帰ってきたらD×Dだった件   作:はんたー

59 / 155
魔王主催のパーティーです

イッセーside

 

 

 

 

 

「おらぁ!!」

 

「ぐおっ!?」

 

ドン!と大きい衝撃音と共にタンニーンのおっさんが吹き飛んでいく。

タンニーンのおっさんは翼をはためかせ、中空で体勢を立て直し、再び俺に構えなおす。

しばらくの間、緊張した状態が続く……が、その均衡はすぐに崩れ出した。

 

「油断大敵っすよ。イッセー!タンニーンさん!」

 

「げっ!」

 

「うおっ!?」

 

そう言いながらミッテルトが俺とタンニーンのおっさんに“霊子閃光波(ホーリーレイ)”を放つ。

俺とおっさんはそれを迎撃しながらもミッテルト相手に気弾と息吹(ブレス)を放つ。

 

「流石っすね……。でも、これで終わりじゃないっすよね!」

 

「当たり前だろ!まだまだ行くぜ!」

 

「なかなかやるな!だが、俺も負けんぞ!」

 

俺たち三人の三つ巴からなる戦闘はますますヒートアップしていく。

魔王種級のエネルギー三つのぶつかり合い。すでに当たりの山は原形をとどめてはいないが、今日はできる範囲までとことんやるつもりだ。

何しろこれが修行の最終日だからな。

 

 

 

 

 

****************************

 

 

 

 

 

「では、俺はこれで帰る。魔王主催のパーティーには俺も参加する予定だ。また会おう、兵藤一誠にミッテルト。それとドライグ」

 

おっさんの背に乗って帰ってきた俺はグレモリー本邸でタンニーンのおっさんと別れることになった。

 

「おっさんありがとう!パーティーでまた!」

 

「色々ありがとうございました」

 

『すまんな、タンニーン。また会おう』

 

「ああ、俺も楽しかったぞ。まさかドライグの宿主と修行する日が来るとは思わなかったからな。長生きはするものだ。そうだ、パーティー入りの時は俺の背に乗るか?」

 

「え?いいの?」

 

「ああ、問題ない。俺の眷属を連れて、当日にここへ来よう。詳しくは後で連絡する」

 

「何から何まで、本当にありがとうございます」

 

ミッテルトが礼を言うと満足そうにおっさんは翼をはためかせる。

 

「では明日此処に来よう。さらばだ!」

 

そう言うとおっさんは羽ばたいて空へ消えていく。

俺たちは手を振ってそれを見送った。

 

「いや~、なかなかいい人だったっすね。いい修行になったな~」

 

「本当にな。明日のパーティーが楽しみだぜ」

 

現在八月十五日。会長眷属とのゲームまで五日を切っていた。みんなの修行もそこそこ大詰めを迎えているころだろう。

参加しない俺は本来続けててもいいのだが、ゲーム前にサーゼクスさん主催のパーティーが開かれるらしいのだ。

グレモリー眷属の候補である俺、さらに今回のパーティーにはミッテルトも招待されているため、俺たちも修行を急遽切り上げたというわけだ。

 

「やあ、イッセー君」

 

聞き覚えのある声に振り替えると、そこにはジャージ姿の木場がいた。

なかなかいい面構えになったな。強さも以前よりかなり増している。

恐らくは並みの“上位悪魔(グレーターデーモン)”くらいならば一蹴できるだろう。

もしかしたら“上位悪魔騎士(ディアブルシュバリエ)”が相手でも互角ぐらいには戦えるかもしれないな。

…………まあ、それはともかくとして、何で木場は俺の体を凝視してるんだ?

今の俺は先ほどの三つ巴の修行で服がボロボロになっているんだが……。そんな困惑してる俺に木場はとんでもない爆弾発言をかましやがった。

 

「逞しい身体だね」

 

ゾクッ!と背筋が凍るほどの恐怖を感じた俺は思わず身を隠すようにする!

 

「や、やめろ!そういう目で俺を見るな!」

 

「ひ、酷いな。ただ、僕は筋肉が付きにくいから羨ましいと思っただけだよ」

 

だからって変な言い方するんじゃねえよ!?正直言ってここ最近で一番身の危険を感じたぞ!

