帰ってきたらD×Dだった件   作:はんたー

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はぐれ悪魔と悪魔講義です

イッセーside

 

 

はぐれ悪魔……。

下僕であった悪魔が主を裏切り、単独で行動するようになったいわゆる野良犬のような存在。

はぐれ悪魔は見つけ次第消滅させるのが悪魔のルールらしい。

今回来たのは町外れの廃屋、ここで毎晩はぐれ悪魔が人間をおびき寄せて人を食べているらしい。

人間を食べる悪魔か……。そんなのもいるんだな……。邪悪な悪魔もいるもんだと思ったけど、冷静に考えるとディアブロさんとか、悪魔三人娘たちも十分邪悪か……。

普段はまだしも、戦闘する際のあの人たちの戦いぶりは鬼畜としか思えないし……。

 

「血の匂い……」

 

ふと小猫ちゃんがぼそりと呟く。

確かに微妙にするな……。とはいえ、そこまで感じとることのできない匂いに気付くということは、小猫ちゃんは嗅覚がすごいのかもしれない。

小猫ちゃんからは悪魔以外のなにかの力も感じる。転生悪魔だっていうし、多分元々は獣人族(ライカンスロープ)かクマラみたいな幻獣族(クリプテッド)に近い種族なんじゃないかな?そう考えると嗅覚の凄さは折紙付きか……。

 

「それじゃあイッセー、ミッテルトもよく見ていなさい……。悪魔の戦闘をね……」

 

部長が呟くと同時にこの廃墟に立ち込めていた殺気が濃くなる。

ゆっくりと姿を表したのは上半身は女、だけど下半身は巨大な獣の体をした化物だった。

両手には槍みたいな獲物を持ち、全ての足が太い、尻尾は蛇みたいで独立して動いてるっぽいな……。

なんだか、帝国との戦で現れた“人造合成獣(バトルキマイラ)”みたいだな……。正確に言うと『魔獣合身(ザ・ビースト)』という劇薬使って暴走してた帝国兵だ。

あれの暴走体も魔獣と人の外見を併せ持ってたんだっけ……。

 

「不味そうな匂いがするぞ? でも、うまそうな匂いもするぞ? 甘いのかな? 苦いのかな?」

 

低い声で何やら呟くはぐれ悪魔。うわぁ、気持ち悪!?

今まで見た悪魔や悪魔族(デーモン)とは似ても似つかない姿である。

上位悪魔(グレーターデーモン)だってまだ人間よりの形態してたぞ!?

上半身は裸の女性なのに全然そそられない!

 

「はぐれ悪魔バイサー。あなたを消滅しに来たわ」

 

「小娘ごときがぁ!!その紅の髪と同じようにお前の身体を鮮血で染めて上げてやるわぁぁぁ!!」

 

「祐斗!」

 

「ハイ!」

 

木場が部長の命令を受けて駆け出す。

おお、そこそこ速いな……。

 

「悪魔の駒はチェスに倣って作られているわ。『(キング)』である私のほかに『女王(クイーン)』、『戦車(ルーク)』、『騎士(ナイト)』、『僧侶(ビショップ)』、『兵士(ポーン)』の五つの種類があり、それぞれに特性があるの。祐斗の役割は『騎士(ナイト)』!特性はスピード。『騎士(ナイト)』になった者は速度が増すの」

 

部長の言う通り木場はどんどんスピードを上げていく。正直俺から見れば止まって見えるけど、それでもあの魔素量(エネルギー)であのスピードは大したものである。

 

「そして祐斗の最大の武器は剣!」

 

木場は手をかざし、剣を召喚する。……いや、元々あった剣じゃなくて生み出したのかな?オルリアやヴェガの奴が使っていた武創之王(マルチプルウェポン)と似たような権能……いや、神器(セイクリッド・ギア)か。

おそらくは特質級(ユニーク)に近い希少級(レア)。精々がCランク程度の強さしかないバイサーにその刃を防ぐことはできなかった。

 

「ギャアアアアアア!」

 

両腕を切り落とされたバイサーは凄まじい悲鳴を上げる。

 

「目では捉えきれない速力と達人級の剣さばき、この二つが合わさることで、あの子は最速のナイトとなるの」

 

達人級?

