帰ってきたらD×Dだった件   作:はんたー

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修行と温泉です

イッセーside

 

 

 

 

「そうか、初戦はシトリー家か」

 

グレモリー家の本邸に帰ると、アザゼル先生が待っていた。

広いリビングに集合し、先生に先程の会合の顛末を話したんだ。

 

「人間界時間で現在七月二十八日だから、対戦まで約二十日間か……」

 

先生が何やら計算を始める。

 

「どうするんです?修業でもするんですか?」

 

俺が尋ねると先生は頷く。

 

「ああ、当然だ。修業は明日から始めるぞ。すでに各自のトレーニングメニューは考えてある」

 

ここでふと思った。俺はその疑問を遠慮なくぶつけることにした。

 

「質問なんですけど、アザゼル先生の指導ってアリなんですか?何て言うか、これって対等な条件になってないんじゃないかなって……」

 

アザゼル先生は堕天使の総督。戦闘経験が豊富な上に指導力にも優れている。

そんな先生の指導を直々に受けるって、正直他の若手から文句があってもおかしくないと思うんだ。

だけど、先生は嘆息するだけだ。

 

「別に大丈夫だよ。俺は悪魔側に研究のデータも渡したし、天使側もバックアップ体制をしているって話だ。あとは若手悪魔連中のプライドしだい。若手悪魔たちが強くなりたいと思ってるなら脇目も振らずだろうよ」

 

まぁ、それもそうか。

本当に強くなりたかったら必死で自分を鍛えるもんな。

 

「それに、うちの副総督のシェムハザも各家にアドバイスを与えているしな。ハハハ!俺よりもシェムハザのアドバイスの方が役に立つかもな!」

 

……いきなり、不安になるようなこと言わないで下さいよ。

まあ、こういうところが親しみやすいんだけどね。この人。

 

「まぁいい。修行は明日の朝、庭に集合。そこで各自の修行法を教える」

 

先生のこの言葉で今日のミーティングはお開きとなった。

だが、俺は?

ぶっちゃけた話、今ゲームは参加できないことになってる俺はどういう立ち位置になるんだろう?

気になった俺は自信の方針を先生に訪ねようとする。

そこへグレイフィアさんが現れた。

 

「皆様。温泉のご用意が出来ました」

 

それは最高の知らせだった!

 

 

 

 

 

*********************

 

 

 

 

グレモリーの庭の一角。ポツリと存在してる和風の温泉。俺はそこに浸かっていた。

 

「いい湯だな……」

 

「ハハハ、やっぱり冥界といえば温泉だな。しかも、名家グレモリーの私有温泉と来れば名泉も名泉だろ」

 

そう言いながら、アザゼル先生は十二枚の翼を全開にしながら湯船に浸かってる。

マジでいい湯だ。和風の情景も相まってテンペストの温泉を思い出す。

俺と木場はタオルを頭にのせて湯に浸かっていた。ちなみにさり気なく俺は木場から距離をとっている。

仕方ない。さっきの木場は最高にキモかったんだから。

だって、突然────。

 

「イッセーくん。背中を流してあげるよ」

 

なんてことを頬を染めながら言ってきたんだぜ?

確かに裸のお付き合いなんてものもあるけどさ……頬を染めながら言うな。

今思い出してもゾクゾクする……。

あれ?そう言えばギャー助は?

アイツは女装趣味はあるけど、普通に男だからこっちに来てるはずなんだが……。

万能感知で見渡してみると入口のところでウロウロしてるギャスパーの姿を確認した。

仕方ない。俺は一旦上がり、ギャスパーのもとへ向かう。

 

「ギャスパー。折角の温泉なんだから入れよ」

 

「キャッ!」

 

可愛らしい悲鳴を上げるギャスパー。なんだキャッって……?

しかもコイツ、タオルを胸の位置で巻いてる。ここでまで女装みたいなことする必要ないだろ?

 

「あ、あの、こっち見ないでください……」

 

怪訝そうに見てるとギャスパーは頬を赤らめてそう言う。

女の子らしい仕草だが、女装ということがわかってる俺は無性にイラっときた。

俺は取り敢えずギャスパーを温泉に投げ入れた。

 

ドボ────ン!!