するとどこからともなく謎のミイラがぬっと俺たちの前に現れた。

 

「おー、イッセーと木場、ミッテルトか」

 

そのミイラは────ゼノヴィアだった。ゼノヴィアは全身余すことなく包帯ぐるぐる巻きになっており、その姿はどっからどう見てもミイラにしか見えない。

 

「え~と、久しぶりっすねゼノヴィアちゃん……?」

 

「ああ。久しぶり」

 

「……なんだその恰好?」

 

「うん。修行してケガして包帯巻いて、修行してケガして包帯を巻いてたらこうなった」

 

ちょっと何言ってるかわからない。馬鹿なの?

 

「ほとんどミイラ女じゃねぇか!」

 

「失敬な。永久保存されるつもりはないぞ?」

 

「そういう意味じゃねぇよ!」

 

相変わらず訳の分からんことする子だな。なんていうか、流石は安定のゼノヴィアさんと言ったところか。

まあ、修行の成果というか、木場ほどじゃないにしてもゼノヴィアもパワーアップしてるのが見て取れる。

いや、外見はむしろ劣化してるんだけど……。

 

「イッセーさん!ミッテルトさんに木場さん、ゼノヴィアさんも!」

 

城門から出てきたのはアーシアだった。服は制服じゃなくてシスター服。

やっぱりアーシアといえばこの服だよな。メチャクチャ似合ってるや。

 

「皆お帰りなの!」

 

「あら。外出組はみんな帰ってきたみたいね」

 

次に出てきたのはセラと部長の二人だ。

部長は俺に近づくとぴったりと俺に抱き着いてきた!懐かしいおっぱいの感触が俺を至上の悦びへといざなっていく!しかもメチャクチャいい匂いするし!

 

「久しぶりのイッセーの感触……相変わらず逞しいわね」

 

「そ、そう言ってもらえると光栄です!」

 

ああ、やばい。これだけで疲労とか吹き飛んでいく気がする。

 

「部長。気持ちはわからんでもないっすけど、まずは着替えとかが先じゃないっすか?」

 

ミッテルトはそんな俺と部長をジト目で見つめる。

ミッテルトの言葉にハッとした部長は俺から離れて告げる。

 

「さて、皆。入ってちょうだい。シャワーを浴びて着替えたら修行の報告会をしましょう」

 

どうやら今日は久々にベッドでぐっすり眠れそうだ。

そう考えながら、俺はグレモリーの城門を潜り抜けた。

 

 

 

 

 

****************************

 

 

 

 

 

俺たちが全員集合するのは実に二週間ぶりとなる。

外で修行していた俺、木場、ゼノヴィアはシャワーを浴びて着替えた後、俺の部屋に全員が集まることになった。

なんで俺の部屋なんだろう?一番集まりやすいからという理由らしい。

正直、部長の部屋でいいのでは?とも思ったけど部長が強く嫌がったのでこの部屋となったのだ。

……なにか見せられないものでもあるのだろうか?

まぁ、そんなわけで集まった俺たちは各自の修行を報告していた。

木場は師匠との修行顛末。ゼノヴィアの修行内容。

どちらも今の二人の実力から見るとハードと思えるもので、その甲斐あってかとてもパワーアップができたらしい。俺たち二人も龍王との修行について話した。いくつか山が消し飛んだことか。

それを聞いた皆は……完全に引いていた。

 

「部長、ごめんなさい。結構地形とか変わっちゃって……」

 

「本当に申し訳ねえっす」

 

「い、いえ別にいいわよ。二人が無事ならそれで」

 

「いつも思うんですが……イッセー先輩って本当に人間ですか?」

 

まあ、正確には人間じゃなくて“聖人”なんだけど、それを馬鹿正直にいうわけにもいかない俺は苦笑いをするしかなかった。

それを見て呆れたアザゼル先生が手を叩く。

 

「ま、今日はこんなところだろ。これで報告会は終了だ。明日はパーティーだし、今日は解散としよう」

 

こうして俺たちは明日のパーティーに備えることになった。

 

 

 

 

 

****************************

 

 

 

 

 

パーティー当日。

俺たちは駒王学園の制服に身を包んで待機していた。

パーティーの服装としてはどうなの?とも思ったが、腕章についてるグレモリーの紋章があれば大丈夫なのだと。

まあ、そもそもパーティーに参加するとか思ってなかったから、パーティー用のタキシードなんて持ってきてなかったから、そういう意味では助かったかな。

ちなみに女子勢はメイドさんとともに何処かへ行ってしまった。

木場とギャスパーも用事があるとか言って何処かへ行ったけど、何してるんだろう。

 

「よう兵藤」

 

聞き覚えのある声に振り返ると匙がいた。

 

