帰ってきたらD×Dだった件   作:はんたー

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山籠りとダンスです

イッセーside

 

 

 

 

ドゴオオオオオオオン!!!

 

木々が吹き飛び、山が崩れ、辺りにはたくさんのクレーターが現在進行形で生まれている。

 

「おらぁ!」

 

俺はタンニーンさんが放った炎の息(ブレス)を拳で打ち消す。

その余波で炎が飛び散り、この場は火の海と化している。

 

「流石だな赤龍帝の小僧。だが、これならばどうだ!」

 

その一瞬の隙をつき、タンニーンさんが巨大な拳で俺をぶん殴ろうとする。

 

「ふん!」

 

俺も闘気を拳に集め、タンニーンさんの拳を相殺する。

二つの拳の衝撃波が波紋上に飛び交い、クレーターが生まれ、近くにあった岩山が崩壊する。

流石に龍王と呼ばれるだけあってタンニーンさんは強い。

ティアマットさん程じゃないにしても、技量もたいしたものだ。少なくともヴァーリよりは上。

俺の弟妹弟子たる竜王たちと比べても遜色はないどころか、上回ってる可能性だってある。

だが……

 

「ぐお!?」

 

俺は一瞬の隙をつき、タンニーンさんの顎を蹴り上げる。

タンニーンさんがその威力に仰け反ると同時に俺はタンニーンさんを地面に叩きつけた。

 

「ぐむ、人間とは思えん威力だな……」

 

「鍛えてますからね」

 

タンニーンさんは確かにすごいドラゴンだ。特にブレスの威力は凄まじい。

存在値以上の威力を発揮しているように思える。

だが、俺だって今まで数多の強敵たちと戦ってきたんだ。

この程度ならば造作もないのだ。

 

「まだまだ行きますよ!」

 

「いいだろう。来い!小僧!」

 

俺たちはさらにオーラを高める。大気が震え、辺りに亀裂が入る。

俺たちはそのまま激突しようとし……

 

「おお、やってるな」

 

「イッセー!ご飯すよ──!」

 

ミッテルトとアザゼル先生の声で気が抜けてしまった。

 

 

 

 

****************************

 

 

 

 

 

「うまい!」

 

俺はアザゼル先生の差し入れのおにぎりとお弁当、ミッテルトの作った手料理を食べていた。

うまい!おにぎりは部長が作ったらしく、最高の味付けだ!アーシアが作った弁当もあるのだがら優しい味がしてこれまた最高だぜ!

 

「朱乃が作った弁当もある。リアスと火花散らして作ってたんだぜ」

 

ハハハと笑いながら先生は言う。

なるほど。その光景が目に浮かぶぜ。

 

「うちが作った食事もちゃんと味わって食べるんすよ」

 

「わかってるって」

 

ミッテルトが作ったのは山の食材をふんだんに利用した魚と山菜の唐揚げだ。

ミッテルトもこの山で俺と一緒に修行してるわけだが、流石はシュナさんゴブイチさんの弟子と言うべきか、山の食材だけで恐ろしいクオリティーの品々が出てくるんだ。

山菜、魚はともかく油とかどこで手に入れたんだ?

 

「そこらにオリーブによく似た実があったんで、そこから抽出したんすよ」

 

ほんとすげえな!サバイバル慣れしてるだけあって大したものだ。

 

「途中から見てたが、よく禁手なしでタンニーン相手にあそこまで戦えるな。正直引いたぞ」

 

「ひでえ!?」

 

先生が半目で呆れながらそう言った。流石にひどくない!?

