帰ってきたらD×Dだった件   作:はんたー

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第七章 放課後のラグナロク
特撮ヒーローです


 イッセーside

 

 

 

 

 

『ふははははは! ついに貴様の最後だ! 乳龍帝おっぱいドラゴンよ!』

 

 テレビの向こうでいかにも怪人、といった格好の輩が高笑いをしている。戦隊モノや仮○ライダーとかにいそうな感じのキャラクターだ。

 

『何を! この乳龍帝がおまえ達闇の軍団に負けるわけにはいかない! いくぞ! “禁手化(バランス・ブレイク)”!!』

 

 俺そっくりの特撮ヒーローが赤い光に包まれ、見事な変身を遂げる。

 その姿は俺の“赤龍帝の鎧(ブーステッド・ギア・スケイルメイル)”そのまんまだった。

 

「企画を聴いたときは何を馬鹿な……と思ったっすけど……」

 

「これ、結構面白いにゃん」

 

「カッコイイの!」

 

 俺達は今、兵藤家の地下一階にある大広間にはシアターにて鑑賞会をしていた。

 巨大モニターに映る作品のタイトルは────『乳龍帝おっぱいドラゴン』。

 現在冥界で絶賛放映中の子ども向け特撮ヒーロー番組……らしい。

 タイトルから分かるとおり、主役は俺。なんと、俺を主役とした子供向けのヒーロー番組なのだ。

 と、言っても、俺自身が演じているわけではなく、俺と背格好が同じ役者さんにCGで俺の顔をはめ込んで加工している感じなんだけどね。

 

「……始まってすぐに大人気みたいです。特撮ヒーロー、『乳龍帝おっぱいドラゴン』」

 

 俺の膝上に乗っかっている小猫ちゃんが尻尾をふりふりさせながら言う。

 小猫ちゃんはテレビが好きだからな。冥界の番組にやたらと詳しいのだ。

 大人気なのはこの間サーゼクスさんから聞いたので知っている。グッズは馬鹿売れ。オープニングテーマ“おっぱいドラゴンの歌”は魔王であるサーゼクスさん、セラフォルーさんが作詞と作曲を担当したということもあり、話題性抜群。更には視聴率が四十%を超えたと聞いたときには驚いた。

 人間が主役だなんて、悪魔からすれば受け入れられるのは難しいのでは? とも思ってたんだけど、主に子供たちの間で大ヒットしてるそうだ。貴族みたいな教育を受けたわけでもない、幼い子供はそういうの気にしないからな。

 物語のあらすじはこうだ。

 伝説のドラゴンと契約した人間であるイッセー・ヒョードーは人でありながら悪魔とともに歩み、悪魔に敵対する邪悪な組織と戦うヒーローである。

 おっぱいを愛し、おっぱいと平和のために戦う男。

 邪悪な闇の軍団を倒すため、伝説のおっぱいドラゴンとなるのだ! 

 ……という感じらしいです。

 正直言おう。チョー恥ずかしい! 

 いやさ、許可出したのは俺だし、仕方がないことだけどさ、ここまで大人気になるなんて思ってなかったもん! 

 しかも、俺の親まで見てるんだぜ!? 恥ずかしいにも程があるわ! 

 ちなみに著作権はグレモリー家が仕切ってるらしい。先程も言ったように、グッズもかなり売れてるらしく、財政は更に潤ってるとのことだ。

 

「この番組に出てくる鎧は本物そっくりだね。すごい再現度だよ」

 

 木場はポップコーンを食べながら興味深そうに画面を眺める。

 まあ、確かに再現度高いなとは思うけど……。

 先程グッズなんかも送られてきたけど、音声もそうだし、造形も本物そっくりで異様に再現度が高かった。

 何でも、部長がこの間契約した“お得意様”より試作品やらなんやらが提供されてくるらしい。暇なのかあの人……暇なんだろうな。

 その後、どんどん物語は進み、画面の中にはピンチに陥った主人公の姿。

 しかし、そこへヒロインが登場した。

 

『おっぱいドラゴン! 来たわよ!』

 

 登場したのドレスを着た部長だった。

 もちろん本物じゃなく、俺同様に部長と似た背格好の役者さんに部長の顔を加工している。

 

『おおっ! スイッチ姫! これで勝てる!』

 

 主人公がスイッチ姫のおっぱいにタッチ! すると、主人公の鎧が赤く輝きを放った! 

 これを見て俺は思った。スイッチ姫って何? 

 何がどうしてこんな展開になってるの!? 

