帰ってきたらD×Dだった件   作:はんたー

52 / 155
遊園地での一日です

イッセーside

 

 

 

 

「ふわああ……。おはよう。お兄ちゃん」

 

「あ、おはよう。セラ」

 

セラがわが家で暮らすようになって早2週間が過ぎようとしていた。

最初は俺も警戒していたが、今ではセラも家族同然の扱いになっていた。

 

「あ、セラ。おはようにゃん」

 

「おはようございます。セラちゃん」

 

「黒歌お姉ちゃん、アーシアお姉ちゃんもおはよう」

 

セラはそう言うとアーシアと黒歌のほうに寄っていった。

セラは黒歌とアーシアに特になついてるみたいなんだよな。まあ、常に家にいる黒歌と孤児院にいた経験からか、子供との触れ合いに慣れてていつも優しいアーシアになつくのはあるいい必然ともいえよう。

セラは実年齢はぶっちゃけわかんないけど、記憶喪失の影響からか、精神は子どもそのものだしな。

 

「美味しいですか?」

 

「うん!とっても美味しいの!」

 

セラは皆とともに仲良さそうに食事をしている。こうして一緒のご飯を食べてる光景を見るとなかなか和むな。

そんな中、黒歌が何かを懐から取り出した。

 

「そういえばさ、今日ってなんか用事ある?」

 

「いや、部長は悪魔の仕事があるからいないけど、俺たちは基本的に暇だな」

 

今日は用事があるらしく、部長たちは朝早くから何処かへ行ってしまったのだ。

アザゼル先生加入の手続きのほかにも、会談のまとめ、ゼノヴィアのデュランダル手続きなどもろもろ業務があるらしく、古くからの部長眷属は皆出動してしまい、今残っているのは新入りのアーシアくらいなものだ。

俺たちも悪魔業界については何もわからないため、待機を命じられている。だから基本的に今日は何もすることがない。

ゲームの続きでも進めるかな……と考えていると、黒歌がたわわな谷間に手を突っ込み、何かを取り出した!

 

「イッセー、見すぎっすよ。それってなんすか黒歌っち?」

 

「実はこの間、福引きをやったら見事当たって……折角だし、皆で遊園地、行く?」

 

悪戯っぽい笑みを浮かべ、取り出したのは遊園地のチケットだった。対象は五人。ちょうどこの場にいるものと同じ数だ。

俺たちは目を見合わせながら、笑みを浮かべた。

 

 

 

 

*********************

 

 

 

 

「ここが遊園地……なんかすごいの!」

 

「私も初めて来ました」

 

俺たちは黒歌の貰ったというチケットを握りながら、この国有数の遊園地と称される“ネズミ―ランド”へとやってきた。

着くやそうそう、目を輝かせながらセラはアトラクションを眺めていた。その目はとても楽しそうだ。

 

「うちも遊園地は久しぶりっすね」

 

「そうだな。数年ぶりくらいか?」

 

最後に行ったのが三年前くらいか?

俺がバイトで『テンペスト人材育成学園』の初等部“Sクラス(問題児)”相手に教師やってた時以来か?

ところどころ変なアトラクションもあったけど、かなり楽しかったよな。

……アイツら元気でやってるかね?

 

「ねえお姉ちゃん!あれ入ってみたいの!」

 

「あ、あれですか?なんか怖そうです」

 

そう言いながらセラが指差したのは……かなり本格趣向のお化け屋敷だった。

……いや、何で!?いきなりお化け屋敷!?いや、別にいいんだけどさ、普通もっとよさげなの選ばない!?

いや、まあセラが行きたいならば行くべきか。そう思い、俺たちはお化け屋敷に入ることにした。

 

「きゃあ!」

 

「おお」

 

入って早々現れたのは、血まみれのゾンビだった。

かなりスプラッタな見た目でアーシアには刺激が強いだろう。対照的にセラは目を輝かせている。

血を見て浮かべる笑みはなんだかとても嗜虐的に見えるのはたぶん気のせいだろう。

俺?俺は今更だ。……というか、ミッテルトも黒歌もこんなものじゃあ驚きはないな。

俺たちは不死の王たるアダルマンさんと何度も戦ったこともあるし、そもそも恐怖度でいえば、迷宮の不死系魔物(アンデッド)徘徊層のほうが怖い。あっちはマジで襲ってくるしな。

それと比べたら、襲ってこないことがわかってるお化け屋敷にビビることはないのだ。

だが、慣れてる俺たちはともかく、アーシアはかなり消耗してしまったようだ。びくつきながら、涙目で俺につかまり、ずっと隠れてるくらいだし、相当つらかったのだろう。

 

「大丈夫?アーシアお姉ちゃん?」

 

「うう、情けないです」

 

「ま、まあ仕方ねえよ。切り替えていこう」

 

「じゃあ、次はあそこに乗るにゃん」

 

そう言いながら黒歌が指さしたのは、緩やかに回るメリーゴーランドだ。

黒歌の目はかなりワクワクしてるように見える。

もしや、こいつも遊園地初めてなのか?