 

「いや、アザゼルの言う通りだぞ。ハッキリ言って人間とは思えん」

 

ミッテルトが用意したドラゴンサイズの素揚げを食べながら呟くのはタンニーンさんだ。

別にあれくらい、“聖人”級ならばできると思うんだけどな……。

 

『相棒。お前は少し常識を学び直した方がいいぞ。この世界では“聖人”どころか“仙人”級すら滅多に現れないんだからな?』

 

あ、それもそうか。

ついつい向こう基準で考えてしまうな。

いや、冷静になれば向こうでも聖人級まで至れるのは割りと稀か。

と、ここで俺はあることを思い出した。

 

「そういえば、ヴァーリの奴って“覇龍(ジャガーノート・ドライブ)”を使えるんですか?」

 

“覇龍”。

神器に封じられ、制御されている二天龍の力を強制的に解放する状態。

一時的に神に匹敵する力を得られる代わりに暴走状態となり、寿命を大きく削り、理性を無くす危険な力だ。

ヴァーリは俺との戦いの時、“覇龍”を使おうとしていた。故に気になったのだ。

アイツの育ての親であるアザゼル先生ならば知ってると思うけど……

俺の言葉を聞いたアザゼル先生は箸を置き、考えるような素振りを見せた。

 

「ああ、あいつは自身が持つ膨大な魔力を消費することで数分間覇龍を使えることができる──はずだが、あの時のアルビオンの焦り具合から察するに、まだまだ危険が伴うんだろう。……おまえは使ったことがあるのか?」

 

「あ、はい。というか、俺の場合、覇龍を制御できるんで」

 

俺の言葉にアザゼル先生とタンニーンさんは目を丸くして凝視してくる。

二人とも面白い顔だな。

 

「覇龍を制御しただあ!?どういうことだ!?」

 

衝撃から覚めたアザゼル先生が俺の肩を掴み、ブンブン揺らしてくる。

その目は少し血走っているし、少し怖えよ……。

 

「アザゼル先生。イッセーが苦しそうっすよ」

 

「おっと、スマンスマン」

 

あー、びっくりした……。

俺は少し息を整えると咳払いをし、説明することにした。

 

「覇龍は歴代の亡霊……残留思念が力を求め、暴走を引き起こすことで成るものじゃないですか」

 

覇龍は過去の赤龍帝の力を求める怨念から発動する。

怨念が呪いと化し、神器の暗黒面として所有者に何か起きるたびに力を暴走させようとしてくる。

 

「ならば、その怨念を……憎悪を解消してやればいい。そう考えた俺の恩人と師匠が協力してくれて、お陰さまで無事、歴代の亡霊と和解して覇龍をコントロールできるようになったんです。今では覇龍を超え、“進化した覇龍”なんて物にも至れるようになったんですよ」

 

そこまで言って俺は我に返る。

流石に“進化した覇龍”の話しはしない方がよかったかな?と……

 

「……マジかよ。そんなこと……可能なのか?」

 

実際、リムルと師匠がいなければ俺は歴代と和解することは難しかっただろう。

当時は究極能力もなく、苦戦もしたが、二人のサポートとエルシャさん、ベルザードさんの力がなければ不可能だったと思う。

……まあ、歴代があんな感じになるのは流石に予想外だったけど。

師匠は爆笑してたし、リムルは寒い目で見てたしで本当にいたたまれない気持ちになったわ。

まあ、それはともかくとして、そのお陰で俺は覇龍の先に行き着き、今では()()()の名付けでさらに進化を遂げ、今は覇龍とは全く別物の超常状態に至っている。

 

「おい!じゃあその“進化した覇龍”とやらを見せてくれ!すげえ気になる!」

 

やっぱりか。こうなると思ったからさっき後悔したんだよな。

 

「いや、アレは制御はできるんですけど細かいコントロールが難しくて……少なくともこんなことで一々発動するものじゃないので……」

 

「イッセーのアレはオーラだけでもヤバいすからね。うちらレベルでも多分大ダメージ負うっすよ」

 

「そこまでなのか……クソッ!目茶苦茶気になるぞ!」

 

アザゼル先生も納得はしてくれたがかなり悔しそう。

“進化した覇龍”は()()()()()だ。

実際、あの形態には覚醒魔王級じゃないと至近距離の妖気と()()覇気に耐えられないだろう。

魔国時代は迷宮に籠り、膨大な妖気の濁流に慣れているミッテルトはともかく、力はあっても慣れてはいないだろう二人には少々キツイと思う。

 

「あの力を完全に扱える上、新たな形態まであるとは凄まじいな。聞くに白も覇龍をある程度は扱えるのだろう。全く、今代の赤と白はとことん規格外だな」

 

タンニーンさんは苦笑しながら呟いた。

 

 

 

 

 

****************************

 

 

 

 

 

「話は変わるんだが……」

 

「はい?」

 

食事も進み、あと僅かになったところでアザゼル先生はなにやら切り出してきた。

 

「おまえ、朱乃のことはどう思う?」

 

随分唐突だな。何事だ?