 そんな俺の疑問に答えるようにアザゼル先生は呟く。

 

「以前、風呂場でイッセーは女の胸をつついて禁手に至ったと聞いてな。それでこれを閃いたんだ。おっぱいドラゴンがピンチになったとき、スイッチ姫の乳を触ることで無敵のおっぱいドラゴンへと進化するんだ!」

 

 なるほど……わからん! 

 ちなみにヒロインが部長なのは、グレモリー家のイメージアップを狙ってるかららしい。

 ……これでは寧ろ、イメージダウンにしかならないのでは? 

 だか、俺の困惑とは裏腹に、おっぱいドラゴンは力を取り戻し、見事にパワーアップを果たしてる。

 

 スパンッ! 

 

 軽快な音に振り向くと、先生の頭を部長がハリセンで叩いていた。

 

「何なのよスイッチ姫って! グレイフィアに聞いたわよ! この案をグレモリー家に送ったのはアザゼルだって! どうして私なのよ!?」

 

 部長は顔を真っ赤にして怒りに満ち満ちていた。

 まあ、気持ちはわかる。

 いくらなんでも“スイッチ姫”はないだろう。

 

「別にいいじゃねえか。コレのおかげで逆にお前の人気が高まったって聞いてるぜ?」

 

 先生は頭を擦りながら言うが、部長は泣きそうになってる。

 雑誌も『スイッチ姫特集』とか言うわけわかんないものもあったし、部長からすれば溜まったものじゃないだろう。

 

「い、イッセーが主役でヒロインが私のテレビ番組って言うから許可したのに……なんなのよこれは…………」

 

 部長が虚ろな目でブツブツと呟いている。

 余程ショックだったのだろう。

 そんな部長を他所に、”おっぱいドラゴン“のストーリーはどんどん進んでいく。

 

『フッ、だらしないっすね。おっぱいドラゴン。貴方の力はこの程度だったんすか?』

 

『なっ、お前はフォールン・レディ!』

 

『フン! 今回は見逃してやるっすけど、次はそうはいかない! 覚悟するっすよ、おっぱいドラゴン!』

 

 おっぱいドラゴンの眼の前に現れたのは“フォールン・レディ”と呼ばれる敵幹部だ。

 言うまでもなくミッテルトである。

 このおっぱいドラゴンは主人公の“おっぱいドラゴン”と“スイッチ姫”……そして、敵幹部でありながら、徐々におっぱいドラゴンに惹かれていく“フォールン・レディ”の三角関係が売りなのだそうだ。

 この案は元々ミッテルトが敵対組織(ということになっている)のスパイとして近づいてきたという話から構想を得たのだという。

 不本意な政略結婚から“おっぱいドラゴン”に救われ、彼に惹かれていく“スイッチ姫”と本当は“おっぱいドラゴン”が好きなのに、敵幹部という立場と自分の思いに板挟みになり、苦しみ続ける“フォールン・レディ”。

 この三角関係は中々評判で“おっぱいドラゴン”は最終的にどちらを選ぶのか? といった風に大人でも楽しめる作品になっているのだ。

 

「……ちなみにミッテルト的にはどうなの? これ?」

 

「……フォールン・レディが報われるなら文句ないっす」

 

 まあ、自分自身がモデルだしな。

 ミッテルトとしても、彼女には報われてほしいのだろう。

 ミッテルトも物語自体は割と気にいっているようだ。

 

「……ミッテルトの敵役(配役)の方がまだマシよ。……もう、冥界を歩けないわ」

 

 部長はため息混じりにつぶやく。

 対象的に部長はこの番組にいい印象を持っていないみたい。

 まあ、俺もなんだけど……。

 俺も正直今冥界歩くのは怖すぎる。子供に見つかったら、「あ、おっぱいドラゴンだ!」って指差されそうだし……。

 

『もう、どーでもいいじゃないか。どーせ、俺とお前は乳龍帝でおっぱいドラゴンだ……』 

 

 ここにもう一人、ため息混じりのやつがいたよ。

 ドライグも最近はヤケクソ気味だな。

 ドライグはこの放送が始まってからずっとこんな感じだ。

 どうやらかなりのストレスになっているらしい。

 

『うう、もう嫌だ! 向こうでも変態ドラゴンだのなんだの言われてるのに、こっちでもこんな扱い……何で赤龍帝と恐れられたこの俺がこんな気持ちにならなければならんのだ!』

 

 ああ、泣いちゃった……。

 俺には涙を流しながら叫ぶドライグの姿がハッキリと幻視できた。

 

「でもでも、幼馴染みがこうやって有名になるって、鼻高々でもあるわよねー」

 

