒猫に化けて護衛をしており、そんな中で不審なものを見つけて気配を消して近寄ったらしい。

最初は敵かと思ったそうだが、強化した仙術で感知をしたことで陰の中身に気付いたのだという。

 

「うう、隠密として恥ずかしい……」

 

「トーカは相変わらずイッセーのこととなると動揺するにゃん」

 

「はあ!?別にあんな変態何とも思って……」

 

「別にそこまで言ってないニャ」

 

ぐっ、駄目だ落ち着け。落ち着くのよトーカ。

私は深呼吸をし、冷静になったことで改めて気配を遮断する。

少し騒ぎすぎたし、人が集まっても面倒ね。

ひとまずこの場所は離れたほうがいいでしょう。見ると黒歌殿は感心したようにこちらを眺めている。

 

「さすがにゃ。こんなに近くにいるのに気配が全く感じられない。少なくとも、ユニーク級のスキルや並みの仙術使いなら簡単に欺けそうにゃん」

 

「当然です。私はリムル様に使える隠密……“藍闇衆(クラヤミ)”の構成員なのですから」

 

そう。私はソウエイ様に選ばれた“藍闇衆(クラヤミ)”の隠密。

この程度ならば造作もないのだ。

 

「でも、イッセーには弱い」

 

「だからあ!あいつは関係ありませんって!?」

 

全く、本当にこの人は……。

私はおちょくるような視線でこちらを眺めている黒歌殿に対し、疲れたような表情で返すのだった。

 

 

 

 

 

******************

 

 

 

「はあ~」

 

ファルムスの件以来、ソウエイ様の訓練は激しさをました。

そんなソウエイ様も素敵だけど、時折大変だと思うこともある。

それに……。

 

「ソウエイ様を狙うとなると、あのソーカに勝つ必要があるのよね……」

 

ソーカは正直すごいと思う。あのソウエイ様の訓練に対しても嫌な顔ひとつせずにこなしてしまうのだから。

 

「私もそれくらいできたらな……」

 

最近、私はかなりスランプ気味だ。

訓練には付いていくのがやっとなうえ、失敗したり課題をこなせないことも多々あるのだ。

現状、ソウエイ様の課題を全てこなせているのはソーカくらいだろう。

このような体たらくでリムル様の……引いてはテンペストの隠密を名乗ることなどできないだろう。

もっとしっかりしなければ……。

 

ガサガサ・・・・・・・

 

ん?何だろう?

茂みから何者かの気配がする……。この気配、魔獣じゃあなさそうね……。

 

「ふう、ここまで来れば追ってこまい……」

 

「ん?お前は……」

 

「あれ?」

 

茂みから現れたのはリムル様と同郷の異世界人にして、魔国の客分である超弩級の変態“兵藤一誠”だった。

 

「確か、ソウエイさんとこのトーカさん……だったっけ?何してるの?」

 

「それはこっちのセリフよ。相も変わらずセクハラでもして追われているの?」

 

「は、はあ!?な、な、何言ってるんですか?嫌だな~」

 

兵藤一誠は目を泳がせながら慌てふためいている。どうやら図星の様ね。

全く。リムル様も呆れていたし、この男はどうしてこうも残念なのだろう……。

 

「そういうトーカさんこそ何してるんだよ!」

 

「私は少し休憩してるの。最近上手く行かなくてね……」

 

「へ?トーカさんでも上手くいかない事ってあるの?」

 

「そりゃあるわよ」

 

私は現在、絶賛スランプ中であり、訓練でもなかなかうまく行かなくなってしまったことを話した。

今思うと何でコイツに話したんだっけ……?

誰でもいいから聞いて欲しかったと言う気持ちがあったのかもしれない。

しばらく話し込んでいると、一誠は同情したかのような視線を私に向けていた。

 

「そりゃ付いていけなくても仕方ねえよ……。ハクロウさん以上に鬼畜じゃねえか……。ソウエイさんやりすぎじゃね?」

 

「そう?ソーカとか普通に付いていってるけど……」

 

