今回メチャクチャ賛否あるかもしれないけど大目に見てください。
イッセーside
まさか、こんな展開になるとはな。
「あの冷静沈着な理論派の会長がこんな大胆な手を使うだなんて……」
「ああ。俺も驚いている」
画面にあるのは木場と小猫ちゃんの前に立ちふさがっているソーナ会長の姿だった。
部長が前線に出るのはまだわかる。部長は理論というよりは割と正面突破を狙う傾向があるからだ。
もちろん、そこにはちゃんとした理論を組み込んでいるのだが、それでも、取られたら負けのこの場面で出てくる胆力は相当といわざるを得ない。
────だからこそ、驚いたのだ。
部長以上に理論や理屈を重んじるソーナ会長が堂々と前線に出たことに。
「ソーナ会長にとってはよほど負けられない戦いなんすね」
「ああ。そうだな」
数でいえば、ソーナ会長の眷属は会長を含め、残り四人。部長たちは五人と数の上では逆転している。
だが、勝負はまだまだ分からなそうだな。俺はタブレット端末から目を離さずにそう思った。
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木場side
「まさか、ソーナ会長。貴方がこんな大胆な手を使ってくるだなんて夢にも思いませんでしたよ」
僕は水により貫かれた脇腹をさすりながらそう言った。
先ほどまで。僕と小猫ちゃんは仁村さん、そして匙君と戦っていた。
仙術を使えるようになった小猫ちゃんは特に苦戦することもなかったけど、仁村さんは粘り続けた。
匙君もそうだ。匙君は自分にラインをつなぎ、命を魔力に変換しながら攻撃してきたのだ。
まさに命がけの行動。僕はその気迫の影で気付かずにいたんだ。
思いもよらぬ伏兵……ソーナ会長のことを。
「“魔力感知”に加え、聖魔剣を持つあなたは厄介ですからね。どんな状況も臨機応変に対応してしまう。ゆえに、不意打ちを食らわすしかないと判断したのです。もちろん、貴方のことも忘れてませんよ……」
会長はそう言いながら、小猫ちゃんのほうに視線を向ける。
「あの女性がいる以上、貴女が“仙術”を扱えるようになっているというのは想定していました。ゆえに、留流子には時間稼ぎをしてもらったのです。仙術による感知の範囲は広い。ですが、戦闘中はどうしても視野が狭まってしまいますからね」
そういえば、仁村さんは小猫ちゃんの攻撃に当たらないように回避に専念していた。
今思えば、あれは小猫ちゃんの仙術の力を知っていたんだ。
仙術による拳を食らえば、オーラを根元から折られ、戦闘不能になると……。
「……まあ、それでも直前で気付かれてしましましたがね」
会長は小猫ちゃんの後ろにある抉れた床と水たまりを見つめていた。
小猫ちゃんは直前に会長の攻撃に気付き、身をひるがえして、その勢いのまま仁村さんを攻撃したのだ。
会長からすれば、自分の攻撃を利用されたようで少し複雑なのだろう。
それにしても、この人はいったい何手先まで考えているんだ?
「サジ、任せましたよ」
「ハイ!会長!」
来る!
匙君はラインを伸ばし、それを巻き取ることで一気に近づいてくる。
僕は匙君の蹴りを紙一重で回避し、聖魔剣を斬り裂こうとした。
ところが……。
バシャァァァ!!
「甘えよ」
「なっ!?水!?」
だが、会長の水の魔力が匙君の盾となり、攻撃が弾かれてしまう。
「っ!?」
一瞬呆気にとられた僕を匙君は見逃さなかった。匙君は貫かれた僕の脇腹目掛けて渾身の蹴りをいれたんだ。
僕はその衝撃で吹き飛ばされてしまう。
「えい!」
小猫ちゃんは匙君と離れ、孤立した会長と距離を詰め、仙術を纏わせた拳を叩き込もうとする。
だが、会長は慌てずに手を翳す。
すると、水でできた鷹や蛇が現れ、小猫ちゃんに襲い掛かってくる。
「こんなもの……」
小猫ちゃんはそれを見ても慌てず、拳を的確に放ち、水を操る核となっている魔力を仙術で乱していく。
魔力の乱された水の猛獣達はたちまち勢いをなくし、音を立てて崩れ去った。
「……なるほど。仙術の達人である、あの女性の指導を受けたというだけはありますね」
あの女性……黒歌さんのことだろう。あの人は今も指名手配中の身。言葉を濁すのはこの試合を見ている者達を混乱させないためだと思う。
会長は再び水の獣達を放つが、小猫ちゃんはそれを一撃のもとに叩きのめしている。
その動きは今までの小猫ちゃんとはまるで違う。これが小猫ちゃんの修行の成果なのか!