 

「良い先輩だと思います」

 

俺は素直にそう言った。Sモードの時が少し怖いけど、普段の朱乃さんはやさしいし、時折見せる年頃の女の子なところが目茶苦茶可愛いんだよな!

 

「そうじゃない。女としてだ」

 

「魅力的な女性です!」

 

俺の答えに先生は「うんうん」とどこか安堵しているようだった。

 

「そうか。俺はダチの代わりにあいつを見守らなければならないんだ」

 

「バラキエルさんのことですか?」

 

ダチ……というと心当たりはまだ見ぬバラキエルさんだろう。

朱乃さんの父親であり、堕天使の幹部。先生にとっては部下に当たる人物だ。

 

「そうだ。バラキエルのやつはシェムハザと同じ大昔からの仲間でな。若い頃は一緒にバカをやったもんだ。……気づけば、俺の周りは妻子持ちになってたけどな。シェムハザは悪魔の嫁がいるし、バラキエルは朱乃がいるし……」

 

深くため息をつく先生。

もしかして、独身なのを気にしてる?

 

「先、越されたんすか?」

 

ミッテルトの言葉にアザゼル先生は苦笑いだ。

 

「……俺は女なんていくらでもいるからいいんだよ」

 

遠くを見て答える先生。

どうやら婚期についてはタブーらしい。

 

「そういうわけで、俺は朱乃のことが気になるのさ。あの親子にとっては余計なお世話だろうがな」

 

「先生って世話焼きですね」

 

「ただ暇なだけだ。おかげで白龍皇も育てちまったがな」

 

そんなことはないな。この人はリムルと同じくお節介焼きなんだろう。

俺のことも朱乃さんのこともヴァーリのことも、全部世話を焼いてしまうんだろうな。

 

「とにかく、朱乃のこと、おまえにも任せる」

 

「任せる?」

 

どう任せるんだよ?戦闘の時に身を守れってことか?

まぁ、その時は体張って守るけどさ。

 

「おまえはバカだが、悪い男じゃない。分け隔てなく接してくれそうだ」

 

「……先生、話が見えてこないんですけど」

 

「ハハハハ、それでいいのさ。お前が本当のたらしならば修羅場だろうが、お前は周囲の信頼を得てから形成するタイプだ。お前ならなんとかできる、俺はそう思ってる」

 

「?????」

 

「同感っすね。うちも正妻()の立場を譲る気は毛頭ないっすけど、筋さえ通すのなら問題はないっす」

 

「????????」

 

筋を通さないうちは断固拒否するっすけどね……となにやら呟きながらミッテルトは飲み物をのむ。

言いたいことがいまいちわからん。

ミッテルトは呆れたようにため息をはいてるし、マジでこれなんの話だ?

 

「よく分からないけど、まぁ、朱乃さんのことは俺が守りますよ!もちろん朱乃さんだけじゃない!他の皆のことも!」

 

「よし、お前がそう言ってくれるなら俺も安心できるものさ。朱乃のことはお前に任せたぞ」

 

「はい!」

 

アザゼル先生は俺の言葉に安堵し、一杯の酒を口にする。

俺も飲みたいな……。

 

「さて、行くか。イッセー、お前を一度連れ出せと言われててね。一度グレモリー邸に戻るぞ。タンニーン、少し借りるぞ。明日返すからよ」

 

「ああ。どのみち午後はミッテルトの時間だしな」

 

「うちは夜あまり食べるから大丈夫っすよ」

 