ちなみに訓練の内容は魔獣狩り(Aランク以上)や戦闘訓練、本気のソウエイ様から全力で逃げ切るというものだったりと、当時の私の実力的には非常に難しい代物だった。

オマケに休憩は寝る時とご飯を食べるときくらいだ。ハクロウ様も厳しいけど、休憩などのメリハリはしっかりしてるし、それを考えると確かに酷いのかもしれない……。

もっとも、ソウエイ様の気持ちもわかる。

ソウエイ様としても、ファルムスという例があったからこそ、次同じことが起きても対処できるように、早急に戦力となり得るものを確保するという意味合いもあったのだろう。

だからこそ、此方としても妥協は許されない。全力でこなすのみなのだ。

 

「ハクロウさんも休憩はちゃんとくれるし、師匠もそこは同じだからな……。もっとも、師匠は本人がサボることの方が多いけど……」

 

「ヴェルドラ様ですか……」

 

ヴェルドラ様は現在、目の前の変態の師匠として独自の拳法を教えてるのだそうだ。

リムル様の体内にいた時から龍の力を宿すものとして目を付けていたらしく、兵藤一誠自身も短い付き合いでヴェルドラ様を慕うようになってるみたい。

 

「まあ、お互い変な上司を持つと大変だよな……」

 

「……ソウエイ様は変ではありません」

 

「そ、そう?あの人のストイックさは普通に変人の領域だと思うけど……」

 

「そのストイックさがソウエイ様の魅力なの!ソウエイ様も超弩級ド変態の貴方にだけは言われたくないでしょう」

 

「ひでえ!そこまで言う!?」

 

「貴方ねぇ……。今までの言動を省みた方がいいわよ……」

 

訓練でも相手が女子であるのならば、“洋服崩壊”なる力を用いて全裸にしようとする。

ハクロウ様が何度注意してもやめないし、ミュウランさんにそれをやってヨウム殿やグルーシス殿にコテンパンにされたあとも、まるで懲りた様子がない。

お陰で訓練の際、この男は女子と戦り合うことを禁止されているくらいだ……。

 

「それでも、大変じゃない?」

 

「大変ではあるけど、だからといって訓練の方針が変わるわけでもないし……」

 

「それならさ、いっそのこと訓練を少し休んだ方がいいですよ」

 

「はあ!?なにいってるのアンタ!?」

 

休む……。ファルムス事変の前は確かにそういう機会もあるにはあったけど、それでも二度とあのような悲劇を起こさないためにも、少しでも鍛練した方がいいように思う。

ただでさえ、魔王クレイマンを倒し、リムル様が正式な魔王となったことで、様々な勢力から一目置かれるようになっているのに、ここでその流れを潰すわけには……。

 

「だって、スランプ中にさらに訓練激しくしても身に付かないだろうし、ソウエイさんの訓練って命の危機すらあるから危険じゃん。それなら、少しくらい休んで備えた方がいいんじゃないかなって……」

 

「う、まあ、確かにそうかもしれないけど……」

 

確かに兵藤一誠の言うことにも一理はあるかもしれない。

 

「でもさ、そう思うのなら、ソウエイさんにちゃんと伝えた方がいいと思うぜ。やっぱさ、思いをちゃんと伝えることが一番大事なことだと思うし……」

 

「でも……」

 

「俺もさ、ミッテルトと真っ正面からぶつかり合ったからわかりあえたわけだしさ、思ったことは真っ正面から伝えたほうがいいぜ。大変なんだったら、たまには休みをください……とかさ」

 

「兵藤一誠……」

 

その言葉からはどことなく重みが感じられる。

確かに、そういうのを伝えるのも大切なことなのかもしれないわね。

思えば、最後に休暇を貰ったのっていつだったっけ……?

 

「休息の時間は終わりだ。訓練に戻るぞトーカ」

 

突如、聞き覚えのある声が後方から聞こえてきた。

バッと声のした方向に顔を向けると、そこにはソウエイ様が佇んでいた。

 

「ソウエイ様……」

 

油断なく私を見つめるその瞳につい萎縮してしまう。

 

「……言いたいことがあるのならば聞くぞ。ハッキリ言ったらどうだ?」

 

……もしや、この人最初から私たちの会話を聞いてたの!?

うう、やはり言うべきなのだろうか?

なかなか勇気がでない……。

まあ、休暇なんてワザワザ取るものでもないし、私もまだまだ頑張れるつもりだ。またの機会に……。

 

「あの、ソウエイさん。トーカさん、最近訓練に付いていけないこと気にしてるらしくて、少しくらい休ませた方が……」

 

「なっ!?」

 

「ほう。そうなのか?トーカ」

 

この、変態は……、引くに引けなくなっちゃったじゃないの!