 

「テンペストのには行ったことあるけど、地球(こっち)のは何気に初めてにゃん。リムル様も参考にしたっていうし、結構楽しみでもあるにゃん」

 

だからか。道理でさっきから、無言であたりをキョロキョロしてるわけだ。

福引で当たったときは相当うれしかったんだろうな……。

アーシアも初めてだって言ってたし、今日はみんなが楽しめるようにしないとな。

 

 

 

 

*********************

 

 

 

 

「とても楽しかったの!」

 

「はい。そうですね」

 

数時間後。俺たちは遊園地を楽しんでいた。

最初のお化け屋敷こそ、アーシアに負担をかけてたが、それ以降のアトラクションは中々どうして楽しんでいるみたいだ。

 

「イッセーさん。もう一度乗りませんか?」

 

「あ、ああ……」

 

あと意外にも、アーシアはかなり絶叫マシンが気に入ったご様子だ。

いや、最初の方は怖がってたんだけど、徐々に楽しくなってきたらしく、最終的に手を上げながら喜んでいた。

考えてみれば、アーシアにはかなりの度胸と根性がある。

修行では魔力切れギリギリまで回復と防御を両立していたし、ライザー戦でだって怖がりはしつつも逃げずに真っ向から対峙して見せた。

ジェットコースターくらいは最早なんともないのかもしれないな……。

 

「イッセーはかなり怖がってたようっすけどね」

 

「は、はあ!?き、気のせいだろ?」

 

別に怖がってはない!ただ単純に久々だから驚いただけだ!

そもそも俺は飛べるんだぞ!?そんな俺が今さらジェットコースター程度にビビるワケがない!

普段自分で飛ぶのとは違って自分で操れないから少し驚いただけだ!断じて怖がってはいない!

 

「ねえ、お兄ちゃん。あれはなに?」

 

「ん?」

 

そう言いながら、セラが指差したのは……メイド喫茶だ。

そういえば、この遊園地は何故か園内にメイド喫茶があることで有名なんだよな。

俺も昔行ったことあるけど、かなりクオリティが高い。

時間的にも昼飯時だし、折角だから入ってみるか。

 

「こんにちは」

 

「いらっしゃいませご主人……様……?」

 

「あれ?トーカ!?」

 

「え!?トーカちゃん!?」

 

俺たちを出迎えたのは先日“ダンボール龍人族(ドラゴニュート)”に成りかけた隠密の女性、トーカだった。

いや、何でここに!?

 

「……なんで貴方たちがここにいるのよ……」

 

「それはこっちのセリフにゃん。何でトーカがここに?」

 

「バイトよバイト。隠密といえど、0からお金が手に入るわけないでしょ?ここに来た隠密は暇な時間見つけてバイトでお金を稼ぐことになってるのよ」

 

ああ、なるほど。

向こうの世界とこの世界では通貨の価値も違うからな。

だから生活費を稼ぐためにもアルバイトはしなくちゃいけないワケか。

 

「コラコラトーカさん。いくら知り合いといえど、まだ勤務中ですよ」

 

そう言いながら、奥から別のメイドがやってきた。

メイドさんはスカートを摘まみ、とても綺麗なお辞儀をして見せた。

 

「いらっしゃいませご主人様。

当店メイドの“青原(あおはら)雨葵(あお)”と申します。本日はよろしくお願いします」

 

そう言いながら、雨葵さんは笑顔で微笑みかけた。

黒縁のメガネを掛けており、青い髪の毛にメイド服がよく似合っているな……。

…………ん?

 

「あれ?何処かでお会いしました?」

 

「イエソンナマサカ。さあ、お席に案内しましょう」

 

なんか釈然としないな。絶対に何処かで会ったことある。

……というか、青髪のメイド?気になった俺は少し調べてみることにした…………?

 

「あ!?」

 

「ん?どうしましたか?」

 

いや、何で!?何でこの人がいるの!?

今解析鑑定したけどまず間違いない!

