帰ってきたらD×Dだった件   作:はんたー

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二天龍激突です

イッセーside

 

 

 

 

 

旧校舎の扉を開き、校庭に出る。

敵の魔法使いは木場や朱乃さん達によってほぼ全滅させられていた。

だが……

 

 

ドッガァァァアアアアアン!!!

 

 

俺達の前に何かが落ちてきた!

立ち込める土煙が消え、そこにいたのは……。

 

「……チッ。俺もやきがまわったもんだ。この状況下で反旗かよ、ヴァーリ」

 

ダメージを負ったアザゼルさんだった。万能感知で把握はしてたけど、マジで裏切ったようだな。

アザゼルさんもどうやらかなり動揺してるみたい。まあ、腹心の裏切りとなると無理もないけど……。

 

「そうだよ、アザゼル」

 

白い光を放ちながら、俺達の前に白龍皇ヴァーリが舞い降りる。

その隣には知らないお姉さんがいた。

 

「和平が決まった瞬間、拉致したハーフヴァンパイアの神器でテロを開始させる手筈でした。頃合いを見て私と共に白龍皇が暴れる。三大勢力のトップを一人でも葬れればそれでよし。会談を壊せればそれで良かったのです」

 

おお!褐色美女!しかも、なんてエッチな服なんだ!

胸元なんておっぱいがあんなに見える!スリットも深く入っていて、太ももがヤバイことこの上ない!

いい脚してるな!めちゃくちゃエロい!

 

「いやらしい視線を感じるわ。……その子が赤龍帝なのですか、ヴァーリ?」

 

「ああ、そうだよ」

 

「あなたが言うほどの強者とは思えませんが……」

 

「いや、戦闘の時はまるで別人だよ」

 

怪訝そうな表情で俺を見つめる女性とは対照的に、ヴァーリは好戦的な眼で俺を睨み付ける。

そんな中、アザゼルさんが服についた土を払いながらヴァーリに問う。

 

「いつからだ、ヴァーリ?」

 

「コカビエルを本部に連れ帰る途中で彼女達にオファーを受けたのさ。悪いなアザゼル。“アースガルズと戦ってみないか?”こんなことを言われたら自分の力を試してみたい俺には断れないさ。アザゼルはヴァルハラ……アース神族と戦うことを嫌がるだろう?」

 

「それで禍の団(カオス・ブリゲード)に入ったというわけか……。お前には強くなれとは言ったが、世界を滅ぼす要因だけは作るなとも言ったはずだぞ?」

 

「関係ない。俺は永遠に戦えればそれでいいんだからな」

 

うわあ。ある意味で俺の知る“悪魔族(デーモン)”らしい思考だ。

ようするに、他の神話の神様と戦いたいから入った……という解釈でいいのかな?戦闘狂ここに極まれりだな。それで、三大勢力との戦争とかになったらどうするんだよ?

……いや、こいつはそれすらも望むところなのかもしれないな。

こういうところの分別ができてない分、あの人たちより質が悪い……。これだから戦闘狂は厄介なんだよ……。

 

「ったく、神と戦いたいねぇ。まぁ、おまえらしいと言えばお前らしいか」

 

すると、女性がアザゼルさんを嘲笑した

 

「今回の件は、白龍皇は情報提供と下準備をしてくれました。彼の本質を理解しておきながら放置しておくなど、あなたらしくありませんね、アザゼル。……自分の首を自分で絞めたようなものです」

 

苦笑するアザゼルを尻目にヴァ―リは自身の手を胸に当て、宣言する。

 

「我が名はヴァ―リ。ヴァーリ・ルシファー」

 

ヴァ―リの言葉にこの場にいる全員が驚愕する。

ルシファー?それってサーゼクスさんの事じゃ……、いや、そういえば、悪魔の文献で読んだことがある。

もしかして…………

 

「俺は死んだ先代の魔王ルシファーの孫である父と人間の母の間に生まれた混血児。ハーフなんだ。“白龍皇”の力も半分人間だから手に入れたもの。運命、奇跡というものがあるのなら俺の事かもしれない……なんてな?」

 

今代の白龍皇が魔王の血族……。旧魔王の血族か。

 

「……嘘よ……そんな……」

 

部長が驚愕の声を漏らす。まあ、確かにあり得ないよな。

ルシファーの子孫が白龍皇とかどういう確率だよ?