 イリナがはしゃぎながら言う。

 この娘は存分に『おっぱいドラゴン』を楽しんでるみたいだな。

 

「そういえば、私もイッセー君も小さい頃は特撮ヒーロー大好きだったものね。よくヒーローごっことかしてたものよね。懐かしいわ」

 

 と、イリナが変身ポーズをしながら言う。

 あー、そのポーズ懐かしいな。俺が小さい頃に好きだったヒーローのものだ。

 

「懐かしいな。あの頃のイリナって男っぽくて、やんちゃなイメージが強かったよ。それが今では可愛い美少女なんだから、人の成長って分からないもんだ」

 

 そもそもあの頃はイリナのことを完全に男の子だと思ってたし、ミッテルトの言葉を聞いたときは本当に驚いたものだよ。

 そんな事を考えていると、俺の言葉を受けて、イリナが顔を真っ赤にしているのに気がついた。

 

「もう! イッセー君ったら、そんな風に口説くんだから! そ、そういう風にリアスさん達も口説いていったのね……? 怖い潜在能力だわ! そんなこと言われたら私、堕ちちゃう! 堕天使に堕ちちゃうぅぅぅっ!」

 

 イリナの羽が白黒に点滅し出した! もしかして、これが堕天の瞬間なのか? 

 天使が欲を持ったり、悪魔の囁きを受けたりすると堕天するとは聞いてたけど、こんな感じなんだな。

 それを見て先生が豪快に笑う。

 

「ハハハハ、安心しろ。堕天歓迎だぜ。ミカエル直属の部下だ。堕天してきたら、VIP待遇で席を用意してやる」

 

「いやぁぁぁぁぁ! 堕天使のボスが勧誘してくるぅぅぅぅ! ミカエルさま、お助けくださぁぁぁぁい!!」

 

 イリナが涙目で天へ祈りを捧げていた。

 それにしても、面白いな。

 心の持ちようでこんな簡単に種族が変わるとは……。

 ……いや、違うな。多分、厳密にこの二つの種族に差は殆どないのだろう。

 聖書の神が、自分の意に沿っているか、否かを分かりやすくするためにこんなシステムにしたのかもしれないな。

 

「でも、イッセーさんが有名になるなんて自慢です」

 

「そうだな。私達も負けてられないな」

 

 アーシアとゼノヴィアも楽しそうだ。

 まあ、俺も恥ずかしいけど、別に嫌いではない。『おっぱいドラゴン』。

 

『……俺は心の底から嫌だがな……うぅ……』

 

 ドライグはまだ泣いている。

 ごめんて……向こうに行ったら旨い酒でも奢ってやるからさ……。

 

『……向こうか。そういえば、リアス・グレモリー達に基軸世界についてはいつ言うのだ?』

 

 ドライグの言葉に俺は動きを止める。

 

『神祖の弟子達が何を企んでいるのかわからん以上、こちらの者達にも敵について話したほうがいいだろう? どの道、いつかは知られることだ』

 

 ……確かにそうなんだけど、それはまだ考え中なんだよな……。

 皆のことを信用してないわけじゃない。ただ、こちらの世界とは異なる体系の悪魔に天使。

 向こうのことを話してしまうと、こちらの世界にどれほどの影響があるのかまるでわからないんだよな。

 下手すれば、聖書の勢力間で凄まじい混乱が巻き起こる可能性もある。

 故に、不用意には話せないんだよな……。ただでさえ、“三大勢力”は纏まり始めたばかりの不安定な時期なんだから……。

 まあ、それでも近いうちには話す予定だけどさ……。

 そのためにもまずは“禍の団”だ。神祖との戦いを盤石なものにするためにも、先にこっちの問題を片付けたほうがいい。

 それが終わったら、改めて皆にも向こう────“基軸世界”についてを伝えようと思う。

 

『そうだな、それがいいだろう』

 

 そんな感じで俺がドライグと話していると、後ろから抱きついてくる人がいた! 

 

 むにゅぅぅっ! 

 

 背中の柔らかい感触! この弾力は間違いない! 

 振り返ると、俺の肩越しに朱乃さんの顔が現れる。

 

「あらあら。考え事ですか、イッセー君? でも、私としてはそろそろ約束を果たしてくれないと困りますわ」

 

 朱乃さんのほっぺが俺のほっぺと擦り合う! 

 スベスベ! 最高だ! 