午前俺がタンニーンさんと戦っている間、ミッテルトは昼飯の準備をしていたわけだが、実は午後は俺が食事の準備をしてミッテルトが修行をする時間だったりする。

ミッテルトとタンニーンさんの力はほぼ互角といった感じで中々どうして見ごたえのある戦いをするんだよな……。

タンニーンさんに負担がでかいとも思うのだが、流石に巨体なだけあって中々どうして体力もあるらしく、少なくともここ三日くらいはずっとそんな感じの生活を送っている。

それはそうと……

 

「連れ戻す? 誰に言われたんですか? 部長?」

 

いきなり俺だけ帰還命令。別にいいけど少し気になるな。

てっきり部長が呼び出したのかと思ったが、アザゼル先生の口からでたのは意外な人物だった。

 

「いや、その母上殿だ」

 

まさかの部長のお母さん────ヴェネラナさんからの呼び出しだった。

 

 

 

 

 

****************************

 

 

 

「はい、そこでターン。ダメね。ほら、一誠さん、ボケッとしてないで最初からよ」

 

グレモリー本邸から少し離れた位置にある別館。そこで俺はヴェネラナさんと社交ダンスの練習をしていた。

……なぜに?

しかも結構難しい……。まあ、貴族の会合とかそういう場に行く機会は幾度かあったけど、こういうダンスの経験はまるでなかったからな。

現在、俺はヴェネラナさんと密着状態でダンスレッスンをしてる!ヴェネラナさんのおっぱいが当たってすごく柔らかい!流石はあの部長のお母さんだぜ!遺伝子って素晴らしい!しかも、人妻だからか!?弾力と感触に熟れた感じがしてすごく気持ちいい!本当に本当にありがとございます!!

 

「少し休憩かしら?」

 

「あ、はい」

 

お許しが出たので俺は近くの椅子に座り込み、置いてあった飲み物を口にする。

疲れた。正直戦闘とは別種の疲れだ。ある意味でタンニーンさんとの修行よりも疲れたかもしれない。

……と、ここで俺は疑問に思ったことを思いきって聞いてみることにした。

 

「あの」

 

「何かしら?」

 

「どうして俺だけなんですか?木場とかギャスパーは?」

 

そう、聞いておきたかったのは、なんで俺だけ?という点である。

グレモリーの教育はまだ納得できる。だって悪魔歴の長い木場とギャスパーはとっくに学び終えてるだろうと予想できるからだ。

だが、ダンスは別だろ?

下僕は余程のことがない限り、社交の場には顔出しできないという話も聞いてるし、ましてや人間である俺が個別でやる意味がわからん。

紳士を教え込むならあの二人もいるじゃないか。

その問いにヴェネラナさんは答える。

 

「木場祐斗さんは“騎士(ナイト)”として既にこの手の技術は身に付けています。ギャスパーさんも頼りない振る舞いが目立ちますが、吸血鬼の名家の出身だけあって、一応の作法は知っています。問題は人間界の平民出である一誠さんです。……ですが、夕食の時の作法を見るに、ある程度のことを身に付けているようですね。ダンスの上達も早いし、正直言うと驚きました。これならばリアスと共に社交界に出ても問題はなさそうね」

 

ヴェネラナさんは感心したように言う。

まぁ、基軸世界での経験が活きたってところか。

……ん?社交界?

 

「え?俺がリアス様と社交界に?」

 

「おっと、口が滑りましたわね。そういうこともあるかもしれないということです」

 

ヴェネラナさんは微笑みながらそう言う。

まあ、確かに、先ほど余程のことがない限りと言ったが、数万年も生きればその余程のことに遭遇する機会だってあるかもしれない。その時のために今のうちに練習した方がいいだろう。

そういえば肝心の部長は何してるんだろう?

皆の修行も気になるな。

 

 

 

 

 

****************************

 

 

 

 

 

「あ、部長。小猫ちゃんにセラも」

 

「イッセー!」

 

「あ、イッセーお兄ちゃんなの!」

 

「……お久しぶりです。先輩」

 

ダンスレッスンも終わり、一旦本邸に移動した俺を迎え入れてくれたのは部長とセラ、小猫ちゃんだった。

こうして会うのは数日ぶりか。

なんてことを考えていると部長がいきなり抱き着いてきた!