しかし、アザゼルさんは肯定した。

 

「事実だ。こいつは魔王の血を引きながら、人間の血をも引いているが故に白龍皇を宿すことが出来た冗談のような存在だ。こいつは過去現在未来において最強の白龍皇になるだろう」

 

最強の白龍皇……。その触れ込みは真実だろうな。今までの白龍皇は皆人間だって話だし、魔素のうすいこの世界では仙人や聖人に進化することはまずない。

しかも旧魔王となると、才能も相当だろう。

屈強な悪魔の肉体に白龍皇の力。なるほど歴代最強もうなずける。

 

「さあ、覚悟してもらいましょうか、アザゼル」

 

女性からとんでもないオーラが噴き出す。どうやら先ほどよりもEPが上がってるようだ。

 

「なるほど、オーフィスの“蛇”か。おまえら旧魔王派の連中はあいつにそれをもらったのか?」

 

「ええ。そうです、アザゼル。彼は無限の力を有するドラゴン。世界変革のため、少々力を借りました。おかげで私はあなた達、愚かな統率者を滅ぼすことができる。さらに……」

 

女性は懐から何かを…………ってそれは!?

 

「お前、それ!?」

 

「これは我々とは別の裏組織より買い取った結晶。これを壊すことで、私はさらなる力を得るのよ!」

 

結晶を壊したことで、中に入っていた魂が女性の体に移っていく。

瞬間、彼女は覚醒する。疑似的な“真なる魔王”へと至ったのだ。やっぱりあれはコカビエルが使っていた魂の結晶かよ!しかも商売やってるの!?

 

「なんだこの力?さらにエネルギーが跳ね上がっただと?」

 

「商人は“覚醒”と言っていたけど、まさにそう呼ぶにふさわしいわ。今ならばだれにも負ける気がしないわ!」

 

“蛇”とやらを取り入れたことで跳ね上がったEPが覚醒したことでさらに上昇した。

今のこいつは“超級覚醒者(ミリオンクラス)”にまで至っている。

存在値にして約160万。素の俺よりも数値の上では上回っている。

“超級覚醒者”が二人か。これは相当めんどくさいぞ。女性はアザゼルさんに向かって魔力を込める。それを見たアザゼルさんはため息をつけながら、懐から何かを取り出した。

 

「……愚かな統率者か。まぁ、俺はそうかもな。いつもシェムハザの世話になりっぱなしの神器オタクだからな。だがよ、サーゼクスやミカエルは違うと思うぜ? 少なくともおまえらよりは遥かにマシさ」

 

「世迷い言を!」

 

そういいながら、女性は魔力弾を放つ。それを回避しながら、アザゼルさんは取り出した何かの切っ先を自分に向けた。

あれは……短剣か?何やらすごい力を感じるな……。

 

「俺は神器マニアすぎてな。自作神器を創ったりしちまった。まぁ、そのほとんどがガラクタ、機能しないようなゴミだ。神器を作った『聖書の神』はすごい。俺が唯一、奴を尊敬するところだ。まぁ、禁手なんて神を滅ぼす力を残して死んでいったことに関しては詰めが甘いと思うが、それがあるから神器は面白い」

 

は?自作の神器を作った?いやいや、どんだけだよこの人!?

じゃあ、あれはアザゼルさんオリジナルの神器だっていうのか!?

 

「安心なさい。新世界では神器なんてものは残さない。そんなものがなくとも世界は動きます。いずれはオーディンにも動いてもらい、世界を変動させなくてはなりません」

 

「ハッ!ヴァルハラ!?アース神族!?横合いからオーディンに全部持ってかれるつもりかよ。まぁ、どのみちおまえはここでお仕舞いだ。俺から楽しみを奪うやつは────消えてなくなれ」

 

アザゼルさんが短剣を逆手に構える。

瞬間、アザゼルさんの短剣が形を変え、パーツに分かれ、強い閃光を放った。

 

禁手化(バランス・ブレイク)……ッ!」

 

一瞬の閃光が辺りを包み込む。

光が止み、そこにいたのは黄金の全身鎧を身につけた者。

バッ!背中から十二枚もの漆黒の翼を展開し、手に巨大な槍を作り出す。

 

「こいつは俺が作った人工神器の傑作“堕天龍の閃光槍(ダウン・フォール・ドラゴン・スピア)”そしてこいつが“堕天龍の閃光槍”の疑似的な禁手(バランスブレイカー)……“堕天龍(ダウン・フォール・ドラゴン)の鎧(アナザー・アーマー)”だ」

