帰ってきたらD×Dだった件   作:はんたー

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堕天使対決します

木場side

 

 

「イッセーのやつ……。派手にやったっすね……」

 

信じられない気持ちでいっぱいのなか、ミッテルトさんの言葉が耳に入ることで現実に引き戻される。

 

「……信じられない。なんてパワー……」

 

みると小猫ちゃんも動揺をしているようだ。

無理もない。イッセーくんが何をしたかと言われると床を殴ったの一言で片付けられる。しかし、それだけで教会のおよそ半分以上が崩れ落ちたのだ。

僕たちもはぐれ悪魔祓いたちも目の前の光景が現実だと受け入れられない。

いくらイッセーくんが“赤龍帝の籠手(ブーステッド・ギア)”を持っているとはいえ、これほどの力を片手間で発揮するだなんて……。

これがイッセーくんの力なのか……。

どうやら僕たちは見誤っていたようだ……。

イッセーくんの強さを……。

 

「さてと、そろそろ始めちゃっていいっすか?」

 

ミッテルトさんのその言葉ではぐれ悪魔祓いたちも現実に引き戻されたのか、剣を構え始める。

対してミッテルトさんの使うのは以前拾っていたなんの変哲もないただの木刀だ。

しかし、その構えからは微塵の隙も感じられない。

一体どれほどの鍛練を積めばここまでの境地に辿り着けるのか……。

……こんな状況だけど、騎士として一度手合わせ願いたいな……。

そんな思考を頭の片隅に封じつつ、僕と小猫ちゃんもまた目の前の敵を前に構えるのだった。

 

 

 

*******

 

イッセーside

 

ふう、なんとか間に合ったか……。

アーシアは安心したのか俺にもたれ掛かる。

よく見れば少し震えているし頬も紅く染まっている……。よほど怖かったんだろう。

 

「き、貴様!どうやってここに!?」

 

何が起きたのか理解できていないのか取り乱すレイナーレ。

見ればわかるような気もするんだけど……。

 

「見てわかるだろ。ぶん殴ってここまで来た。以上!」

 

その言葉にレイナーレは警戒を強める。

レイナーレは両手に光の槍を携えながらジリジリとこちらに近づく。

……魔力感知をしてみるとこの部屋にも何人かはぐれ悪魔祓いがいるみたいだな。

ジリジリと近づくことにより、俺に不意打ちをするのに最適な位置へ誘導しようとしているようだ。

 

「今よ!その餓鬼を殺しなさい!」

 

その言葉と共に背後の瓦礫からはぐれ悪魔祓いがアーシアを抱える俺に飛びかかり、光の剣を振り下ろす。

だが、魔力感知でどこにいるかモロバレだったため不意打ちにならない。

俺はアーシアに負担がかからないよう最小限の動作で回避する。

 

「な!?」

 

不意打ちが決まったと思ってたはぐれ悪魔祓いは動揺するが、その隙を見逃すわけもない。

俺は軽く蹴り飛ばしてはぐれ悪魔祓いを気絶させる。

 

「くっ……!」

 

今のに動揺したのか、はぐれ悪魔祓いたちは冷や汗をかきながら姿を表す。

残りは10人程度……。アーシアを抱えている以上この数はめんどくさいな……。

 

『ならば“英雄覇気”で気絶でもさせればいい』

 

あ、その手があった。さっすがドライグ頭いいな!