 

「いやぁぁぁぁぁん!熱いよぉぉぉ!溶けちゃうよぉぉぉぉ!」

 

絶叫を上げるギャスパー。

そんな溶けるほど熱くないだろ。そもそも流水じゃないんだし、何をビビってるんだか……。

まぁ、これでギャスパーも温泉に浸かれるだろ。

俺は再び温泉に入る。

すると、先生が俺に尋ねてきた。

 

「ところでイッセー。おまえ、女の胸が好きなんだろ?」

 

「ええ、もちろん!大好きです!」

 

俺は即答した!

ああ、おっぱいは俺の大好きだ!見てよし!揉んでよし!つついてよし!俺の……漢の夢がそこにはある!

しかし、なんでそんな当たり前なことを聞くんだ?

 

「いやさ、ミッテルトってぶっちゃけると胸ねえじゃん」

 

「……殺されますよ?アザゼル先生」

 

「いや、お前の普段の言動見てると少しお前の好みとは違うんじゃねえかと思ってな?」

 

まあ、確かに俺は巨乳が大好きだし、ミッテルトはどちらかというと貧乳だろう。

小猫ちゃんよりかはあるが、それでも部長とかに比べるとはるかに劣る。

 

「ですが、貧乳には貧乳のよさがあるんですよ。俺は女の子をおっぱいで区別したりしません!」

 

そもそもミッテルトの胸だって小さいながらも弾力があって揉みごたえがある!

アレはアレでいいものなのだ!

 

「なるほど……。ちなみに他は?」

 

「他?」

 

「他の奴の胸を揉んだことあるのか?」

 

「ええ!もちろん!」

 

俺は右手で揉む仕草をする。時には迷宮の模擬戦でさりげなく。時には向こうから揉ませていただいたり。

思えば数多の女性のおっぱいを揉んできた気がするな……。

 

「そうか、じゃあ、こう────」

 

頷く先生は、人差し指を横に突き立てて言う。 

 

「女の乳首をつついたことはあるか?」

 

先生が指で宙を押すようにする。

 

「もちろんです!何しろ俺は、ミッテルトの乳をつついた結果、禁手に至ったんですから!」

 

「はあ!?」

 

ふふふ。あれは魔国祭の闘技大会にでるための特訓のさなかだった。

俺はクレイマンの兵との戦が終わってからというもの、神器に不調をきたしている時期があったんだ。それは神器の分岐点に至ったがゆえに起こる現象だ。

ドライグに聞かされ、禁手化についての知識は存在してたから、俺はそれに至る方法を模索していた。

だが、最後の一押しがどうしてもわからなかった。禁手に至るには、俺の中の何かが変わらないといけないとのことで、悩んだ結果、俺はミッテルトにそれを頼み、実行した結果。俺は至った。

 

「ハハハ。マジかよ!そんなふざけた方法で……」

 

「そ、そんなことで禁手に至るなんて……僕なんか、皆の思いを受け入れてやっと至ったというのに……」

 

アザゼル先生はツボに入ったらしく、腹を抱えて爆笑し、対して木場は遠い目で虚空を眺めている。

そ、そんなふうに見るなよ。いいだろ別に。至り方は人それぞれで。

 

『……今思い出しても酷い至り方だった。俺は泣きそうになったんだぞ』

 

「そ、そんなこと言うなよドライグ」

 

俺の左手から赤龍帝の籠手が飛び出し、ドライグが苦言を言ってきた。

 

「……ドライグも本当に大変だね」

 

『わかってくれるか。うう……』

 

ごめんて。悪かったよドライグ。

ドライグに謝ってると、隣の女湯の方から魅惑的な声が聞こえてくる。

 

『あらリアス、またバストが大きくなったのかしら?ちょっと触ってもいい?』

 

『そ、そう?ぅん……。ちょっと、触り方が卑猥よ。そういうあなたこそ、ブラジャーのカップが前よりも変わったんじゃないの?』

 

『前のは多少キツいのをそのままにしてましたから。でも、最近大きく見せてもいいかなと思えてきたのよ』

 

『はうぅ、私はお二人ほどないから羨ましいです・・・』

 

『どの口が……』

 

『本当っすよ。アーシアちゃんもそれなりに大きいというのに……』

 

『アーシア。聞いた話では揉むと大きくなるらしいぞ』

 

『はぁん!ゼノヴィアさん!んっ!だ、ダメですぅ!あっ……そんな、まだイッセーさんにもこんなことされて……』

 

『ふむ。アーシアのは触り心地が良いな。なるほど、これなら男も喜ぶのかもしれないね』

 

『……私も』

 

『……うちも試したほうがいいっすかね?』

 

・・・・・・・・・・・。

ああ、やばい。

俺は女湯から聞こえてくる女子たちの会話に興奮していた。壁が薄いからか、魔力感知を使わなくとも、聴覚を倍加するだけではっきりと聞こえてきやがる。

しかも、会話の内容がやばい!うちの女子部員はエロすぎるぜ!