「はあ!」
「ぐはっ!」
水の獣を粉砕した小猫ちゃんは本丸である会長にその拳を撃ち込んだ!
「会長!?」
匙君は僕の相手をしながら複数あるラインを伸ばし、会長を引き上げた。
会長は仙術による攻撃を受けたにも関わらず、少しのダメージで済んでいるようだ。
「会長!大丈夫ですか!?」
「ええ。服の下に水のクッションを仕込んでましたからね」
見ると会長の衣服はずぶ濡れになっていた。水の魔力を防具にしていたのか?
会長は水の魔力を自在に操れるとは聞いてたけど、ここまで繊細なことができるのか!?
「……見誤りましたね。木場くんよりも警戒すべきは塔城さんでしたか……」
「私は“
「……そうですか。貴女にも貴女なりの思いがあるのですね」
ですが……そう付け加えながら、会長はさらに魔力を高める。瞬間、水のよって形作られた獣がさらに複数体出現した。
会長は水の蛇に乗りながら強い瞳で僕たちを見据えている。
「私にも絶対に負けられない理由があります。勝ちを譲るつもりはありません」
水の獣達は再び僕たちに襲い掛かってきた。
僕は水を吸い取る性質を持つ“聖魔剣”を作り出し、水の獣達をすいとろうとする。
「こんなもの……」
小猫ちゃんはそう言いながら、仙術の拳を水の獣達に叩き込む。先ほどと同じで小猫ちゃんの拳を受けた瞬間、獣はただの水に戻ってしまう。
「俺を忘れるんじゃねえ!」
もちろん忘れてないよ。匙君は水の獣達に紛れ、ラインを使って僕たちに攻撃を仕掛けてくる。
僕はそれを躱し、匙君に接近する。いかに鍛練したとはいえ、“騎士”のスピードを用いれば、匙君も対処は難しいはずだ。
……ん?あれは……サングラス……?
待てよ?匙君は本当に今、僕に向かってラインを繋げようとしたのか?
匙君はラインを巻き取り、猛スピードで僕の後方に移動しようとする。僕はすれ違いざまの匙君の攻撃を躱しながら、予感が的中したことを悟る。
「くらえ!」
カッ!と一瞬光が眩しくなったのを、
やはり、閃光か。危ないところだった。“魔力感知”があるとはいえ、五感の一つである視覚を奪われれば行動を大きく制限されてしまう。
とっさに目を閉じたのは正解だったね。
「チッ!勘の鋭い奴だな」
「僕もそれなりの修羅場は潜ってきたつもりだからね」
聖魔剣を構えながら、僕はまずいと冷や汗をかく。
まさか、ここまでとは思わなかった。
二対二のこの状況。一見すると五分五分に見えるかもしれないけど、僕たちは先ほどから後手に回ってばかりで中々攻勢に出ることができない。
会長が直々に来るという予想外の展開から始まり、水の魔力の圧倒的な手数の多さ。
それに加え、前衛の匙君とそれに対する的確なサポートも加わり、手がつけられなくなっている。
水の獣達と戦う小猫ちゃんも疲労が目に見えてきた。このままじゃあ、じり貧だ。
「待たせたわね!小猫!佑斗!」
そんな中、僕の耳には頼もしい主の声が届いてきた。
後ろを振り向くと、そこには美しい赤い長髪をたなびかせた部長の姿があった。
「部長!」
「アーシア!回復を……」
「は、ハイ」
部長は僕の脇腹の傷を見るや否や、すぐさまアーシアさんに傷を直すよう促す。
アーシアさんも僕の傷を直すため、神器の光を放ち出す。
アーシアさんの力があれば、勝機を見出だすことができそうだ。
そう考えていると、会長は深い笑みを浮かべていた。
何だ?僕は言い様の知れない悪寒を感じながら、会長の狙いを看破しようと……
「!?いけない!リアス、祐斗君も領域から離れて!」
「え?」
朱乃さんのとっさの叫びに僕は一瞬呆気にとられてしまう。
瞬間、物陰から一人の少女が飛び出してきた!