……でも、私の事純粋に心配してるからこその発言なのはわかってる。

正直怖いし、ソウエイ様にどう思われるかわかったものじゃない……。訓練激化ならまだいいが、下手したら隠密を辞めさせらるかもしれない。

 

「……申し訳ございません。しかし、現状皆疲労が貯まっており、私も含め訓練が身に入ってない者がでるやもしれません。このような状況下、身勝手この上ないと自覚はありますが、一考していただければ……」

 

沈黙の時間が続く。

ソウエイ様は私の事をじっと見据えている。しばらくした後、ソウエイ様は背を向けて歩き出す。

やはり認められなかったか……。

 

「確かにお前の言う通りだ。お前を含め、サイカ、ナンソウ、ホクソウもかなり消耗している。しばしの休暇をやろう。身体を休めておけ……」

 

「え!?」

 

思っても見なかったソウエイ様の言葉に目をぱちくりさせる。

 

「ただし、休暇を終えたら今以上に厳しく行くぞ。しっかり英気を養うがいい」

 

「は、はい!」

 

そう言ってソウエイ様は去っていった。

まさか、本当に貰えるとは思わなかった私はただそれをぼんやりと眺めていた。

 

「な、やっぱり思ったことは伝えるのが一番なんだよ」

 

「……そうね。貴方の言う通りだったみたい」

 

「で、これからどうするつもりっすか?」

 

「いや、そんなの考えてるわけないじゃない……」

 

あまりにも唐突すぎて、正直何すればいいかなんてわからない。以前の休暇はどうしたんだっけ……?

確かサイカと甘味巡りをした記憶がある。

だが、サイカも急に言われては困るだろうし、どうしよう。

 

「あ、じゃあさ、俺と一緒に出掛けない?これからミッテルトの買い物付き合う予定があるし……」

 

「……そうね。お願いするわ」

 

思えば、コイツとはあまり関わったことがなかったな……。

ミッテルト殿もそこまで関わりがあるわけでもないし、交友関係を広げるのも隠密として大事なことだろう。

そう考えて私は兵藤一誠の後を付いていく。

これが兵藤一誠と話すようになったキッカケとなる出来事だった……。

 

 

 

 

 

 

**************

 

 

 

 

 

 

それから十数年たった。

今思えば、この時の出来事がなければ一誠と関わることもなかったのだろう。

私は隠密として、影で魔国の者たちを支えてるだけなのだから。

 

「まあ、そのときはなんとも思ってなかったけどね……そこから徐々に話す機会が増えて、まあ、腐れ縁ぐらいにはなったんじゃないの?」

 

「腐れ縁?よくミッテルトと張り合って喧嘩してたじゃん?」

 

「あ、あれは、そう!あの変態はミッテルトの負担になると思って何とか押し止めようと……」

 

「で、あわよくば自分が付き合おうと?」

 

「そうそう……って何言わすのよ!?」

 

私は黒歌殿と共におでん屋台で飲み交わしていた。

いけないいけない……酔いが大分回ってきてる。

無毒化したほうがいいかもしれない。

 

(いつからこうなったんだっけ……?)

 

実際、この時はまだ一誠のことをそういう目では見てなかった。

この頃はソウエイ様一筋と考えてたのもそうだし、変態行為を繰り返す一誠をそういう対象と見れなかったのが大きいと思う。

ソウエイ様にはソーカこそ相応しいと考え、身を引いて……その後アイツと一緒に任務に行く機会があって……最初はただの変態と思ってたけど、いいところもあるよなコイツと思うようになって、徐々に……って感じだっけ?

 

(……って違う違う!何考えてるんだ私!?)