 

鎧を纏ったことで、アザゼルさんの存在値が50万近く上昇してる。

鎧越しに感じるのは強い龍の波動だ。これをあの人は作ったというのか……。

神器オタクここに極まれり。いや、アザゼルさんの神器研究もここまでくるとオタクを通り越してる気がするぞ……。

 

「ハハハ!流石だな、アザゼル!やっぱりすごい!」

 

そう言いながら、ヴァーリが笑う。こいつにとってはアザゼルさんも戦ってみたい対象の一人にすぎないのかもしれないな。

狂ったように笑うヴァ―リに対し、アザゼルさんは顔を向ける。

 

「おまえの相手をしてやりたいところだが……。今日は赤龍帝と仲良くしてな」

 

「フッ、今日は最初からそのつもりさ」

 

不敵に笑いながらヴァーリは俺を見てきやがった!

いやいや、こんなやつとなんて仲良くしたくないわ!

俺はライバル対決なんて興味ねえんだよ!可愛い女の子ならまだやる気出るけど、こんな面倒くさそうなのと戦うのはまっぴらごめんだ!

 

「……力を有したドラゴンをベースにしましたわね?」

 

女性の問いかけにアザゼルさんは肯定する。

 

「五大龍王の一角“黄金龍君(ギガンティス・ドラゴン)”ファーブニルを封じ込め、二天龍の神器を模したのさ」

 

ティアマットさんと同じ五大龍王か。通りで強力そうな訳だ。

 

「アザゼル!それだけの力を持ちながら、あなたは!」

 

「オーフィスをバッグにしておいてよく言うぜ」

 

「……神器の研究はそこまでは進んでなかったはず」

 

「残念だが、真理に近い部分は俺とシェムハザしか知らない。てか、御託はいいからさっさと来いよ」

 

アザゼルさんが女性に手招きをする。それを見た女性は侮辱されたと感じたのか、一瞬でぶちギレた。

 

「なめるなッ!私は偉大なる真のレヴィアタンの血を引くもの!カテレア・レヴィアタン!堕天使ごときに負けるはずがない!」

 

女性──カテレアは特大のオーラを纏ってアザゼルさんに突っ込む。あの人も旧魔王だったのか。

カテレアはアザゼルさんの攻撃を躱し、カウンターの蹴りを叩き込もうとする。

しかし、アザゼルさんはそれを片手で受け止めた。

 

「馬鹿な!?私は以前とは比べ物にならない力を手に入れたはず……」

 

「確かに、今の一撃で決めるつもりだったのに見切ったとは大したものだ。だが……」

 

アザゼルさんは再びカテレアに攻撃する。その鋭い攻撃に今度は反応できず、カテレアは吹き飛ばされてしまった。

 

「バ、馬鹿な……」

 

「以前とは比べ物にならないその力に、お前自身が付いてこれてない。短期間での強化の弊害だな。その力を使いこなすにはお前が力不足だってことだよ」

 

確かに、コカビエルなんかと違って、あのカテレアの動きは戦い慣れた者の動きじゃない。

プライドも異様に高いし、もしかして鍛練とかそういうのしたことないんじゃないのか?

コカビエルは戦闘狂だけあって、強くなった自分の力にもすぐに順応してたけど、経験の少ないカテレアは自分の力をまるで使いこなせてない。

多分だけど、数値的に三倍は差があるミッテルトでも余裕で勝てると思う。

それほどまでに、カテレアの動きはお粗末なものだった。

こういうの見ると、やっぱり大事なのはエネルギーよりも技量(レベル)なのだと再認識するな。

 

「ふざけるなあ!!」

 

それを認められないのか、カテレアは再びアザゼルさんに攻撃する。しばらくは打ち合いが続くが…………。

 

 

ブシュ!!

 

 

勝負あり。カテレアの体から鮮血が噴き出す。

一瞬の交錯の間にアザゼルさんが槍で斬ったんだ。

 

「ただではやられません!」

 

そう言いながら、カテレアは自分の腕を触手のように変化させ、アザゼルさんの左腕に巻き付ける。

すると、カテレアの体に怪しげな紋様が……あれは、自爆術式か!?