「これを待ってました!“
「っ!?きゃあ!?」
「なっ!?」
アーシアさんの緑色の光は変質し、危険な赤色へと変化する。
瞬間、とてつもない負担が僕の全身を襲い、僕はその場に倒れ込んでしまった。
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ソーナside
『リアス・グレモリー様の“騎士”一名、“僧侶”一名、ソーナ・シトリー様の“僧侶”一名リタイア』
「回復用員は倒しました……会長……」
「ええ。よくやりました桃。あとは任せてください」
そう言いながら、桃はこの場から消えていく。
桃はこの作戦を話したとき、真っ先に挙手をしてくれた。自分では戦闘では役に立てないと判断したのでしょう。
……ありがとう桃。貴女の思いは無駄にはしません。
「……まさか、自滅覚悟で“反転”を使うだなんて」
「……貴女の眷属で最も厄介なのは回復用員であるアーシアさんです。アーシアさんがいるだけで、いくらダメージを与えても撃破しない限りは何度でも復活できる。故に、アーシアさんを真っ先に落とす必要があったのです」
「……まるで気づかなかった」
「先程も言いました。仙術による感知も戦闘中は狭まってしまうと。ましてやあの乱戦の中、密かに隠れていた桃達の存在に気づかなくても無理はありません」
塔城さんの疑問に答える同時に私のもう一人の“僧侶”である憐耶が私の側に控える。
もう不意打ちは通用しないでしょうし、隠れている意味もありませんからね。
「ソーナ、貴女は何処まで……」
「リアス、貴女はこの戦い、何をかけるつもりでしたか?」
私の問いかけにリアスは黙り込む。リアスの勝利にかける思いは本物でしょう。
ですが、それは
私にとって、この戦いはすべてを賭けるに足る戦いなのです。
「私は命を懸けるつもりでした。命に代えても、貴女の評価とプライドは崩させてもらいます」
私は目の前の敵を見据え、そう宣言した。
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リアスside
「命に代えても、貴女の評価とプライドは崩させてもらいます」
ソーナの言葉に私は苦虫を嚙み潰す。
ソーナの放つ執念にも似た思いに飲み込まれてしまっている。
甘かった……。ソーナは本気だ。本気で命を懸けてこの戦いに臨んでいるのだ。
ソーナはいったいどこまで計算して……いや、それ以前に、どれほどの覚悟をもってこの場にいるというの?
「部長。落ち着いてください。まだ勝負は終わっていません」
小猫の言葉に貼ったした私は即座に魔力を構える。今、この場には生き残った両眷属の全てが出そろっている。
どちらにせよ、この場で
認めるしかない。戦略比べでは完全に私の負けだ。でも、勝負の勝ちまで譲るつもりはないわ。
「さて、リアス。私の水芸、とくと披露しましょう」
ソーナは大量の水を魔力で変化させ、宙を飛ぶ鷹、地を這う大蛇、勇ましい獅子、群れをなす狼、そして、巨大なドラゴンを幾重にも作り出していた。
流石ね。純粋な魔力の技術は私よりも上でしょうね。けど……。
「望むところよ!ソーナ!」
魔力の量と破壊力ならば私のほうが上なのよ。
私は滅びの魔力を圧縮し、無数の魔力弾を形成する。魔力弾と水の獣がぶつかり合う。
結果、水の獣は消滅し、なおも勢いの止まらない魔力弾がソーナめがけて飛んでいく。
その魔力弾を匙君のラインが受け止めた!