 

「約束……ディオドラの時のアレですか?」

 

「ええ。デートの約束ですわ」

 

 そうそう。小猫ちゃんのアドバイスで約束した奴ですね。

 覚えてますよ。……っていうか、アレって本気だったのか……。

 

「わかりました。じゃあ、今度の休みにデートしましょう」

 

 ミッテルトをチラ見するが、ため息をつくだけで何も言ってこない。

 まあ、あの時もミッテルトは目を瞑ると言っていたしな。ミッテルトが許可を出すのならば、俺としても断る理由はない! 

 俺の返事を聞き、朱乃さんは満面の笑顔を浮かべ、俺の腕をギュッと抱き締めてきた。

 

「嬉しい! じゃあ、今度の休日、デートね。うふふ、イッセー君と初デート♪」

 

「……羨ましいにゃん」

 

 黒歌が未練がましそうに俺達を見つめている。

 まあ、俺は黒歌とのデートも大歓迎だけどね! 

 それはともかく、朱乃さんとデートか……。

 楽しそうだけど……。

 

「········」

 

 部長達がすげえ形相でこっちを見てる。

 はぁ、どうやら一波乱起こりそうだな……。俺はそう考えながら、朱乃さんのおっぱいの感触を楽しむのだった。

 

「……というか、そろそろ学校じゃないすか?」

 

『あ』

 

 ミッテルトの言う通り、今日はど平日である。

 やべえ!テレビに気を取られすぎてた!俺達は慌てて学校に行く準備に取り掛かるのだった!

 

 

 

 

 

 ****************************

 

 

 

 

 

「そういえば、もうすぐ修学旅行だな。班決めないとな」

 

 元浜が昼飯を食べながら、ふとそんなことを呟いた。

 そういえば、そうだったな。俺達二年生は京都に行く予定なのだ。

 

「確か、三、四人で組むんだよな?」

 

「ああ。泊まるところが四人部屋らしいからな。ま、嫌われ者の俺達は三人で組むしかないだろうけどな」

 

 まあ、確かにな。

 基本的に俺達三人はエロエロ男子高校生として、女子からかなり嫌わてる。 

 元々女子校で、今なお女子比率の高い駒王だと、俺達と組む物好きは滅多にいないだろう。

 アーシア、ゼノヴィア、イリナは誘えば来てくれるかもだけど、女子を此方からは誘いづらいしな……。

 

「エロ三人組。修学旅行うちらの組まない? 美少女四人でウハウハよ?」

 

 おお! ここで向こうから声がかかってきた! 

 桐生がいやらしい顔つきなのが気になるが、こちらとしても願ってもない話だぜ! 

 

「イッセーさん。ご一緒してくれますか?」

 

 にっこり笑顔でアーシアが聞いてくる。聞かれなくとも答えは既に出ている。

 

「もちろんOKさ。一緒に回ろうぜ」

 

「はい!」

 

 だきっ! アーシアは弁当そっちのけで俺に抱きついてきた! 

 

「あ、あんたら、体育祭終わってからさらに仲良くなったわね……」

 

「て、てめー! ミッテルトちゃんはどうしたんだよ!」

 

 眼鏡をくいっと上げながら、感心したように言う桐生とは対象的に、元浜と松田は血涙を流しながら唸っている。

 

「まあ、色々とね。アーシアは俺にとってもかけがえのない人だからな」

 

 体育祭を終えた後、キスされたことで俺もアーシアも少し意識するようになった。

 妹よりも身近にいる女の子として見るようになったし、なんていうか、恋人とは違う、家族としての異性……とでも言うのだろうか? 

 恋人であるミッテルトが俺にとって大切な存在であるように、アーシアもまた、俺にとって大切な存在なのである。

 

「……まあ、そういうことだから、あんたらと組むわ。基本申し出を断れないアーシアを他の男子には任せられないし、ゼノヴィアっちとイリナさんもその方がいいでしょ?」

 

「ああ。私もイッセーと一緒がいいから組むぞ」

 

「私も! イッセー君と一緒だと面白いしね!」

 

「クソォォォォォッ! 何故イッセーばかりモテるんだぁぁぁぁぁっ!」

 

 イリナとゼノヴィアも参加決定。

 それを聞いた松田達は慟哭をした。おお神よ……なんて言って何やら祈りを捧げているが、生憎神様はもう死んでるんだよな……。まぁ、生きてたとしても、信者でもなんでもない松田に力を貸すかどうかは知らんけど……。

 

「てなわけで、修学旅行はこの七人で行動しましょう! 清水寺に金閣・銀閣寺が私達を待ってるわ!」

 

 眼鏡をギラつかせながら、宣言する桐生。俺自身、京都旅行はかなり楽しみなんだよな。

 こうして、京都を巡る俺達の班が決まったのだった。

 

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