 

「その触手は私の命を吸った特別製!切ることは不可能……」

 

そこまで言って、カテレアは眼を見開く。アザゼルさんは切ることは不可能と見るや、自分の左腕を切断したのだ。

驚く女性の腹部をアザゼルさんが放った光の槍が貫いた。

すると、女性の体は爆破することはなく、塵と化して空へと消えた。

消滅したのは悪魔にとって光が猛毒だからだろう。覚醒しても、各種の耐性はそこまで上がらなかったようだな。

 

「ま、せいぜい左腕一本がいいところだ」

 

アザゼルさんの鎧が解除され、その手元には紫色の宝玉がある。

 

「まだまだ、改良の余地があるな。もう少し俺に付き合ってもらうぜ、龍王ファーブニル」

 

と、言って宝玉に軽くキスをした。

強いな。これが堕天使総督の実力か……。この世界の強者もなかなかどうして侮れないな。

 

「さて、アザゼルの方は終わったようだ。俺達も戦おうか、兵藤一誠」

 

「えー?」

 

ヴァーリは俺に向かって指差しながら言う。どうやらあの戦いに見入っていたようで、戦いが終わるまでずっと待ってたようだ。

このままあやふやにしたいところだったが、そうは問屋が卸さないということか?

 

「ぶっちゃけ、お前と戦いたくないんだけど……」

 

「ほう?可笑しなことを言うな?君も戦いが好きだと言っていたではないか?」

 

「だって、戦う理由もなければ意味もないだろ。それに、俺は戦いも好きだけど、どちらかと言うと平和が好みなんだよ」

 

「理由?二天龍の宿命……それで十分じゃないか?」

 

「いや、俺それ興味ないし……」

 

それを聞くと、ヴァーリは考え込み、何かを思い付いたのか、笑みを浮かべる。

 

「ならば、動機をくれてやろう。もし断れば、俺はお前の両親を殺す。そこにいるはぐれ堕天使もな……」

 

その言葉を聞いた瞬間、俺の中で殺意が生まれる。

今なんて言ったコイツ……?

 

「殺すぞ、この野郎」

 

コイツは本気でやる。

ミッテルトは百歩……いや、千歩譲ってだけどまだいいさ。あいつは強いし、身を守る手段を持っている。コイツぐらいならばなんとかなるだろう。少なくとも、俺はそう信じてる。

だが、両親はどうだ?黒歌が守ってる時ならば、ヴァーリ程度に襲われても万が一はないと思う。

だが、黒歌がいないときはどうだ?黒歌も身一つで常に両親と一緒にいられるわけじゃない。もしもそうなった場合、コイツは躊躇いなく二人を殺す。

 

「分かった。戦ってやる」

 

それを聞いたヴァーリは歓喜の表情を浮かべる。

鎧姿のヴァーリに対し、俺は“赤龍帝の籠手”を呼び出した。

 

「禁手にならないのかい?」

 

「ああ。お前程度にはこれで十分だ」

 

その言葉に全員が驚く。まあ、無理もない。何せ、禁手相手に通常状態の神器で戦うなんて、いくらなんでも頭おかしいだろう。

それが同格の神器ならばなおさら禁手を使った方がいいに決まってるからな。

 

「おい、兵藤一誠!ヴァーリの強さは俺もよく知ってる。こいつは他の堕天使幹部をも上回る強さを持ってやがるぞ!」

 

「そうよ!しかも、旧ルシファーの血族……舐めていい相手じゃ……」

 

「大丈夫ですよ。部長」

 

部長の制止の言葉に対し、俺は安心させるように答える。

それを見たヴァーリは若干不機嫌そうだ。

 

「舐められたものだな……」

 

『それはどうかな?』

 

それに対し、答えるのはドライグだった。珍しいな。

 

『アザゼルよ。お前の言う通り、そこにいるヴァーリは過去、未来、現在において最強の白龍皇となるだろう。だが……』

 

そこまで言って、ドライグは不敵な笑みを浮かべる。

 

『ここにいるイッセーは生まれは平凡。だが、断言しよう。その力は間違いなく、過去、未来、現在における歴代最強の赤龍帝だ』

 

その言葉にヴァーリは嬉しそうに眼を見開く。

……全く、持ち上げてくれちゃって。まあ、そこまで言われれば、期待に応えないわけにはいかないか。

俺は先程のアザゼルさんと同様に、手招きする。

 

「こいよ。ヴァーリ」

 

「面白い!歴代最強の赤龍帝の力、見せてみろ!」

 