ラインとつながった魔力弾は消滅の力を発揮し、ラインを消し飛ばすと同時に、匙君に吸収されていく。
「消し飛ぶ前に吸収しきるつもりでしたけど、リアス様も流石ですね!」
「雷光よ!」
朱乃の“雷光”がソーナ達に向かって放たれる。
悪魔にとっては一撃受ければ致命傷になる光の力。受ければひとたまりもないでしょうね。
だけど、ソーナは水でそれすらも回避してしまう。
「雷光の力……予想以上に厄介ですね。一撃でも喰らえば終わりでしょうね」
「はあ!」
そこで残ったソーナの“僧侶”草下憐耶さんが攻撃を仕掛けてくる。
でも、どうやら彼女は攻撃は不得意の様ね。彼女の魔法による一撃は朱乃の結界により、容易く防がれる。
「それでも!」
せめて一撃でも浴びせようと、彼女は私達に魔法による攻撃を放ち続ける。
そんな彼女に朱乃は雷光を放った。その強力な一撃を彼女は“反転”で防ごうとするが、“雷光”は“光”と“雷”の二属性攻撃。雷光は防がれることなく、草下さんの体を貫いた。
“反転”は強力だけど、どちらかの属性しか逆転できないのかもしれないわね。もしかしたら、そういったこともできるのかもしれないけど、使いこなすには修行が足りなかったのかもしれない。
『ソーナ・シトリー様の“僧侶”一名リタイア』
「なるほど、雷光には“反転”は効果がないようですね。少なくとも現段階では……」
「はあ!」
小猫の攻撃を水でいなしながら、ソーナは冷や汗をかく。
互いの手札はほとんど割れている。ソーナの水は強力で、しかも、デパートという水を大量に確保できる場所だから、正直キリがない。けど、それを操るソーナの魔力は無尽蔵じゃない。
時間をかけるにつれ、どんどんソーナの魔力量は少なくなっていってる。
これなら……そう思った瞬間、ソーナの魔力が跳ね上がった!
一体何が……見ると、ソーナの腕にはラインがつながっていた!
なるほど、そのラインから、魔力を供給してるのね。でも、魔力を渡している匙君はかなりつらそうだ。
見ると、自分自身にもラインをつなげている。自らの命……生命力そのものを魔力に変換してるのね。
「魔力の低い俺でも、こうすれば、高い魔力をひねり出せる。寿命が縮むかもしれない賭けだけど、長い悪魔の寿命なら百年くらい問題ないでしょう」
獰猛な笑みで匙君は笑って見せた。彼だけじゃない。
ソーナの眷属全員が凄まじい覚悟をもってこの戦いに挑んでいる。
「……私は先日の戦い。敵にいともたやすく敗れ、あまつさえ操られ、結果眷属に牙をむいてしまった」
ソーナは悲しげな瞳でそう呟く。
でも、それも一瞬。ソーナはすぐに強い瞳で私たち全員を見据えた。
「ですが、彼らはそんな情けない私に今もなお付いてきてくれる。私の夢を支えようとしてくれるのです……」
「会長の言う通り。俺達は皆、会長の夢を信じてる。この戦いは冥界全土に放送されている。俺達を……会長を馬鹿にしたやつらに、俺達シトリー眷属の本気を見せつけるためにも、負けるわけにはいかないんですよ!」
……なるほど。だからソーナは似合わない大胆な手を取ってまでこの戦いを勝とうとしてるわけね。
全ては、自分たちの真の強さを見せつけるために……。
ソーナ達の覚悟はよくわかったわ。
「……それでも、私達だって負けるわけにはいかない!イッセーがいなくても、私達は強いと見せつけるためにね!」
「いいでしょう!決着をつけましょう、リアス!」
「行くわよソーナ!」
私達は朱乃と小猫の計三人。朱乃と小猫は無傷だけど、体力を大きく消耗している。
ソーナ達の方は……ソーナの魔力が全快してしまったようだけど、その分匙君が大きく消耗している。
匙君は朱乃達に任せて、私はソーナに集中した方が良さそうね。
どちらにせよ、これが最後の戦いになる。私達は互いに魔力を全開にして飛び出した!
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イッセーside
「……すごい戦いっすね」
「……そうだな」
俺たち二人は部屋の前で棒立ちとなり、タブレットに集中していた。
どちらも譲れない思いがある。魂がぶつかり合っている凄まじい一戦だ。
瞬間、アザゼル先生達のいるというVIP専用の部屋の扉が突如として開いた。
「ほっほっほ。面白い一戦じゃな。お主らもそう思うじゃろう?」
そこに座ってたのは長い髭が特徴的な老人だった。
EPは200万を超えており、“神性”を帯びているようだ。
恐らくは別の神話系統の神様ってところかな?