うーん、覗きたい!覗いてみたい!男湯と女湯を隔てる壁!これを登ってあちらの世界へと舞い降りたい!

だが、それはかなり危険な行為だ!聴覚強化などは俺個人に作用してるものだから気付かれないが、向こうに潜入しようとすれば、ミッテルトに確実に気づかれてしまう。気配を完璧に隠蔽しても、あいつは何故か気づくんだよな……。

クソ!どこか、どこかに覗き穴はないのか!?

 

「なんだ、覗きたいのか?」

 

アザゼル先生がいやらしい笑みで聞いてきた。

 

「あ、先生、これは……」

 

仮にもアザゼル先生は教育者だ。流石に咎められるかな……。

 

「別にいいじゃねえか。温泉で女湯を覗くのはお約束だ」

 

おお、さすがはアザゼル先生。やはり先生もわかってくれるか。

 

「けどよ、覗きだけじゃあ、スケベとして二流以下だぜ」

 

なぬ?じゃあどうすれば一流なんだ?

そんなことを考えていると、先生は俺の腕を掴んで、いきなり空へ放り投げた!

 

「ええっ!?先生!?」

 

「どうせなら、混浴だろ!」

 

うわああああああっ!

いくら何でもいきなりすぎるだろう!?

やばい!あまりにも突然すぎて、なんの対処もできねえ!目が回る!

そのままの勢いで俺の視界は男湯から女湯に移り────

 

 

ドッボォォォォォォン!!

 

 

俺はすごい勢いで温泉の底にたたきつけられた。

サバッ!俺は底に手を着き、顔をお湯から飛び出る。

瞬間、俺の目に映ったのは美しい桃源郷だった!

 

「なっ、イッセー君!?なんでここに!?」

 

レイナーレは俺の姿を確認すると、恥ずかしそうにその裸体を隠そうとする。

だが、その他の女性たちは裸体を隠そうとすらしなかった!いや、そこは隠そうよ!女子なんだから!

 

「あらイッセー。アザゼルに飛ばされてきたのね」

 

「うふふ、イッセーくんったら、大胆ですわ」

 

そう言いながら、部長と朱乃さんは俺に近づいてくる!やばい、おっぱいがすごい揺れてる!

迫り来るおっぱいに為す術はなく、俺はあっさりと捕獲されてしまった。

 

「イッセーくん♪捕まえましたわ」

 

むにゅうと柔らかい感触が俺の身体にダイレクトに伝わってくる!張り、弾力共に凄い!

 

「朱乃!イッセーから離れなさい!」

 

部長もまた俺のことを引っ張ろうとする。おっぱいの感触がヤバイ!桃源郷はここにあったのか……?

そんなことを考えながら、思わず鼻を抑える俺をミッテルトと小猫ちゃんが絶対零度の視線で見つめていた。

 

「最低です。変質者先輩」

 

小猫ちゃんの軽蔑したかのような視線が痛い!やめて!そんな目で見ないで!悪いの全部アザゼル先生だから!

 

「全く、本当に仕方がないっすね……」

 

そういいながら、ミッテルトは置いてあったタオルを伸ばし、オーラで固定する。即席の剣の完成である。

 

「アザゼル先生共々、反省してるっすよ!」

 

「ぐはっ!?」

 

「「イッセー(君)!?」」

 

俺と密着していた部長と朱乃さんを器用に避けて、ミッテルトはタオルを俺の顎に思い切り振り上げた!痛え!