「おう、匙。久しぶりだな。……なんでここに?」

 

「ああ。会長がリアス先輩と一緒に会場入りするってんで、俺達シトリー眷属もついてきたんだ。で、会長は先輩に会いに行ったし、仕方がないから屋敷をうろうろしてたんだよ。そしたら、ここに出た」

 

なるほど。つまりは迷子か。

まあ、この本邸、かなり広いから迷うのも分かるけどね。

そんなこと考えていると、匙は近くにあった椅子に座る。何やら真剣な面立ちだ。

 

「俺もかなり修行してきたぜ。お前に負けないようにな」

 

「……俺、ゲームでないんだけど?」

 

「わかってるよ。でもよ、いつかはお前と戦うこともあるかもしれないだろ?」

 

まあ、これから先、そういう機会も確かにあるかもしれない。匙はそう言う先のことも見据えているのか。

その目からは強い覚悟を感じる。

現時点の単純な戦力でいえば木場には劣ってるだろうが、これは相当手ごわそうだな。

気合も部長たち以上に入ってるように感じられる。これは勝敗はわからないぞ。

ゲームが楽しみになってきた俺をよそに、匙は頬を掻く。

 

「兵藤、ありがとな。この間、若手悪魔が集まった時、会長の夢が上の連中に笑われた時、怒ってくれて……」

 

「別に礼なんていいよ。俺は思ったことを言っただけだし」

 

その結果、レーティングゲームには出られなくなったが、結果的にはこれでよかったとも思っている。

俺たちが出たらそれこそ“バランスブレイカー”もいいところだしな。

 

「……俺さ、先生になるのが夢なんだ」

 

匙の言葉に俺は無言で頷く。そんな俺を見た匙は自らの夢を語り出した。

 

「あの時も言ったように、会長はレーティングゲーム専門の学校を建てようとしている。悪魔なら、上級下級貴族平民関係なしに入れる学校を。悪魔ではまだまだ差別意識が根強くて、レーティングゲームの学校も貴族にしか受け入れられてない。貴族以外の悪魔でも、ゲームの結果次第で上級悪魔に昇格できるのに……会長はそれを何とかしたいって言ってた」

 

悪魔の世界でも階級による差別は根強い。

それを何とかしたいと思う気持ちはわかる。向こうの世界でも、緩和されてきたとはいえ、魔物に対しては根強い差別意識があるしな。

俺からすれば、魔物も人も変わらない存在に思えるけど、他の人からすればそうじゃない。

悪魔も同じでいかに改革を推し進めても、納得しない人や古い思想に囚われる者も多いのだろう。

 

「だから、俺はそこで先生をしたいんだ。いっぱい勉強して、蓄えて、“兵士(ポーン)”のことを教える先生になりたいんだ。そうやって、会長のお側で、会長の手助けするのが俺の夢なんだ!」

 

匙は照れながらそう言った。

いい夢だな。正直、かなり尊敬する。きっとコイツならいい先生になるだろう。不思議とそんな確信が俺にはあった。

 

「立派な目標だな。いい先生になれよ」

 

「ああ。そのためにも、今回のゲームは必ず勝つ!」

 

「言っとくけど、一筋縄じゃいかないぜ。木場もかなり強くなってるからな」

 

「それでも勝つのは俺たちだ。上にバカにされた以上、結果を出さないといけないしな」

 

匙の瞳は真剣そのもの。こういう奴は本当に油断できない。

ゲームがどうなるのか、とても楽しみだぜ。

 

「それはそうとだ……」

 

「ん?なんだ?」

 

「先生になりたいんだったら、勉強も大事だが、早めに子どもと触れ合う機会とかもうけた方がいいぜ。子どもは生意気は奴が多いからな。早い段階から慣れておいた方がいい」

 

本当に子どもというのは油断ならない存在だからな。

早い段階からそういうのに慣れた方がいいだろうという俺からのアドバイスだ。

そんな俺の言葉に匙は怪訝そうな顔で首を傾げる。

 

「……なんか、含みのある感じだな?そういう経験とかあるの?」

 

「ああ、俺、少しの間だけど、講師のアルバイトしたことあるからな。その経験則みたいなもんだよ」

 

「え!?マジで!?」

 