「遅かったじゃないかイッセー、ミッテルト。お前らもこっちで見とけ」
そう言いながら、部屋からアザゼル先生が俺たちを招く。
俺はそれに従い、VIP室へと入室した。中にはお爺さんにアザゼル先生だけでなく、サーゼクスさんとセラフォルーさんまで座っていた。
その場にいる全員が、視線を集中させている。
そこにはまるで映画のように大きなモニターがあった。
もちろん映し出されているのはこの一戦だ。
「しかし、シトリーの小娘もそうじゃが、あのドラゴンの神器を持つ小僧も中々に面白いの。主のためとはいえ、あそこまで身体を張るとは……。あれは強くなるぞ」
「そうでしょうそうでしょう!オーディンのおじいちゃんったら話が分かるんだから☆」
お爺さん────北欧神話の神“オーディン”さんはそう言いながら、愉快そうに笑う。
サーゼクスさんは複雑そうな表情だが、反面セラフォルーさんはとても嬉しそうだ。
俺も同感。匙はこれからどんどん強くなるだろう。
「……ちなみにイッセーはどう見るっすか?」
ミッテルトの問いに、全員が耳を傾ける。
……こんなところで俺に振るなよな。
「……タイマンならば部長が有利だ。会長の技術もすごいけど、部長の技術と決定的な差があるわけでもない。それなら、魔力量も攻撃力も会長を上回っている部長が勝つと思うぜ」
「匙君もすでに満身創痍。対して小猫ちゃんと朱乃さんにもまだ余裕がある。確かに有利なのは部長達っすね」
俺たちの見解に対し、先ほどとは逆でセラフォルーさんはむくれてしまい、サーゼクスさんは嬉しそうにしている。
実際、EP値だけで見るのならば、部長の
……とはいえ、勝負は最後までわからない。
戦いとは些細な切っ掛け一つで大きく変わってしまうものなのだから。
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ソーナside
……我ながら、らしくない戦い方でしたね。
「はあ!」
「滅びよ!」
私の水と、リアスの滅びがぶつかり合う。
私は何とか水を手繰り寄せ、リアスの滅びの力に拮抗していますが、それでも限界が近づいているのがわかる。
サジから贈られる魔力も弱くなってきてる。当然でしょうね。このような無茶が続けられるはずがないのですから。
私はらしくないと苦笑しながら、この日の戦いのこと、今日にいたるまでのことを思い起こしていた。
サジは今もなお私に魔力を供給し続けている。これはサジが自ら提案してきたこと。
当然、当初はこの無茶を何度も止めようとした。
でも、サジはこの戦いに勝つために必要だと頑なにそれを拒んだ。
魔力さえ尽きなければ、私はリアスにだって絶対に負けないのだと……。
数日前、ゲーム運営委員会が出した戦力のランキングでは私達シトリーが最下位だった。
先日の戦いで無様な姿をさらしてしまった私への評価としては妥当。でも、サジたちはそれを認めなかった。
サジたちはその評価を覆すため、命を懸けてまで私に勝たせようとしてくれている。
……本来ならば、ここで“
(でも、この戦いだけは、そんな無様な真似をするわけにはいきません)
いつもの私ならばおそらくそうしていたのでしょう。サジの身を顧みれば当然の判断……ですが……。
サジの眼はそんな結末を認めないのでしょう。敗退していった眷属達もそれは同じ。
(だから私は勝たなければならないのです!私を信じてくれた眷属達のためにも!)