まあ、確かにたいした剣さばきだけど、そこまでかと言われると少し微妙だな……。

俺が知るどの剣士に比べても多分純粋な剣比べは勝てないと思うぞ。ハクロウ師匠やアゲーラさん、アルベルトさんどころか剣也よりも弱いと思う。

速度も木場より速い人全然いるし……。まあでも、確かに素質はある。

修行次第では延びるかもしれない。

絶叫の途中のバイサーの足元に小猫ちゃんが立っていた。

それに気付いたバイサーが小猫ちゃんを思い切り踏み潰す。

 

「小猫の特性は『戦車(ルーク)』。その力はバカげたパワーと屈強な防御力」

 

小猫ちゃんはそれを軽く受け止め、巨大な足をどかせる。

 

「…………ぶっ飛べ」

 

そして思い切りぶん殴った。なかなかのパワーだな。

あの小さい身体で大したものだ。

こちらも修行をすればさらに延びるかもしれない。

 

「最後に朱乃ね」

 

「あらあら、うふふ……分かりました、部長」

 

朱乃さんはバイサーの方へと向かっていく。

すると、朱乃さんの手からビリビリと電気が発生する。

 

「朱乃の駒は『女王(クイーン)』。『(キング)』を除いた全ての特性を持つ、最強の駒。最強の副部長よ」

 

バイサーの上空で雷雲のようなものが発生し、次の瞬間、そこから激しい落雷がはぐれ悪魔を襲った。

電撃がバイサーが覆い、その巨体を焦がしていく!

電撃が止み、その場にいたのは黒焦げとなったバイサーだった。

 

「ぐぅぅぅぅ…………」

 

ボロボロになりながらも朱乃さんを睨み付けるバイサー。

 

「あらあら、まだ元気みたいですわねぇ。ならドンドンいきましょう」

 

あれ?まだやるの?

もうすでに虫の息に見えるけど……。

よく見ると朱乃さんは嗜虐的な笑みを浮かべてる。

もしかしてあの人……

 

「リアス部長。朱乃先輩ってもしかしてドSっすか?」

 

あ、ミッテルトも気付いたか……。

 

「あら、よくわかったわね。そう、朱乃は究極のSなのよ!」

 

究極のS……。

これについては少し納得しかけてしまう。

いや、ウルティマと比べるとあっちの方がとんでもないか……。

あっちは配下も似たような趣味嗜好してるしな……。

ふと俺は毒姫の凄惨な拷問シーンを目撃したときのことを思い出してしまった。うっ、気分悪くなってきた……。

あの時拷問を受けていたマルコとやらの悲痛な顔は稀に夢に出るほどトラウマになってるしな……。

それに比べたら可愛いものか……

そんなこと考えているうちにいつの間にか決着が付きそうになっていた。

 

「さてと、最後に言い残すことはあるかしら……」

 

「……もはやここまでか」

 

まだ体力に余裕はありそうだが、バイサーはどうやら勝てないと悟り抵抗を諦め……、いやまだだな。

あれは自暴自棄になったやつのする目だ。

こいつ部長たちに一泡ふかせるために何かをやるつもりだ。

それを証明するようにバイサーはニヤリと笑みを浮かべ、ゆっくりと視線を俺に向ける。

 

「だが、ただでは死なん!そこにいる人間を道連れにしてやる!!」

 

「!?」

 

するとバイサーは俺に向かって突進をして来た。

皆突然のことに反応しきれていない。

どうもこいつは俺を普通の人間と思い、簡単に殺せると思ってるみたいだ。

まあ、確かに今の俺は力をかなり抑えているしな……。

しょうがない……。やるか……。

俺は突進するバイサーを見据える。

バイサーが俺にぶつかる刹那、俺は力の流れを見極めバイサーを投げ飛ばした。

 

*******

 

リアスside

 