ヴァーリの鋭い拳が俺の顔目掛けて放たれる。

それを俺は上体を反らし、危なげなく回避し……。

 

『Boost!!』

 

そのまま倍加した脚力を用いてヴァーリを空高くまで蹴り上げた。

 

「くっ!」

 

宙で体勢を立て直したヴァーリは魔力弾を俺目掛けて無数の放射する。

それを俺は一発一発を拳で粉砕した。

 

「やるな!だが!」

 

ヴァーリは魔力弾を放射しながら一気に急降下して接近する。

ヴァーリから放たれる拳を受け流しながら、カウンターを繰り出す。だが、吹き飛ばすつもりではなった攻撃に、ヴァーリは耐え、逆に俺の腹に強烈な一撃を喰らわす。

 

「がはっ!?」

 

吹き飛ばすつもりだったのに耐えてくるとはな……。

拳も思ったより重い……。まあ、ヴァーリの現在の存在値は素の俺を上回ってるわけだし、ちょっと、余裕こきすぎたかな?しかも……。

 

『Divide!』

 

俺を殴った刹那のタイミングで、ヴァーリからその音声が流れた。それと同時に俺の力が弱まる。

なるほど、これが半減か……。

 

『そうだ。やつに触れられれば、こちらの力は即座に半減される』

 

ふむ、厄介だな。触れられればどんどんこちらが不利になるということか?

まあ、問題はないだろう。

 

『Boost!』

 

今の一撃で解析はできた。半減といっても、こちらが気張れば奪われる力を減らすことはできそうだ。

そもそも倍加させれば元通りだしな。

 

「禁手を使った方がいいんじゃないか?」

 

笑みを浮かべながらヴァーリは言う。だが、その笑みはすぐに消えることとなる。

殴られると同時に俺がヴァーリの腕と頭に手を置いていたことに気付いたのだ。

 

「ふん!」

 

「なっ!?」

 

俺はヴァーリの腕と頭を鷲掴みにし、その勢いのままヴァーリの身体を地面へと叩きつける。

その衝撃で地面が陥没し、大きなクレーターを生み出した。

頭から突っ込んだため、ヴァーリの鎧の顔部分にひび割れが起き、素顔が少し覗いている。

 

「じゃあ、使わせてみろよ。この程度じゃあ、禁手は使わねえぞ?」

 

「舐めるな!」

 

ヴァーリは突っ込むや否や、猛烈なラッシュを仕掛けてくる。さながら拳や蹴りの弾幕。だが、大したことはない。

技量(レベル)はそこそこあるが、あくまでそこそこ。この程度ならば、今まで出会ってきた真の強者の足元にも及んでねえからな!

 

 

 

 

*********************

 

 

木場side

 

 

 

 

 

イッセー君と白龍皇ヴァーリの戦いは激戦だった。

二人の実力は全くの互角。()()()使()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()のだ。いや、それどころか押しているようにすら見える。

いかに、イッセー君が馬鹿げた力を持ってるのかがよくわかるだろうね。

 

「マジかよ……。あのヴァーリと互角だと?しかも、禁手を使わずにとは……あり得ねえだろ?」

 

堕天使総督アザゼルはイッセー君がヴァーリと互角であることに驚いていた。無理もないだろう。

イッセー君の力は素の状態ですでに魔王クラスだ。

ただ、拳が衝突するだけで校庭に大きなクレーターを作り、周囲に被害を及ぼす。

 

「ねぇ、サーゼクスちゃん。あの赤龍帝君は本当に人間なの?」

 

「セラフォルー、君の言いたいことは分かる。僕も、彼が本当に人間なのかどうか疑わしい」

 

サーゼクス様とセラフォルー様の言葉を聞きながら、僕も疑問が頭に浮かぶ。

 

(イッセー君。君は一体……)

 

彼は何者なのだろう。僕はその疑問で頭が一杯になっていた。そんな僕の考えを察したのか、ミッテルトさんが僕に話しかけてきた。

 

「いつかは話すっすよ木場っち。だから、もう少し待っててほしいっす」

 

「うん」

 

申し訳なさそうにするミッテルトさんの言葉にうなずき、僕は再び戦いに視線を向けた。

 

「あん?ヴァーリが息切れをしてるのか?」

 

アザゼルの言葉に僕はヴァーリに意識を向ける。

そこには、余裕そうにするイッセー君に対し、明らかに消耗してるヴァーリの姿があった。

 

 

 

 