私は歯を食いしばりながら歩を進める。次の瞬間、聞いたこともない声が私の頭に響いてきたような気がした。
きっと、この乱戦の中に感じた気の迷いなのでしょう。私はそう判断しながらも、今までにない感覚を感じていた。
『────個体名ソーナ・シトリーがユニークスキル“
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リアスside
「なっ!?」
私はソーナの水の力が増したのを感じ、即座に場を離れる。
ソーナが出している獣たちの動きが急激に速くなった!それだけじゃない。今までとは違ってまるで水獣そのものが思考してるかのような動きを見せている。
実際にはそんなことないのでしょうけど、それでも今までとはまるで違うのを肌で感じる。
「雷光よ!」
朱乃が匙君に向けて雷光を放つ。だが、水の蛇が匙君を守るように動き、雷光を受けたのだ。
いえ、それだけじゃない。
「きゃああ!?」
「朱乃先輩!」
『リアス・グレモリーの“女王”一名リタイア』
雷光の力を纏った水蛇の猛進により、朱乃は耐える間もなくリタイアしていく。
雷光は悪魔に対して効果抜群。いかに堕天使の血を引いているとはいえ、朱乃自身もそれは例外ではないということね。
「くっ、今まで力を隠していた……なんてわけじゃないでしょ?」
もしそうなら今、この瞬間まで出し惜しみするわけがないしね。
そんな私の疑問にソーナは答える。
「ええ。もしかしたら、私の魔力が実戦の中で成長したのかもしれませんね。私自身、今まで以上に水が操れている実感がありますから!」
そういいながら水の蛇が私に迫る。蛇は私の魔力弾を躱しつつ、確実に距離を詰めていく。
なんて速さ!裕斗のスピードと同等……下手したら上回ってるかもしれない!
「はあ!」
それを見た小猫が即座に私を抱え、退避する。だが、蛇はそれすらも追尾し、どこまでも追いかけようとしてくる。
小猫はその蛇を仙術を纏った拳で叩き落し、蛇をもとの水へ帰す。
「させねえ!」
「くっ、匙さん……」
匙君は気の緩んだ一瞬のスキを突き、小猫の腕にラインを巻き付ける。
小猫はラインを引っ張るがなかなか千切れない。やっぱり、龍の力を宿したラインは裕斗の魔剣のような鋭さがないと斬ることができないのね。
「会長!今のうちに!」
「わかってますサジ。これで終わりにしましょう。リアス」
そう言いながら、ソーナは濃密な魔力を放出する。どうやら、残りの魔力のほぼすべてを次の一撃に込めるつもりみたいね。
「……ええそうね。これで最後よ」
それを見て、私は覚悟を決め、残った魔力の全てを注ぎ込む。ソーナも巨大な龍の頭を作り出し、構える。
「滅びよ!」
「はあ!」
私の滅びとソーナの水が真正面からぶつかり合う。
瞬間、すさまじい衝撃波があたりを襲う。
先ほどまで避けられていたお店の商品もひっくり返り、衝突地点の真下にある床は塗装が剥がれ落ちていく。
そしてあたりが激しい閃光に包まれた。
「────っ!」
────その時、確かに私は見た。
────かき消される滅びの魔力を。
その光景を見て、私は悟った。この勝負の結果を……。
「……完敗ね。でも、次は負けないからね、ソーナ」
滅びの魔力を真正面から弾き、私の胸を小さくなった水の龍が貫いた。
胸を貫かれ、鮮血をまき散らしながら私は倒れこむ。
遠のく意識の中、ソーナは笑みを浮かべ、そう告げた。
「ええ。これで一勝一敗。また戦いましょう、リアス」
『“王”リアス・グレモリー様、リタイヤ。ソーナ・シトリー様の勝利です』
アナウンスとともに、私は光に包まれ、その場で意識を手放すのだった。
ソーナのユニークは実は結構前から考えてました。
まず、ソーナがなぜユニークスキルを手に入れることができたのかを先に教えときます。
ソーナはメロウの
つまり、究極能力の残滓ともいえるものが残っており、それがソーナの勝ちへの姿勢と匙の魔力も合わさり、今回ユニークスキルとして覚醒したというわけです。
この作品には仮にそういう理由がなくてもスキルを持つものもいますが、(例:ティアマット)魔素の少ない地球でスキルを手にするには最低でも魔王級の力と強い意志が必要という設定です。それでも手に入るかはわからないので、まだ力の足りないソーナがいきなりユニークスキルを手に入れたのはちょっとした異常事態なのだと認識しといてください。
ついでにソーナの現在のステータスも書いときます
ソーナ・シトリー
種族 純血悪魔
EP 5万4106
加護 レヴィアタンの加護
称号 シトリー家次期当主
ユニークスキル
魔力感知、魔力操作、水操作
水芸者の特徴である水操作は魔力を用いずとも水を直接操作することができる。魔力を流す行程がないため、ラグがほぼなく、少ない力で最大限の力が発揮できるため、ソーナの意思に合わせ、自由自在に水を操れる権能である。