 

まだ無毒化できてないの?頭がふわふわする。

……まあ、たまにはいいかもしれないわね。

普段は羽目を外すなんてなかなかできないわけだしね……。

 

「……ところで、地球(ここ)にいる隠密ってトーカだけなの?」

 

「いえ、他にも数名が来ているけど、神祖の介入が来る前に成し遂げるべきもう一つの任務があって、他の者たちは現在そちらを優先してるわ」

 

「任務?他にも何かあるにゃん?」

 

……同盟相手といえど、他国の存在である黒歌殿に情報を開示するのは気が引けるわね。

まあ、リムル様にも事前に許可はもらっているから問題はないけど。

 

「ティアマット殿の持つ宝具の回収。それが私たち“藍闇衆(クラヤミ)”に与えられたもう一つの任務よ」

 

「ティアマットというと、この世界の“五大龍王”の一角にして、ヴェルグリンド様の弟子だというあのティアマットかにゃ?」

 

「ええ。なんでもあの方は一誠に宿る龍……“赤龍帝”ドライグに自らの力を封じ込めた秘宝を貸していたらしいのよ。あの方も神祖の件の話を聞き、リムル様及びヴェルグリンド様に協力を申し込んでね……」

 

曰く、ティアマット殿がドライグに貸したという秘宝には、自らの魔素(エネルギー)の半分以上が込められているのだという。

それがなくても、ヴェルグリンド様に与えられた武器と鍛え上げられた技量(レベル)がある以上、必要性がないと判断して気前よく貸し出したそうだ。

ヴェルグリンド様曰く、当時のティアマットは覚醒魔王に匹敵するか上回るほどのエネルギーを秘めていたのだという。それでも技量を込みすると現在のほうが強いといっていたが、神祖やその兵たちが強大である以上、自分も真の力を取り戻したほうがいいと判断し、事を急ぐことにしたのだという。

リムル様も短い付き合いだがティアマット殿のことを信用したらしく、一誠の護衛とともにティアマット殿の“龍の秘宝”の捜索を命じたのだ。

 

「究極を使ってないとはいえ、技量(レベル)だけでイッセーと渡り合ったっていう話だし、確かに力を取り戻したらすごい戦力になりそうだにゃ」

 

実際、ティアマット殿の戦闘技術は驚異的だ。

究極能力(アルティメットスキル)を使わないというハンデがあったとはいえ、()()()()()()()()()()殿()()()()()()()()()()()()。流石にゼギオン様には手も足も出ず敗北していたが、それでも驚異的と言わざるを得ないだろう。

魔王種程度の力で覚醒魔王を下すなど、相当の技量がなければ到底不可能だ。

この星の龍王の中でも最強の力を誇ると言っていたが、それもうなずける戦力だ。

もし、それほどの力を持つ存在が真の力を発揮すれば……。

 

「とはいえ、どこにあるかが何もわからない状況なのよね。現状、私たち隠密が各神話勢力に諜報して探っているおかげで一部は発見できたけど、複数あったって話だし、全部集めるのは難航してるわ」

 

「へえ…………ちょっと待つにゃ。各神話勢力?」

 

「?ええ。現時点で北欧神話、日本神話、吸血鬼領を調べ終えているわ」

 

吸血鬼領は影を操る者が多かったから苦労したけどねと付け足すと、黒歌殿は呆れたような視線で私を見つめていた。

 

「……ほんと、魔国の隠密は恐ろしいにゃん」

 

「それくらいできなきゃ隠密は務まらないわよ」

 

これくらいは当然だ。私たちはソウエイ様に鍛えられた諜報の専門家。

神話の勢力たちは確かに恐ろしい力を感じたし、ひやひやした場面があったことも否定はしない。それでも、これくらいはできないと専門家など名乗れやしない。

 

「まあ、トーカの気配遮断も注視してなきゃ究極保持者すらもわからないレベルだしね。神話の神々も常に気を張ってる奴なんていないだろうし、確かにそれくらいはできるか……」

 

「当然よ」

 

そう言いながら、私は酒に口をつける。

 

「まあ、トーカはさっきみたいにイッセーがらみだと隙だらけになるけどね」

 

「さっきのは忘れなさい!!!」

 

くう、今思い出しても恥ずかしい。自分の世界に入り込んで他者に見つかるなど隠密の名折れだ。

ソウエイ様にばれたらどのような目にあわされるか……考えただけでも恐ろしい。

そう考えていると、黒歌殿はクックッと笑う。

 

「黒歌殿?」

 

「前から思ってたけど、そんな他人行儀じゃなくて普通に呼び捨てで言いにゃん♪私はトーカの事気に入ってるし、同じ男を求める者同士、普通に接してほしいにゃん」

 

「だからっ……もういいわ。わかったわ黒歌」

 

もういい。今日は羽目を外して飲もう。私は体内の毒耐性を0にする。

本来は危険だけど、黒歌もいるし、一日くらい、きっと大丈夫だろう。

私は再び酒に口をつけるのだった。

 

 

 

 

 

******************

 

イッセーside

 

 

 

「遅いっすね黒歌っち」

 

「そうだな」

 

父さん母さん曰く、朝方フラッと何処かへ行ってしまったらしいが、時間的に考えてもかなり遅い。

何かあったのかな?