 

「おい、トーカ。あの人って……」

 

「私たちの転移にいつの間にか紛れて付いてきたのよ。ソウエイ様がいない今、どう対応すればいいのかわからなくて……」

 

隠密であるこいつらに気付かれずに紛れるとは……。まあ、この人も主の影に隠れてはいるけど十分化け物だしな。

気になるのは何故地球(ここ)にいるのかだが……。まあ、答えは多分サボりだろうな……。おそらく主や同僚に見つかる危険性が0に近いであろう場所を模索し、結果的にこの場所に行き着いたのだろう。

見ると、トーカもかなり疲れたような表情を見せている。苦労してるんだろうな……。

……後々問題になっても面倒だし、後で門に放り投げとくか。

普通ならば、躊躇うかもしれないが、俺はこの人の事をよく知ってる。今さら遠慮なんかするつもりもないしな。

ミッテルトも同じ思いなのか、……雨葵さんに近づき、こっそり耳打ちをする。

 

「……後であの人に怒られる覚悟はしたほうがいいっすよ?」

 

「フッ、お土産を持ってけばきっと許してくれるでしょう」

 

どうだか……。俺はこの“青い悪魔”の楽観的な思考を冷めた眼で見つめるのだった。

 

 

 

 

*********************

 

セラside

 

 

 

 

「美味しいですか?セラちゃん?」

 

「うん!とっても美味しいの!」

 

私はアーシアお姉ちゃんに貰ったサンドイッチを食べながら返事をする。

この家に来てとってもよかった。私はそう思う。

お兄ちゃんたち曰く、私は機械でできた存在らしい。

テレビや図書館なんかで調べた情報を統合すると、もしも、この人以外の人たちに拾われていたら、どうなっていたかわからないの。

 

「あ、ちょっとじっとしてくださいね」

 

「?」

 

「顔に汚れが付いてるにゃん」

 

そう言いながら、アーシアお姉ちゃんと黒歌お姉ちゃんは私の汚れを拭いてくれた。

二人だけじゃない。ここにいる人たちは皆優しい。

私がお手伝いをすると褒めてくれるし、悪いことをするとしかってくれる。

 

(なんか、昔、こういうお兄ちゃんやお姉ちゃんがほしいと思ったことがある気がするの……)

 

最近、少しだけ思い出したことがある。私には、二人かな?お兄ちゃんがいたと思うの。

……でも、その人たちは私に対して冷たい印象を持ってるの。いつも喧嘩ばかりで、私が何をしても無反応。

だから私は別の人に……あれ?何をしたんだっけ?確か……

 

「大丈夫っすか?セラちゃん?」

 

「え?」

 

「顔色悪いぞ。具合が悪いのか?」

 

「な、なんでもないの……」

 

なんだろう。罪悪感が私の心を覆ってるの。

本当に私なんかがこんな幸せでいいのだろうかって気持ちが頭からはなれないの。

 

(昔の私は……どんな存在だったんだろう?)

 

私は一体、なんなのだろう?私は何で記憶をなくしてるのだろう?

ふと、髪の毛に違和感を感じた。

私は髪の毛にくっついてる何かをパッと払った。それを見て思わず絶句してしまった……。

 

「ひぃ!?」

 

「大丈夫か!?……って、兜虫?」

 

お兄ちゃんは私の髪から跳ね返った黒い虫を見て呟いた。

 

「もう夏っすからね……いや、それにしても珍しいか」

 

お兄ちゃんは私を庇うように抱えながら、珍しそうにそれを見る。多分、私の蟲嫌いを思っての事だと思うの。

私は何故か知らないけど、蟲が怖い。

さっきのお化け屋敷やジェットコースターでも感じなかった、恐怖が心を支配する。

ふと、私は兜虫を見つめる。すると、眼と複眼が合った気がした。

瞬間、私の鼓動が早くなるのを感じた!

 

「お、おい、大丈夫か!?セラ!?」

 

「せ、セラちゃん!?」

 

「しっかりするにゃん!」

 

皆の声が耳をすり抜ける!

鼓動が早いの!ワケも分からず涙が流れてくるの!すごく、怖いの!