そうと決まれば話は速い。俺はアーシアへの負担を配慮しつつ軽く英雄覇気を醸し出す。

 

 

「「「!!!???」」」

 

それだけでもせいぜいDランク程度の強さしかないはぐれ悪魔祓いには効果覿面だ。

はぐれ悪魔祓いたちは英雄覇気に当てられ戦意喪失がほとんど、中には気絶している奴もいた。

 

「な、なんなの今のは……?あ、貴方たち何をやっているの!?さっさと立ち上がりなさい!!」

 

焦るレイナーレの言葉に反応しないはぐれ悪魔祓い……、いや、この場合反応できないが正しいか……。

英雄覇気に抵抗(レジスト)できなかったため、完全に正気を失っているのだから……。

英雄覇気も魔王覇気も覇気を飛ばす点では同じ技だ。違うのはそれが魔のオーラなのか聖なるオーラなのかというものだけ。

故にこうした魔王覇気のような使い方もできると言うわけだ。

最も、こんな使い方はよほどの格下相手でないと成立しないのだが……。

レイナーレは向こうの世界で言えばBランク上位相当の強さを持っている。ゆえになんとか俺の英雄覇気にも抵抗(レジスト)できたのだろう。

 

「ど、どんな手品を使ったのかしら?この至高の存在たる私が人間ごときに気圧されるなどあり得るはずがないわ!」

 

まるで恐怖を圧し殺すかのように高らかに宣言するレイナーレ。

レイナーレは俺に向かって光の槍を投げつけた。

 

「ちょっと待ってろ」

 

「なっ!?」

 

俺はそれを軽く躱し、瞬動法を使いレイナーレの後ろに回り込み、そこらにあったソファーにアーシアを寝かせる。

 

「少しだけ待っててくれ。アーシア」

 

「ハイ!」

 

アーシアを背に俺は改めてレイナーレと向かい合う。

レイナーレは俺がいつの間に自分の後ろにいたのかが分かってないようだ。

 

「き、貴様!どうやって私の背後に!?」

 

「別に……普通に回り込んだだけだよ。そんな遅い槍じゃ俺には当たらねえよ」

 

「くっ……、ならば直接!!」

 

そういってレイナーレは再び光の槍を作り出し、直接俺に攻撃をしてきた。

しかし、技量(レベル)が低すぎる……。

さっきっから思ってたけど、こいつそこまで戦闘経験が豊富な訳じゃない。槍は投げるだけ、槍術も拙い。

相性や魔素(エネルギー)量で上回ってるから戦えば木場や小猫ちゃんにもタイマンでなら多分だけど勝てると思う。けれど同レベル以上の魔素(エネルギー)量を持つ……例えばリアス部長とか朱乃先輩には勝てないと思う。

その程度の技量(レベル)では師匠に学んだ“ヴェルドラ流闘殺法”の敵ではない。

いくらやっても俺に当たらないのを見てレイナーレはかなり苛立っているようだ。

 

「認めない!こんなの認めないわ!私は堕天使レイナーレ!貴方たち人間よりも至高の存在なのよ!!!」

 

レイナーレはさらに力を込めて光の槍を振り下ろす。俺はそれを片手で受け止める。

 

「は、放しなさい!!」

 

「放さねえよ」

 

何が目的だったのかは知らないけど、本来なんの関係もなかった筈のアーシアを殺そうとしたり、危険だとかいう理由で俺を殺そうとしたり……。こいつは色々やってきたからな……。

俺はドライグを出し、力を増幅させる。

 

『Boost!』

 

赤龍帝の籠手(ブーステッド・ギア)”の音声が鳴り響き、俺の力は増大される。

右手に持っていた槍を容易く握りつぶし、左手の籠手を構える。

 

「!?あり得ない、この力……魔王級?それにその籠手はまさか貴様!!?」

 

レイナーレが何か言ってるがまあいいか……。

俺はともかくアーシアも生きているしぶっちゃけ殺す理由はないんだが、それはそれ。これはこれ。

美人だが俺もかなりムカついたわけだし……。

 

「これでも喰らえ!」

 

「ぐぼっ!?」

 

一発で勘弁してやるか。

俺はレイナーレの腹に軽い一発を食らわせる。

その衝撃でレイナーレは吹き飛び壁に激突した。

 

 

*******

 

「アーシア大丈夫か?」

 

「ハイ」

 