 

 

ピンポーン

 

 

「お、帰ってきた」

 

俺はインターホンの音を聞くやカギを開けるため扉に立つ。

ん?黒歌だけじゃないな。覚えのある気配だ。

 

「いっせい~。ひさしぶり~」

 

「トーカ!?」

 

ドアを開けたのは黒歌ではなく、魔国の誇る隠密の一人。トーカだった。

トーカは扉を開けるや否や俺の胸に飛び込んできた。儚げな吐息が何とも艶めかしい。

酒に酔ってるのか、赤く染まった頬とうるんだ瞳がとてもかわいく見える。

 

「えへへ、いっせーのかほりだぁ~」

 

「お、おいトーカ?いくらなんでも飲みすぎじゃない!?」

 

「らいじょうぶよ~」

 

「いや~、トーカって完全に酔っぱらうとこんな感じになるにゃんね」

 

なんだこれ!?こんなトーカ見たことねえぞ!?

トーカは隠密だけあって、かなり自制心が高いからここまで羽目を外すことはない。まじで何があった!?

よくみると人型“龍人族(ドラゴニュート)”特有の角も隠せてねえし、これはマジでやばい状況かもしれん!

と、とりあえずベッドに寝かさな……い……と……?

 

「……イッセー。その女性はどちら様かしら?」

 

「い、イッセーさん。その人はいったい?」

 

後ろを振り向くとそこにいたのは部長とアーシアの二人だ。

部長は怒ってるし、アーシアは涙目だ。色々まずいかもしれないぞこれ……。

 

「騒がしいっすね。いったい……って、トーカちゃん!?」

 

リビングからひょっこり顔を出したミッテルトは見たことない様子のトーカに驚いてるようだ。まあ、無理もあるまい。

 

「ミッテルト?知り合いなの?」

 

「え、ええまあ……てか、どういう状況すかこれ!?」

 

「と、とりあえず運んで……」

 

「いっしぇーがべっとにはこんで~」

 

「何言ってんだお前!?どんだけ飲んだんだよ!」

 

このままじゃあ埒が明かない!

本来アーシアと寝る予定だった俺は急いでトーカをベッドに運んで寝かしこむのだった。

 

「うう、イッセーさんと寝たかった……」

 

「明日、説明しなさいよ」

 

「わかってますよ」

 

ベッドに入れても俺から離れようとしないトーカに対し、仕方がないので俺も一緒に寝る。

俺は後日、部長にトーカのことを話すと約束してベッドに入るのだった。

 

 

 

……次の日、火のように赤くなって縮こまるトーカの姿が目撃されるのだった。




トーカ
EP 21万0303
種族 龍人族(ドラゴニュート)
加護 闇の盟主(ダークネス)の加護
称号 藍闇衆(クラヤミ)の隠密
スキル 気闘法、影移動、土操作、炎吐息、魔力感知、熱源感知
魔国連邦所属。緑の髪が特徴の龍人族。ソウエイに仕える隠密にして、ソーカ直属の部下。
元々はソウエイのファンだったが、親友であり、上司でもあるソーカに免じて身を引いた。
その後、イッセーと一緒に他国に行く機会があり、その時からだんだんと気にし始め、結果、こうなったという。
隠密としては非常に優秀であり、努力も欠かさないため、周囲からの評価は非常に高い。が、イッセーがらみだと隙だらけになる弱点だあり、たびたび呆れられることも増えてきたという。
現在はイッセー宅より、少し離れたアパートを拠点としており、近場でアルバイトをしながら同僚とともに三大勢力や他の神話勢力の動向調査、神祖の警戒、ティアマットの宝具集めを並行して行っている。
本来、毒耐性があるうえ、自制をすべき隠密という立ち位置のこともあり、酔ったことが一度もなかったのだが、初めて毒耐性を切り、酔うまで飲んだ結果黒歴史を増やすこととなった。
また、同僚のソーカ、サイカに比べ、胸が小さいことをコンプレックスとしてる一面も……
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