あ、この感じ、久々かも……。部長からおっぱいの感触と超絶いい匂いが……。

 

「ああ、イッセーの匂い……」

 

「えっと、汗臭くないですかね?」

 

「いいのよ。貴方のにおいに違いはないわ。寂しかったのよ?こちらに来てからというものの貴方とともに寝ることもできないし、貴方を感じることもできないのだから……」

 

そこまで思ってもらえるとかなりむず痒い感じがするな。正直言って滅茶苦茶嬉しいっす!

向こうでの修行生活も中々楽しいけど、皆がいないとやっぱり物足りないと感じることもあるからな。

 

「セラも小猫お姉ちゃんと頑張ってるの!」

 

そう言いながら胸を張るセラにほっこりする。

セラは現在、小猫ちゃんと黒歌と共に修行しているらしい。

記憶喪失であるセラがどういう存在なのかはまだ正確にはわかってない。アザゼル先生もちょっとした検査をしたらしいのだが、皮膚や内臓機関、そのすべてが未知の金属で形作られているらしい。

もう少し詳しい検査もしたいらしいが、問題はセラ自身が己の力をまるで制御できてないということだ。

その時によって存在値が変動し、時に“超級覚醒者(ミリオンクラス)”にまで達するセラを目の届かないところにやると、もしかしたら大変なことが起きるかもしれない。

そこで何が起きても即対処可能であろう黒歌に任せているわけだ。

まあ、黒歌は今でも一応は指名手配中の身。流石にグレモリー本邸には上がれないらしいけど、気配から察するにほど近い場所に隠れているのだろう。

 

「それにしても、二人とも見違えましたね。特に小猫ちゃんはすごく強くなってるな」

 

「……ありがとうございます」

 

少し照れながらそっぽを向く小猫ちゃん。

実際、黒歌の修行についていってるだけあって、数日前と比べるとかなり強くなっている。EPも数日前は2万前後といった感じだったのに、現在では4万近くまで上昇している。

妖気の流れから察するに、仙術に関する指導も受けているようだ。実際は数値以上に強くなっているのかもしれないな。

部長も5万程度には上がっているし、さすがは堕天使の総督の組んだ育成プログラムといったところか。

 

「……正直、私はまだ猫又の力が少し怖いです」

 

小猫ちゃんはぽつりと呟いた。まあ、それは仕方がないかもしれない。

真実を知り、和解できたとはいえ、それとこれとは別問題だ。

再会したばかりの時の拒絶ぶりから察するに、黒歌の行いは相当なトラウマになったんだと思う。

俺も話でしか聞いてないが、当時の現場は相当凄惨なものだったらしい。それを幼いころに見てしまえばトラウマの一つや二つ生まれるだろう。

 

「……でも」

 

一拍置いて小猫ちゃんは告げる。

 

「だからこそ、私は猫又の力を使いこなせるようになりたい。あの時の恐怖を……乗り越えたいんです……」

 

小猫ちゃんは強い瞳でそう告げた。

 

「……だから先輩、私のこと、見守っててください」

 

「……ああ。もちろん!小猫ちゃんなら猫又の力も使いこなせるはずさ。そうすれば、“ヘルキャット”なんて呼ばれるようになるかもしれないぞ」

 

「……ヘルキャット?」

 

「うん。“冥界猫”って描いてヘルキャット。黒歌は今の主のもとで悪夢の黒猫────“ナイトメア・キャット”って呼ばれてるからさ、小猫ちゃんにもそう言う二つ名的なのあればお揃いでいいかなと思って考えたんだ。どうかな?」

 

「……“冥界猫(ヘルキャット)”。先輩にしてはいい名前です」

 

俺にして張って……苦笑する俺を小猫ちゃんは少しおかしそうにクスリと笑う。

 

「ありがとうございます先輩。やっぱり先輩は優しい赤龍帝です」

 

小猫ちゃんは礼を言いながらそんなことをつぶやいた。そんな小猫ちゃんの表情はとてもうれしそうに思えた。こうして俺たちの夜は更けていったのだった。

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