バシーン!という音と共に景気よく吹き飛ばされる俺。

眼下に見えるのはいい仕事をしたといわんばかりに気分が良さそうに湯船に浸かってるアザゼル先生だ。

 

「先生避けろ!」

 

「ん?ってうおっ!?」

 

アザゼル先生も迫り来る俺に気付いたようだが時すでに遅し。

俺とアザゼル先生の後頭部が見事に激突し、そこで俺の意識は遠のいていった。

……それにしても、部長と朱乃さんのおっぱいサンドイッチは凄かったな。

 

 

 

 

*********************

 

 

 

 

次の日。俺たちはグレモリー家の庭に集まっていた。

服装はアザゼル先生も含めて皆ジャージ。アザゼル先生は後頭部を擦りながら不機嫌そうに椅子に座っている。

 

「たく、洒落の通じない奴だな。そもそも、お前とイッセーは恋人同士なんだし別にいいだろ?」

 

「それとこれとは話がまるで違うっすよ。イッセーもイッセーであの状況を完全に楽しんでたし、アザゼル先生に至っては確信犯っすから」

 

「チッ」

 

ミッテルトの言葉にアザゼル先生も反論できず、そっぽを向く。

まあ、俺的には最後以外はかなりよかったけどな!アーシアや小猫ちゃんたちの裸体や部長と朱乃さんの最高の感触!今でも鮮明に思い出せる!本当に最高でした!ありがとうございました!

 

「イッセー?」

 

────っと、そろそろ気持ちを切り替えんとな。

先生は懐から資料らしきデータを取り出す。

 

「先に言っておくが、今から渡すメニューは将来的なものを見据えたものだ。中には長期的に見なければならない者もいるまずはリアス、おまえだ」

 

最初に先生が呼んだのは部長だった。

 

「お前は最初から才能、魔力、身体能力のすべてが高スペックの一級品だ。このまま普通に暮らしていてもそれらは高まるし、大人になる頃には最上級悪魔の候補にも挙げられるだろう。が、将来ではなく、今すぐにでも強くなりたい。それがお前の望みだな?」

 

先生の問いに部長は力強く頷く。

 

「ええ。私はコカビエルたちとの戦いでは、ほとんど何もできなかったわ。このままではいられない。私は皆の王として恥じない者になりたいの」

 

部長は凛とした表情でそう告げた。

確かに部長は才能にあふれてるし、このままでも百年もすれば旧魔王の幹部級程度にはなれるかもしれない。

でも部長はそれでは足りないというのだ。それでこそ俺の見込んだ人だぜ。

 

「なら、この紙に記してあるメニューをこなしていけ」

 

先生から手渡された紙を見て部長は首をかしげる。

 

「……これって、特別すごいトレーニングには見えないのだけど?」

 

アザゼル先生が渡した紙に書かれたのは基本的な修行メニューが書かれていた。強いて言えばレーティングゲームの試合記録の研究の時間がかなり多いかな?

 

「お前はそれでいいんだ。おまえは全てが総合的にまとまっている。だからこそ基本的な修行で力が高められる。問題は“王”としての資質だ。“王”は時として力よりもその頭の良さ、機転の良さが求められる。魔力が低くても、それらで上に上り詰めた悪魔だっている。お前は期限まで今までのゲームのデータを叩きこめ。眷属が最大限に力を発揮できるようにしてやるのが王の役割。これでどんな状況も打破できる思考、機転、判断力を磨くこった」

 

なるほど。先生の言うことは最もだな。無論、現実には何が起こるかわからないけど、達人の戦いは見るだけでも経験値になるからな。

流石は堕天使の総督。先生もしっかり考えてたんだなぁ。

 

「次に朱乃」

 

「……はい」

 

先生に呼ばれるものの朱乃さんはかなり不機嫌そうな表情をしている。

朱乃さんはどうにもアザゼル先生が苦手らしい。嫌いとも言っていた。

やっぱりお父さん絡みかな?どうも朱乃さんはミッテルトを除く堕天使に対してまだ猜疑心がぬぐえないようだし。

そう思っていたら、先生はそのことを真っ正面から言う。

 

「おまえは自分の中に流れる血を受け入れろ」

 

「ッ!」

 

ストレートに言われたせいか、朱乃さんは顔をしかめる。

 

「フェニックス家とのレーティング・ゲームは見させて貰った。確かに以前に比べると動きは格段に良くなっていたが、お前本来の力なら小猫とタッグなんざ組まなくとも、フェニックスの女王くらい苦も無く倒せたはずだぜ。なぜ堕天使の力を使わなかった?」

 

確かに。堕天使の光の力は悪魔には効果抜群。堕天したとはいえ、天使の聖なる力は堕天使の光にもしっかり受け継がれているからだ。

それを使えば確かにライザーの女王のお姉さんも一撃で仕留められたことだろう。

 

「私はあのような力に頼らなくても……」

 