レイナーレを倒した俺は真っ先にアーシアの元へと駆け寄る。

見た限りでは大きな怪我もなさそうだし無事と言っていいだろう。よかった~。

 

「あの、レイナーレ様はどうなったのでしょうか?」

 

アーシアは少し遠慮がちになりながらも俺に訪ねる。

例え殺すためだったとしてもレイナーレに助けられたアーシアとしては気になるようだ。

本当に優しい子だなこの子。つくづく魔国にはいないタイプだな~。

 

「安心しな。気絶してるだけだよ」

 

「そうですか」

 

アーシアはホッとしたように胸を撫で下ろす。

それを見ると少しだけレイナーレへの怒りが再燃する。

こんな可愛くて優しい子を殺そうとするだなんて。

 

「イッセーくん大丈夫かい?」

 

そうこうしてるうちに上からミッテルトたちが舞い降りてきた。

 

「おお、皆。上はどうなった?」

 

「当然!うちが軽くのしてやったっすよ!」

 

「というか、ミッテルトさんが無双してて僕たちほとんど出番なかったんだよね……」

 

「私たちも頑張らないと……」

 

小猫ちゃんはミッテルトに少し対抗心を燃やしているようだ。いや、よく見れば木場もか……。

傍目ではわからないが、その眼には憧憬のようなものが映っている。

ミッテルトはハクロウさんには及ばないものの悪魔公(デーモンロード)であり一流の剣士でもあるエスプリとほぼ互角の腕を持っている、魔国連邦(テンペスト)の中でもわりと上位の剣士だしな……。

同じ剣士としてなにか感じるものでもあるのかもしれない。

 

「それじゃあ、部室に戻ろうか……」

 

そうだな。

戻ろうとする木場に続き、捕縛したレイナーレを引き擦り俺たちも部室へともど……。

 

 

 

 

 

あ。

 

 

 

 

「……そういえば、俺たち退部届とか出しちゃってるんだけど!?」

 

「というか、流れにのっちゃって木場っちも一緒に付いてきてるけど大丈夫すかこれ!?堕天使と悪魔の戦争の引き金とかになっちゃわないっすか!?」

 

そうだよ!思えば悪魔である皆の介入阻止するためにわざわざ退部届までだしたんじゃねえか!!

木場と小猫ちゃんが付いてくるって言ってくれたときは感動のあまり頭から抜け落ちていたが、よくよく考えるとこれって不味いんじゃあ……。

 

「それについては問題ないわ」

 

突如として聞き覚えのある声が響く。

声がした方向を振り向くとそこにはレイナーレやドーナシークとはまた別の女堕天使を捕縛したリアス部長と朱乃先輩がいた。

 

「お兄様が堕天使たちに確認を取ったの。今回の件は全てこの女堕天使の計画した独断だったことが判明したの」

 

「え!?そうだったんですか!?」

 

なんでもレイナーレたちがアーシアの神器を奪おうとしたのは上からの命令ではなく独断だったのだという……。

そしたらそれはそれで疑問が残るな……。

 

「じゃあ、このレイナーレって人たちは何でアーシアちゃんの神器を狙ったんすかね?」

 

「さあね。それは直接問いただせばいいわ」

 

そういいながら部長は気を失っているレイナーレを叩き起こす。

 

「ん?」

 

そのとき俺は違和感を覚えた。先ほどまであった傲慢な感じが薄まっている?

何て言うか、目から先ほどまであった狂気がなくなっているように感じるのだ。

 

「さてと、堕天使レイナーレさんでいいわよね?」

 

それに気付かず部長がレイナーレに問いただす。

しかし、それに対しレイナーレは困惑したかのように聞き返したのだった。

 

「そ、そうですが……、貴女たちは一体誰なんですか?」

 

どうやらこの事件はまだ解決とはいかないようだ。




今日より3日間連続投稿。
続きは明日公開予定。
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