信じられない。それが今の光景を見た私の素直な感想だ。

バイサーが最後の悪あがきにイッセーに向かって突進した。突然のことであり、皆が勝利を確信していたこともあって誰も反応をすることができず、“赤龍帝の籠手(ブーステッド・ギア)”を出す暇もないためやられると感じた。

でも、イッセーはあろうことか、5メートルはあるであろう巨体を持つバイサーを片手で容易く投げ飛ばしたのだ。

見れば小猫も驚いている。人間なのにもしかしたら『戦車』である小猫の力を上回っているかもしれない。

 

「く、くそ!人間ごときが……」

 

「動きが直線的すぎる。受け流すのは簡単だぜ」

 

受け流すって、それにしたってあれほどの重量を人間が投げ飛ばせるものなの?

イッセーはそのまま倒れ伏せたバイサーに近づいていく。

それをミッテルトが手で制した。

 

「ここはうちがやるっすよ」

 

するとこんどはそこらに落ちていた木刀を持ったミッテルトがバイサーに近づく。

 

「リアス部長たちの力もなかなかすごいっすね。

じゃあこんどはうちらの力を見せて上げるっすよ」

 

「なめるな!!」

 

バイサーは尻尾の蛇を使い攻撃をする。しかし、ミッテルトはなんの力も宿っていない筈の木刀で攻撃の全てを防いでいる。

バイサーの攻撃を受け流すその所作は剣に詳しくない私から見ても美しいと感じてしまうほどだった。

 

「ば、バカな!?そんな得物で!?」

 

「うちの師匠がいってたっすよ。剣の極意は“流れ”。剣の声に耳を傾け、剣と一体になることでその流れを読むことにあると……。

うちはまだまだそこまでの領域にはないっすけど、それでもあんたくらいの攻撃なら余裕でさばけるっす。こんなありふれた得物でもね」

 

そこにはまるで大人と子供ほどの差があるように感じた。

祐斗と同等……下手したら、彼女の剣の腕は祐斗を越えているかもしれない。

そしてミッテルトは一気に間合いを詰め、止めの一撃を放つ。

 

「朧・流水斬」

 

一閃。ただの木刀から放たれたそれはバイサーの胴体を泣き別れにさせた。

バイサーは自分が斬られたことを受け入れられないのか放心した表情である。

しかし、やがてバイサーの意識は消失し、二つの身体はゆっくりと倒れ付した。

 

「悪いっすね。貴女もなにか事情があったのかもしれないっすけど……、ここに住む者として、人を殺す快楽に溺れた貴女を見逃すわけにはいかないっす。だから、謝罪はしない……安らかに眠るっす」

 

ミッテルトはそう言いながらイッセーと共にバイサーの亡骸を見て黙祷する。

その間に私は祐斗に今の一撃について訪ねる。

 

「どう思う?」

 

「あの剣の腕、間違いなく僕を上回っています……」

 

私の眷属の中でも最も高い技術を持っているであろう祐斗もミッテルトの剣には及ばないらしい……。

……どうやら私たちは見誤っていたようね。

イッセーもミッテルトも私なんかでは想像できないほどの凄まじい力を秘めている。

もしかしたら、私たちが全員で挑んでも返り討ちにあうかもしれない……。流石にそれはない、とは思うけど、言いきれないのが怖いところね。

 

(彼らと友誼を結べたのは幸運だったわね)

 

もしあの時無理矢理眷属になるよう迫っていたら……。

考えると少し寒気がするわね。

彼らと縁を結べた幸運を噛み締めながら私たちは部室へと戻ったのだった。

 

 

 

 

 




なんでもかんでも魔国勢と比べるイッセーさん。

ミッテルトは朧流です。
免許皆伝は流石にいってません。
純粋な剣技勝負ならまだハクロウに負けますが、それでも魔国全体で見れば結構上位に入ります。(だいたい15位圏内には入るくらい。)
なお、イッセーは朧流を習ってはいますが剣はそこそこの腕しかありません。(あくまでテンペスト基準)
ただし、朧流とは別の()()()()を習っています。
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