「否定するな。自分を認めないでどうする?確かにおまえは強くなった。だがな、本来のお前の力はこんなものじゃない。否定がお前を弱くしている。辛くても苦しくてもそれを乗り越えろ。じゃなければ、お前はいつか必ず眷属たちの足手まといとなる。自分を乗り越え、“雷の巫女”から“雷光の巫女”になってみせろ」

 

先生の言葉に朱乃さんは応えなかった。けど、やらなきゃいけないってことは朱乃さんもわかっているのだろう。

俺もアザゼル先生と同意見だ。アザゼル先生の言い分は厳しいけど、正しくもある。今の俺にできることは、朱乃さんを信じることだけだろう。

 

「次は木場だ」

 

「はい」

 

「まずは禁手を解放している状態で一日保たせろ。それが出来れば次は実戦の中で一日保たせる。それを続けていき、状態維持を一日でも長くできるようにしていくのがお前の目的だ。剣技系神器については俺がマンツーマンで教えてやる。剣術のほうは……師匠にもう一度習うんだったな?」

 

「ええ、一から鍛え直してもらう予定です」

 

へぇ、木場の師匠か。木場の剣技は我流にしては洗練されているからいるんだろうとは思ってたけど、どんな人なのかな?

……ハクロウさんみたいな鬼畜剣士じゃないといいけど。

 

「次、ゼノヴィア。おまえはデュランダルを今以上に使いこなせるようにしろ。それと、もう一本の聖剣にも慣れてもらう」

 

「もう一本の聖剣?」

 

「ああ。特別な剣だ」

 

「……分かった。やってみよう」

 

もう一本の聖剣というのはあの剣の事か。確かに、聖剣の扱いに慣れてるゼノヴィアならば使いこなせるだろう。

それから先生の視線はギャスパーに移る。

 

「次、ギャスパー」

 

「は、はいぃぃぃぃぃ!!」

 

チョービビってるよ。

本当にこの引きこもり君は。まあ、段ボールに逃げ込まないだけ進歩してるとは思うけどさ。

 

「そうビビるな。お前の最大の問題点はその恐怖心だ。おまえはスペックだけなら相当のものだ。“僧侶”の特性、魔力の技術向上もそれを支えている。その引きこもりを克服出来ればゲームでも実戦でも活躍出来るはずだ。とりあえず、『引きこもり脱出作戦!』なるプログラムを組んだから、それをこなして人前でも動きが鈍らないようにしろ」

 

「はいぃぃぃぃぃ!当たって砕けろの精神でやってみますぅぅぅ!!」

 

……こいつがその言葉を言うと本当に砕けそうで不安だ。

まあ、俺からは頑張れとしか言えないんだけどな。

すると、先生の視線はアーシアに移った。

 

「同じく、“僧侶(ビショップ)”のアーシア」

 

「は、はい!」

 

アーシアも気合い入ってるな。

 

「おまえも基本トレーニングで身体と魔力の向上を目指せ。それから、メインの神器(セイクリッド・ギア)の強化だ」

 

ほう?神器の強化とな?

アーシアの回復は魔法と違って魔力消費も少なく済むし、回復スピードも速い。今でも十分だが、何を強化するんだろう?

 

「お前の回復速度は大したものだが、触れるという過程を踏まなければならない。その範囲を拡大するんだよ。俺たちの組織のデータの理論上は神器のオーラを全身から発し、周囲の仲間をまとめて回復や回復のオーラを飛ばす……なんて芸当もできるはずだからな」

 

なるほど。遠距離での回復を可能にしろってことか。俺たちの場合、“完全回復薬(フルポーション)”があるからあまり気にしてなかったけど、確かに広範囲の回復ができれば戦術の幅がかなり広がるからな。

範囲回復の場合、敵も回復するかもという懸念点はあるけど、後方支援としても心強いことこの上ないな。

 

「次に小猫」

 

「……はい」

 

小猫ちゃんも相当気合いが入ってる様子だ

 

「おまえは申し分無いほど“戦車(ルーク)”としての才能をもっている。おまけにイッセーとの修行を経て、現状でも中々のものになっている……が、リアスの眷属には戦車のおまえよりもオフェンスが上のやつが多い」

 

「……分かっています」

 

まあそうだな。俺を除いても木場にゼノヴィアといった風に、攻撃力が小猫ちゃん以上の奴が部長の眷属には多い。

それを自覚してるからか、小猫ちゃんも悔しそうだ。

 

「まあ、お前に関していえば、俺よりも適任者がいるからそいつに任す」

 

「適任者?」

 