 

 

『貴様ヲ喰えバ、我はまた一歩、創造神に近ヅくダロう。安心しテ眠るガヨイ』

 

 

誰かの声が聞こえた気がした。

その声を聞いたとき、我慢してた恐怖が一気に解き放たれた。

 

「いや、いやああああああ!!」

 

悲鳴と共に、私の意識は途絶えた。

 

 

 

 

*********************

 

 

 

 

「……ん?」

 

「あ、起きたっすか?」

 

「ミッテルトお姉ちゃん?私……」

 

「セラちゃん、兜虫を見て気絶したんすよ。覚えてないんすか?」

 

「……ごめんなさい。折角の遊園地なのに」

 

あたりを見渡すと、もうすっかり暗くなってるの……。

とても申し訳ないの。皆で楽しく過ごすつもりだったのに、こんなことになるなんて……。

それを聞くと、皆が笑った。

 

「大丈夫ですよ。セラちゃんは優しいですね」

 

「……そんなことないの」

 

「?セラちゃん?」

 

思い出せない。思い出せないけど、昔の私はとてもひどい人だったように思えるの。

そんな私がこんなことしてていいのかな?

すると、お兄ちゃんが私の頭をワシャワシャと撫でてきたの。

 

「な、なにするの?」

 

「人の好意は素直にとっとけって。昔のセラがどうあれ、今のセラはアーシアの言うとおり、優しい子なんだからさ」

 

お兄ちゃんの言葉がしみいる。なんだか少しだけ涙が出てきた。

でも、さっきの涙とは違うの。怖いから出る涙じゃない。

 

「あ、パレード始まったっすよ!」

 

ミッテルトお姉ちゃんの言葉に私は目を向ける。

 

「わあ」

 

そこにはすごくキラキラしたものがあった。

今まで乗ってきたアトラクションのキャラたちが、音楽の合わせて踊り出し、煌びやかな装飾が綺麗な車の上で手を振っている。

今まで見たこともないような、楽しそうな雰囲気なの。

 

「また、見てみたいの……」

 

「ああ。そうだな」

 

「今度は虫のいない冬がいいっすね。その時は、部長たちも誘いましょう」

 

「ハイ。とても楽しみです」

 

「もうすぐ花火もやるみたいだし、それ見たら帰ろうか」

 

私たちはそのあともパレードを楽しんだ。

 

 

 

 

*********************

 

???side

 

 

 

 

「以上がミカエル殿からの報告です。オーディンさま」

 

ここは北欧神話の領域。オーディンの居城である。

ミカエルより伝えられた聖書勢力の実情が書かれた書類をみながら北欧神話の主神・オーディンは嘆息していた。

 

「若造どもが、神の見まねとは大胆なことをする」

 

「聖書に記されし神が崩御されてたとは予想外でしたが……」

 

「若造ミカエルにルシファーの偽者、悪戯小僧アザゼル。まったく、小童どものお遊戯会じゃな……」

 

「では、その小童どもに、本当の神々を知らしめますか?」

 

北欧の神の一柱であるフレイ神の好戦的な言葉を聞きながら、オーディンは呆れながら溜め息をつける。

 

「そんなことせんよ。今さら世界を巻き込んだ戦争なぞ、この年老いた身には堪える。若造のひたむきさには好感も感じるし、招待に応じ、レーティングゲームを観戦することにしよう」

 

「御意」

 

そう言いながら、フレイ神はこの場をあとにする。

オーディンは一人になったことを確認すると、懐かしそうに虚空を見つめる。

 

「予想はしとったが、やはり死んでたか……。三大勢力の戦争で死ぬとは考えづらいが、まあお前のことだ。おおかた強大な何かと戦いでもしたか……」

 

そう呟きながら、オーディンは手にした杯を天に掲げる。

オーディンが思い返すのは遠い過去の記憶。

ゼウスやシヴァ、帝釈天などを中心とした、各神話の主神とともにとある存在に仕えていた時代のことだ。

彼の存在が世界を去り、己たちが世界を管理することになってからというもの、かつての同僚とも幾度となく争いを繰り広げてきた。

それでもオーディンは聖書の神を友だと今でも思っていたのだ。

 

「あの方の死が妹様より伝えられて以降、嘆き悲しんだのも事実だが、妹様も言ってたよう、神がいなくとも世界は回る。これも、摂理なのかもしれんのぅ……」

 

思えばあの方の死をもっとも嘆いていたのも聖書の神だったな……。

そんなことを考えながら、オーディンはかつての友の死を悼んだのだった。




自分で作ったキャラだというのに、セラちゃん難しいな(笑)
セラちゃんは見た目は子どもですが、スペックが高いので幼児らしくない言葉回しもします。でも、基本的にはやっぱり子供。

ストックが尽きたので、次回はまた一、二か月後とかになります。(就活あるのでもっとかかるかも・・・)
まあ、失踪はしないので気長に待っててもらえると幸いです。
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。