そう。僅か一年の間だが、俺は『テンペスト人材育成学園』にて担任教師を勤めていた時期があったのだ。

生意気な奴らが多くて大変だったけど、それでも上手くやっていけたのは偏に子ども達と触れ合う経験があったからだと思う。

10年前に剣也たちと一緒に過ごしたことで、子どもの扱いに慣れてたから、そこそこ上手くやれたんだよな。

……まあ、座学を教える……なんてことは流石に剣也たち相手にすらやったことなかったし、慣れるまで時間を要したけどな……。

そういうのも踏まえて、できる限りの経験は今のうちに積んだ方がいいだろう。

 

「あ、じゃあさ、兵藤がアルバイトしてた場所教えてくれよ」

 

「……え?」

 

「いや、一から探すのも大変だし、お前が塾講師のアルバイトしていたなんてかなり意外だけど、バイトしてたんならお前の方から紹介とかも出きるだろ?」

 

「あ~、それは……」

 

やべえ!?予想だにしてない展開になってきたぞ!?

どうしよう!?流石に異世界関連のことを話すわけにはいかないし、適当にごまかすか?

 

「匙くんは今は悪魔関連の業務で忙しいっしょ?取り合えず、レーティングゲームやらなんやらのゴタゴタが終わったあとでもいいんじゃないっすか?」

 

「あ、ミッテ…………」

 

「ちょっとイッセー。あまり迂闊なことは……って、どうしたんすか?」

 

ミッテルトの声に振り向くと、そこにはドレスアップした皆の姿があった。

ミッテルトはウエディングドレスを彷彿とさせる純白のドレスを着ており、胸元にある一輪の花がその美しさをさらに引き立てていた。

その姿に見惚れてしまい、俺は言葉を発することができずにいた。

ミッテルト以外の皆も西洋ドレスを着込んでおり、とても美しい。

ああ、もう死んでも……………ん?

 

「……いや、なんでお前までドレス着てんだよギャスパー!」

 

「だ、だって、ドレス着たかったんだもん」

 

そう、一瞬気付かなかったが、よくよくみるとギャスパーもドレスを着て佇んでいたのだ!似合ってるのが非常に腹立つ!

パーティーの場にまで趣味を持ち込むとは、コイツの女装癖も大したもんだな。

 

「サジ?どうしました?」

 

見ると匙はミッテルトを見た時の俺のように固まっていた。

わかるぞ!その気持ち!惚れた女のドレス姿はマジでいいよな!

そんな状況の中、軽い地響きと共に何かが庭に飛来する思い音がしてきた。

一瞬ミリムさんか!?とも思ったが、この世界にそんなことあるわけがなく、そもそもつい昨日約束したばかりだろうと思い直した。

 

「タンニーンのおっさん。もう来てくれたのか」

 

庭をみると中々に圧巻な光景が広がっていた。

何しろ、タンニーンのおっさんと同じくらいの大きさのドラゴンが十体も佇んでいたのだ。

これがおっさんの眷属の方たちなのかな?全員ドラゴンなのか。

 

「約束通り来たぞ!兵藤一誠!」

 

「うん!ありがとう、おっさん!」

 

「お前たちが背に乗ってる間、特殊な結界を発生させる。それで空中でも髪や衣装は乱れないだろう」

 

女はその辺大事だからな。とおっさんは豪快に笑う。

流石は龍王!こんな細やかな気遣いまでできるとは……。

 

「ありがとう、タンニーン。会場まで頼むわ。シトリーの者もいるのだけど、だいじょうぶかしら?」

 

「おお、リアス嬢。美しい限りだな。もちろん構わんよ。任せてくれ」

 

そういいながら、タンニーンのおっさんとその眷属龍達は俺たちが乗りやすいように体をかがめてくれた。

皆はおっさんやその眷属の背に乗り、鱗や角をしっかりとつかむ。俺もおっさんの頭に乗り、その立派な角をつかんだ。

 

「私も行きたかったの……」

 

「ごめんな。代わりと言っちゃなんだけど、何かしらのお土産持ってくるからさ」

 

「……わかったの」

 

下ではセラがしょんぼりしていた。流石にセラがパーティーに行くのは無理だったみたいだ。

元来、悪魔のパーティーだし、そもそも眷属候補という形とはいえ、人間である俺や堕天使であるミッテルトが行くこと自体、サーゼクスさんも相当無理してくれたらしいしな。

こればかりは仕方ないといえる。

 

「では行くぞ。しっかりつかまっていろよ」

 

おっさん達はグレモリー、シトリーの両眷属が乗りこんだのを確認するとその翼をはためかせ、大空へと舞い上がった。

  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。