「白音の修行については私が見るにゃん」

 

そう言いながらやってきたのは黒歌だ。セラとともにポーズをとりつつ登場してきた。

この二人は今朝こっちにやってきたらしい。やはり手配犯ということもあり、手続きがいろいろ難航したんだとか。

 

「……お姉さま」

 

「白音には私が“猫魈”としての力の使い方を教えてやるにゃん♪しっかりついてきてね」

 

「……はい。よろしくお願いします」

 

姉妹同士、修行の相性は抜群だろう。もしかしたら、グレモリー眷属で一番成長するのは小猫ちゃんかもな。

……ところで。

 

「俺とミッテルトは何すればいいんですか?」

 

ぶっちゃけ俺たちはレーティングゲームに出ないから修行する必要とかはないけど、手持無沙汰になるのも悪い気がするしな。

修行の手伝いでもするか?

 

「ああ、イッセーには客がいるんだ。そろそろかな?」

 

アザゼル先生が空を見上げて何やら呟く。

客?誰か来るのか?

すると、空からかなり強い“妖気(オーラ)”が近づいてきた。

空を見上げると、俺の視界にデカい影が……って、こっちに猛スピードで向かって来てるぞ!?

 

 

ドオオオオオオオオンッ!

 

 

それは地響きを鳴らしながら俺の目の前に着地した。

土煙が舞い、それが収まった後現れたのはデカい龍だった。十五メートルはあるな。

存在値にして65万ってところか。かなり強そうだな。

 

「アザゼル、よくもまぁ悪魔の領土に堂々と入れたものだ」

 

「ハッ!サーゼクスからの許可は貰ってるぜ?文句あるのかよ?」

 

「ふん。まあいい。それで、そこにいるのが歴代最強の赤龍帝か?」

 

「そうだ。イッセー、紹介するぜ。このドラゴンは“魔龍聖(ブレイズ・ミーティア・ドラゴン)”タンニーン。元龍王の一角で今は転生して悪魔になっている。こいつがおまえの修行相手だ」

 

タンニーンって聞いたことある名前だ。確か、元六大龍王の一角だったドラゴン。

以前、ドライグに教えてもらったことがある。元々龍王は六体だったが、一人が悪魔に転生したことで“五大龍王”になったという話を。

その悪魔に転生した龍王こそ、目の前にいるタンニーンさんということか。まさか、こういう形で会うことになるなんてな。

とりあえず挨拶しとくか。

 

「兵藤一誠です。よろしくお願いします」

 

「ミッテルトといいます。よろしくっす」

 

「うむ。なるほど。人間とは思えない力を感じるぞ。こうして見てても隙が全く見当たらん。歴代最強というのも誇張じゃなさそうだな。そちらの堕天使も大したものだ」

 

タンニーンさんは俺たちを見て面白そうにしている。サイラオーグさんもそうだけど、歴代最強の赤龍帝とか呼ばれてるの、割と広まってるんだな。

なんかむず痒いな。ドライグも余計なことを言いやがって……。

 

「こいつは前々から歴代最強の赤龍帝であるお前に興味があったらしくてな。俺としても、お前の力に興味があったし、せっかくなんで呼んできたんだ」

 

「うむ。あのティアマットを破ったという話を聞いたときは何かの間違いかと思ったが、この様子だと真実なのだろう。大したものだ」

 

そうか、同じ龍王であるティアマットさんとは知り合いなのか。

なんでもタンニーンさんはティアマットさんと何度か戦ったことはあるらしいが、勝てた試しがないのだという。

まあ、あの人俺と戦ってた時もぶっちゃけ全然本気出してなかったしな。仮にあの人が本気で戦っていたのならば、俺も取り繕う暇はなかったと思う。少なくとも、“禁手”なしでは勝てなかっただろう。

考えれば考えるほど、あの人も規格外だよな……。流石はヴェルグリンドさんの弟子といったところか。

 

「お前らは他の奴らの修行期間中はタンニーンと特訓でもしててくれ。今ゲームには参加しないこともあるし、正直な話、俺からお前らには教えることなんざ現時点ではほとんどないからな。俺もお前らの力を把握しときたいし、するなら実戦形式がいいと思うしな……」

 

「「ええ……」」

 

そんな適当な……。でも確かに仕方ないところはあるのかな?

まあ、いいか。俺も俺で強くならないとだしな。俺とミッテルトは好戦的な瞳でタンニーンさんを見据えた。

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