*********************

 

 

イッセーside

 

 

 

 

「はあ、はあ……」

 

「息切れか?ヴァーリ?」

 

「まるで触らせてくれないな……お陰でこちらが消耗するばかりだ」

 

「まあね。それに、お前の半減は奪った力を自分の物にできるけど、疲労までは回復しない。だから、少しずつ無理をさせてるって訳だ」

 

実際、ヴァーリはかなり消耗してるのが見てとれる。

こいつは俺と違って覚醒していない。つまり、“物質体(マテリアルボディー)”に囚われている。

対して、聖人に覚醒した俺は“精神生命体”の特性を獲得している。つまり、呼吸をする必要がないのだ。

それに加えて、俺はヴァーリを消耗させるような戦いを先程から繰り広げている。

無理をすれば当たる、と相手に思わせるのが肝で、結果、こいつは大振りの攻撃を繰り返し、どんどん消耗していったというわけだ。

 

「いいこと教えてやる。同格との戦いではいかに相手を消耗させ、自分の消耗を押さえられるかが重要だ。そうやって大技ばかり使ってたら、こういう結果になるからな」

 

俺はヴァーリに急接近し、拳にオーラを込める。

 

『Boost!』

 

「“魔竜崩拳”!!」

 

「ぐは!?」

 

俺はヴァーリの腹目掛けて力一杯拳を叩き込む。その一撃に耐えきれず、ヴァーリの鎧の腹部分は破片をばら撒きながら砕け散った。

ヴァーリも鎧越しから吐血しているようだが、戦意はまるで衰えていない。

 

「なめるな!!」

 

ヴァーリはそのまま俺の顔面目掛けて拳を振り上げる。

その一撃は俺の顔面を捕らえ、一撃を叩き込んだ。

 

『Divide!』

 

半減の音声が鳴り響くなか、ヴァーリは勝ちを確信したかのように笑みを深める。

だが、俺はその勢いを利用し、回転を始め、飛び上がった。

 

「なに!?」

 

予想外であろう俺の行動にヴァーリは驚きの声を上げる。

俺はヴァーリの拳の勢いを取り込み、“天板”にて作り上げた足場を思いきり踏み込んだ。

 

「食らえ!“暴風山靠”!!」

 

ヴァーリの拳の威力をも取り込んだ渾身の鉄山靠。鎧が既に半壊していたヴァーリはそれをモロにくらい、吹き飛んでいった。

 

「ぐはっ!」

 

地面に叩きつけられ、血混じりの吐瀉物を口からは吐き出すヴァーリ。

それでも、あいつは嬉々とした笑みを浮かべてやがる。

マジで戦闘狂って厄介だよな。

 

「はぁ、はぁ、はぁ……フフフフ、ハハハハ!禁手を使わずにこの強さ!これが君の……歴代最強の赤龍帝の力!面白い!アルビオン、“覇龍(ジャガーノート・ドライブ)”を使うぞ」

 

は!?マジかよ、こんなところで!?

流石に覇龍を使われたらヤバイかもしれない。

いや、こちらも禁手なり究極なり使えば勝てるとは思うけど、周りが危なくなる可能性が高い。

そもそもあいつ、覇龍をコントロールできるのか?

 

『待て、ヴァーリ。流石にダメージを受けすぎだ。いくらなんでも、今の状態で使うのは危険すぎる』

 

「俺はこの戦いをもっと楽しみたいんだ、アルビオン。『我、目覚めるは、覇の理に────』」

 

おいおい!

あいつ、マジで呪文を唱え始めたぞ!

 

『自重しろ、ヴァーリッ!我が力に翻弄されるのがお前の本懐か!?』

 

どうやらアルビオンはヴァーリが覇龍を使うのに反対のようだな。がんばれアルビオン!

……というか、あそこまで止めようとするってことは、やっぱりヴァーリは覇龍制御できないんだろうか?

 

『そうだな。仮に制御できるとしても、あの状態で覇龍を使えば高い確率で暴走するぞ。早く止めた方が良い』

 

ドライグの言う通り、早く止めないとな……。

その考えた時、ヴァ―リの近くに一人の男が舞い降りた。

三國志の武将が着ているような鎧を身に纏っている。

 

「おいおい、随分とボロボロだなヴァーリ」

 

「美猴か……何をしに来たんだ?」

 

ヴァ―リは口元の血をぬぐいながらそう言う。誰だあいつ?

 

「その言い方は酷いんだぜぃ?相方がピンチだっつーから助けに来たのによぅ。北の田舎(アース)神族と戦うからさっさと来いとよ。それにしても、おまえがそこまでやられる相手がいたなんて想像できなかったぜぃ」

 

「ああ。彼、赤龍帝が俺の予想を遥かに越えていてな。しかし、そうか。時間切れか……しかたない。今回は俺の敗けだな」

 

「負けたわりには清々しい顔をしてるな」

 

「ああ。最高の戦いだったよ」

 

おいおい、なんか良く分からん奴が乱入してきたと思ったら、勝手に話し込み始めたぞ。

見た感じ、魔王種を獲得してるようだが、悪魔や堕天使じゃなさそうだ。

黒歌とは違う種族の妖怪かなんかか?

 

「誰だ、おまえは?」

 

「そいつは闘戦勝仏の末裔だよ」

 

俺の質問に答えたのはアザゼルさんだった。

とう……せん?うーん。全く知らん単語が出てきたぞ。

何の末裔だって?

 

「分かりやすく言えば、西遊記で有名なクソ猿、孫悟空の子孫だ」

 

……は?

ええええええええええええええ!?

 

「ま、マジで!?」

 

ウソッ!

超有名じゃん!てか、西遊記って実在したの!?いや、冷静に考えると、神話の神々が実在するんだから、確かに西遊記が実話というのもおかしい話じゃないのか。

あの斉天大聖孫悟空の子孫、なるほど、魔王種を得てるのもうなずけるな。

 

「なるほどな。おまえまで“禍の団”入りしていたとは世も末だ。いや、白い龍に孫悟空。お似合いでもあるかな」

 

アザゼルの言葉に美猴と呼ばれた男がケタケタと笑う。

 

「俺っちは初代と違って自由気ままに生きるんだぜぃ。よろしくな、赤龍帝」

 

「お、おう」

 

なんか気軽な挨拶をくれたな……。思わず返しちゃったけど、よかったのだろうか?

美猴はヴァーリに肩を貸すと棍を手元に出現させ、地面に突き立てた。

刹那、あいつらの足元に黒い闇が広がった。そして、そのままずぶすぶと沈んでいく。

逃げるつもりか。

まあ、別にいいけどさ

 

「今日の戦い、楽しかった。次に会うときは君に勝つよ、兵藤一誠」

 

「わかったわかった。父さん母さんを巻き込まないと約束してくれるなら、また戦ってやるよ。ただし、二人を巻き込もうと言うのならもう戦ってやらん!」

 

戦闘狂のコイツにはそれが一番効くだろう。

もちろん、本当に実行すれば戦わないなんて選択肢はない。そのときは俺はコイツを殺すと思う。

その考えも及んでいるんだろうが、それでもヴァーリは俺の提案を了承してくれた。

 

「いいだろう。約束しよう」

 

それだけ言い残すとヴァーリと美候は完全に姿を消した。

あいつのことだから次会うときは更に強くなってるんだろうな。ああいうタイプはマジでどん欲だから、どんな強化をされてるのか楽しみでもあるな。

こうして、二天龍の初戦闘は幕を閉じたのだった。




カテレア・レヴィアタン
EP 39万1267→69万1267(蛇)→159万1267(疑似覚醒)
種族 純血悪魔
称号 旧魔王・レヴィアタン
魔法 触手化
スキル なし
初代魔王レヴィアタンの血統であり、“禍の団”に所属する眼鏡をかけた女性悪魔
悪魔の中でも名門であるレヴィアタン家の血族だったが、過去の大戦争で悪魔陣営が破滅的疲弊に陥った際、最後まで強硬に継戦を訴えたため、穏健派のセラフォルー・レヴィアタンに家督を奪われ冥界へ追放された。
レヴィアタンの座を奪ったセラフォルーを怨んでおり、彼女を殺害して新世界では自分が魔王レヴィアタンになろうと企んでいた。
オーフィスの蛇と商人より購入したという“魂の結晶”を用いることで“超級覚醒者”に覚醒するが、長年の驕りから使いこなすことができず、数値上では劣っているアザゼル相手に敗北した。




暴風山靠
回転しながら飛び上がり、遠心力をプラスすることで威力を高めた鉄山靠。
イッセーはそこにヴァーリの拳の威力も取り込んだ。
モデルはアンデラの捌廻山靠。
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